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Posted by ブクログ
水は器によって形を変えるし、手でつかもうとすればこぼれてしまう。
つかめそうでつかめない、だけど確かに“そこにある”もの。
俊也がナギに感じた想いもそう。
それは「恋」なのか、「憧れ」なのか、「依存」なのか…はっきりわからない。
でもたしかに彼は惹かれ、心を動かされていく。
水=「ラベルでは定義できない愛や欲望」の象徴。
水は抱えようとした途端にこぼれてしまう。
でも人は、手に入らないもの、形のないものでも、それでも「抱こうとする」。
ナギへの想い、自分を見つめ直す苦しさ、愛することの儚さ……
そういう全部が、まさに「水を抱こうとする行為」なんだと思う。
水=「叶わない、でも捨てられない想い」
Posted by ブクログ
[2016年22冊目]
清浄な表の生活と、淫猥な裏の生活の間を行き来する興奮と葛藤とスリルを描いた作品。
わかりやすく伝わるセクシーな表現と展開のスピード感で、ページ数を思わせぬ読み方をさせるのが石田衣良流。最後のページをめくるまで結論を焦らされ、大変満足。
話の設定こそありきたりなものの、人間が情欲の深さで葛藤する姿を見るのが好きな人はハマる一冊。
個人的には島波院長が一番いい味を出している。
彼の一言がこの本を表しているので一部抜粋。
『多くの男たちは、女性の魅力を取り違えている。…問題はその女性のなかにどれほどの欲望と熱量が潜在しているか。その欲望がどんな形でねじれ、表現されるときにどんな歪みを生むのか。
異性としての女性のおもしろさは、そこにある。』
Posted by ブクログ
【水を抱いたことがない人には必要がない物語】
この話を薄っぺらいと言うのは、きっとこれがフィクションだと言える幸せな人なんだろうと思う。私はちょっと前まで水を抱きしめようと四苦八苦していた。彼は水を抱くことを諦めていないようだけど、私は草臥れて手を伸ばすのをやめてしまった。
この作品の官能的なシーンになんの魅力があるだろうか。それこそ私にはわからなかった。ただ、やはりわかりやすくセックスは心の近くにある。確かに様々なデリケートな話題を作中では荒っぽく扱っている。けれどそれこそ作者の強い意思を感じた。あくまでも主観ではあるが、震災に対して、セックスに対してもう少し違ったアプローチをしてもいいのではないだろうか。そう問われている気がした。彼と別れて私は1度も異性と二人きりの食事をしていない。異性に見せるための洋服を買っていない。異性を笑わせるためのプレゼントを買っていない。だからなに?と別にそれの何が悪いと思う自分もいる。だけど、虚しいさみしい辛いと泣いてる自分もいる。
弱い人だとありきたりな人だと笑われるかもしれない。読み終わってそんな自分が変わるわけでもない。だけど、不毛だとわかりきった悩める夜を明かした人だけが(明かさない方が断然幸せだと思うけど)、得られる何かがこの本には詰まってると思う。
官能小説か、純愛小説か?
こんな壊れた女性は実際いないよなぁと思いつつ、いたらいたで主人公のようにはまっていきそうな気もする。確かに刺激の少ない日常の繰り返しの中で、ナギのような女性が突如現れたら理性も羞恥心も捨てて男も壊れてしまうかもしれない。こういうぶっ飛んだ女性も個人的に嫌いではない。中盤からはストーカーの正体やナギの秘密、主人公の仕事の成否など気になって気になって読むスピードが加速する。
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