【感想・ネタバレ】かすがい食堂のレビュー

あらすじ

駄菓子屋の奥に、子どもだけの食堂開店!

激務の末にロケ先で怪我を負い、心身ともにダメージを負った楓子は憧れて入った映像制作会社を25歳で退職した。実家で無為徒食の生活を過ごした後、80歳になる祖母が営んでいた東京・下町の駄菓子屋「かすがい」を継ぐことになった。

1ヶ月経ち、「おばちゃん」と子どもたちに呼ばれるのにも慣れ、常連の子の顔と名前も覚えて来た頃、ひとりの少年の存在に気がつく。夕刻にやって来てきっちり300円分の菓子を買って帰るのだ。その理由に気がついた楓子がとった行動とは──(第一話 その名も『かすがい食堂』)。

貧困、いじめ、摂食障害など問題を抱える子どもたちのために、楓子は店の奥の台所で食事を提供することにした。肉汁のあふれるハンバーグ、もりもりごはんが進む野菜炒め、みんなで囲む寄せ鍋……!!
楽しく温かい食卓を描く全四話。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

まさかこんなにかわいいほのぼのした表紙の本が子どもの社会問題に切り込んだお話だったとは。
摂食障害の子以外はシングル家庭の貧困問題。
子どもに関わる問題はどうしても親が絡んでくるから難しいんだよね。
親のプライドが邪魔をして支援の手を拒んでしまう。
でも食べられなくて困るのも食に関しての正しい知識やマナーが得られずに困るのも子ども。うーん辛い。
結局こんな時に一番早く気づいてあげられるのはかすがい食堂のような場所なんだろうなぁ。
子どもだけでは得られる情報が少なすぎる。
だから大人の力が必要なのよね。
だから親のプライドなんて捨てて支援の手を掴んでもらいたいと思う。
「人に頼ってもいい」これが実はすごく難しい。
たぶん私の人生の永遠の課題。
でも子ども達には知っていてほしい。
偽善だと思うかもしれない。
その時は理解できないかもしれない。
でも自分から助けを求めたら助けてくれる人は必ずいると知っていてほしい。
今を生きる子ども達がみんな幸せであってほしい。
そんな風に思ったお話でした。

0
2023年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 伽古市圭市さん、初読みです。「かすがい食堂」、2021.3発行。春日井楓子25歳は、祖母朝日80歳が営む駄菓子屋かすがいの後を継いだ。母子家庭、小4、9歳の翔琉(かける)に食事を作ったのを契機に、週2回、安く夕食を提供するかすがい食堂を開店。拒食症の高校生や生活困窮世帯の小学生などに食事を作りながら、悩みごとの解決に頑張る姿を描いた小説。シリーズもののようで、今後が益々楽しみな作品です。

0
2022年04月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東京の下町にある駄菓子屋"かすがい"の奥の台所で、子供に食事を提供する"かすがい食堂"。提供するとは言っても、食べる子供も一緒に買い物したり料理をする変わり種の食堂だ。
世にいう"子ども食堂"程規模の大きなものではなく、家庭や学校などで問題を抱えた近所の子供数人に、食事を共にすることで息抜きをさせてくれる場にもなっている。
"かすがい"の店主・楓子が、子供を見下したり一方的に施したりするのではなく、常に同じ目線でじっくり向き合い寄り添う姿勢に好感が持てた。

ネグレクト、摂食障害、貧困。現代の子供たちを取り巻く問題は複雑で、スッキリ解決できるものは少ない。
様々な問題を抱えた生きづらさの中にあって、少しでも肩の力を抜き、何より自分たちで作った料理を美味しいと感じたりみんなと一緒に食べることが楽しいと思える気持ちが、やがて子供たちの救いになるといい、と願わずにいられない。

0
2023年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

子ども食堂というとすぐに"貧困"と結びつけられがちだけど、その存在を必要としている子どもは様々で、その可能性も無限。この小説でももちろん貧困をはじめとした社会問題は取り上げられているけど、それ以上に子どもたちの日常や、主人公のこれまでのキャリア、なによりも美味しそうな食事の描写!がたくさん出てきて、「子ども食堂」という先入観に囚われずに、登場人物たちに共感できたのがよかった。

子ども食堂を必要としている子どもの例
・お母さんが夜遅い、子どもの栄養管理をしない、子どもはお菓子を食べる。食べ物に関連する知識や常識が身につかない。
・喧嘩をした兄弟ー食事を通じて仲直り?
・拒食症ー食に関するいろんな情報に混乱して、食べ物が食べられなくなった子。子ども食堂を通じて自分なりの食の意味を見つける。
・隠れた貧困。貧困というレッテルを貼られたくなくて、生活保護を受けない親。

0
2021年05月01日

「小説」ランキング