感情タグBEST3
Posted by ブクログ
凄惨な殺人現場だの、少女監禁虐待だの、おどろおどろしい本を続けて読んだので(^ ^; ちょっと「一休み」したくてチョイス。
主人公は、映像業界で働いていたが、心折れて実家に戻り、祖母の経営していた駄菓子屋をついでのんびり商売している女性。ひょんなことから、恵まれない環境で暮らす子どもとの縁ができ、何かできることを、と格安で食事の提供を始め、その和が徐々に広がっていき...というのが大きな流れ。
正直、割とありがちな設定だし、訳知りのおばあちゃんも割とステレオタイプのキャラクターとも言える。が、そんな「普遍的」であるが故に、作者の筆力や心遣いが光る、とも言える。
貧困やネグレクトなど、どうしてもテーマは重くなりがち。だが決して暗い話にも「お涙頂戴」にもなっていないのはさすが。主人公もスーパーマンではないので、常に悩む。自分が大したことをできる訳では無いし、干渉しすぎないよう自らを律している。
逆境にいる子供たちにも、それぞれ言い分があるし、子どもなりに周りに気を遣ってもいる。その様がけなげであり、また涙を誘いもする。誰も「悪い人」がいなくても、不幸というのは起きてしまうものだ、という現実。その中で生きるしかない子供たちに、温かい食事を差し出す「駄菓子屋のおばちゃん」は、問題を解決することはできなくとも、子供たちが前向きな一歩を踏み出す手助けにはなっている。確実に。
世の中、大きな理想論を広げるだけで、結局何もできない...ということの方が多いように思う。が、目の前の一食を提供する、その小さな「行動」こそが、人に「一歩を踏み出す勇気」を与えてくれるに違いない。
連作短編集の、最終話でおばあちゃんが言う「何でも一人で抱え込もうとするのが、あんたの悪い癖だ」という一言にハッとして、周りを「巻き込む」ことを学ぶ主人公。「巻き込まれた」子供たちも、目覚ましい活躍を見せる。人は、誰か他の人から「必要とされる」ことが、無条件に嬉しいものなのだ。
これから十年、二十年経っても、この駄菓子屋が「世界から貧困を無くす」ことは絶対にできまい。それでも、関わった人々の、それぞれの小さな一歩は、着実に世界を明るい方へと導く力になる、と信じたい。
Posted by ブクログ
扱うテーマはとても深く重いものだと思います
しかし コミカライズで とても読みやすかった。
『駄菓子屋』に懐かしさを感じたり、若くして自分を『おばちゃん』と言ってしまう事に共感したり。
とても素敵な本に出逢えたと思いました。
Posted by ブクログ
駄菓子屋の楓子さんが助けを必要とする子どもたちに食べ物を通して、諦めたらいけないこと、自分を大切にすること、なりたい自分になれること
を伝えていきます
とても素敵なお話しでした!
Posted by ブクログ
まさかこんなにかわいいほのぼのした表紙の本が子どもの社会問題に切り込んだお話だったとは。
摂食障害の子以外はシングル家庭の貧困問題。
子どもに関わる問題はどうしても親が絡んでくるから難しいんだよね。
親のプライドが邪魔をして支援の手を拒んでしまう。
でも食べられなくて困るのも食に関しての正しい知識やマナーが得られずに困るのも子ども。うーん辛い。
結局こんな時に一番早く気づいてあげられるのはかすがい食堂のような場所なんだろうなぁ。
子どもだけでは得られる情報が少なすぎる。
だから大人の力が必要なのよね。
だから親のプライドなんて捨てて支援の手を掴んでもらいたいと思う。
「人に頼ってもいい」これが実はすごく難しい。
たぶん私の人生の永遠の課題。
でも子ども達には知っていてほしい。
偽善だと思うかもしれない。
その時は理解できないかもしれない。
でも自分から助けを求めたら助けてくれる人は必ずいると知っていてほしい。
