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辛口コメディアンのダニエルはカルト教団に遺伝子を託す。2000年後ユーモアや性愛の失われた世界で生き続けるネオ・ヒューマンたち。現代と未来が交互に語られるSF的長篇。
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Posted by ブクログ
537P ミシェル・ウエルベック 1958年フランス生まれ。ヨーロッパを代表する作家。98年『素粒子』がベストセラー。2010年『地図と領土』でゴンクール賞受賞。15年には『服従』が世界中で大きな話題を呼んだ。『ある島の可能性』など。
ウェルベックの短い引用に気になるものが多かったし、一応SFに分類されているということで、読んでみた。かなり哲学的な内容で、強制的に自分の今の生き方を見つめ直させられる。ウェルベックの、中年男性の悲哀を克明に描写する力はなんなんなのか。コロナ期はみんな引き籠もってオンライン通信ばかりしていただろうし、...続きを読む生き方を見つめ直すこともあっただろうし、かなりこの本のような状態になっていたのではないか
傑作。 ファインアートから先端科学、社会情勢、宗教、地勢学、そして人類の命題?であるところの愛について、余すところなく考えが巡る素晴らしい読書体験だった。未来からの注釈を過去を生きる自分たちが読むことになるスタイルも洒落てたし、何よりフォーカスされてる主人公が喜劇を生業にしていた点、読後に振り返った...続きを読むときに拍手を贈りたくなった。
老いるのが怖くなる小説だった。 人が不死の技術を手に入れて、肉体が老いてもまた新たな肉体を手に入れることができるようになり、そうした未来の可能性において人類はほとんど解脱に近い静穏な状態なのだけど、そうした描写になぜか息が詰まる。宗教SF。 その未来のダニエルの視点で現代のダニエルの手記を見通すなか...続きを読むでそこに何かしらの郷愁の念があって、手記を読むという行為そのものにやはり「感情」に対する執着が描きこまれているように思う。 そうした構造も面白いし、さらに現代ダニエルは皮肉屋のコメディアンかつ映画監督として栄華をものにし、快楽主義をつらぬいてセックス三昧。またこの性描写がたまらないのだけど、やはりそれは肉体の老いという陳腐な問題のなかで静かにすべてを失ってゆくという深い絶望感が最高の切れ味で描かれていていい(ダニエルは基本的に嫌なヤツなのでな、共感はするが)。 前半とラストが好き。
人生の成功者による快楽の追求。その果ての絶望を描いた傑作である。人は誰も老いには勝てない。描写は情け容赦なく、描かれた性への渇望はグロテスクである。主人公のダニエル1の若い女性に対する執着心、特に最後の無様な姿は見苦しく醜悪だが、それは単なる性欲を超えた一人の人間としての絶望の叫びだ。愛と性に対して...続きを読む彼はとにかく誠実で、故に、彼の絶望は痛いほどに理解できる。若者と老人は対等ではない。未来に対する絶対量が違う。性的な意味での需要の無さや性的不能がそのまま人間としての価値に直結し、それはカネではどうにもならない。若さの価値を理解していればいるほどに、この物語は悲しく映る。だからこそある島に可能性を求めたわけだが、性やユーモアから解放されても、ネオヒューマンは幸せとは言えず、ネオヒューマンであるダニエル25の目を通して見た未来は理想郷とはほど遠い。文明を失い、野生や獣性をむき出しにした野人の姿は物悲しく、築き上げた文明が失われてしまった喪失感に苛まれる。また現代と遠い未来のダニエルが両者ともにペットを失うくだりも悲しく、現代では底辺ブルーカラーに、未来では野人にと、下の階層のものに奪われるという符号が中々に皮肉的で、階層の違う人間の断絶を表すのが非常に上手いと思った。人間の問題やシステム的な欠点を取り除いた未来になっても、そこに幸せはなく愛は存在しない。ただ、全てが失われてしまった後の空虚や絶望の中でも、生だけはひっそりと息づいている。
