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「日本社会の現状に対する鋭い洞察と、異議申し立て」(佐藤優氏)「近年の日本文学におけるもっとも高次な、また豊饒な果実の1つ」(若松英輔氏)と絶賛された傑作「ボラード病」で新境地を切り拓いた吉村萬壱氏。あれから一年、吉村氏の2005年以降の10の短篇・中篇を一挙収録した作品集。シュールな近未来ものあり、不条理な家族小説あり、不気味で、不穏で、グロテスク、吹き荒れる嵐のように暴走する想像力が、読者を真実の深淵へといざなう。鬼才の筆が炸裂する、圧倒的作品集。
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Posted by ブクログ
行列
「クチュクチュバーン」的不条理リアリアズムをシンプルに。寓意がちょっと鼻につくも、吉村ワールド全開で、気持ちいい(悪い)読書感が楽しめた。後ろ見ちゃダメなわけな。そういうルールってことな。
夏の友
ノスタルジーグロとでもいうべきか。主人公以外の登場人物の闇とその必然による地獄のような不幸が、どうしてかすっきりとしてしまう。
虚ろまんてぃっく
主人公は埠頭。構成が発明的で、最後に大笑いできた。
メリットシャンプーを選ぶセンスがちょうどよい腐り庶民的。次作「家族ゼリー」に頭だけリンクする。
家族ゼリー
とりあえず感情移入して気持ち悪くなるわけで、そこには「娘」設定が無くて助かった。この家族に娘がいたら、完全な総当たり戦になる。基本ギャグ作品としてとらえるべきか。それにしてもくしゃみの匂いだのゴルフボール大の疣痔だの、よくぞまあ思いつくものだ。
コップ2030
2030年のディストピア。どうやらデジタルによって認知が破壊されているらしいが、壊れているのが主人公なので、文章描写も壊れるのだ。職員役は1984パロディだし、それを筒井風のメタ狂気手法でまじめにやっている感じ。なんのこっちゃ。
樟脳風味枯木汁
この辺になるとどうも「人としてどうも嫌だなと感じること」を苦労して探し出して綴っているような気がし出した。今回は老女性愛である。老女が決して上品ではなく、醜怪なキャラであるのも納得する。単にエロ小説ではないのだ。
大穴(ダイアナ)
「家族ゼリー」「樟脳風味枯木汁」とリンクしつつ、「臣女」のプリクエルともとれる内容。特に家の間取りや造作は「臣女」の舞台と一致している。同じように愛情の底深さが漂うにょだ。
希望
ショートショート。「行列」の別パターンのメモみたいなものかと。
歯車の音
老人偏愛性欲が露骨だ。幼少時に見たという祖母の陰部が繰り返し実体験として別稿で記されているが、そんなに強烈だったのだろうか。息子の罵詈雑言がおもしろい。半ば植物化したした父親への復讐譚であるが、嘗ての性交日記を耳元で朗読するなど、考えるだに恐ろしい。でも短編として良く出来ているよにゃ。
大きな助け
DV、児童虐待。とにかく胸糞悪くなるし、人類全体がクズ化していく様はどこかリアルだ。しかも爆笑してしまう。
あとがきにもあるように宇宙人目線で人類のクズっぷりを抽出するというのは、確かに必要だし、読んでいる読者はそれが気持ちいいのだから、もっともっと欲しがるにょだ。
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