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駄菓子屋の奥に、子どもだけの食堂開店!
激務の末にロケ先で怪我を負い、心身ともにダメージを負った楓子は憧れて入った映像制作会社を25歳で退職した。実家で無為徒食の生活を過ごした後、80歳になる祖母が営んでいた東京・下町の駄菓子屋「かすがい」を継ぐことになった。
1ヶ月経ち、「おばちゃん」と子どもたちに呼ばれるのにも慣れ、常連の子の顔と名前も覚えて来た頃、ひとりの少年の存在に気がつく。夕刻にやって来てきっちり300円分の菓子を買って帰るのだ。その理由に気がついた楓子がとった行動とは──(第一話 その名も『かすがい食堂』)。
貧困、いじめ、摂食障害など問題を抱える子どもたちのために、楓子は店の奥の台所で食事を提供することにした。肉汁のあふれるハンバーグ、もりもりごはんが進む野菜炒め、みんなで囲む寄せ鍋……!!
楽しく温かい食卓を描く全四話。
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Posted by ブクログ
ドラマ作りに憧れて、映像制作の会社に入ったものの、給料に合わない激務で心身ともに疲れ果て、過労と睡眠不足で仕事中にロケ先の山で滑落してケガをし、それをきっかけに20歳代半ばで退職。何かしなくてはとブラブラしていたところに、祖母から何10年も経営していた下町の駄菓子屋をやらないかと声をかけられます。祖母もそろそろ店を畳んで隠居するつもりでいたとのことで、「駄菓子屋かすがい」を継ぐこととなります。20代なのに店に来る子どもたちから、「駄菓子屋のおばちゃん」と呼ばれて働く、春日井楓子が主人公の物語です。
第1話から第4話まで別々の4つのストーリーが描かれていますが、それぞれが繋がっていてひとつの物語として構成されている作品です。
「かすがい食堂」が始まったきっかけとなったストーリーと、「かすがい食堂」の様子を紹介すると、
きっかけは、決まって夕方に「駄菓子屋かすがい」にやって来ては、店内をひと回りしたあと、きっちり300円の駄菓子を買って帰る男の子でした。
毎回300円というのは小学生のお小遣いとしては多すぎるし、親が毎回お菓子代として300円渡しているのだとしたら、かなり贅沢で奇妙なことだと思い、楓子はふと頭によぎった想像から、ある日その300円を男の子から受け取るときに、「これってもしかして、きみの晩御飯だったりしない?」と、思い切って尋ねます。
男の子の答えは、やはり想像通りで、晩御飯代として母親から毎回300円を渡されていたということでした。しかも、お菓子でもいいと言って渡されていたことを知ります。母親はいつも夜働き、父親のいない母子家庭ということで、事情を知った「駄菓子屋のおばちゃん」の楓子は、不憫に思い、昔ここで祖母がもんじゃ焼きなどの簡単な食事を提供していたことを思い出して。その男の子に、300円で駄菓子ではなく晩御飯を提供することを決心します。こうして昼間は「駄菓子屋かすがい」、閉店後の夕方に、週2日だけその子のためだけに、店の奥の座敷で、その名も「かすがい食堂」を始めまることになります。
料理など得意でなかった楓子ですが、料理の得意な祖母の協力もあって、手作りの家庭料理に奮闘します。
その男の子ですが、初めは、食に対する興味は全くなくて、箸の持ち方もぎこちなく、口数も少なくて「いただきます」とか「ごちそうさまでした」すら言えない子どもでしたが、「かすがい食堂」に通い、楓子と一緒に食材を買いに行ったり、料理の手伝いをしていく中で(これが、「かすがい食堂」のルール)、次第に打ち解けて心を開くようになって、楓子や祖母と一緒に、楽しく晩御飯を食べるようになっていきます。