今を生きる子ども達がみんな幸せであってほしい。
そんな風に思ったお話でした。
Posted by ブクログ
伽古市圭市さん、初読みです。「かすがい食堂」、2021.3発行。春日井楓子25歳は、祖母朝日80歳が営む駄菓子屋かすがいの後を継いだ。母子家庭、小4、9歳の翔琉(かける)に食事を作ったのを契機に、週2回、安く夕食を提供するかすがい食堂を開店。拒食症の高校生や生活困窮世帯の小学生などに食事を作りながら、悩みごとの解決に頑張る姿を描いた小説。シリーズもののようで、今後が益々楽しみな作品です。
Posted by ブクログ
事があまりにもうまく進んでいくのは小説ゆえに致し方ないかもしれないけど、それにしてもうまいこといくなぁという印象は受けた。
収録4編それぞれが、それだけで1冊分になりそうなところを端折ったような感じもした。
それはそれとして、今の日本が抱えるこどもに関わる社会問題を可視化する内容になっている。
それだけに、一つひとつもっと深めても面白いかもしれないけど、そうしたら重くなっちゃうのかな?という気もする。
ともあれ、こどもに関わる職や立場の人は読んでほしい。
Posted by ブクログ
読みやすくて面白かった。
ドラマ作成に関わっていた楓子が駄菓子屋のおばちゃんに(笑)
まぁ、設定は多少強引な感じもしなくもないが、家庭でご飯が食べられない子どもたちのために食堂を開く…今の時代に求められたお話だと思います。
家庭の事情、子供の事情などか「すがい食堂」を求める背景はいろいろですが、こういう子供のいるかもなぁっとちょっと考えさせられるお話でした。
Posted by ブクログ
「子どもの貧困」や「摂食障害」など内容はヘヴィで警戒しながら読んだけど、柔らかい文体のせいなのか、思いのほか読みやすくて傷つくほど落ち込むこともなかった。
子供たちが少しずつ変わっていくのがおもしろくて、これからどうなるか気になった。続編が出たら読んでみたい。
Posted by ブクログ
駄菓子屋兼子供食堂を開く事になった楓子、貧困や摂食障害の問題を抱える子供達の居場所となる、かすがい食堂。
子供達の未来に希望あれ、楓子もね子供達から、希望や憧れになる女性へと成長あれと応援してた自分。子供食堂は助かりますね
Posted by ブクログ
ハートウォーミング系の連作集だけれど、摂食障害や児童の貧困など、簡単に答えの出ない(出されても困る)問題を取り上げているので、読後感は案外と重い。おせっかいなヒロインの奮戦で、物語の中では一応ハッピーな結末を迎えるが、その過程があまりに安直なら、読者としても鼻白んでしまうところだが、その心配はいらないかな。その代わり、快刀乱麻を断つようなわけには行かず、結末は煮えきらなさが残るが、これは仕方のないところ。
Posted by ブクログ
映像業界で働いていた春日井楓子は、激務で仕事を辞めてから祖母が営む駄菓子屋『かすがい』を継ぐ。
どうにか慣れた頃、ひとりの少年が来るたびにきっちりと三百円分のお菓子を買うのに気づく。
まさか、これが晩ご飯とは…。
これをきっかけに店の奥で、三百円の駄菓子の代わりにハンバーグを作っていっしょに食べる。
シングルマザーで貧困家庭、時間もなく子どものことも見る時間がない状態では、晩ご飯も毎日作れていない。
それでいいわけはないが、どうしようもないということだろうか…。
楓子は、居場所のない子どもたちのために、みんなで囲む食事が美味しいことを気づいてもらえたらという思いもあるのかもしれない。
押しつけることもなく、自然にいっしょに食事ができるように献立も買い物も料理もできる範囲でいっしょにすることで得られることもたくさんある。
Posted by ブクログ
