ブロンズ
レビュアー
  • この夏の星を見る

    コロナに負けない子どもたち

    今年の公立高校入試では、埼玉、群馬、東京の同日入試でこの本から出題された。コロナ禍における鬱々とした学校生活の中で、なんとか楽しみを見つけ出したり、新たな目標や目的を見出したりして、逞しく生きていく中高生たち。同調圧力やコロナ差別によって人間関係までがぎくしゃくしていく中で、天体観測を通して新たな友情や交流を作り出していく様が微笑ましい。彼らを陰で支える先生たちも素敵だ。それにしても北極星が数千年に一度のサイクルで別の星に替わるって驚き!

    #ハッピー #感動する

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  • 花屋さんが言うことには

    花屋に立ち寄りたくなる

    今年、栄東中、本郷中、田園調布学園中の入試に出題された本。花屋さんの話ってあまり興味がなかったのだけど、読み始めたら面白いのなんのって。花びらと思っている所は実はガクだったり、節句の話や花言葉、和歌や俳句など花にまつわる様々な蘊蓄を交えながら心温まるストーリーが紡がれていく。ブラック企業を辞めて花屋のバイトを始めた主人公が、花を通して仕事の楽しさや自分の生き甲斐を見出していく。花屋を取り巻く様々な人たちによって人情溢れる人間関係の輪が広がっていく。そして、恋も。なんと幽霊までも。「満天星」読めないよ~。

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  • だれもみえない教室で

    大人こそ読むべき一冊

    テーマはいじめ。小6の仲良し男子5人組の間に突如亀裂が入る。リーダー格の男の子が一人の子をターゲットにいじめを始める。周りの子は戸惑うばかりで傍観者となる。危機意識がまるでない担任の先生。とまあよくある話なのだが、それぞれの立場の視点から語られる心情吐露によって、各々の気持ちの変化や葛藤が浮き彫りになってくる。成長するのは子どもだけではない。先生もまた成長する。担任の先生やいじめっ子の劇的な変化には思わず拍手。最後がハッピーエンドでホッとした。

    #ダーク #切ない #共感する

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  • 自転車少年記―あの風の中へ―

    自転車愛に溢れている物語

    初めて補助輪を外して自転車に乗れた時の感動、新しい自転車を買った時のワクワク感、友だちと一緒にサイクリングに出かけた時の未知なる冒険への高揚感、彼女と二人乗りして走るトキメキ感。小さい頃に誰もが経験した感情を大人になってもずっとキープしてる登場人物たち。八王子から糸魚川までの300キロの道のりを1日で走破した草太。別れた彼女とよりを戻すために千葉から仙台まで自転車で会いに行く昇平。自転車を通して紡がれる友情や愛情。登場人物のすべてがいい人たちで溢れている。最初から最後まで爽快感と自転車愛に満ちた物語。

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  • 氷柱の声

    新たな視点で被災地を思う

    2022年中学入試では麻布、海城などで出題された。あとがきでわかるが、東日本大震災の被災地にいながらも大きな被害を受けなかったために、被災者としての資格がないと思い悩む作者がその複雑な心境を物語に託している。「希望」や「絆」というメッセージをマスコミや周囲から強要されているような同調圧力に違和感を感じる主人公。就職も被災者枠というお情け採用がはたして救済なのか?10年経ってもロウソクや海を見られないトラウマを抱えてしまった人。陸前高田の海を毎日写真で投稿する人。それぞれに震災後の人生が続いている。

    #切ない #深い

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  • 落花流水

    昭和感あふれる笑いが楽しい

    今回は田中さんシリーズではないけど、ユーモア溢れる軽妙な会話と昭和感たっぷりのネタは健在。ホントにJKが書いたの?登場人物は進学校の高校文藝部の部員たちという設定ということもあり、いろんな文芸作品をパロったフレーズが次から次へと出てくる。これって格調が高すぎてオリジナルを知ってないと笑えない。個人的には「母さん、ぼくのヘルメットはどうしたんでせうね?」がツボった。てっきり森村誠一の『人間の証明』のパクリかと思ったら、西條八十の詩がオリジナルなんですね。高校生の純朴な心が微笑ましい爽やかな青春小説だった。