読み応えのある、読む価値を感じる作品。 ウエルベックの作品はすべて読もう。 著名お笑い芸人ダニエルの人生記と、それを確認し、注釈を加える2000年後の彼のクローンたち(24代目と25代目)の物語。 ダニエルは辛口で卑猥な芸風で世間の人気を得、二人の女性を真剣に愛するものの、老いには逆らえず、愛に振...続きを読むり回される。カルト宗教団体エロヒム会に入り、遺伝子を残す。 エロヒム会は独自の研究で遺伝子からクローンを作り出すことに成功し、子供を作らずクローンのみで世代を繋ぐ新しい人間を構想する。新しい人間は口から食べ物を摂取することもなく、排泄もせず、一定の期間を経て肉体が衰えると、次の世代に交代する。感情の起伏は少なく、愛も感じない。従来の人間とは区別し、ネオ・ヒューマンと呼ばれる。 クローンである子孫たちは祖先の人生記を確認し注釈を加えることだけに明け暮れる。 しかし愛や感情の必要を感じた25代目ダニエルは、外の世界へ飛び出す。そこは核戦争や大干ばつによって人類がほとんど滅びた不毛の世界。一部が野人として文化のない動物のような生活を送っている。 25代目ダニエルは愛を求めてさすらうが、それは叶わず、無限の海と無限の雲が広がる場所で肉体が滅びるのを待つ。 愛に耽溺し、争いごとが好きな人類は滅亡に至らざるをえないが、かといって他との接触を絶ち愛を知らない状態で世代を重ねても果たして生きていると言えるのか。 人間はこの苦悩を忍び続けるしかないのか。 エピローグのとてつもなく広い世界に放り出された間隔が読んでいて印象的だった。 しかし隅々まできちんと理解しているとは思えない。 次に読めばきっとまた新しい発見があるだろう。 少し本筋からは逸れるが、クローンというのは遺伝的にまったく同一人物ながら、 中にある意識としては同じ人物が継続しているわけではない。 そう考えると自分というのはいったい何だろうと少し思った。 あと、犬がいい。 犬にはずっと楽しく生き続けてほしかった。
匿名
我々が中世やさらに言えば原始時代の人類の生き方を本当のところでは想像できないように、進化した未来人(ネオ・ヒューマン)は現代を生きる我々の苦しみを理解することはない。近現代の人間の苦しみは人間の実存に由来する普遍的なものではなくて、歴史的条件に由来するものでその条件さえなくなればその苦しみも無くなる...続きを読む。 本作から受けた印象をそのようなものだった。
人と感想を話すことって大事だなーと思う 特に本の入り口が、「人からお勧めされた」時は感想を必須で誰かと話さないと自分の中にモヤモヤが残ってしまう。 これ面白いね!だけじゃなくて、これ気持ち悪いね、、って時は特にそう。 ウェルベックはめちゃくちゃハードル上げられた本だった。でも、2005年にこれ...続きを読むが出てきたのが凄いことだなって思うだけで、本当に深いことを語っているのか?となってしまった。 中年男性のセックスに焦点を当てすぎているし、その描写が無理だったとかではないんだけど、シンプルにもっと短くその惨めさを描くことはできたんじゃないかと思う。描きたいことに対して冗長だと思ったんだ。あでも「人生紀」というコンセプトだからそれは違うのか。 だとしたら評価めちゃくちゃに変わるかもしれない。人生紀がそう言うしょうもない冗長なことを書いて本当に大事なことは一瞬の煌めきを残して、その煌めきが他の人を狂わして、素敵だ!!!! 大好きになった今。 「愛」とか「社会」とか「孤独」とかじゃない。そんな壮大なテーマじゃない、1人のすぐそばに生きている人間にフォーカスを当てれば無限に出てくるものだ。 街を観察しているときにたまに感じるあの「光」の感覚だ。 じゃあキリスト教やんけ!と思ったけど、そうじゃなかった。それはキリスト教が、キリスト教以前から大事なことを自分たちの教義に入れているだけか。 そういう構造にもたまに騙されそうになるな。 早くのさちゃんの意見が聞きたいな〜
闘争領域の拡大に続いて2冊目のウェルベック。 序盤は冗長的で少し読むのが億劫になるが、途中から先の展開が気になって一気に読んでしまった。 人間の老いや愛することなど人間的な営みに対する大きな問いかけなのかなと感じた。近未来のネオヒューマンを通して過去の人間だったときの人生記を見ていく様が後半グッとく...続きを読むる。
22.11.12〜12.19 快と不快のバランスがゼツミョーだった。ウエルベックの作品はいつもそうかもしれないけど。 Back2Backな構成だから形式は『素粒子』に似ているけど、この小説は構造として『人生記』があるから、全体的にカッチリしてる印象を受けた。 アイデアとしての人生記の面白さと、書き手...続きを読むであるダニエル1たちが定義する彼の人生の滑稽さと悲しいまでの正直さ。人生記には書かれなかったダニエル1の顛末、ままならなすぎる。 ネオヒューマンは自分自身のことが分かりすぎていてやけにサッパリしているから、その孤独な生き方に滑稽さも含まれているような感じがした。 読んでいてウエルベックは正直な人だなと思った。
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ミシェル・ウエルベック
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