人間は何のために食べるのか?その問いに答えを探し、さまよっている子供たちがでてくる。いや、答えを探しているのは子どもたちではない。何に困っているのかも分からない子どもたちに寄り添い、いっしょに答えを探している駄菓子屋かすがいのおばちゃん楓子が主人公の物語である。献立を決めて、買い物に行き、調理をする。そんな当たり前のことが当たり前ではなくなっている子どもたちがでてくる。いや、コンビニ弁当やUber eatsが大活躍の現代では、どちらが当たり前か、、?毎回の食事風景からは、たちのぼる湯気や鼻をくすぐる匂い、美味しい物を食べた時の笑顔まで見えてくる描写で、こちらまでお腹が空いてくる。やはり、食べることは幸せに生きることだな、と思う。
Posted by ブクログ
東京の下町にある駄菓子屋"かすがい"の奥の台所で、子供に食事を提供する"かすがい食堂"。提供するとは言っても、食べる子供も一緒に買い物したり料理をする変わり種の食堂だ。
世にいう"子ども食堂"程規模の大きなものではなく、家庭や学校などで問題を抱えた近所の子供数人に、食事を共にすることで息抜きをさせてくれる場にもなっている。
"かすがい"の店主・楓子が、子供を見下したり一方的に施したりするのではなく、常に同じ目線でじっくり向き合い寄り添う姿勢に好感が持てた。
ネグレクト、摂食障害、貧困。現代の子供たちを取り巻く問題は複雑で、スッキリ解決できるものは少ない。
様々な問題を抱えた生きづらさの中にあって、少しでも肩の力を抜き、何より自分たちで作った料理を美味しいと感じたりみんなと一緒に食べることが楽しいと思える気持ちが、やがて子供たちの救いになるといい、と願わずにいられない。
Posted by ブクログ
親の事情で食に恵まれない子供達に、食事の一助とすべく手を差し伸べる駄菓子屋の楓子。夫々の子の置かれている立場、環境に配慮しながら何が出来るのか、試行錯誤しながら共に成長していく様が清々しい。
Posted by ブクログ
主人公は楓子・25歳。会社を辞め、祖母から創業60年の『駄菓子屋かすがい』を引き継ぎます。ある日、300円分のお菓子を食事代わりに購入する少年を見るに見かね、集客や商売抜きに『かすがい食堂』を始めます。
ネグレクト気味の母親と少年、摂食障害と少女など、困難を抱えている子どもたちに寄り添い、食べる意味をともに考えながら、人と未来を食でつないでいく展開です。
店名の「かすがい」は苗字なのですが、「子はかすがい」の通り、楓子が暗に何かと何かをつなぐ役割を果たす例えでもあるのでは、と考えます。
貧困などの難しく重い問題へ、少し楓子のお節介・介入が過ぎているようですが、一人でできることの限界を認識しながら、必死に居場所をつくろうとする姿勢に、教えられる部分もありました。
絶品料理で子どもたちの胃袋をつかむのではなく、一緒に買い物に行き、料理を作り、皆んなで食べる行為は、実際に子どもを変容させ得るかもしれません。
Posted by ブクログ
ご飯を食べさせたくなるのはわかるけど親から怒られるよ…と思ってしまう自分も嫌になるが、簡単なようで難しい問題が今後も続くのだろう。続きが楽しみ。
Posted by ブクログ
あっという間に読めてしまう。文章が、平易。
駄菓子屋をやっていると、自然と子どもたちのことが、わかってくるし、気にもなってくるだろう。ちょっと、介入しすぎで、おせっかい。簡単に解決する。子どもにお説教ぽくないようにと言いながら、お説教ぼい。
Posted by ブクログ
子どもたちを救うことによって、
主人公も成長していく様子が
読みやすかった。
誰かと食卓を囲うことで
心と身体が満たされていく、
そんな大切なことを伝える作品。
Posted by ブクログ
このご時世にこの主人公の行動はヤバいだろーと思う反面、こういう世話焼きが活躍して極小のコミュニティがうまくまわるような世の中のほうが平和なのかもしれない?
