小説作品一覧

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  • 黒の貴婦人
    3.8
    飲み屋でいつも見かける“白の貴婦人”と、絶品の限定・鯖寿司との不思議な関係を大学の仲間四人組が推理した表題作。新入生が自宅で会を開き女子大生刺殺事件に巻き込まれる「招かれざる死者」。四人の女子合宿にただ一人、参加した男子が若者の心の暗部に迫る「スプリット・イメージ」ほか本格ミステリにしてほろ苦い青春小説、珠玉の短編集。
  • 彼女が死んだ夜
    3.8
    門限六時。家が厳しい女子大生ハコちゃんはやっとアメリカ行きの許しを得た。出発前日、親の外出をいいことに同級生が開いた壮行会から深夜帰ると部屋に女の死体が! 夜遊びがバレこれで渡米もふいだと焦った彼女は自分に気があるガンタに遺棄を強要する。翌日発見された遺体は身元不明。別の同級生も失踪して大事件に。匠千暁、最初の事件。
  • ウォーム・ボディーズ ゾンビRの物語
    3.8
    死者であるゾンビが人間の女性に恋をした! ゾンビのRは、ある日、仲間と一緒に狩りに出かける。狩りとは、「生者」を見つけてその肉を食らうこと。Rは人間の若者ペリーを見つけて、大好物である脳を食べる。するとRの頭の中に、食べたペリーの記憶が入り込んで来て、その場に一緒にいたペリーの恋人、ジュリーに恋をしてしまう。Rは他のゾンビの攻撃からジュリーを守り、彼女をゾンビの棲み家である廃墟となった空港に連れて帰る。 しかし、「生者」であるジュリーの存在は、ゾンビの社会に波紋を引き起こし、Rはジュリーを人間たちが住む巨大スタジアムまで連れ帰ろうとするのだが……。
  • 妻の女友達
    3.8
    市役所の戸籍係をしている夫と美人ではないが清楚で控えめな妻。平和で波風の立たない人生をこよなく愛する夫婦の前に、突然現れた妻の学生時代の女友達。女流評論家として活躍するスキャンダラスな女の登場が平穏な家庭をいつのまにか破滅的状況に追い込んでいく…。推理作家協会賞受賞の表題作。ありふれた日常に潜む愛憎が殺意を纏ってあなたの背後に忍び寄る恐怖の瞬間。傑作サスペンス6編。
  • 平成大家族
    3.8
    三十路のひきこもり息子と90歳過ぎの姑と共に、静かに暮らしていた緋田夫妻。ある日突然、破産した長女一家と離婚した次女が戻ってきて、4世代8人の大所帯に! 物置に閉じこもる孫、離婚後に妊娠が発覚した次女、戦中の記憶と現在を混同する姑……平穏を愛する当主・龍太郎の思いをよそに、次から次へと騒動が押し寄せる。悩み多き一家の姿を軽妙に、時にシニカルに描く痛快家族小説。
  • 学校の怪談
    3.8
    夏休みを明日に控えた終業式の夜、取り壊しが決まり、立ち入り禁止の旧校舎に、一人の先生と数人の生徒が迷い込み、閉じ込められる! なぜか出られない校舎の中、トイレから聞こえるのは行方不明の女の子の声、追いかけてくるのは死んだはずの用務員さん……!? 子供たちの間で囁かれる恐ろしい噂話が、現実になって彼らを襲う! ある夏の夜に子供たちが経験する、謎と、恐怖と、友情の物語。
  • 永遠の出口
    3.8
    「私は、〈永遠〉という響きにめっぽう弱い子供だった。」誕生日会をめぐる小さな事件。黒魔女のように恐ろしい担任との闘い。ぐれかかった中学時代。バイト料で買った苺のケーキ。こてんぱんにくだけちった高校での初恋……。どこにでもいる普通の少女、紀子。小学三年から高校三年までの九年間を、七十年代、八十年代のエッセンスをちりばめて描いたベストセラー。第一回本屋大賞第四位作品。
  • 月曜日の水玉模様
    3.8
    いつもと同じ時間に来る電車、その同じ車両、同じつり革につかまり、一週間が始まるはずだった――。丸の内に勤めるOL・片桐陶子は、通勤電車の中でリサーチ会社調査員・萩と知り合う。やがて二人は、身近に起こる不思議な事件を解明する〈名探偵と助手〉というもう一つの顔を持つように……。謎解きを通して、ほろ苦くも愛しい「普通」の毎日の輝きを描く連作短編ミステリー。
  • あかね色の風/ラブ・レター
    3.8
    陸上部で怪我をして自棄になっている遠子のクラスに転校生の千絵がやってきた。複雑な家庭の事情も屈託なく話す千絵に、遠子は不思議な魅力を感じる。二人の友情と成長を描いた「あかね色の風」。大好きなクラスメイトに手紙を出そうとする愛美の純粋な想いを綴った「ラブ・レター」。思春期の少女達の揺れる感情を照らし出す、青春小説の金字塔。
  • 月と蟹
    3.8
    注目度ナンバー1の著者による少年小説の傑作! 「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」「叶えてくれると思うで。何でも」──家にも学校にも居場所が見つけられない小学生の慎一と春也は、ヤドカリを神様に見立てた願い事遊びを考え出す。100円欲しい、いじめっ子をこらしめるなどの他愛ない儀式は、いつしかより切実な願いへと変わり、子供たちのやり場のない「祈り」が周囲の大人に、そして彼ら自身に暗い刃を向ける……。鎌倉の風や潮のにおいまで感じさせる瑞々しい筆致で描かれ、少年たちのひと夏が切なく胸に迫る長篇小説。 第144回直木賞受賞。
  • 琅邪の鬼
    3.8
    秦の始皇帝に不老不死の仙薬の入手を命じられた伝説の方士・徐福の塾がある、山東半島の港町・琅邪で奇怪な事件が続発。求盗(警察官)の希仁と、易占術、医術、剣術などさまざまな異能を持つ徐服の弟子たちが謎に挑む! 古代中国の市井の人々を生き生きと描いた痛快ミステリー長編。メフィスト賞受賞作。(講談社文庫)
  • 中指の魔法
    値引きあり
    3.8
    黒皮の長手袋をはめ、威風堂々としている「おおばあ」こと、ぼくのおばあちゃん。父さんのいないぼくは、おおばあと母さんに育てられてきた。おおばあの古い一軒家。おおばあが飼っている黒い日本犬、ぼくの親友のヤジロベエ。おおばあに教わった「呼吸(いき)合わせ」。眠り続ける少女。中学生になってからの少女と「再会」。ぼくは本当に「呼吸を合わせる」こと「生と死」の意味を知る。色鮮やかな「ぼく」の成長物語。(講談社文庫)
  • キマイラの新しい城
    3.8
    「わが死の謎を解ける魔術師を呼べ」フランスの古城を移築後、中世の騎士として振舞い始めた江里。750年前の死の真相を探れ、という彼の奇想天外な依頼で古城を訪れた石動戯作(いするぎぎさく)は、殺人事件に遭遇する。嫌疑をかけられた江里が向かった先は……。ミステリの枠に留まらない知的エンタテインメントの傑作! (講談社文庫)
  • アイス・ハント(上)
    3.8
    北極海を潜行中の米海軍調査潜水艦が、最新鋭ソナーで漂流する氷島の内部に廃棄された基地らしきものを発見した。モニターには多くの人間の死体と、何物かの蠢く影が映り込んでいた。やがて基地に秘められた米ソの恐るべき実験と陰謀の正体が明らかになり、地下に潜む驚くべき生物が目を覚ます。ここに、軍人、民間人、科学者を巻き込む、それぞれの人生と人類の未来をかけた闘いが始った!

