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Posted by ブクログ
数年前ニュースになった医大の合格者の男女比の不公正さ。医学の世界で女性が医師になり、続けていくことはいまも難しいのだろうか。
解剖学実習で同じ班になった4人の医学生。そして全員女性だけの班編成に反対する上司の声に屈せず彼女らを指導した女性教授。5人の女性たちが進んだ医学界での紆余曲折の物語。
30代、40代と経験を重ねていく中で、女性には避けて通れない妊娠・出産のタイミングは、どうしても1回休み的な悩みの種になる。うまく腹をくくれたとしても、その先のキャリアをどう積み重ねていくか。
女医に限らず、働く女性の誰もが彼女たちの人生の転機越えを自分の身に重ねてみそう。
Posted by ブクログ
副題が『4人の女性医師』だ。
ちなみに『ブラックウェル』とは、『もし社会が女性の自由な成長を認めないのなら、社会の方が変わるべき』という言葉を残し、世界ではじめて医師として認められた人。女性医師の未来を切り拓いた人物とのことだ。
日本の医学部入試における男女差別は、2018年に東京医科大学をはじめとする複数の大学で発覚し、女性受験生を一律に不利に扱う得点操作などが問題視された。
この物語は、ある医大の不正入試問題を受けて、女性医師の現実と問題を、複数の女性から紐解いていくもの。実際に起こった入試時の男女差別があったから、やたらリアルだ。
2章から5章は同期の女性医師のそれぞれの物語。大学病院でバリバリ働くが空いたポストは男性に取られてしまう人、父親の介護しながらフリーランスで健康診断医になった人、医療センターの新生児科の副部長になった人…女性であるだけで理不尽な目に遭い、全員が現場で偏見と戦っている。しかし絶望しながらも医療技術の向上を目指す。
医師の世界にある常識は、世の中の非常識であり、実際に女性医師として活躍している人は、この世界を生き抜くだけの術を身につけた人なのかな。
実は僕のかかりつけ大病院の担当医は若手の女性。めちゃくちゃ優秀で頼りになる先生だが、女性というだけで理不尽な思いに苛まれながら、キャリアを積んできたのかもしれないな。次の検査の時にでも『ブラックウェルさんってご存知ですか?』と聞いてみようかな。
Posted by ブクログ
少し前にニュースにもなっていたこと。
「医学部合格者の操作。男子を優遇し、女子を意図的に不合格にしていた」
そのニュースが根幹にあるストーリー。
いまだに根付く「男性優位」の世界。
女性ということだけで、並列にはされない世界。
今回描かれているのは、医師の世界だけれども、この女性蔑視の考えは、「女性活躍推進」と言いながらもさまざまな世界で根強く残っている。
自分が働く会社でも、「女性活躍推進」としながらも、相変わらず、「女性は家庭があるから。子育てがあるから。時短だから。」と、線を引く風習はありありと残っている。
解剖学の過程が詳しく描かれていたので、こんなふうに進行するのかー。。と、興味深く読んだ。
人体ではないけれど、鶏の解剖をしたことがある。
その時、男子グループが遊び半分でやっていたのを理科の教師が激怒していたのを思い出した。
最後の最後の告白は、思わず息を呑んでしまった。
まさか。。と。
最後の最後の提案は、絶対に受けてほしいと、心から思った。
それこそ、女性蔑視の世界を脱したものだと思ったから。
まあ、なったらなったで、相変わらずのやっかみは、こそこそ言われるとは思うけれど。。。
Posted by ブクログ
エリザベス・ブラックウェルは1821年にイギリスで生まれ、11歳で家族とともにアメリカに移住した後、1849年、女性として世界で初めて医学学位を取得した。
この本は、女性医師の未来を切り開いたブラックウェルを灯火として、医療の世界で性差に抗い闘う女性たちの姿を描いた小説。ふ
主人公は、1998年、中央医科大学の解剖実習で組まれた女性だけの班に所属した長谷川仁美、坂東早紀、椎名涼子、安蘭恵子の4人と指導教授・城之内泰子だ。
4人は泰子の指導を受け、いずれも優秀な成績で卒業し、それぞれの道を歩むが女性ゆえの苦労も味わうことになる。
長谷川仁美は、大学に残り、白内障オペのスペシャリストとして活躍するが、露骨な男性医師優遇に絶望した挙げ句、職場を去り、実家の眼科診療所を継ぐ。
坂東早紀も大学では極めて優秀な循環器内科医だったが、シングルマザーとなり、認知症の父親の介護もあって、今は健康診断医をしている。
椎名涼子は、蒲田記念病院で救急医をしていたが、同病院で麻酔医をしている夫との間で子宝に恵まれず、コミュニケーションが途絶、海外で急病になった日本人を迎えに行くエスコート・ドクターの道を歩む。
安蘭恵子は、日星医療センター新生児内科医として、NICUを統括する立場にいるが、その激務に加え、家庭でも脱サラの夫の仕事がうまくいかず、いらいらがつのり、体調に異変をきたす。
この4人を指導した城之内泰子は、1996年に中央医科大学初の女性教授になった優秀な人物だが、4人に対して、ある贖罪の意識に苛まれていた
その根底には、昨今、明るみに出た医科系大学における女子受験生一律減点の不正入試問題が据えられている。
家庭では介護や夫婦間の問題を抱え、職場では男性優位の風潮にさらされながらも立派に働く優秀な女性の姿が実感でき、彼女らに対するエールが強く伝わってくる小説だった。
解剖学上の男女の脳の違い(脳梁の太さ、海馬の大きさ)があるかどうかという議論が興味深かったことを追記しておく。
Posted by ブクログ
いのちの停車場を読み、南杏子さんを知りました。他の作品も読んでみたいなと思っているとき、ブック・オフで見かけたので購入。
女性教授と4人の女性医師の話です。大学初の女性教授の葛藤と苦悩、中堅医師となった4人の葛藤と苦悩が描かれています。事実、女であるということでたくさん苦労されてきたことがよく分かりました。そして、現在やこれからは女であるということで理不尽な偏見や差別が無くなることを願うばかりです。
ちょうど、私もアラフォーで仕事について振り返り、決断する時期にきているので、彼女たちの悩みに共感しました。最後の章で城之内教授が「どんな道を選んだにせよ、間違った選択なんてない。自分を信じてあげましょうね。」という言葉に救われました。
Posted by ブクログ
ブラックウエルとは、世界で初めて医師として認められた女性のことだそうだ。
数年前にあった医学部不正入試問題、それを踏まえて著者はこの作品を著したのだろう。
書中、ひとりの女医が言う。
「つまり大学受験での女性差別は、私たちにとってささいな始まりでしかなかったともいえますね」
入学試験での女性差別は、ほんのスタートにしかすぎず、入学後さらに医師になってからも、医療分野は女性蔑視が甚だしい。
そんな男性社会で奮闘する4人の女医たちを描いた医療小説。
解剖学実習で女性だけの班を組まされた彼女たちが、卒業後医師となり女性ゆえに苦労する医療界の現実を、現役の医者である著者がリアルに描き出す。
指導教授だった女医が、最終講義の後、彼女たちに語る。
「その通りよ。あなたたちがいる場所で、どんな医師がいればいいのか。それは自分で見つけていくしかない。その時、思い返して欲しいの。患者に役に立つ人が医師なのだ、ということを」
エピローグで、希望が見える。
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