重いテーマがありながらも読みやすい軽めのタッチ。というかむしろ個々のキャラ設定が深くはないから、後半の重いテーマのストーリーの方がバランスよく楽しめた感じ。
(個々では深くないとはいえ)主要なキャラクターが増えてそれぞれの特長がより活かせそうだし、続編が出るのなら本巻よりも期待出来そう。
Posted by ブクログ
小学4年生の娘も読める内容だった。子どもを取り巻く家庭の問題や摂食障害など、章ごとに書かれていてとても読みやすかった。「サンタさんを信じる?」のくだりは、子どもに読ませてよかったのかなぁと心配にはなったが…。自分にはない、楓子の勇気に感心。
Posted by ブクログ
困ってる人に、見ないふりをしないで世話を焼いてしまう、でもがんばりすぎない範囲で…。現実は、すぐに諦めちゃうことが多いと思うけど、何とか諦めないで考え続けることで、関わり続けることで、物事が動き出す。そういうことができるのも、経験豊かなおばあちゃんが近くにいるからだなと思う。一人で全て解決なんてできないから、心を開いていたい。
Posted by ブクログ
子ども食堂というとすぐに"貧困"と結びつけられがちだけど、その存在を必要としている子どもは様々で、その可能性も無限。この小説でももちろん貧困をはじめとした社会問題は取り上げられているけど、それ以上に子どもたちの日常や、主人公のこれまでのキャリア、なによりも美味しそうな食事の描写!がたくさん出てきて、「子ども食堂」という先入観に囚われずに、登場人物たちに共感できたのがよかった。
子ども食堂を必要としている子どもの例
・お母さんが夜遅い、子どもの栄養管理をしない、子どもはお菓子を食べる。食べ物に関連する知識や常識が身につかない。
・喧嘩をした兄弟ー食事を通じて仲直り?
・拒食症ー食に関するいろんな情報に混乱して、食べ物が食べられなくなった子。子ども食堂を通じて自分なりの食の意味を見つける。
・隠れた貧困。貧困というレッテルを貼られたくなくて、生活保護を受けない親。
Posted by ブクログ
これが現実の話であったなら、
日本もまだまだ捨てたもんじゃないな。
現実にあって欲しいな。
そして、くだらない己のルールにも
気付かされた。
確かにありすぎる自分ルール。
解き放たれたら
どれほど楽に生きられるだろうw
ほっこり優しくなれる話。
Posted by ブクログ
SNS上でよく紹介されていて、ながしまひろみさんのカバーイラストも可愛いかったので購入。
激務から離れ、祖母の駄菓子屋の『おばちゃん』に転職した主人公がお客である子供とほのぼの交流するほんわか小説かと予想していたが、現代の子供たちが直面している問題が4話に渡って描かれていて、それに対してはっきりした解決策も現状見いだせず、大人としてとても心苦しくなる。
どんな苦境にあっても、こどもなりの冷静な目線を汲み取るちょっとお節介な主人公の姿勢は 今必要なものかもしれない。
Posted by ブクログ
仕事の激務により3年間働いた映像制作会社を退社した楓子は、駄菓子屋を経営する祖母に誘われ、営むことになった。
仕事に慣れた頃、店に300円を手に持った少年を目撃する。その子は、数日に1回のペースで、いつもきっちり300円を使っている。不審に思った楓子は、その少年に事情を聞いた。
王様のブランチで特集されていたので購入。作者の伽古屋さんはミステリーを多く出版されていますが、今回の作品は新たなジャンルとして挑戦したそうです。
題名の「かすがい食堂」ですが、「かすがい」は母方の姓が春日井ということです。「食堂」は、普段は駄菓子屋として経営していますが、ある出来事がきっかけでこども食堂のような食堂を作ることになりました。
全4話の連作短編集で、貧困やイジメ、拒食症といった社会問題を扱いながら、食堂を通じて、人との交流や食事のありがたさ・楽しさが描かれていました。
1話ごとに何かしらの事情を抱えた少年少女が登場しますが、ミステリー作家ということもあり、何か過去に起きたのでは?と匂わせるような文章で想像を掻き立ててくれました。
いじめなど重いテーマでしたが、そんなにシリアスさはなく、気持ちを軽めにしてくれるような文章でした。
また、食事のシーンでは、美味しそうなメニューや楽しそうな登場人物たちに気持ちを温かくさせてくれるので、全体的に比較的読みやすい印象でした。
なかなか子供の問題には、スッキリ解決‼︎とまではいきませんが、良い方向へいくよう、努力している姿が描かれています。楓子はプロではないので、スマホから得られる情報を基にして、対応していますが、真摯に向き合う姿には感銘を受けました。
また、祖母の存在感も良かったです。経験を重ねてきたからこそ、出てくる言葉も印象的で、スカッともさせてくれました。
昔よりは減ってしまった近所付き合い。人との交流で、助かることもあります。改めて人との交流がいかに大切であるかということを感じました。みんなで食べる食事は、読んでいてほっこりした気持ちになりましたし、「食事」の大切さ・ありがたみを改めて感じさせてくれました。