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3.11で原子力の平和利用神話は崩れた。人間の叡智は原子力に抗し得なかった。哲学もまた然り。しかし、哲学者でただ一人、原子力の本質的な危険性を早くから指摘していた人物がいる。それがマルティン・ハイデッガー。並み居る知識人たちが原子力の平和利用に傾いていくなかで、なぜハイデッガーだけが原子力の危険性を指摘できたのか。その洞察の秘密はどこにあったのか。ハイデッガーの知られざるテキスト「放下」を軸に、ハンナ・アレントからギリシア哲学まで、壮大なスケールで展開される、技術と自然をめぐる哲学講義録。3.11に対する哲学からの根源的な返答がここに。
...続きを読むPosted by ブクログ 2021年05月07日
国分先生の著作を数冊読んだけど、これだけ毛色が違うので躊躇ってましたが、原発事故10年かぁ、いい加減考えないとなぁと思ってようやく読みました。
内容は思っていたほど難しくなくて、講義録なのもあって非常に読みやすかったです。途中のハイデッカーの引用は難しかったですが、要は結論を述べるんじゃなくて、対...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年11月06日
タイトルから敬遠していたが、読んでみるとさすが國分功一朗氏。単に原子力にNOを言いたい主張本ではなく、「原子力という困難な問題に向き合うために、人類が鍛えるべき思考や態度は何か」をハイデガーを中心に紐解いた実践的哲学書。
ハイデガーが「会話劇」というスタイルで主張したかったことは何だったのか?という...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年05月09日
「原子力時代における哲学」國分功一郎
哲学講義録。
フクシマ後の原子力を、ハイデッガーの著作を下敷きに、哲学者が講義する一冊。
著者によれば、原子力の平和利用についてこれまで語ってきた哲学者は少ない。そんな中、1950年代の原子力発電黎明期に、その技術論的な矛盾を説いているのがハイデッガーである。...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年11月23日
ハイデガーが原子力を兼ねてから批判的だっとことは知らなかった。”放下"という概念を用いて、物事に対してある種放置し、開かれた状態でいることが重要であるということが述べられている。しかし、用いられる要素がある種現実の議論から浮遊した机上の空論のようにも感じられた。また結論に向かうところでのフ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年08月30日
原子力に関する哲学講義録。
1950年代に原子力(原爆ではなく)に対する危険性を指摘していた、唯一の哲学者ハイデガー(本書ではハイデッガー)に焦点を当てる。
彼が著した数少ない単行本のなかで、原子力の問題を指摘しているが、その著作の最終的な答えが「考える」。何とまぁシンプルかつ深い。が、本書は哲学...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年10月14日
「原子力時代」とか言葉としてあったけ?と考えたら、日本ではどうかはわからないけど、英語では、"Atomic Age"というのがあったな〜。
「原子力」(核爆弾を除く)が、科学が開く未来の希望であった時代に、ハイデッガーーは、それに否といっていた。ということで、ハイデッガーの「放...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年09月29日
「僕はこの事故に大変なショックを受けました。(中略)自分が原発のことを真剣に考えてこなかったことを悔やみ、そして反省しました。」
「僕の率直な気持ちとしては、一方で、原子力発電がコスト高であり経済的に割に合わないということさえわかれば、原発に関する議論はもう答えが出たも同然ではないかという気持ちがあ...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年05月13日
1950年代、核実験や核開発が進む中で、
「原子力の平和利用」に関しては誰も警鐘を鳴らさなかった。
ハイデッガーを除いては。
誰もが「原子力の平和利用」や原子力発電に夢を見ていた時代にあって、どうしてあの哲学者、ハイデッガーは核戦争よりも「原子力の平和利用」の方が恐ろしいと看破することができたの...続きを読む
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