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Posted by ブクログ
『白んだ空とスズメの鳴き声、そして空っぽのコーヒーカップ』
実に石田衣良らしい作品だ。主人公をなんとなく、石田衣良本人に重ねて読んでしまうのは、実際の彼もユーモアに溢れそしてどんなことを考えて様々なことへ思いを巡らせているのかを私が知っているからだろうか。50も遠に超えた人に向かって半分も生きていない私が彼と呼ぶのもおかしい話だが、私の中での石田衣良とはこの主人公の当馬そのものでその当馬もまた私にとって彼と呼ぶことがしっくりときた。
この作品をまだ私は前半しか読んでいないわけだが、今の時点で書けることだけ書いておく。いつも通りしっかりと風刺がきき、そしてさりげなく業界への敬意と呼んでいいのかわからないが、読み手に嫌味にならないように光の当たらない裏側を読ませてくれる。大袈裟でなく真実を嘘に隠してそっと差し出してくれるのが石田衣良だった。
努力とは人に見えた時点でおしまいだと私の友人はいった。ああ、その通りだと思った。だから、お客さんである私たちはベニアで張りぼての裏側の舞台なんて知らない。多分知らない方がいいのだろう。だけど、そっと石田衣良は教えてくれる。決して、侮辱しない程度に、同情を誘わないさりげなさで。そういった所が私は好きなのだ。
これから、どう当馬が病気と向き合っていくのかわからない。それでも、きっと簡単なお涙頂戴で終わるはずがない。だってこの作者は石田衣良なのだから。また目が覚めたら新しい1ページを開こうと思う。早く夜よ、明けろ。
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