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昭和24年、ミステリ作家を目指している風早勝利は、名古屋市内の新制高校3年生になった。学制改革による、たった1年だけの男女共学の高校生活。そんな中、顧問の勧めで勝利たち推理小説研究会は、映画研究会と合同で夏休み中の一泊旅行を計画する。顧問と男女生徒5名で湯谷温泉へ、中止となった修学旅行代わりの旅だった。そこで巻き込まれた密室殺人。さらにキティ台風が襲来する8月31日の夜に、学校隣の廃墟で首切り殺人にも巻き込まれる! 二つの不可解な事件に遭遇した少年少女たちは果たして……。戦後日本の混乱期と、青春の日々をみずみずしく描き出す――。各方面から絶賛を浴びた長編、待望の文庫化。/解説=杉江松恋
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Posted by ブクログ
辻真先が当時88歳の史上最高齢で「このミス」「文春」「本格ミステリ」の3冠を受賞した傑作。
とにかく「昭和24年」という時代の描写が素晴らしい。私たちが思い浮かべる昭和20年代の映像は、8月15日に玉音放送を聞く人々、闇市の風景、黒く塗られた教科書を拡げる小学生などといった辺りか。その程度の認識なので昭和20年も23年も26年も全部同じく「昭和20年代」としてのイメージしかないが、その時代に生きた人々にとっては昭和24年は23年とも25年とも全く違う年なのだ。戦後の学制改革に伴い昭和23年に新制高等学校(3年制)が発足し、その時に旧制中学5年生の主人公・風早勝利は翌昭和24年に新制高校の3年制として編入される。いきなり男女共学となって戸惑う高校生たちや封建制度の思想のまま頭の中身は変わっていない大人たちの混乱がよく描かれている。まだ進駐軍が占領している名古屋での繁華街や色街の様子、当時の食糧事情などの生活風景、流行の映画やスタアの話など、実に生き生きと昭和24年という時代が描かれている。実際にその時代を生きた著者(辻真先)だからこそ描ける、教科書には載らない当時の空気感(匂い、流行、人々の本音)が物語に圧倒的な奥行きを与えている。
タイトルの「たかが殺人」というワードに、戦後の傷がまだ癒えていないが日に日に復興していく当時の日本の複雑で歪んだ感情が表現されているように感じた。これは辻真先にしか書けない傑作だろう。
Posted by ブクログ
1949年の戦後間もない名古屋を舞台にした高校生達のお話。
推理小説研究会の部長である勝利は、
映画研究会との合同旅行で湯谷温泉へと向かうことに。
そしてそこで遭遇してしまう、密室殺人事件。
この事件を筆頭に、夏休み最終日、
キティ台風が襲来する夜に起こる首切り殺人事件。
この二つの不可解な事件に巻き込まれた勝利たちは、真相を追うことになる。
学制改革による旧制中学卒業後の特別な1年間の高校生活を描いていて、
男女共学が始まったばかりということもあって、学生達の戸惑いが新鮮だった。
こういった時代背景を下地にしながらも、
とても大昔の出来事とは思えない、現代に通じる人間描写の数々。
『たかが殺人じゃないか』というタイトルの回収もお見事だった。
全てに緻密な細工が施されていて、読み応え十分な傑作。
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