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  • エミリーの求めるもの(新潮文庫)
    3.8
    平和で旧時代的なニュー・ムーンの世界から、ボーイフレンドのテディも、親友のイルゼも、都会へと旅立っていった。孤独に耐えながら、ひたすら創作に没頭するエミリー。野心に燃える彼女にも、時として眠れぬ「夜中の三時」が訪れる。いわゆる適齢期を迎えた女性の、微妙な乙女心が求めるものは何か――エミリー・シリーズ完結編。

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  • 可愛いエミリー(新潮文庫)
    3.8
    「勇気を持って生きなさい。世の中は愛でいっぱいだ」。最愛の父の遺した言葉を胸に、みなし子になったエミリーはニュー・ムーン農場に引きとられた。孤独で夢見がちな彼女は、伯父伯母から変わった子供だと言われながらも、書くことに熱中し、詩人か小説家になろうと決心する。著者は『赤毛のアン』シリーズで親しまれているが、より自伝的だとされるエミリー・シリーズの第一作。

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  • 耳袋の怪
    3.8
    江戸時代の人々の恐怖に対する認識は現在と異なるのであろうか。江戸時代の巷のうわさ話を集めた耳袋には、不可思議な現象を示す話が数多く収録されている。本書は怪異現象に関する話を抄録し、現代語訳で紹介する。※本作品は紙版の書籍から解説が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
  • レヴォリューション No.0
    3.8
    オチコボレ男子高に入学した僕らを待ち受けていたシゴキ合宿。欺瞞に満ち溢れた世界に風穴を開けるため、大脱走計画を練るうち、世界に熱い血が通い始める。ザ・ゾンビーズ結成前夜を描くシリーズ完結篇!
  • 哀愁的東京
    3.8
    1巻682円 (税込)
    フリーライターの仕事で進藤が出会った、破滅を目前にした起業家、人気のピークを過ぎたアイドル歌手、生の実感をなくしたエリート社員……。東京を舞台に「今日」の哀しさから始まる「明日」の光を描く連作長編。
  • KGBから来た男
    3.8
    旧ソ連のグラーグ(強制労働収容所)で生まれ育った元KGB諜報員ターボ。ニューヨークで調査員として暮らす彼は、銀行の会長マルホランドから誘拐された娘の救出を依頼された。この時から因縁深い人物が次々と現われる。今はマルホランドと結婚している彼の別れた妻、KGB時代の同僚、彼をグラーグから救い出しKGBに入れた恩人。誘拐事件を探るターボは、やがて恐るべき陰謀を知る。巧妙に練り上げたサスペンス巨篇。
  • 使える読書
    3.8
    本は読むためだけのものではない――。物語の筋を追うだけの読み方からは卒業しよう。本のなかに散りばめられた一文の輝きを、いかに切り取り、伝え、活かすか。齊藤流キーワード方式の速読法で、どんな本でも「ネタ」になる本として生まれ変わる。新しい世界の切り口を手に入れる方法が満載の目からウロコの「使える読書」術。

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  • おれのおばさん
    3.8
    ある日突然、父の逮捕を知らされた陽介。父が横領した金を返済するため、陽介は都内の名門中学を退学し、母の姉が運営する札幌の児童養護施設、魴ぼう舎(ほうぼうしゃ)に入ることになる。急激な暮しの変化に当惑しながらも、パワフルなおばさんと個性豊かな仲間に囲まれて、陽介は“生きる”ことの本質を学んでゆく。ときに繊細で、たくましい少年たちの成長を描いた青春小説。第26回坪田譲治文学賞受賞作。 【ナツイチ2013対象作品】
  • 尖閣喪失
    3.8
    中国・台湾が領有権を主張する尖閣諸島。中国が実力行使に出た時、日本は……。政治的影響を睨みつつ展開される水面下での熾烈な駆け引きと日中の軍事作戦の行方を、迫真の筆致で描く。
  • 6ステイン
    3.8
    愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員。心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者たちの消せない染み。あきらめることを知らない6つの魂が、薄明の世界に鮮烈な軌跡を刻む。著者が織り成す切なく熱い人間讃歌、人生を戦うすべての者へ。(講談社文庫)
  • 川の深さは
    3.8
    命をかけて守るべき人が君にはいるだろうか。「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿(かくま)い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。(講談社文庫)
  • 収穫祭(上)
    3.8
    1~2巻836~915円 (税込)
    一九八二年夏。嵐で橋が流れ孤立した首尾木村で大量殺人が発生。被害者十四名のうち十一人が喉を鎌で掻き切られていた。生き残りはブキ、カンチ、マユちゃんの中学生三人と教諭一人。多くの謎を残しつつも警察は犯行後に逃走し事故死した外国人を犯人と断定。九年後、ある記者が事件を再取材するや、またも猟奇殺人が起こる。凶器は、鎌だった。
  • 夜のかくれんぼ
    3.8
    宇宙からきた意味ありげな電波、壁からはえた人間の手、神からテレポートの能力をさずけられた男etc。信じられないほど、異常な出来事が、次から次へと起るこの世の中。科学もふきとび、理屈も引っこむ摩訶不思議な世界に、あなたもまきこまれるかもしれません。ひと足さきに、活字の世界で奇妙な体験をしてみませんか。ミステリアスな世界にあなたを誘うショートショート28編。
  • ドグラ・マグラ(上)
    3.8
    1~2巻550~671円 (税込)
    昭和10年1月、書き下ろし作品として松柏館書店から自費出版された。〈日本一幻魔怪奇の本格探偵小説〉〈日本探偵小説界の最高峰〉〈幻怪、妖麗、グロテスク、エロテイシズムの極〉という宣伝文句は、読書界の大きな話題を呼んだ。常人では考えられぬ余りに奇抜な内容のため、毀誉褒貶が相半ばしている。〈これを書くために生きてきた〉と著者みずから語り、十余年の歳月をかけて完成された内容は、狂人の書いた推理小説という異常な状況設定の中に、著者の思想、知識を集大成する。
  • 雪国
    3.8
    国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。「無為の孤独」を非情に守る青年・島村と、雪国の芸者・駒子の純情。魂が触れあう様を具に描き、人生の哀しさ美しさをうたったノーベル文学賞作家の名作。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
  • ほかならぬ人へ
    3.8
    「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」――愛するべき真の相手はどこにいるのだろう?「恋愛の本質」に果敢に挑み、描き上げた“もっとも純粋な”恋愛小説。第142回直木賞受賞作!

