Posted by ブクログ
2009年10月04日
あるパーティの席で、モース主任警部はアン・スコットという好みの女性に出会い気投合。しかし、再び出会ったとき、彼女は冷たい死体となっていた。状況は明らかに自殺だが、彼には納得できなかった。
しかも困ったことに、管轄違いで捜査権は彼には無い。うっかりすると犯人に間違われかねない状況の中、ひそかに事件の周...続きを読む辺を調べる彼の目前で新たな殺人が・・・
モースというのは、気まぐれで女好きで独身のちょっと変わり者だが有能な警部。ここまでは英国のミステリにはよくある警官像だが、ちょっと違うのは彼が、彼が結構インテリだって事でしょうか。
モースの好きな音楽はワーグナー、趣味はハイレベルなクロスワードパズル、この作品でもオックスフォード読書協会の常連だったりします。捜査の天才といわれるほどの彼が、今回は時には同僚に追われたりしながら、真実にとたどり着く、そのさまが面白い。
一方で、事件に関与するのと交換に、同僚のベルが警視に出世するのを、指をくわえて見ざるを得なくなって。デスクワークや付き合いの下手な自分には出世はむかないことは判りながら、それでもうら寂しいモースが結構可愛いですね。
1980年代ころ、英国本格ものの主流だっただけの事はある重厚さ。読んで損は無い作品だと思います。
以下、ちょっとネタばれですので、未読の方は読まないでください・・・・謎解きは・・・とり○○○○ものがたり。ある意味、イージーな手だけど、行き着くまでのやり取りの面白さで、それなりの厚みはある・・・・