ストーリーが進むにつれて、「かすがい食堂」に通う子どもが、ひとりまたひとりと増え、「かすがい食堂」は、深刻な問題を抱えて困っている子どもたちに、束の間の居場所と、温かい晩御飯を提供して、気軽に話や相談ができる場所となっていきます。
小学生や中学生の子どもにとって、家庭というのは心から安心できる場所だと思いますが、何かしらの事情で家庭がその機能を失ったとき、手を差し伸べてくれたのが、何かと世話焼きキャラの春日井楓子さんであり、「かすがい食堂」でした。
通ってくる子どもたちひとりひとりのキャラクターが際立っていて面白く、そんな子どもたちに心から寄り添う楓子の姿に感動しながら、楽しくスラスラとあっという間に読み終えてしまいました。
また、提供される晩御飯の簡単なレシピと、その食レポも描かれていて、食卓を囲むその場の雰囲気が漂ってくる、一緒に晩御飯を食べているような物語でした。
Posted by ブクログ
凄惨な殺人現場だの、少女監禁虐待だの、おどろおどろしい本を続けて読んだので(^ ^; ちょっと「一休み」したくてチョイス。
主人公は、映像業界で働いていたが、心折れて実家に戻り、祖母の経営していた駄菓子屋をついでのんびり商売している女性。ひょんなことから、恵まれない環境で暮らす子どもとの縁ができ、何かできることを、と格安で食事の提供を始め、その和が徐々に広がっていき...というのが大きな流れ。
正直、割とありがちな設定だし、訳知りのおばあちゃんも割とステレオタイプのキャラクターとも言える。が、そんな「普遍的」であるが故に、作者の筆力や心遣いが光る、とも言える。
貧困やネグレクトなど、どうしてもテーマは重くなりがち。だが決して暗い話にも「お涙頂戴」にもなっていないのはさすが。主人公もスーパーマンではないので、常に悩む。自分が大したことをできる訳では無いし、干渉しすぎないよう自らを律している。
逆境にいる子供たちにも、それぞれ言い分があるし、子どもなりに周りに気を遣ってもいる。その様がけなげであり、また涙を誘いもする。誰も「悪い人」がいなくても、不幸というのは起きてしまうものだ、という現実。その中で生きるしかない子供たちに、温かい食事を差し出す「駄菓子屋のおばちゃん」は、問題を解決することはできなくとも、子供たちが前向きな一歩を踏み出す手助けにはなっている。確実に。
世の中、大きな理想論を広げるだけで、結局何もできない...ということの方が多いように思う。が、目の前の一食を提供する、その小さな「行動」こそが、人に「一歩を踏み出す勇気」を与えてくれるに違いない。
連作短編集の、最終話でおばあちゃんが言う「何でも一人で抱え込もうとするのが、あんたの悪い癖だ」という一言にハッとして、周りを「巻き込む」ことを学ぶ主人公。「巻き込まれた」子供たちも、目覚ましい活躍を見せる。人は、誰か他の人から「必要とされる」ことが、無条件に嬉しいものなのだ。
これから十年、二十年経っても、この駄菓子屋が「世界から貧困を無くす」ことは絶対にできまい。それでも、関わった人々の、それぞれの小さな一歩は、着実に世界を明るい方へと導く力になる、と信じたい。
Posted by ブクログ
優しい気持ちになる一冊でした!
駄菓子屋「かすがい」の雰囲気や香りが想像できる心がほっこりする物語です^^
楓子は訳あって仕事を退職し、駄菓子屋の"おばちゃん”(25)として祖母が営んでいた「かすがい」屋を受け継ぐ。
駄菓子屋「かすがい」は地元の小学生たちから愛され毎日子供たちの声が絶えない。
でもその中には問題を抱えた子もいる。
貧困家庭や親の仕事の都合、摂食障害といった様々な悩みを抱えた子供たちを楓子は「食」を通じて救う物語です。
ただ "ご飯を食べれば解決!!” のような考え方ではなく、それぞれの問題に深く入り込み考えさせられる一冊でした。
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