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  • 飛ぶ夢をしばらく見ない
    3.8
    時間を逆行し生きる女性と中年男の愛の日々。 数ある山田太一の小説作品の中でも、初期の最高傑作。骨折で入院中の主人公・田浦の病室に列車事故にあった患者が運び込まれる。衝立ごしに出会った女性患者・睦子との不思議な一夜から、信じられない物語が始まる。主人公が再会した彼女は「若返って」いたのだ。老女から少女、そして幼女へ、さらには……。彼女は自らの若返りを止める術を持たない。二人はいつか訪れる関係の終焉を予感しつつも、互いを愛おしみ、逢瀬を重ねる。
  • 檸檬
    3.8
    31歳という若さで夭折した著者の残した作品は、昭和文学史上の奇蹟として、声価いよいよ高い。その異常な美しさに魅惑され、買い求めた一顆のレモンを洋書店の書棚に残して立ち去る『檸檬』、人間の苦悩を見つめて凄絶な『冬の日』、生きものの不思議を象徴化する『愛撫』ほか『城のある町にて』『闇の絵巻』など、特異な感覚と内面凝視で青春の不安、焦燥を浄化する作品20編を収録。

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  • 小さき者へ・生れ出づる悩み
    3.8
    妻を失い、新しく芸術に生きようとする作家の覚悟と、残された小さき者たちに歴史の未来をたくそうとする父性愛にあふれたある夜の感想を綴る『小さき者へ』。“君”という語りかけで、すぐれた画才をもちながらも貧しさゆえに漁夫として生きなければならず、烈しい労働と不屈な芸術的意欲の相剋の間で逞しく生きる若者によせた限りない人間愛の書『生れ出づる悩み』の2編を収める。

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  • 不撓不屈
    3.8
    1巻968円 (税込)
    中小企業支援のため、理不尽な国税当局と闘った一税理士を支えたのは「一円の取りすぎた税金もなく、一円の取り足らざる税金も無からしむべし」の信念だった。国を相手に一歩も譲らなかった男を描く実名長編!
  • 特捜部Q―キジ殺し―
    3.8
    いったいこの書類はどこから送られてきたんだ? いつのまにか特捜部Qのデスクに置かれていた20年も前の事件の書類。18歳と17歳の兄妹が惨殺された事件だが、その後犯人は自首して服役中。つまり未解決ではない。なのになぜ未解決事件を調査する特捜部Qに?興味を抱いたカールとアサド、それに新メンバーのローセは再調査に取り組むが、当時の容疑者たちはいまや有力者に……ますますパワーアップ!
  • 月光
    3.8
    同級生の少年が運転するバイクに轢かれ、美しく優しかった姉が死んだ。殺人を疑う妹の結花は、真相を探るべく同じ高校に入学する。やがて、姉のおぞましい過去と、残酷な真実に直面するとも知らずに……。ピアノソナタの哀切な調べとともに始まる禁断の恋、そして逃れられない罪と罰を描く衝撃のR18ミステリー。
  • 函館水上警察
    3.8
    明治二十四年の函館に誕生した、小さな警察署。外国船が多数来航する国際貿易港というこの土地特有の事情に対応するため、署には外国語に堪能なものが集められ、専用の小蒸気と端艇を有していた。個性豊かな署員を指揮するのは、アメリカ放浪経験をもち、フェンシングの名手でもある五条文也警部。ラッコ密猟船の水夫長の変死事件や、英国軍艦の水兵失踪事件などを解決するため、男たちは日夜陸と海を駆ける――。長年の沈黙を破った著者が新境地に挑み、絶賛を博した明治警察物語。若き日の森鴎外の知られざる函館訪問譚「坂の上の対話」を併録。

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  • エヌ氏の遊園地
    3.8
    1巻649円 (税込)
    エヌ博士の研究室を襲った強盗。金のもうかる薬を盗んだのはよかったけれど……。女性アレルギーの名探偵のもとに届いた大きな箱。その箱の中に入っていたものは……。別荘で休暇を過すエヌ氏のもとに、突然かかってきた電話。なんとその電話は江戸時代の霊魂からだった……。卓抜なアイデアと奇想天外なユーモアで、不思議な世界にあなたを招待するショートショート31編。
  • グレート・ギャツビー
    3.8
    豪奢な邸宅に住み、絢爛たる栄華に生きる謎の男ギャツビーの胸の中には、一途に愛情を捧げ、そして失った恋人デイズィを取りもどそうとする異常な執念が育まれていた……。第一次大戦後のニューヨーク郊外を舞台に、狂おしいまでにひたむきな情熱に駆られた男の悲劇的な生涯を描いて、滅びゆくものの美しさと、青春の光と影がただよう憂愁の世界をはなやかに謳いあげる。

