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誰かを好きになる。これは能動か受動か。好きになろうとしたのでもなければ、好きになるよう強いられたのでもない。自分で「する」と人に「される」しか認めない言葉は、こんなありふれた日常事を説明することすらできない。その外部を探求すべく、著者は歴史からひっそりと姿を消した“中動態”に注目する。人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求める哲学書。時代を画する責任論を新たに収録。
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Posted by ブクログ
「免責が引責を可能にする」 この一節に私はしびれた。 なにかミスがあると、世の中では「責任をとれ!」という話になる。言い換えれば「このミスを犯す意志を持ったものは誰か?」というお話。本書では、このような「意志によって根拠付けられる責任」を「堕落した責任」と呼ぶ。 責任とは、そういうものではない。...続きを読む責任とは応答することなのだ、と。そしてその応答としての責任の生成は、実は免責※によって生まれる、と本書はいう。 ※ここでいう免責とは、無罪放免にする、という意味ではなく、自らの行為が、意志ではなく、無数の原因によってもたらされた結果であることを理解する手続きのことを指す この考えに、私は驚いた。 コペルニクス的転回! そして全く考えたこともない発想だったけれど、ものすごく腑に落ちる気がしたのだ。 國分功一郎さんの本は、確かに咀嚼するのに時間がかかる(そして私はまだ咀嚼しきれていない)のだが、そこから得るエッセンスがもたらす思考的影響が、半端ない。
「読んでて難しい」「難解だ」と感じる人ほど(少なくとも私はこちら側だと思う…)、「能動↔︎受動」の言語に基づく思考体系に浸かってしまっているということなのでしょう…… 中動態について、言語の歴史やスピノザ哲学など、あらゆる側面から國分先生の哲学論が展開されていきます。難しくても読み終えて初めて「...続きを読む中動態の世界」の入り口に立てるのかもしれない。 最後に能動態↔︎中動態的思考から「責任論」に話は移行していきますが、社会の分断が進む現代社会が進むべきヒントを与えてくれるカギとなるのではないでしょうか。 「暇と退屈の倫理学」でもあった通り、本書もまた「(理解しきれない部分があったとしても)通読してはじめて意味を持つ」のだと感じました。 この感想を読んでくださった方も、なにかのご縁だと思って、たとえ本書を読み始めてから難しいと感じたとしても、最後まで読んでみてほしいです。。
斎藤環さんが紹介されていたので読んでみたのですが、この夏一番の読書になったように思います。 中動態の「世界」とタイトルしているように、中動態をめぐっての哲学や言語学の先人達を批評していかれているからです。大変ではあったのですが、書き手の丁寧な記述で、ポイントを繰り返し確認しながら、読み進めることが...続きを読むできます。斎藤さんによれば、思想界にもインパクトがあったとのことでしたが、デリダやドゥルーズといった20世紀末に流行った哲学者も批評の対象になったからだろうと思いました。 中動態についていえば、これと関連して、以下の記述でポイントを押さえることができるかと思います。 「自由をスピノザは次のように定義している。すなわち、自己の本性の必然性に基づいて行為するものは自由である、と。」 「自分はどのような場合にどのように変状するのか? その認識こそ、われわれが自由に近づく第一歩に他ならない。」 スピノザのいう自由に向けての実践的な示唆なのですが、ギリシア悲劇だけでなく、自己治癒的な物語を読んでいくことも実践の一つだろうと思いました。 「責任」については、責任を負うことになる当事者が目の前にいるだけに、より課題が大きいように思います。 「たとえば当事者研究で、「家に火をつけてはいけない」という世俗的な規範をいったん脇に置いて、自分が火を付けたときのことを他人事のように下達とき、そこは一度面積される空間だと思います。でも不思議なことに、その面積の段階を経て初めて、引責が可能になる。」 免責の空間を経て引責が可能になるステップや有り様について、これを多くの人で共有できる記述が必要なように思いました。
主体と行為について、能動態や受動態だけではなく、中動態の視点で解釈することで、意思や責任について捉え直すことができる 言語学や哲学の議論の一般書として、また意思や自己責任を通じて感じる生きづらさや孤独感に対する問いかけとして、興味深く読むことができた 主体と行為の関係については、龍樹(ナーガール...続きを読むジュナ)の「中論」に登場する「運動の考察」と、直接的ではないものの通底する思想を感じた
