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この冷たい世界で、ぼくたちだけはおたがいをほめあって生きよう。30歳・大手ネット通販の巨大倉庫で働く堅志と28歳・スーパーのパート勤務の日菜子はそう約束している。合わせて年収300万円台の暮らしは、つましくも幸せだった。だがある日、堅志に正社員登用の話が舞い込む。喜ぶ二人だったが、本社研修の担当は堅志のかつての恋人・佳央梨で……。恋愛小説の名手が描く現代の切実な恋の行方。(解説・吉田大助)
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Posted by ブクログ
解説文を読んでぞっとした。 けど同時に、それもいいじゃないかって思った。 自分の選択に責任を持てるならどんな選択でもいい、けどその選択ができるだけ正しく、ベターなものであるためには、自分の価値観が明瞭になってなくてはいけないのかも、そうじゃないと他人の価値観が気がついたら内製化してるかもしれない。
読み終わった直後は反発を覚えるものの、時の経過とともにじんわり沁みてくる母の優しさのような小説である。物語の終盤に主人公2人がそれぞれ決断をするのだけど、読みながら「いやいやいや、なんでやねん」と盛大にツッこんだ。 お金を稼ぐとこが卑しいという考え方はあまり好きではないが、お金を使わずに精神的に豊...続きを読むかな生活を送っている人がいることも知っている。ただ、後者の場合は清貧生活を自分で選択しているか、選択の余地なく強いられているかで随分幸福度は変わってくる。 雇われの身としては、もっと給料上げてほしいな〜とか、もっと優秀な人たちと働きたいな〜とか、日々思うことはあるけど、今より給料が高くて、意識高い人が溢れる職場に転職したとして、それで私は幸せなんだっけ? 人生で何をして、どう生きていきたいか、考えさせてくれる良き本。
恋愛小説です。 貧しい同棲をしているカップルのお話。 明確に彼女が浮気をしているシーンは辛かったな。 衣良さんがこの程度は浮気の内に入らないと考えていそうだけど、好意を持ってしまっていたから読んでいてしんどかった。 彼らは一緒にはなれない。 現代が彼らを一緒にさせない。 人が幸せを求める時、必ず邪魔...続きを読むをする他者がいる。 読み終えてから妻と手を繋いで近所を散歩しました。 僕は誰にも邪魔をされずに妻と幸せな日を送っている。気が付いていないだけで本当は違うのかもしれない。 気が付かないままでたくさん本を読んでたくさん音楽を聴いて過ごしていきます。
人生観が変わった1冊。 人生に求めるものは、家族であっても親しい友達であってもパートナーであっても、本当に人それぞれで、価値観を押し付けたり誰かに合わせたりする必要はなくて、ありのままの自分を大切にすること、かつ、それを受け入れてくれる大切な人がいることはすごく幸せなことだよなって、 当たり前のこ...続きを読むとだけど改めて考えさせられた。 今の自分は「普通」に縛られてて、勝手に焦って、劣等感を感じてる最中だったから、今この本に出会えたのはラッキーだった。
久々にいい作品に出会えた気がした。 自分を消費していくことと、自分が消費されていくことは違う。 幼少期から決められたレールに乗って生きていける人が私は心底羨ましいと思う反面、つまらないと思っていたこともあった。 自分が何に対してキラキラワクワクできるのかは、人それぞれ違うなんて当たり前なのに忘れる...続きを読む。 最後まで通して私が日頃から考えていることの具現化のようで読んでいて惹き込まれた。 「普通の幸せ」とはなにか。 考えても考えても答えが出ないのは、人類皆共通の幸せなんてこの世に一つも存在しないからだということを再認識させられた。 人生に何を求めるか。 私も、日菜子や堅志のように「やりがい」や「生きがい」を求めてるのだと思う。 豊かな国に生まれて自分の人生をいくらでも選べる今に生きているからこそ 消費される立場が故に付いてくる価値ではなく、自分が自分自身を消費していく上で生じる価値を重んじて生きていくのも悪くないと思う。
これはハッピーエンドなのか、、煮詰まった恋愛が本来あったはずの意思を書き換えてしまったような怖さも感じる。 恋愛観、人生における仕事の捉え方、決断の仕方に関する解説に深く納得した。読んでよかった。
スルスル読めて面白かった。 しかし日菜子はお金が無いことを拗らせ過ぎて別れる選択をするのはちょっとやりすぎかな。正社員も色々な人がいるのに卑屈になりすぎてる感じがする。そこは正直感情移入出来なかった。 でもハッピーエンドな感じで良かったです。
非常によかった。 石田衣良さんの作品ということで、文書のレベルが高水準なのは言うまでもないのだけど、本作はストーリー展開も魅力的で、二人の恋がどうなってしまうのか最後までハラハラしながら読むことができた。 低所得の二人の恋、が本作の大設定なわけだけど、いたるところに作者さんのこの世界にたいしての目...続きを読むがちりばめられていて、作者さんの内面にふれられたような気がしてどこか心地よかった。 例えば、金持ち豪邸に住む人は立派な外壁やセキュリティを設けるけど、いったい何に恐れているのだろう~、とか、敵を叩くためにはいくらでも言葉を選ぶのに、どうしてそばにいる大切な人には言葉を送れないのだろう~、など、石田衣良さんこんなこと考えてるんやなーと思いながら読み進めた。(石田衣良さんは世界を冷めた目でみている。でもそこが好き笑) ラストは「まあ小説だからね」と言いたくもなったが、リアルすぎず、フィクションすぎない絶妙な塩梅がさすがだと思った。ということで、☆5つ。
自分のこれまでの絶対的な基準は、弱さだった。 自分の弱さにしがみついて、重大な決断をくだしていた。 … 弱いまま、いつの間にか自分だけの絶対を手に入れていたのだ。「弱いは強い、強いは弱い」 物語性も勿論だがp397〜の堅志の自分に対する考察が自分に完全に嵌って感情移入してしまった。 何を幸せと...続きを読むするのかその価値基準がはっきりしていれば生きやすい、けど、流されてしまうのも、それに気付いてるのも、また個性なのかもしれないな、 自分にとっての、幸せに貪欲に、生きていきたい
お互いがお互いの思いを解らなければ繋いでいた手を離してしまうだろう。 優しい物語。 いま、過去のいろんなことに囚われず、今どうして生きて生きたいかを考えたお話。 うらやましいしいのは解りあえる相手と清く貧しくも美しい生活がそこにあること。。
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清く貧しく美しく(新潮文庫)
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石田衣良
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