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  • どくとるマンボウ航海記
    3.8
    1巻572円 (税込)
    水産庁の漁業調査船に船医として乗りこみ、5カ月間、世界を回遊した作者の興味あふれる航海記。航海生活、寄港したアジア、アフリカ、ヨーロッパ各地の生活と風景、成功談と失敗談などを、独特の軽妙なユーモアと卓抜な文明批評を織りこんで描く型破りの旅行記である。のびやかなスタイルと奔放な精神とで、笑いさざめく航跡のなかに、青春の純潔を浮彫りにしたさわやかな作品。

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  • 夜のミッキー・マウス
    3.8
    詩人はいつも宇宙に恋をしている。作者にも予想がつかないしかたで生れてきた言葉が、光を放つ。「夜のミッキー・マウス」「朝のドナルド・ダック」「詩に吠えかかるプルートー」そして「百三歳になったアトム」。ミッキー・マウスもドナルド・ダックもプルートーもアトムも、時空を超えて存在している。文庫版のための書下ろしの詩「闇の豊かさ」も収録。現代を代表する詩人の彩り豊かな30篇。

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  • けものみち(上)
    3.8
    1~2巻693円 (税込)
    米倉涼子主演ドラマの原作。割烹旅館で働く31歳の成沢民子は、脳軟化症で回復の見込みのない夫・寛次に縛られた暮しを若さの空費と考えていた。彼女は赤坂のホテル支配人・小滝にそそのかされ夫を焼殺し、行方を絶つ。直感で民子を疑った刑事・久恒はその行方を追ううち、民子への欲望をつのらせ、政財界の黒幕・鬼頭の女になっていることを突き止める。人倫の道を踏み外したものがたどる〈けものみち〉とは。
  • HEARTBLUE
    3.8
    ニューヨークの虹の朝、失踪人課のワットマンのもとへ、一人の少年が訪ねてきた。とある事件で知り合った少年・サミュエルは「ペギーがいなくなったんだ」とワットマンに告げる。彼の捜す少女は、一年ほど前から様子がおかしかったという――。一方、アメリカを仕事で訪れていたCGデザイナー・巡矢も、一葉の写真に写っていた少女の行方を追い始める。二人がそれぞれ動いた末に明らかになった真実とは? 想いあう気持ちが導いた哀しい現実に、胸が締めつけられる再生と友情の物語。『HEARTBEAT』に連なる、青春ミステリの雄編。

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  • 探偵・日暮旅人の宝物
    3.8
    保育士の陽子は、相変わらず血のつながらない親子・旅人と灯衣の世話を焼くため、「探し物探偵事務所」 に通う日々を送っている。 ある日、陽子は夏休みを利用して大学時代の友人・牟加田の地元に旅行に出かけることになる。牟加田は陽子にお願いがあるという。それは、彼の恋人役を演じてほしいというものだった。戸惑う陽子だが、その頃旅人は熱で寝込んでいて――。 少年時代の思い出が切なく香る 『夏の日』 ほか、『六月の花嫁』 『犬の散歩道』 『愛しの麗羅』 『花の名前』 の5編を収録。愛を探す探偵の物語、セカンドシーズン開幕!
  • 探偵・日暮旅人の忘れ物
    3.8
    音、匂い、味、感触、温度、重さ、痛み。目に見えないモノを視る力を持った探偵・日暮旅人は、名字の違う娘・百代灯衣と暮らしながら、探し物専門の探偵事務所を営んでいる。 そんな旅人を 『アニキ』 と慕う青年ユキジは、旅人の“過去”を探していた。なぜ旅人は視覚以外の感覚を失ってしまったのか。ユキジが感じる胸騒ぎの理由とは――? 旅人とユキジの出会いを描く 『雪の道』、喫茶店のマスターに起こるささやかな奇跡を描いた 『森の調べ』、旅人の秘められた過去に迫る 『夢のぬくもり』ほか全5編を収録した、『愛』 を探す探偵の物語第3弾。
  • 猫鳴り
    3.8
    1巻550円 (税込)
    流産した哀しみの中にいる夫婦が捨て猫を飼い始める。モンと名付けられた猫は、夫婦や思春期の闇にあがく少年の心に、不思議な存在感で寄り添ってゆく。20年の歳月が過ぎ、モンは最期の日々を迎えていた。濃密な文章力で、生きるものすべての心の内奥を描き出した傑作。

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  • 不等辺三角形
    3.8
    名古屋の名家に代々伝わる「幽霊箪笥」の修理を依頼した男が、港の運河で殺された。さらにその箪笥修理の職人を訪ねた謎の男の死が、遠く奥松島で発覚する。真相究明を依頼された浅見光彦は、箪笥に隠されていた五言絶句と「在不等辺三角形之重心」という謎の一文に目を留めた。二つの死と漢詩を結ぶ接点とは!? 作家生活三十周年&講談社創業百周年記念書き下ろし作品。(講談社文庫)
  • ありえない恋
    3.8
    親友の父親・松川に思いを寄せる女子大生の理名。しかし、松川はメールのやりとりをきっかけに、ニューヨーク在住の小説家・まりもに恋してしまった。まりもは、二度と会うことのできない元恋人・真人を忘れられずにいるし、まりもの親友・むつみは、許されない恋を封印し、結婚を目前に控えている。かなわぬ恋、ひとめ惚れの恋、忘れられない恋。八人の男女が、手紙やメールを交わしながら、繰り広げる六つの恋物語。

