加藤洋子の一覧
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ユーザーレビュー
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ナチスドイツ軍からアメリカの墜落した航空兵たちを何度も助けたイザベル。妹
ユダヤ人の孤児を助けたヴィアンヌ。姉
この本を読むきっかけは、海外ドラマ『ファイアフライ通り』の原作者がクリスティン・ハナだったので、何か翻訳本がないか検索したところ、この本が見つかった。
内容は全く違うけれど、女性が主人公
...続きを読むというのは共通している。
良い本だとは思うけど、なんとなく、2人が魅力的に思えないんだなぁ。あと、大変さが端折られてる感もある。
良い役者で、イザベルが航空兵を何度も山越えして助けたところとか、ヴィアンヌの危ない孤児たちの助け、ドイツからのひどい扱いなど、しっかり描きながら、ドラマ化したらいいかもしれない。
でも、ストーリーはいいと思う。
どれだけナチスドイツが酷いかわかるが、それ以前にやっぱり戦争はろくなもんじゃないと思わせる。
そして、愛情を確認するところが良いのだ。
Posted by ブクログ
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装丁の良さに一目惚れして購入。
タイトルと綺麗な(よく見ると印刷されたシミや破れが)装丁とは真逆の内容。
年代の異なる2人の主人公によるシスターフッドであり、昨年の直木賞候補であるスタッフロール(深緑野分著)と重なる部分もあるが、読後感は全く違う。
読み比べてみるのも面白いかもしれない。
Posted by ブクログ
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この作品にはどこにもブレーキが付いていない。読み出したら止まることができない。約750ページに渡る長大な本なのに、どこにも。それだけでも凄いのだけど、この作家の歴史に材を取った取材能力も努力も凄い。あらゆる歴史的事実の上に重ねてゆく個の物語は、途轍もないエネルギーを持つ。それを抱えた主人公たちは、
...続きを読む実在の人であれ、架空の人であれ存在感が半端じゃない。そこがケイト・クインという作家の最大の強みなんだ、と三作目でも改めて再認識。
そもそも複数主人公を並行させ、それぞれの物語を疾走感たっぷりに交錯させたスケールの大きい物語を作るのが上手い作家なのだが、本作では、大戦中の英国を舞台に、個性豊かな三人の女性、オスラ、マブ、ベスの物語を交錯させつつ、それぞれのラブストーリーと運命とを描き分けてゆく。
壮大なスケールの作品である。第二次大戦において英・独の戦略を分けた、知られざる暗号解読戦争。そこに携わった人々の運命。綴られるのはそうした確たる事実の上に載せられた物語と個の人間たちの魅力。
実際にあった暗号解読の秘密施設は<ブレッチリー・パーク>ことBP。この場所は、戦中はトップ・シークレット下に置かれた極秘の施設であり、暗号解読戦争の勝利を英国にもたらした基地なのだが、用済みとなった戦後は、多くの職員ともども用済みとされ、放置され、廃墟化したようである。現在は、マル秘事項が多分に解除され、丁寧な復元の上公開されている大変美しい場所となっているので、是非訪れて欲しいと作者があとがきで保証している。
物語はもちろん史実を題材にして個々のストーリー時は作者の創り出したフィクションである。しかし現実の記録や歴史に基づいたところが多く、実名で語られている関係者も多い。驚くのは現エリザベス女王が幼少の頃から登場すること。夫であるフィリップ殿下の、婚姻前に実際に交際していたのがヒロインの一人オスラであること。フィリップ殿下の若かりし頃がとても活き活きと描写されてとても庶民的で親しみやすい存在に描かれていること、なお戦地となった大西洋で従軍していること。オスラは実在の人物を作者が慮って、苗字こそ架空とされたが、実在の人物をモデルにしていること。
ケイト・クインという稀有な作家の、史実に材を取った小説の面目躍如たる豊穣な想像力が多分に活かされた作品なのである。
