【感想・ネタバレ】かすがい食堂 あしたの色のレビュー

あらすじ

下町の子ども食堂が世界と繋がる第2弾!

祖母から駄菓子屋「かすがい」を引き継いだ春日井楓子が、店の奥で子ども食堂を始めて1年が経った。

親のネグレクトが原因でまともなご飯を食べていなかった翔琉は大人しく感情もほとんどあわらにしなかったが、通い続けるうちに少しずつ打ち解けるようになった。摂食障害を患っていた夏蓮は元気を取り戻し、積極的に買い物や調理を手伝ってくれている。

中一になった亜香音が友人・彩希を連れてやって来た。髪を染めたことで教師や親に叱られ、家出中だと言うが──(第一話 少女と嘘と白黒パンダ)。

日本語が流暢な黒い肌の少年、日本で働く母親と暮らすためベトナムからやってきた少女、新たなお客さまを迎え、差別や偏見など彼らの抱える問題に楓子は直面するが、かすがい食堂のみんなでごはんを作って食べながら、何が出来るかを考える。

幻のカレイ(?)のムニエル、自分でにぎるおにぎり、ライスペーパーの春巻き、お好みの具材をのせるビビンバなど、わくわくする献立も充実。下町の子ども食堂から世界を知る人気シリーズ第二弾。

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Posted by ブクログ

ドラマ作りに憧れて、映像制作の会社に入ったものの、給料に合わない激務で心身ともに疲れ果て、過労と睡眠不足で仕事中にロケ先の山で滑落してケガをし、それをきっかけに20歳代半ばで退職。何かしなくてはとブラブラしていたところに、祖母から何10年も経営していた下町の駄菓子屋をやらないかと声をかけられます。祖母もそろそろ店を畳んで隠居するつもりでいたとのことで、「駄菓子屋かすがい」を継ぐこととなります。20代なのに店に来る子どもたちから、「駄菓子屋のおばちゃん」と呼ばれて働く、春日井楓子が主人公の物語です。

深刻な問題を抱えて困っている子どもたちに、「駄菓子屋かすがい」の閉店後、束の間の居場所と、温かい晩御飯と、気軽に話や相談できる場所を提供するために、店の奥の座敷で「かすがい食堂」を始めたという、前作に続くシリーズ第2弾です。

前作同様に、第1話から第4話まで別々の4つのストーリーが描かれていますが、それぞれが繋がっていてひとつの物語として構成されている作品です。

感動したのは第3話「母の真っ赤なオムライス」。楓子の小学生の頃の思い出の話で、両親の仕事が忙しいために、それまで祖母の家で晩御飯を食べることが普通と思っていたところ、友だちから言われたひと言にショックを受け、祖母に泣いて訴えたことで、次の日、仕事で忙しい両親が、仕事を早く終わらせて祖母の家へ来て、オムライスを作ってくれた話です。祖母の話を聞いてすぐに飛んできて、決して得意でない料理を子どもに振る舞う母親。「誰よりも楓子を愛している」と言う母親と、「お母さんより自分の方が楓子を愛している」と言う父親。「何張り合ってるの?」とつぶやく祖母。そんな両親と祖母に囲まれて食べたオムライスは、卵が不格好でもケチャップ多めでも愛情たっぷりの美味しいオムライスだったに違いなかったと思います。

第4話「わたしの色、あしたの色」は、おそらくこのシリーズ第2段のメインになる物語だと思いますが、先に来日して働いていた母親に呼び寄せられて、ベトナムから来た女の子を「かすがい食堂」に招いたのをきっかけに、私たちを取り巻く社会問題を題材にした内容となっています。

何気なく無意識に使っている言葉が、言われる側にとっては差別的あるいは暴力的な言葉となり得ることに気づかされました。

例えば、肌の色や人種の違いで差別しませんという概念を、「カラーブラインド」というそうですが、平等主義として良い意味で認識される一方で、マジョリティに有利な状況を維持してしまう(強いてしまう)という、表面的な平等主義を装ってしまう可能性も指摘されているそうです。マイノリティの人たちからすると、かえって差別的に感じる場合があるとのことです。

分かりやすい例でいうと、性差別の問題があります。「俺は男とか女とか関係ない。完全に能力だけで判断する。」と平等主義を声高に宣言する男性の管理職がいますが、無意識的なのか意識的なのか、その時点ですでに男女差別を行なっているわけで、こう言う人って、「男らしくない」とか「女らしくない」って、平気で口走っちゃうんだろうなと思います。また残念なことに、未だに女性の仕事を軽く見たり、雑用は女性の仕事と思っている時代錯誤的な人も、年齢問わず少なくないのではないかと思います。