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  • ひとりの夜を短歌とあそぼう
    3.8
    私かて声かけられた事あるねんで(気色の悪い人やったけど)←これ、短歌? 短歌です。女優、漫画家、高校生…。異業種の言葉の天才たちが思いっきり遊んだ作品を、人気歌人の穂村と東が愛を持って厳しくコメント!※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
  • 短歌があるじゃないか。 一億人の短歌入門
    3.8
    漫画家、作家、デザイナー、主婦……。主宰・沢田のもとに集まった傑作怪作駄作の短歌群を人気歌人の穂村と東が、愛ある言葉でバッサリ斬る! 読んだその日から短歌が詠みたくなる、笑って泣ける短歌塾!※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
  • ハッピー・チョイス
    3.8
    貴世は39歳、独身、小説家。体験のない「殺人」は書けても、体験のない「結婚」が書けずに悩んでいる。そんな貴世が、結婚小説のリサーチのため蕎麦打ち合コンに潜入。なんと急性蕎麦アレルギーを発症するものの、朦朧とする意識の中で、ある男性と出会い……。出会いをよせつけない磁場を抜け出して、遠かった「結婚」がついに現実に!? 幸せを求めて、貴世が選んだ「私らしい結婚」の答えとは?
  • ALONE TOGETHER
    3.8
    「私が殺した女性の、娘さんを守って欲しいのです」。三年前に医大を辞めた僕に、教授が切り出した突然の依頼。それが物語の始まりだった――。人と人はどこまで分かりあえるのか? 瑞々しさに満ちた傑作長編小説。
  • 依存
    3.8
    安槻大に通う千暁ら仲間七人は白井教授宅に招かれ、そこで初めて教授が最近、長年連れ添った妻と離婚し、再婚したことを知る。新妻はまだ三十代で若々しく妖しい魅力をたたえていた。彼女を見て千暁は青ざめた。「あの人は、ぼくの実の母なんだ。ぼくには彼女に殺された双子の兄がいた」衝撃の告白で幕を開ける、容赦なき愛と欲望の犯罪劇。
  • 天に遊ぶ
    3.8
    1巻528円 (税込)
    見合いの席、美しくつつましい女性に男は魅せられた。ふたりの交際をあたたかく見守る周囲をよそに、男は彼女との結婚に踏みきれない胸中を語りはじめる。男は、独り暮らしの彼女の居宅に招かれたのだった。しかし、そこで彼が目撃したものは……(「同居」)。日常生活の劇的な一瞬を切り取ることで、言葉には出来ない微妙な人間心理を浮き彫りにする、まさに名人芸の掌編小説21編。

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  • ドストエフスキイの生活
    3.8
    ペトラシェフスキイ事件連座、シベリヤ流謫、恋愛、結婚、賭博――不世出の文豪の魂に迫り、漂泊の人生を的確に捉えた不滅の労作。

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  • 草枕
    3.8
    「しつこい、毒々しい、こせこせした、その上ずうずうしい、いやな奴」で埋まっている俗界を脱して非人情の世界に遊ぼうとする画工の物語。作者自身これを「閑文字」と評しているが果してそうか。主人公の行動や理論の悠長さとは裏腹に、これはどこを切っても漱石の熱い血が噴き出す体の作品なのである。 (解説・注 重松泰雄)

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  • さまざまな迷路
    3.8
    1巻737円 (税込)
    ある日とつぜん、おとぎ話の主人公になりたいと、とんでもないことを言い出した〈王女〉、なぜか、鬼が見えるという患者で繁盛する〈神経科の医師〉、街頭で通行人相手にキャンディーを売る〈ロボット〉etc.未来・現代・過去を一つの次元にとらえ、迷路のように入り組んだ人間生活のさまざまな世界を32のチャンネルに写し出し、文明社会を痛撃する傑作ショート・ショート。
  • 夢を与える
    3.8
    その時、私の人生が崩れていく爆音が聞こえた──チャイルドモデルだった美しい少女・夕子。彼女は、母の念願通り大手事務所に入り、ついにブレイクするのだが……夕子の栄光と失墜の果てを描く初の長編。
  • 愉楽の園
    3.8
    1巻691円 (税込)
    「きょう、女占い師が言ったわ。私に恋をしてる人がいるって……私もその人に恋をしてるそうよ。どちらも強い真剣な恋だって」水の都バンコクの運河のほとりで恋におちた男と女。めくるめく陶酔の果てに、ふたりはどこへ連れ去られていくのか。恋愛小説に新しい局面をひらいた、宮本文学の代表作。
  • 万能鑑定士Qの短編集I
    3.8
    「面白くて知恵がつく 人の死なないミステリ」決定版!! 1冊でひとつのエピソードでは物足りない皆様へ、そしてシリーズ初読の貴方へ。最高に楽しめる珠玉の傑作エピソード群登場! ──代官山の質屋に出向してきた鑑定家は、弱冠23歳の凜田莉子。店長による調査では、高校まで万年最下位、就職活動でも周囲をあ然とさせた天然美女。だが莉子はいまや、依頼品にまつわる謎という謎を解明しうる“万能鑑定士”となっていた!
  • きみ去りしのち
    3.8
    1巻691円 (税込)
    満1歳の息子を喪った「私」は、休職届を出し、旅に出た。前妻のもとに残してきた娘とともに。かつて「私」が愛した妻もまた、命の尽きる日を迎えようとしていたのだ。恐山、奥尻、オホーツク、ハワイ、与那国島、島原……“この世の彼岸”の圧倒的な風景に向き合い、包まれて、父と娘の巡礼の旅はつづく。決して消えることのない傷を抱えた時、いかにして人は人生を再開させるのか。鎮魂と再生への祈りを込めた、熱い傑作の誕生。
  • 存在の美しい哀しみ
    3.8
    死の床に臥した母から異父兄の存在を知らされた榛名(はるな)は、母が亡くなったのを機に、兄の住むプラハに向かった。妹であることを隠し、ガイドとして兄を雇って、初めての対面を果たす。そこで初めて知ったのは、両親の過去であり家族の真の姿だった──。榛名、母、異父兄といくつも視点を変えながら、家族の歴史と真の姿を万華鏡のように美しく描き出す、感動の長編。
  • 営業零課接待班
    値引きあり
    3.8
    苦手な営業に異動となり、ついにリストラ勧告まで受けたマジオこと真島等(まじまひとし)は、接待専門の「営業零課」で再起を図ることに。落ちこぼれ社会人のマジオと仲間たちは修羅場を乗り越え、年間売上50億という無謀な目標を達成できるのか!? 涙も笑いも挫折も成功も、「働くこと」のすべてが詰まった感動の営業小説。(講談社文庫)
  • 列島融解
    3.8
    東日本電力社員を経て衆議院議員となった小川正人は、未曾有の大震災後、日本が直面するエネルギー問題に真っ向から取り組んでいた。原発の行方と、代替エネルギーの可能性は。停滞した経済は復調し、安全は守られるのか。日本自由党政権となり激動する政財界を見つめながら、この国のかたちを描き直す意欲作。(講談社文庫)
  • 首魁の宴 政官財 腐敗の構図
    3.8
    日本の濁流を泳ぎ、カネのためには手段を選ばぬ経済誌主幹。政官財に蠢く男たちの欲望を手玉にとり、巧妙な手口で取り屋の本領を発揮する。持ちつ持たれつの癒着の仕組みのなかで、それぞれの思惑は限りなく肥大する。この恐るべき腐敗の実態を迫力の筆致で描く。
  • 世界が終わるわけではなく
    3.8
    真面目な青年のドッペルゲンガーが、悪さをしながら面白おかしく暮らす話。ふと気がつくと、飼い猫がソファの隣で背もたれに寄りかかって足を組んでテレビを見ていた! しかも飼い主の女性は妊娠に気がつき……等々、十二編のゆるやかにリンクする物語集。我々が生きている現実世界はどれほど確実なものなのか……? ウィットブレッド賞受賞作家が読者を時空の歪みに誘う、野心的で遊び心に満ちた、奇妙な味わいの作品集。

