作品一覧

  • 緑の花と赤い芝生
    4.0
    1巻737円 (税込)
    だれかにはなれない、永遠に。 大学院を修士課程まで修了し、大手飲料メーカーに勤めて独身のままキャリア街道をひた走る今村志穂子。本音を隠してでも夫や姑と「理想の家族」を築いていきたい桜木杏梨。まったく異なる27年間を生きてきた二人が、とあることをきっかけに一つ屋根の下で暮らすことになる。微塵もわかり合えない二人は、うまくいかないことがあるたびに苛立ちを募らせる。自分にとって本当に居心地の良い場所は、自分が素でいられる場所は、いったいどこにあるのだろう。家、職場、友達、恋人……それとも実家? 思い悩むたびにお互いの姿を思い浮かべるようになった彼女たちは、誰のためでもなく自分のための答えに辿り着く。解説は、作家の寺地はるなさんです。
  • 内角のわたし
    3.2
    1巻1,815円 (税込)
    若くて可愛い女の子、いつまでそう扱われるの? 愛され守られたい、自立し強くありたい、無関心で平穏に過ごしたい――3つの本心に引き裂かれながら、社会が望む女性像に擬態して生きる森。その異質な気配に気づいた職場の同僚に声をかけられるが……。一人の女性が見つめる世界の歪みと、その先の希望を克明に描いた物語。
  • 名前も呼べない
    3.5
    1巻770円 (税込)
    元職場の女子会で恵那は恋人に娘ができたことを知らされる。かつての父との出来事や、異性装の親友メリッサに救われた大学の飲み会、保育園で誤解を受けた保護者との関係、自身の女性性をもてあまし、生きづらさを抱える恵那の支えとなっていた恋人の裏切りを知り、自暴自棄となった恵那が伸ばす手の先にあるものは―。第31回太宰治賞受賞作がついに文庫化!
  • ピンク色なんかこわくない
    3.0
    1巻1,870円 (税込)
    私は私なんだから、どんなふうに生きてもいいはず――なのに……家という場所に、家族の繋がりに、きょうだいに、女として生きることに、なぜ、こんなにも囚われてしまっているのだろう。それぞれが心のままに選んだ自分を生き切るためには、何が必要なの? 〈私を生き抜く〉ための、あなたの物語。
  • きみはだれかのどうでもいい人
    3.7
    1巻792円 (税込)
    人とわかりあうことは、こんなにも難しい。 税金を滞納する「お客様」に支払いを促すことを仕事とする県税事務所の納税担当に、同期が休職したことで急遽異動させられてきた若手職員の中沢環。彼女は空気の読めないアルバイト・須藤深雪を始めとする周囲の人間関係に気を遣いながら、かつての出世コースに戻るべく細心の注意を払って働いている――(第1章「キキララは二十歳まで」) 週に一度の娘との電話を心の支えに、毎日の業務や人間関係を適当に乗り切るベテランパートの田邊陽子。要領の悪い新米アルバイトや娘と同世代の若い正規職員たちのことも、一歩引いて冷めた目で見ていたはずだったが――(第3章「きみはだれかのどうでもいい人」)  業界中から絶賛の声、殺到!ブクログ第1位、啓文堂書店大賞第2位、「ダ・ヴィンチ」の「今月の絶対にはずさない!プラチナ本」にも輝いた超話題作がついに文庫化。 同じ職場に勤める、年齢も立場も異なる女性たち。見ている景色は同じようで、まったく違っている――。職場で傷ついたことのある人、人を傷つけてしまったことのある人、節操のない社会で働くすべての人へ。迫真の新感覚同僚小説! 解説は、単行本時から絶賛の言葉を寄せてくださっていた島本理生さんです。 (底本 2021年9月発行作品) ※この作品は単行本版『きみはだれかのどうでもいい人』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 緑の花と赤い芝生
    3.6
    1巻1,760円 (税込)
    津村記久子さん大絶賛!「自分で選んだ人生を生きようともがく、対照的な二人の二十七歳。正確で精細に描かれた彼女たちの痛みと選択は、同じ壁の前でうつむく女の人たちの手を取るはずだ」 あたし、あんたみたいな女って大っ嫌い。だから、化けの皮を剥いでやりたかった。でも、こんなものが見たいんだったか……? 専業主婦の母に育てられた、リケジョでバリキャリの志穂子。 厳しい教師の母に育てられた、家庭に重点を置く杏梨。 女としてのスタンスが異なる二人が、志穂子の兄と杏梨の結婚で突然交わった時、彼女たちは何を思い、動くのか? 宰賞受賞作家・伊藤朱里の新作は、女性のリアルをえぐり出す。
  • 名前も呼べない
    3.6
    1巻1,540円 (税込)
    恋人と過ごした不貞の日々。世間の外側で生きる、ただ一人の親友。毎週、同じ時間にかかってくる母親の電話。ちらつく父親の記憶。知らない誰かが奏でるピアノの音。──すべてが澱のように、少しずつ心に沈殿してゆく。「ねえ、私、どうしたらよかったんだろう?」第31回太宰治賞受賞作。「変わらざる喜び」改題。書き下ろし「お気に召すまま」収録。
  • きみはだれかのどうでもいい人