人種差別と性差別を同列に扱うことは適切ではないかもしれませんが、ストーリーを通じて、世の中には、無意識に発せられる小さな偏見や差別が、実に多く蔓延していることに気づかされた物語でもありました。

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2026年01月27日

Posted by ブクログ

かこやさんの本を初めて読み、ファンになりました。差別や偏見に、まっすぐに立ち向かう楓子さんは、とってもかっこよかったです。お料理のシーンも織り込まれていて、食いしん坊の私はたっぷり楽しめました。「なにをどう感じ、どう受け止めるかは人それぞれだ。………..結局、人と人なのだ。相手のことを思い、考えるしかなかった。」この文章が、心にズシンときました。

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2022年03月01日

Posted by ブクログ

シリーズ第2弾。
駄菓子屋『かすがい』を継いで、店の奥で子ども食堂を始めてから一年後。
食堂を始めるきっかけとなった翔琉も小5になり、亜香音も中一になったが通っている。

イジメにあってるのではと思っていた亜香音だったが、単に貧しくて晩ご飯もなく、何かを得るために落とした駄菓子を拾って食べたり、みんなのランドセルを持つことでお金をもらってたりしたわけだが、今回はそのイジメてたと思われた子が家出してるんだと連れてきて…。

今回の話のなかで特に気になったのは、肌の色の違う子が、お店に来たことで起こる問題がかなり強烈だったこと。
第四話のわたしの色、あしたの色では、差別にあった本人の声がかなり響いてくる。
自分は差別をしていないって言葉を発するだけで、それはもう差別になってるということに気づいていないのだ。
肌の色は見ずにみんな同じに扱うって言葉は、ときに差別的で、暴力的なんだよ。ということがわかってなかった。
それを聞くことで、楓子も無意識に投げかけていたことに気づき反省して受け止める。

ほっこりと食卓を囲む場面もしっかりあるのだが、「今」の社会を映す濃い内容だった。



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2023年11月26日

Posted by ブクログ

多様性って難しい。良かれと思っての言動が逆に傷つけてることがあるらしいが、言ってもらわないと気付けないし…。仁君みたいな人は貴重。勉強になった。

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2022年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 祖母が営む駄菓子屋「かすがい」を引継ぎ、店の奥で子ども食堂をしている楓子の元へ日本語を流暢に話す肌の黒い少年・仁がやってきた。
 両親はアフリカの血を引くフランス人だが、仁は日本育ちの為生粋の日本人。だが、見た目が異なる為日本人扱いされず差別を慣れっことしていた。そんな時、仁がベトナムから来たティエンをかすがいに連れてきて…

 何気なく聞いていた「日本はどう?」、「私達は気にしないから。」と言う言葉、実はかなり上から目線だと気付かされました。日本はさほどカラーブランドとは無縁だと思っていましたが、この話を読んで甘い考えだと痛感しました。明らかなヘイトビラも不快ですが、悪意のない言葉ほど無神経なんだと考えさせられました。

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2021年12月31日

Posted by ブクログ

かすがい食堂シリーズの二作目。前作の摂食障害や子供の貧困に続いて、今作では差別という重いテーマに取り組んでいる。安直な解決を目指さないのは前作と同じで、物語の中だけでもカタルシスを味わいたい向きには不評だろう。加えて、今作はテーマがテーマだけに、ディスカッションの部分が多く、多少説教臭さも生じているのは否めない。それでも理想は語らないが、矜持は捨てないヒロインには救われる。

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2021年11月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 駄菓子屋で大人が買っているのは、お菓子ではなく、思い出w。 加古屋圭市「あしたの色」、かすがい食堂シリーズ№2、2021.11発行。今回は「差別」がテーマでしょうか・・・。難しかったです。悪気のない差別、見えない差別・・・。「リラックスして読みたいな」が正直な読後感です。

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2022年05月26日

Posted by ブクログ

駄菓子屋のお姉さん、子ども食堂で世界と出会う!
多様なお客さまをほかほかごはんでお出迎え
なんて帯には書かれていた。
確かにそうなんだけど、想像していたよりも内容の濃い作品でした。
色々と考えさせられたし、これからも考える事の多いテーマだと思う。

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2022年01月24日

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