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  • 妻の超然
    3.8
    結婚して十年。夫婦関係はとうに冷めていた。夫の浮気に気づいても理津子は超然としていられるはずだった(「妻の超然」)。九州男児なのに下戸の僕は、NPO活動を強要する酒好きの彼女に罵倒される(「下戸の超然」)。腫瘍手術を控えた女性作家の胸をよぎる自らの来歴。「文学の終焉」を予兆する凶悪な問題作(「作家の超然」)。三つの都市を舞台に「超然」とは何かを問う傑作中編集。

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  • 月の魔法
    3.8
    小学五年生の昇治は一人で小笠原行きの船に乗った。父親が自殺し、母親に恋人ができたのだ。孤独を抱えた少年を待っていたのは、エーブという恰好いい老人だった。やがて暗い目をした少女・加絵と出会い……。
  • わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯―
    3.8
    下駄と靴と片足ずつ履いて――その男は二筋の道を同時に歩んだ。地方の一紡績会社を有数の大企業に伸長させた経営者の道と、社会から得た財はすべて社会に返す、という信念の道。あの治安維持法の時世に社会思想の研究機関を設立、倉敷に東洋一を目指す総合病院、世界に誇る美の殿堂を建て……。ひるむことを知らず夢を見続けた男の、人間形成の跡を辿り反抗の生涯を描き出す雄編。

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  • 燃ゆる樹影
    3.8
    八ヶ岳の麓にあるアカマツの診察を終えた樹木医の沢村は、自身のホームページを通して知り合った陽子という若い娘を見舞うため、諏訪湖畔にある病院へ向かった。和やかな面会の最中、陽子の母親が病室に入ってきたが、彼女は、二十数年前、愛し合い、片時も離れたくないと思っていた美枝子だった。運命の再会を果たしてしまった55歳の樹木医と46歳の画廊喫茶の女店主。情趣豊かな風景の中で燃えあがる恋情を描く、珠玉の恋愛小説。
  • こころのつづき
    3.8
    1巻781円 (税込)
    シングルマザーに育てられた奈々は、結婚を翌年に控えた12月、実の父親が軽井沢で働いていると聞き、ひとり訪ねていく。ランタンが灯る教会で聞かされたのは意外な真実だった(「ひかりのひみつ」)。愛犬を亡くし哀しみに暮れる男、ダンナの浮気を疑う妻、義母の介護を献身的に続ける主婦……毎日を懸命に生きながら少しずつ歩みを進める人たち。大切な人との絆を丁寧に描いた、心にじんわりとしみわたる8つの家族の物語。
  • タイムスリップ・コンビナート
    3.8
    海芝浦に向かう「私」を待ち受けるのは浦島太郎、レプリカント、マグロの目玉…。たどり着いた先はオキナワか? 時間と空間はとめどなく歪み崩れていく。言葉が言葉を生み、現実と妄想が交錯する。哄笑とイメージの氾濫の中に、現代の、そして「私」の実相が浮び上がる。話題騒然の第111回芥川賞受賞作の他、二篇を収録。
  • ノーライフキング
    3.8
    小学生の間で空前のブームとなっているゲームソフト「ライフキング」。ある日、そのソフトを巡る不思議な噂が子供たちの情報網を流れ始めた。呪われた世界を救うため、学校で、塾で、子供たちの戦いが始まる。そして最後に彼らが見た「キング」の正体とは?発表当時よりセンセーショナルな話題を呼んだ、著者圧倒的代表作。

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  • 空とセイとぼくと
    3.8
    父親を亡くし、犬のセイとホームレス生活をしていた零。ある日、病気になったセイの治療費を捻出するためホストになるが、読み書きもできない零は失敗ばかり。だが、その犬並みの嗅覚を使って、次第に頭角を現し始め……。犬と二人きりで育った少年が、犬との絆を守りながら成長する姿を、ユーモアとリアリティ溢れる筆致で描いた傑作青春小説。
  • 生還 山岳捜査官・釜谷亮二
    3.8
    いったい、あの山で何があったのか。『聖域』に続く大倉崇裕の山岳ミステリー 山で不審な遺体が見つかったとき、あの男が呼び出される。 山岳遭難救助隊特別捜査係・釜谷亮二。 山岳捜査官とは、いわば「山の鑑識係」である。遭難救助隊が不審な点のある遺体を山で発見したときに登場し、残された微細な証拠や聞き込みから、彼らはその死の真実を突き止める。 四月中旬、北アルプス黒門岳で見つかった女性の遺体。彼女は、右手に握りしめた折りたたみナイフで、黄色のダウンジャケットを雪面に刺し貫いた状態で死んでいた。彼女の死の真相、そしてダウンジャケットのもつ意味とは。(第一話『生還』)

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  • 変調二人羽織
    3.8
    東京の夜空に珍しく一羽の鶴が舞った夜、一人の落語家・伊呂八亭破鶴が殺された。舞台となった密室にいたのはいずれも破鶴に恨みを抱く関係者ばかり。捜査で続々と発覚する新事実。そして、衝撃の真相は――。伝説的探偵小説雑誌・幻影城の第3回新人賞を受賞した初期の傑作「変調二人羽織」を含む、読者を唸らせる連城ミステリー傑作5編を収録した永久保存版。

