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「なぜ人生に熱くなれないのだろう?」――圧倒的な虚無を抱えた「僕」は父の死をきっかけに参加したツアー旅行でヴァレリーに出会う。高度資本主義下の愛と絶望をスキャンダラスに描く名作。
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Posted by ブクログ
他者を避けることが最高の贅沢となった、個人主義が行き着く果てを描いた世界の物語。難解かと思いきや内容は非常に分かりやすく、絶望と諦観に彩られた筆致はリーダビリティが高い。物語性もあり、前半の観光ツアーからの出会いと性、そして欧米市場に第三世界の買春ツアーを持ち込むことで、西側世界の価値観を揺るがそう...続きを読むとした男女がやがて悲劇的な結末へと流れ落ちていくさまは非常に読みやすく面白かった。多くの男が感じている現代女性に対する恐怖感が、はした金で娼婦を買う方向へ流れていき、その部分のニーズや解消されない性欲を第三世界の買春で埋めるというアンサーはかなり過激である。誰しもが倫理観や嫌悪感でブレーキをかける所を露悪的に暴きだしていく筆致は人を選ぶだろうが、無視できないリアリティに満ちているのだ。結局は生きにくさを性にすがりつくことで凌ごうとする、上手く生きられない人々のための物語であると思う。
この手の穏やかながら深い波のある小説を久々に読んだ。 主人公は徹底的に世の中を俯瞰した風に見て、あらゆる人間を小馬鹿にしているように見えつつ、自身の欲求に素直な、所謂普通のやつ。 ヴァレリーという20代の女っぷりのいいキャリアウーマンというザ21世紀の女性と一緒にいることで幸せ全開。 性産業をビジネ...続きを読むスチャンスと捉え邁進するところに、金儲けだけではなく、西洋人の欲求追求の姿勢(西洋人は資本主義社会にいて、物質的幸福を追求する一方、彼らだけで性の満足を得られなくなっている。ある意味それは非文明国よりも哀しいことでもある。だからアジアで自身の性を解放する旅行には着実なニーズがある。)を深く見据えている。視点としてとても面白い。宗教的観点や道徳の問題ももちろん上がるが、そこはあんまり気にしない姿勢がこの物語の邁進力を上げていて面白い。 終盤のこれからタイでの2人の生活(資本主義的ではなく、2人で退屈な島で幸福に暮らすというあまりにも面白くない幸福)を選んだ末の事件はあまりにもドラマ的だ。9.11の預言だなどと言われているが、実際に性産業をビジネスにした彼らへの天罰というメッセージとして作者がこの構成にしたのではあまりにも面白くない。俗っぽい見方だが、「人間は何かを諦めて何かを楽に得ようとすると、かえって全てを失ってしまうことがある」ということではないか。 彼らの性への貪欲さとそれを受けて必死こいてビジネスにするリスキーな生き方をより輝かせたかったのか。非常に面白い物語だった。
オトラジシリーズ。 初のウェルベックさん作品。 過激な描写が多い中、にじみ出るような開放感と自由な雰囲気がとても魅力的だった。 燃えるような恋、性、そして…
衝撃から未だ覚めない。終盤まで延々つづく叙述。ときおりその主体は主人公から脇役に譲られる。しかしそれは補足のように存在していて物語への効果は大きくない。読み終わってから2週間、未だ混沌のなかにいる。
旅行会社に勤めている?ウエルベック『プラットフォーム』だね。え、なにそれ。という新しい出会いのスタイルを提案する本として私の中では記憶されたこの書籍は、ウエルベック特有の高度に発展した資本主義社会への呪詛に溢れていて、悪意という意味では最も楽しめました。
往来堂書店「D坂文庫2015冬」から。選んだ理由は選者の「日本にこんな意地悪な小説家は絶対いない!」というコメント。 さして取り柄のない仏人公務員ミシェルは、親の遺産でタイ行きのパッケージ・ツアーに参加し、少女を買う。そして、周囲のひんしゅくを買いつつ、そのツアーで知り合ったヴァレリーと恋に落ちる。...続きを読む帰国後はヴァレリーと一緒に彼女が勤める旅行会社で売春ツアーを企画するが、最後は…。 この小説の中でミシェルとヴァレリーは、もう数えきれないくらいセックスをして、その度にミシェルは西洋の性の退廃を、ひいては西洋文明の没落を嘆く。 少々乱暴なつかみ方ではあるけれど、西洋の高度資本主義への批判・警告を性を通して描いた、と言えるのかもしれない。 とは言え、この表現の仕方に読者はどこまでリアリティを覚えるんだろう。この小説にリアリティを感じる人は、この作家にのめり込むだろうし、反対にリアリティをまったく感じない人は、もうこの作家の作品を手にすることはないのだろう。もっとも、リアリティ云々の前に、官能小説とも言える性描写に辟易として、本書を投げ出す人も決して少なくないとは思うけれど。
所々で唐突に西洋型社会に対する毒舌が出てきて、何度か吹き出してしまった。ペシミスティックでいてユーモアがある。この作家は初めてだったが、読みやすく感性も合う気がする。 厭世的でありながら性に関しては屈折もなく、初めから素直というのはある意味新鮮だった。おかげで、作中で主人公が展開する性の捉え方を結...続きを読む構面白いと感じながら読んでしまった(笑)。
ウェルベック 4作目の小説(邦訳は『素粒子』に続いて 2作目)。資本主義と自由主義が行き着く先をポルノ紛いの筆致で描くとともに、イスラムに対する嫌悪感を隠そうともしない表現でスキャンダラスな話題を撒き、ウェルベックの名を世界に知らしめた一冊といってもいいだろう。どちらかというとムスリムからの脅迫とか...続きを読む、怒り狂うフェミストからの批判とかの話題が先行してしまっている印象で、今まで読んだ 3作の中では一番面白くなかった。ただし、享楽的なリゾートが一瞬で暗転する、その瞬間は見事だ。
「服従」がベストセラーとなっているミシェル・ウェルベックの長編2作目。彼の作品は初めて読む。現代のフランス(を中心とした西欧社会)において、彼の視点はただただ人間の欲望というものの発露の仕方に向けられているようだ。露悪的ともいえる文体で、「普通の」人間の中にある欲望、殊に性欲についての描写がしつこく...続きを読むまとわりつくようで、濃密である。どこかで開高健が「作家の善し悪しは食事とセックスをきちんと書けるかどうかでわかる」というようなことを書いていたが、この作品では(フランスが舞台でありながら!)食事の描写はわりあいさらりとしていて、その分すべての技巧やレトリックをセックスとそれにまつわる哲学に費やされているようで、その徹底ぶりには執念すら感じさせる。 主人公はパリに住む公務員。ぱっとしない独身の中年男だ。仕事にも恋愛にも熱意はなく、特に趣味と言えるものもなく、日々をただ淡々と過ごしていて、セックスに関してははそうしたサービスを利用してすませている。 父親の遺産を相続した彼は、タイへのツアーに参加してある女性と出会い、人生が大きく変わっていく…。 …と書くとずいぶん陳腐なストーリーのようだが、まったく退屈させることなく読ませてしまうのはさすがの筆力。帰国して彼女と再会した彼は、彼女の仕事である旅行産業に大きな一石を投じることになり、すべてが思いのままに進んでいくが、やがてくる破滅に彼は気づくはずもなく…。 現代社会の欲望とセックス。異文化との衝突と暴力。それらが交錯する瞬間こそが、現代という時代を象徴していることを書きたかったのだろうか。 それが予言していたかのように、今まさにフランスを舞台にそうした悲劇が繰り広げられているのには驚かされる。
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