あらすじ
だれかにはなれない、永遠に。
大学院を修士課程まで修了し、大手飲料メーカーに勤めて独身のままキャリア街道をひた走る今村志穂子。本音を隠してでも夫や姑と「理想の家族」を築いていきたい桜木杏梨。まったく異なる27年間を生きてきた二人が、とあることをきっかけに一つ屋根の下で暮らすことになる。微塵もわかり合えない二人は、うまくいかないことがあるたびに苛立ちを募らせる。自分にとって本当に居心地の良い場所は、自分が素でいられる場所は、いったいどこにあるのだろう。家、職場、友達、恋人……それとも実家? 思い悩むたびにお互いの姿を思い浮かべるようになった彼女たちは、誰のためでもなく自分のための答えに辿り着く。解説は、作家の寺地はるなさんです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
義姉と義妹、同い年で生き方が正反対の2人は格好の比較対象となってしまう。人生の一部を交換出来たら、今の自分にならずに済んだのか。お互い生きやすかったのか。いや、誰かにはなれない、永遠に。心に響く言葉にたくさん出会えた。
寺地さんの解説も素敵でした!
Posted by ブクログ
バリキャリな小姑と、ゆるふわな嫁のマウントの取り合いというレディコミみたいな設定なのに、中身は全然違う!
世間に「正反対」とカテゴライズされる2人の内面に触れるにつれ、私たちはみんな、望まないまま無自覚に戦わされている、選ばされているということをジワジワと自覚してしまう。
それは、誰かにというよりも、自分自身をがんじがらめにしている、どうしようもなく偏った価値観とかコンプレックスとか罪悪感にそうさせられているような気もして、自分の人生を正解だと信じるために他人を傷つける必要なんかどこにもないのに、どうして私は私のままで生きられないのかと苦しくなる。
母親のしんどさもリアルで辛い。2人の娘がそれぞれの母を呼ぶ時、志穂子が「ママ」で、杏梨が「お母さん」なとことか、キャラクターイメージとは逆で、母親がそう呼ばせてきたんだろうな…ってジワ怖なの辛い。
現代女性の生きづらさの答えが全部書いてある気がするけど、上手く言語化はできません。悲しい。
Posted by ブクログ
出来の良し悪しは分からないが、すごく好きな作品。杏梨の家族の話が特に心をめちゃくちゃにした。終盤の杏梨の母親やマリーの描写、それから氷の女王の言葉に泣いてしまった。最近の作品では久しぶりだと思う。ぜひ再読したい。