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  • パラダイス・クローズド THANATOS
    3.8
    周囲の人間に不審な死をもたらす「死神(タナトス)体質」の兄・美樹(よしき)と、発生した事件を解決する「探偵体質」の弟・真樹(まさき)。変わり者のミステリー作家が孤島に建てた館・水鱗館(すいりんかん)に向かった二人は、案の定、不可解な密室殺人事件に遭遇する。双子の少年と新米刑事が活躍する人気シリーズの第1作。第37回メフィスト賞受賞。(講談社文庫)
  • 露壜村事件 生き神少女とザンサツの夜
    3.8
    「この地で面白いものを発見した。黒彦君と一緒にすぐ来なさい」――犬神果菜のもとに、兄・清秀から謎の一文が添えられた年賀状が届いた。“高校生探偵”白鷹黒彦は、果菜を連れ、文面に書かれていた奇妙な名前の村に向かうことに。露壜村。現世から隔絶された山村で、ふたりが最初に目にしたのは、異常に長い不気味な葬列と、まとわりつくような老婆の視線。それは、怨念に満ちた惨劇の幕開けだった!? シリーズ最大の事件簿!
  • 来訪者
    3.8
    オズワルド叔父はその巨万の富と大変な漁色癖で、昔から一族の伝説的存在だった。ある日、三十年絶えて音信のなかった叔父から、遺産と称して膨大な日記が送られてきた……シナイ砂漠での可笑しくも恐ろしい一夜の体験を描く表題作をはじめ、ストーリーテリングの鬼才が絶妙の筆さばきでつづる、四つの艶笑譚。
  • 夫婦の一日
    3.8
    不幸に襲われたとき、心のよりどころになるものは何か。老いて死を間近に感じたとき、不安から救ってくれるものは何か。生涯をかけて厳しく宗教を追求してきた著者は、実人生の中で、傍らにいる妻の苦悩と哀しみを受け入れるために、信仰とは相反する行動に出た……。生身の人間だけが持ちうる愛と赦しの感情を描いた表題作ほか、心の光と闇の間で逡巡する人間の姿を描いた短編集。

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  • 砂の城
    3.8
    青春の浜辺で若者が砂の城を築こうとする。押し寄せる波がそれを砕き、流してゆく……。西は過激派グループに入って射殺され、トシは詐欺漢に身を捧げて刑務所に送られた。しかしふたりとも美しいものを求めて懸命に生きたのだ――スチュワーデスになった泰子は三人いっしょだった島原の碧い海と白い浜を思い浮べる。幸福を夢み、愛を願ってひたむきに生きた若者たちの青春の軌跡。

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  • 香港の甘い豆腐
    3.8
    初めて訪れた香港で知る、私の出生の秘密。 学校に行っていないことが母親に発覚し、厳しく詰問されていた女子高生の彩。その母親との諍いの最中に、うっかり口にした、「どうせ父親も知らないから」という言葉がきっかけで、母親は突然、半ば強引に彩を香港へと連れ出す。どうやら彩の父親はいま香港にいるらしい。生まれてからこのかた彩には父親という存在の影すらなかった。自分がうまくいかないことの全ては、そのせいではないかと思っていた。頭が悪いのも、溌剌としていないのも、夢がないのも、希望がないのも、全部。とはいえ父親に会いたいとは一度も思ったことがなかった。そんな彩の気持ちも知らない母親が、彩に唐突に訊く。「懐かしい感じ、する?」「するわけないじゃん、香港になんか来たことないのに」。すると母親は「遺伝子には町の記憶は入ってないのね」と思いもかけないことを口にした。もしかして、私の父親は日本人ではないのだろうか、香港の人? そう疑問に感じ動揺する彩だったが、熱気と活気に溢れる香港の街、そして力強い響きを持つ広東語に惹かれるうちに、少しずつ気持ちがほどけていく。

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  • ホーンテッド・キャンパス 幽霊たちとチョコレート
    3.8
    幽霊が「視えてしまう」草食系大学生の八神森司。怖がりな彼がオカルト研究会に属しているのは、ひとえに片想いの美少女こよみのため。霊にとりつかれやすい彼女を見守るのが、彼の生き甲斐だ。そんなある日、映研のメンバーが、カメラに映りこんだ「後ろ姿の女の霊」の相談に訪れた。しかもそのカメラでこよみを隠し撮りされ……!? 本当に怖いのは、人かそれとも幽霊か? 期待の新鋭が放つ大人気オカルトミステリ第2弾!
  • バチカン奇跡調査官 天使と悪魔のゲーム
    3.8
    奇跡調査官の初仕事を終えた平賀は、ある少年と面会することに。彼は知能指数測定不能の天才児だが、暇にあかせて独自に生物兵器を開発するなど危険行為を繰り返し、現在はバチカン情報局で軟禁状態にあるという。迷える少年の心を救うため、平賀のとった行動とは……(表題作)ほか、ロベルトの孤独な少年時代と平賀との出会いをえがいた「日だまりのある所」、ジュリアの秘密が明らかになる「ファンダンゴ」など計4編を収録!
  • 新装版 猿丸幻視行
    3.8
    奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき――百人一首にも登場する伝説の歌人、猿丸大夫が詠んだ歌に秘められた謎。そして“いろは歌”に隠された1000年の暗号とは? 友人の不可解な死に遭遇した、後の民俗学の巨人・折口信夫の若き日の推理が、歴史の深い闇をあぶりだす。江戸川乱歩賞受賞の永遠の傑作! 1980年週刊文春ミステリーベスト10第1位。(講談社文庫)
  • とってもカルディア
    3.8
    ペア探偵、織田貞夫・土佐美郷、『三度目ならばABC』に登場した、大男と小女の愉快な「山本山コンビ」が、“死体なき殺人事件”に挑む。信州の田舎から久しぶりに出て来た貞夫の友人が、変な行動をしたあと、美郷の新品の全自動カメラと共に姿を消してしまった。美郷の快推理、エンジン始動!山本山コンビ唯一の長編は、謎が謎を呼ぶユーモア推理。「楽しんで書いた」と著者自らいうように、のびのびと、しかしトリックは手を抜かずに書かれている。1985年刊行。(講談社文庫)
  • 幽霊温泉
    3.8
    温泉旅館で偶然会った宇野警部の旧友・峰岸は、宇野に「妻の不倫相手をつきとめるつもり」と打ち明ける。妻が“メル友”とこの旅館で密会の約束をしたメールを、盗み読んだというのだ。その夜、家族風呂に男の死体が。「峰岸、お前がやったのか!?」──やがて明かされる“メル友不倫男”の正体とは? 表題作を含め全5篇を収録。女子大生・夕子と捜査一課のオニ警部・宇野の、ちょっと変わった年の差コンビが次々と難事件を解決する、大人気「幽霊」シリーズ第16弾。
  • 球体の蛇
    3.8
    幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまう――。幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。
  • 黒猫の薔薇あるいは時間飛行
    3.8
    黒猫の渡仏から半年。付き人はポオをテーマに博士論文に挑むが、つい黒猫のことを考えてしまう。そんなとき、作家・綿谷埜枝の小説に「アッシャー家の崩壊」の構造を見出す。その小説を研究するには、一晩で消えた薔薇の謎を解く必要があるらしい。一方、パリで研究を始めた黒猫は、恩師の孫娘マチルドから、ある音楽家の音色が変わった原因を調べてほしいと頼まれる。日本とパリでそれぞれ謎を解くふたり。でも隣を歩くのはいつもの相手ではなくて……。待望の黒猫シリーズ第3弾。
  • 星宿海への道
    3.8
    1巻717円 (税込)
    中国旅行中にタクラマカン砂漠近郊の村から、自転車に乗ったまま忽然と姿を消した瀬戸雅人。彼の帰りを待つ千春と幼子のせつ。血のつながりのない弟・紀代志がその足跡を辿るうちに明らかになる兄の人生──。少年期からの憧れ、黄河源流にある「星宿海」とは? 雅人が抱えていた戦後から現代に至る壮絶な人間模様を、抒情豊かに貫く感動巨編。
  • 隠花平原(上)
    3.8
    1~2巻660円 (税込)
    杉並の閑静な住宅街で、帰宅途次の銀行員が撲殺された。捜査は進展せず事件は迷宮入りとなるが、被害者の妻の弟で若手画家の山辺修二は、義兄は誰かと間違われたのでは、と思い至る。では誰と? やがて浮びあがった謎の男の陰に、見え隠れする新興宗教団体と地方銀行のつながり。そんな折も折、修二は問題の銀行の頭取を通じて、その宗教団体から大作絵画の制作を依頼された……。
  • 黒い福音
    3.8
    救援物資の横流し、麻薬の密輸から殺人事件まで、“神の名”のもとに行われた恐るべき犯罪の数々。日本の国際的な立場が弱かったために、事件の核心に迫りながらキリスト教団の閉鎖的権威主義に屈せざるを得なかった警視庁――。現実に起った外人神父による日本人スチュワーデス殺人事件の顛末に強い疑問と怒りをいだいた著者が綿密な調査を重ね、推理と解決を提示した問題作。

