あらすじ
女たるもの、したたかでなくては。
元バリキャリ・現小説家志望のアリスは不満だった。夫に伴い渋々引越した古い屋敷は、相当な手入れが必要な物件だったのだ。いざ掃除すると、古い料理本や1950年代の雑誌など、前の女主人ネリーの暮らしていた痕跡が見つかった。
庭と植物を愛する、良妻の鑑であったはずのネリーには、どうやら深い秘密がありそうで…。
ニューヨーク郊外の屋敷を舞台に、時代を超えたシスターフッドを描く。
北米ベストセラー・エンタテインメント小説!
【著者プロフィール】
カーマ・ブラウン(Karma Brown)
カナダのオンタリオ州生まれ。ジャーナリスト、作家。ウエスタン・オンタリオ大学で心理学と英語を専攻し、その後ビジネスコンサルティング会社のマーケティング部門で働きながら、ライアソン大学大学院でジャーナリズムを学ぶ。
のちに小説やノンフィクションを執筆するようになり、本書は小説5作目にあたる。
現在はトロント郊外で夫、娘、犬と暮らしている。
【訳者プロフィール】
加藤洋子(かとう・ようこ)
文芸翻訳家。ハンナ・ケント『凍える墓』、デレク・B・ミラー『白夜の爺スナイパー』『砂漠の空から冷凍チキン』(以上集英社文庫)、クリスティン・ハナ『ナイチンゲール(上・下)』(小学館文庫)、ケイト・クイン『戦場のアリス』『亡国のハントレス』『ローズ・コード』(以上ハーパーBOOKS)など訳書多数。
【原題】
Recipe for a Perfect Wife
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
装丁の良さに一目惚れして購入。
タイトルと綺麗な(よく見ると印刷されたシミや破れが)装丁とは真逆の内容。
年代の異なる2人の主人公によるシスターフッドであり、昨年の直木賞候補であるスタッフロール(深緑野分著)と重なる部分もあるが、読後感は全く違う。
読み比べてみるのも面白いかもしれない。
Posted by ブクログ
女であることを武器にしていても、
女であることが弱点になることもある。
ネリーの視点とアリスの視点交互で書かれていて
ネリーの秘密やアリスの本当の思いが明かされていく。
女でいられる喜びと、女でいなくてはいけない悲しみ憎しみ辛さ
理想の結婚、理想の夫婦、理想の旦那
今はあまりない女性が男性に尽くす形
ネリーもアリスも理想の形になれたのかな。
ページを捲る手が久しぶりに止まらなくなった。
Posted by ブクログ
結末は、私としては意外だった。
あと、装丁、キツネ柄のデザインがかわいい!!
1950年代、アメリカも日本も良妻の基準は似たようなものだったんだろうなと感じる。
子育てと料理と庭いじりでしか輝けない時代、
埋もれてしまっていた、本当は才能ある女性がたくさんいたんだろうな…
キティも実はその類な気もする。
本題とは違うだろうが、隣人に恵まれると本当にそれだけで楽しそうで羨ましい!!とも思った。
そして結婚生活はサバイバル、その点に関しては現代もそうかなとも思う(笑)
家が生きているようなファンタジーな表現をされるのは最初気になったが、読み進めると個人的にはだんだんと気にならなくなっていった。
Posted by ブクログ
北米ベストセラー小説?可愛い表紙とは全く違った、強かな女性達のヒリつく物語でした。カナダ生まれのジャーナリスト、作家の5冊目の小説。原題はRECIPE FOR A PERFECT WIFE 楽しいはずのレシピもなんだか不穏に感じてしまいました。
あらすじ
出版社を辞め、夫と引っ越した郊外の古い屋敷に住み始めたアリス。自称小説家の彼女は、家の手入れをする際に、1950年代の前住人ネリーの痕跡を見つけます。現代と過去2人の女性を主人公にした物語。
アメリカNY郊外。夫からDVを受けるも、従い続ける妻ネリー。良妻の定義とは?そして、彼女の秘密とは?
アリスは誠実とはかけ離れた性格で、イライラしながら読み進めました。そんな彼女がネリーの物語、古い家にのめり込んでいく様は怖かったです。
Posted by ブクログ
人って「自分が我慢できたんだから他の人も耐えられるはず」と考えて現状を維持するタイプか、「自分は我慢をせざるを得なかったことを他の人には経験させたくない」と考えて状況を変えようとするタイプに分かれる気がする。そして、日本人には前者が多いように思うし、アメリカ人は後者が多いのかなと思う。
女性の社会進出が日本より進んでいるように見えるアメリカでも1950年代はこんな感じだったのだなと思うと、この70年ほどを生きた女性達がどれほど頑張ったのかがわかる気がする。1950年代と比べると、門戸、選択肢の幅は信じられないくらい広がっている。とは言え、アメリカでもまだ、女性にとって育児・家庭とキャリアとの両立は大きな問題のようだけれど。
アリスの考え方や生き方は私にはあまり好ましくは思えなかったけれど、日本の中高生にも是非読んでほしい本だなと思った。
「母は言ったわ。『人生において自らに問いかけなければならないいちばん難しい質問は、”自分とは何者か?”なのよ。自力で答えるのが理想だけれど、油断していると他人があなたの代わりに答えてしまう―そうさせてはだめよ』」
アリスの喉に塊ができた。いまにも涙がこぼれそうだ。「あなたに同じ贈り物をさせてね、アリス、あなたの唯一の仕事―本を書くことよりも、バラの世話をすることよりも、食事を作ることよりも大事な仕事―は、その質問の答を自分で見つけること」(305頁)
Posted by ブクログ
料理と着るもののことがたくさん出てくるのでさくさく読める。50年代、裕福な夫にDVを受けるネリーと、おしゃれ職をクビになり夫と田舎に引っ込んだ現代のアリス、ふたつの話を行き来しながら進んでいき…シスターフッド小説というよりは、ゴシック風味のミステリかなと思うけど、邸宅に取り憑かれたかな…という思わせなどがあまり回収されておらず、ちょっと残念。
しかし、各章冒頭に引用される20世紀前半の「妻たるものは」な教えとか、アメリカでも主婦の地位はこうだったのねとクラクラ。「主婦は病気になってはいけないのです」とかね…。
50年代のドレスの話や、ん?それ美味しいの?疑惑はあるけど楽しいレシピなどは大いに楽しめる。