出版当時から書評をみて気になっていた本を、ようやく文庫で読みました。 言語学の世界を入口に、これほど豊潤で人間的な世界を再発見するなんて。 途中、言葉の歴史を推察し、意思と言葉の関係を定義し、哲学を読み直し。 古代の人に意思はなかったという主旨の本があったが、その曖昧さも払い。 一度見えなくなった世...続きを読む界を再発見するのが、どれだけ困難で素晴らしいか。 その感動を味わいながら、読み終えた処です。著者には感謝しかないです。 それと、この読み応えのある本が数十万部も売れるこの国も素敵だと思う。
やはり最高に面白い。単行本版を読んでから数年の間に國分功一郎さんの著作も『暇と退屈の倫理学』『責任の生成』『言語が消滅する前に』『目的への抵抗』などなど読んできていたので本書の議論についても新たな気づきや理解が深まるところが多かった。補遺も國分さん自身が思考を深め、進めてきているから社会的な実践に関...続きを読むわるポイントが明快で素晴らしい。 個人的には最近國分さんとは別の角度からアーレントのことを考えていたのでアーレントが「区別」の人であることに色々と思いを馳せた。 國分さんがアーレントに質問したかったこと、私も私なりの関心から同じことを聞いてみたい。 “一度でよいので実際に会ってお話をしてみたかった。「ビリーもクラッガードもヴィアも我々そのものではないでしょうか?アレント先生には彼らのようなところはありませんか?」ーーーその際におうかがいしたかったことはただ一つこれである”
中動態の世界を読んで、明日生きやすくなる哲学というより、今自分が置かれてる状況と感情を正確に捉え直したくなる哲学だった また今後の人生で、受動態や能動態を認識した際に、中動態を意識せざるを得ないインパクトを自分にもたらした
行為する、されるといる能動と受動の対比には人の「意思」が中心にそえられる。「意思」それは、過去を担う「記憶」との対比として未来を担う器官とする考えであり 過去からの断絶を前提とする。行為の責任の帰属先を明確にするためにもその考えが必要な社会が現代である。しかし過去からの断絶とは本来的にありえない概念...続きを読むであり、何にも影響されない事象、行動はありえない。そうした意味でも現代の意思の定義はずれているかもしれない。 中動態とは能動でも受動でもない第三の態ではない。受動、再帰、自動詞の意味を含む根源的な人と世界の関わりのあり様をしめした態である。 言語の歴史的にも能動と受動の対立をベースとするパースペスティブは新しいものであり、その枠組みにとらわれていると説明できない言葉がおおくある。 我々は気質、感情、社会の影響を受けてしまい、本当に自由に行動することは出来ない不自由な生き物である。だが完全に受動的であり、意思なるものがないわけでもない。完全に自由でもなく、完全に不自由でもない。中動態の世界をもって我々自身を認識することが求められる。 また意思なき中動態の世界は無責任の世界ではない。責任とは自身が責を負い、受け入れ、かわることであるため中動態の考えをもってなされるべきである。 能動と受動の関係から、意思があることを責任の根拠とすることは本当の責任をおうことにつながらないこともある。 神的因果性と人間的因果性の矛盾を受け入れ維持する‐「私は加害者であるが被害者である。だが、被害者であるが加害者てある」‐。これが人間の生き方の一つの考え方の提起なのかもしれない。
能動態-受動態の対立する枠組みで物を考えることは現代人にとって至極当たり前のことに感じられる。しかしながら、歴史を遡ると言語にはより古いところに能動態-中動態という対立軸があった。 能-受の対立に強く結びつく意志と責任の概念が、能-中の対立のもとで批判され、意志概念の不可能性が明らかになる。 さらに...続きを読む、補遺では意志なき能-中的世界観の中における責任とは何かの論考が追加されており、論のさらなる進展が見られる。 「暇と退屈の倫理学」と比較して言語的な分析が大半をしめており、ある程度言語哲学に慣れていないと読むのは少し大変かも。
「意志」とは何か、という哲学的なテーマを、〈中動態〉というかつてあった文法的な概念から読み解いていく。現在当たり前となっている〈能動態⇔受動態〉だけでは説明がつかないことも、中動態という概念が加わることで絡まった紐が解れる。「暇と退屈の倫理学」同様、このほどけていく過程を楽しめる一冊です。 英語で...続きを読むも、受動態なのに能動的な意味の表現があったと思います。ああいうのも、中動態が歴史的に除かれていってしまったことによる弊害のようです。
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中動態の世界―意志と責任の考古学―(新潮文庫)
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