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    連作で綴られていく、それぞれの「事情」。みんな生きていれば何かしら「事情」がある。それはわかっている。だから同情してあげなきゃ、味方してあげなきゃ、納得してあげなきゃ、許してあげなきゃ、と思うけど、そんな余裕なんかどこにもなくて。あげて、あげて、お返しに、わたしは何がもらえるの?「事情」があるのはお互い様だけど、みんな大変だよね、と言ってみるけど、「みんな」と括ったところで全く同等でない。ままならないわたしたちを、ままならないままに映し取った作品。

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    2024年02月04日
  • 緑の花と赤い芝生

    Posted by ブクログ

    バリキャリな小姑と、ゆるふわな嫁のマウントの取り合いというレディコミみたいな設定なのに、中身は全然違う!
    世間に「正反対」とカテゴライズされる2人の内面に触れるにつれ、私たちはみんな、望まないまま無自覚に戦わされている、選ばされているということをジワジワと自覚してしまう。
    それは、誰かにというよりも、自分自身をがんじがらめにしている、どうしようもなく偏った価値観とかコンプレックスとか罪悪感にそうさせられているような気もして、自分の人生を正解だと信じるために他人を傷つける必要なんかどこにもないのに、どうして私は私のままで生きられないのかと苦しくなる。
    母親のしんどさもリアルで辛い。2人の娘がそれ

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    2023年07月07日
  • きみはだれかのどうでもいい人

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    この登場人物は私だ、と思いながら共感して別の登場人物を羨ましいと感じながら読み進めていたけど、タイミングと環境が違えば誰しもどの登場人物にもなり得ると気付いてぞわっとした。それなら私は私でいいという気持ちになった。

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    2023年03月26日
  • きみはだれかのどうでもいい人

    Posted by ブクログ

    読み終わったあといろんな感情でぐっちゃぐちゃになった。そして余韻がいつまでも続く。
    すっっごい。
    特に最後の祈りがほんと、どうしようもないやるせなさと絶望感を抱きながらも、祈りという行為が唯一の救いに見えて。明るい光は無くても、ただの陰鬱なお話で終わらせない。
    副題の”forget, but never forgive”が、ぴったり過ぎて意味が深すぎてずっと鳥肌立ってた。
    人の心の機微をここまで鮮明に写実された小説ってそうあるだろうか。
    個人的には課長語りのお話も読みたかったけど、これは語り手が全て女性だから意味があるんだろうなとも思う。
    もう一回読み直して色々噛み締めたい。

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    2022年08月16日
  • きみはだれかのどうでもいい人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     タイトルに惹かれて手に取ったが、各章の女性の何処かしらには共感してしまい、後ろめたいのにページを捲る手が止まらなかった。
     物語の終盤において、須藤さんは働かなくても庇護される立場だから、聖人のように赦すことができたのでは、と最初少し思ってしまった。(そんな自分を嫌悪してしまう…。)
    だが、作中でははっきり須藤さんの過去については語られておらず、周りに迷惑ばかりかける自分に自信が無く、「家で泣くことができない」という、家庭が安心できる場所ではないことも描写されている。彼女にも悩みはあり、人に八つ当たりしたくなるような瞬間が無い訳ではないだろう。なのに、決して自分以外の人にその感情をぶつけて、

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    2022年07月24日

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