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  • 巨人の磯
    3.8
    大洗海岸に巨人と見紛うほどに膨張した死体が流れ着いた。警察は苦心の末に、海外旅行中の県議会議員と特定したが、その腐爛状態には驚きのトリックが隠されていた(表題作)。実力はありながら、地味な風貌が災いし、どの組織でも決してトップの椅子にはつけない元銀行副頭取。男が三十一歳も若いバーのマダムと再婚したとき、悲劇が幕を開ける「礼遇の資格」など傑作短編五編。
  • 黒の様式
    3.8
    結婚して二年たらずで自殺した美しい姉。歳月がながれ高校生の母親となった妹が、思春期の息子の手に負えない行状から、姉の死の真相にたどりつく「歯止め」。小さな港町の家々に投げ込まれた奇怪なチラシ。二十年前に母親が義父に殺されたと告発する男が巻き起こす騒動の驚くべき顛末「犯罪広告」。“古拙の笑い(アーケイック・スマイル)”を浮かべた若い女の硬直した死体の謎「微笑の儀式」。傑作中編小説三編。

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  • 暴雪圏
    3.8
    三月末、北海道東部を強烈な吹雪が襲った。不倫関係の清算を願う主婦。組長の妻をはずみで殺してしまった強盗犯たち。義父を憎み、家出した女子高生。事務所から大金を持ち逃げした会社員。人びとの運命はやがて、自然の猛威の中で結ばれてゆく。そして、雪に鎖された地域に残された唯一の警察官・川久保篤巡査部長は、大きな決断を迫られることに。名手が描く、警察小説×サスペンス。

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  • あなたに似た人
    3.8
    短篇の一つ一つにちりばめられた恐怖、幻想、怪奇、ユーモア、機智……数多くの奇妙な味の短篇を発表している鬼才ダールが、賭博に打ちこむ人間たちの心の恐ろしさと、人間の想像力の奇怪さをテーマに描いた珠玉の掌篇十五篇を収めた代表的短篇集。一九五三年度アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作!
  • 寒い国から帰ってきたスパイ
    3.8
    ベルリンの壁を境に展開される英独諜報部の熾烈な暗闘を息づまる筆致で描破!作者自身情報部員ではないかと疑われたほどのリアルな描写と、結末の見事などんでん返しとによってグレアム・グリーンに絶賛され、英国推理作家協会賞、アメリカ探偵作家クラブ賞両賞を獲得したスパイ小説の金字塔!
  • 三浦綾子 電子全集 果て遠き丘
    3.8
    安易な人生を願う主人公を通し、人間の嫉妬心やエゴイズムを鮮烈に描いた大長編。 自分だけが幸せであることを願い、他人の愛を壊すことを楽しむ香也子の実は危うい生き様……。週刊「女性セブン」に連載し、多くの読者の反響を得た、人間の嫉妬心やエゴイズムを鮮烈に描いた長編。 1978年(昭和53年)にテレビドラマ化され話題となった。 「三浦綾子電子全集」付録として、郷土誌に載せた旭川PRのコラムを収録!

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  • おせっかいな神々
    3.8
    1巻781円 (税込)
    神さまたちはおせっかい。人間どもをからかったり、意地悪をしたり、時にはいたずらをしかけたり。あなたのそばで起る事件もひょっとしたら神さまの仕業かもしれない……。畑で拾った“笑い顔の神”の正体は? ブロンズの“商売の神”のご利益は?――ふとした偶然からまき起される数々の事件を斬新・奇抜なアイデアで描き、異次元の笑いの世界に誘うショート・ショート40編。
  • 三浦綾子 電子全集 石の森
    3.8
    人にはわかってもらえない苦しみと、人に言えない悩み。人間が背負う孤独に迫る―。 父の秘密などから、家族を、人を信じ続けることに悩む19歳の主人公・三木早苗。早苗を通して迫る人間の孤独感、そして実はそれに続いている「ほんとうの愛」を描く。月刊「セブンティーン」に連載し、特に若い女性に向かって、愛の力といのちの神秘を訴えた佳作。 「三浦綾子電子全集」付録として、北海道遠軽町「オホーツク文学碑公園」内に飾られた「石の森」文学碑の写真を収録!

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