またトリッキーでミステリアスな作品構造も魅力である。1939年12月にメイン・ストーリーは始まるのだが、1947年11月「ロイヤルウェディングまで11日」というような謎めいた章が挿入される。そこでは短いページ数の間で、三人の女性のそれぞれの運命が暗示されているかに見える。中でも暗号解読の中核にいるベスは<時計の中>という別立ての章を用意され、彼女だけは奇怪な場所で拘束され、ロボトミー手術まで暗示されている、という異様で危機的な状況にあることが、初期時点で描かれてる。いつもながらの意味深な凝った構成である。1939年のメインストーリーが1947年の現在に追い着くまでの壮大な物語を読者は辿ってゆくことになるだろう。
暗号解読という困難な仕事を引き受ける特殊だが実在したという機関ブレッチリー・パークは、それにしても魅力だ。読んでいるうちに愛着さえ覚える。ここに集まる職員たちの強い個性とそれぞれの能力。それ以上に、きつい労働条件と秘密保持の制約の中で結束する仲間、師弟の絆の強さ。ラスト近くでこのことが確認される。涙腺を刺激される感動的なシーン。
職場では、章が変わる毎に登場する<ブレッチリー空談>という数行のユーモラスで謎めいたコラム。<いかれ帽子屋お茶の会>という名の仲良し職員たちによる青空読書会では世界の古典が取り上げられ、一部人気や書評が聴かれるので、この辺りも読書子にとっては電気的刺激もの。何と多面的に楽しむことのできる物語だろうか。
Posted by ブクログ
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めちゃくちゃ良かった。
ところで第二次大戦を舞台にした女性同性愛者の物語を2冊続けて読むことになったんだけど、偶然?今の流行?2冊とも想定していなかったからびっくりした。いい意味で。同性愛者の方は嬉しかったと思う。恋愛の一つとして、普通に描かれるのは素晴らしい。これまではなかったことにされてきたわ
...続きを読むけだから。
視点がコロコロ変わる。そこがいい。
ハントレスが誰かはすぐにわかる。隠しきれないものがある、という描写なのだろう。
イアンたちがナチ戦犯を見つけると、みんな怯え、命令されただけ、知らなかった…と言う。本気なのだろう。そう自分で信じ込んでいるのだろう。
イアンが言っている通り、戦争で起きたことは明確にしておかないと、また繰り返す。
ニーナの恋人が生きていたのはびっくり。てっきりハントレスに殺されたのかと。それで復讐したかったのかと。
ニーナが女性兵士たちに迎えられる場面、友情のシーン、すごく良かった。チーム。
ニーナとイアンはそのうち離婚するだろうけれど、「同志」として友情が続くのか、くっついたり離れたりを繰り返すのか。ニーナは空を求めて、足を止めないだろう。ニーナについていけるのがイアンだったらいいな。
ハントレスも時代に翻弄されたのだろうか。平和な時代だったら、彼女の残虐さは目覚めなかったのだろうか。彼女が残虐な殺戮を行ったのは、20代の頃。考えさせられる。
アンネローゼは自分も被害者だと思ってる。十分に罰を受けていると思ってる。その罰の内容があまりに自分勝手で、こいつ本当にどうかしてる!て思った。
でも、日本にもいる。昨日、ツイッターで、情報開示を求められた対象の人が、「裁判を起こされると心配で病みそうだからやめてくれ」とか「私が自殺したらどうするつもり?」とか言っているのを見たばかりだったので、ハントレスの論法が本気だと思った。本当に自分が被害者だと思ってる。こういう人たちにどう伝えれば、自分が加害者側だとわかってくれるのだろうか。共感性の問題なのか。
アンネローゼが子育てできたことも怖い。身を守るためのカモフラージュのため、幼い子供を育て守ることは大変だったはず。ひょっとすると愛情があったのかもしれない。その母親を殺しておきながら。その辺りの矛盾も恐ろしい。
一箇所、「心を割って話し合おう」と書かれていたシーンがあって、ん?て思った。
Posted by ブクログ
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「戦場のアリス」の著者が描く、第二次世界大戦下のイギリスの暗号学校を舞台にした750ページ近い大作。平易で簡潔な文体と圧倒的にリアルな描写に最後までハラハラしながらも、あっという間に読み終えた。700ページ過ぎる辺りからは登場人物たちに会えなくなる寂しささえ感じた。ロマンスに裏切りに愛国心、友情とミ
...続きを読むステリ、どれをとってもどこを切り取っても素晴らしい作品だった。
Posted by ブクログ
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