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  • なぜ科学を学ぶのか

    文系人間にも必要な科学的視点

    2021年中学・高校入試での頻出本。私たちの生活は多くの科学技術に囲まれながらも、科学に対してあまりにも無頓着であることに気付かされる。筆者は「お任せ民主主義」と呼び警鐘を鳴らす。難しいことは専門家に任せ、素直に従っていれば間違いないだろうと、自分で考えることをしなくなっている。一人一人が見識や判断力を養い、私情を挟まず議論や分析を行うことこそ、科学的であるという。原子炉やGPS、インターネット、ドローンなど科学技術の多くが軍事兵器開発からの転用というのは残念だが、どう使うかは我々人間にかかっているのだ。

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  • 空母いぶき 13

    現実にないとは言えない

    完結編。空母の有る無しで軍事的にも外交的にも優位性が大きく変わってしまう。そういう現実に一石を投じる作品。日中両国とも敵機は撃墜しても、パイロットは救助するという紳士的な軍隊で良かった。日米安保、自衛隊、憲法改正、核兵器の賛否などの諸問題をそろそろ真剣に議論すべき時に来ていると思う。

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  • 元彼の遺言状

    主人公のキャラが強烈すぎ

    「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という謎の遺言状を残して元カレが死んでいた。それだけでも充分ミステリー性が高く読む気をそそられる。そこに主人公の強烈すぎるキャラが炸裂する。元カノで弁護士の剣持麗子は指輪の値段が安いという理由でプロポーズをはねのけてしまうほどの金の亡者。元カレの死の真相よりも彼女の狙いは数百億円の遺産。犯人なんか誰だっていいというクールな女性。いくら美人でもかなりドン引きしてしまう女性なのだが、最後には意外な一面が見えてきて、結局は彼女に魅了されてしまう。さわやかなミステリーだった。

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  • あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

    せつない恋の物語

    ちょうどこの本を読んでいる時、知覧飛行場から出撃する特攻隊員に「特攻の母」と慕われていた富屋食堂のトメさんの話が新聞に載っていた。おそらくはこれがモデルになっていたんだろう。作中では鶴屋食堂のツルさん。そこへ現代の反抗期真っ盛りの女子中学生がタイムスリップ。戦時中ではどんなわがままも通用しない。明日をも知れぬ中で、日々を懸命に生きる人々。死ぬとわかっていても人を愛することの尊さ。ケータイ小説という文体の軽さはあるが、鹿児島出身の作家さんだけに、特攻隊員たちのセリフにものすごい熱量を感じる。

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  • 結婚相手は抽選で

    仮想世界とは言えないような話

    抽選見合い結婚法という設定が面白い。
    実際、これぐらい強烈なことをやらないと少子化問題は解決しないかも。
    この本にヒントを得て、政府も法制化に踏み切るかも。
    独身者は御注意!俺はもう関係ないけど。
    金持ちのお嬢様で超美人、それでいて母親依存症の奈々さんの超ドSな会話がたまらない。
    そう思ってしまう俺は超ドMなのか?見栄や外見にとらわれず、本当に好きな人を見つけることの大切さを教えてくれる作品だった。
    ま、俺には今さら遅いんだけど。

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  • ジャッジメント

    復讐は有りか?

    表題作で小説推理新人賞を受賞。この短編集がデビュー作となる。
    被害者遺族が同じ殺害方法で加害者に対して合法的に復讐ができるという「復讐法」が施行されている仮想世界の話。
    山田悠介さんの『復讐したい』が同様のテーマであるが、こちらの作品の方がリアリティーがあり、心情描写の深みがある。
    自分は死刑廃止論者だが、自分の家族が惨殺されてもなお極刑を望まずに信念を貫けるだろうか?
    ましてや、同じ手口で復讐するなんてことになったら、自分の心が壊れてしまいそうで、とてもできそうもない。
    正義とは何か?を考えさせられる小説。

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  • シシリエンヌ

    予想外の重いテーマです

    下妻物語の作者が描く官能小説。スコポフィリア、ディスモルフォフィリア、ペドフィリア、アクロトモフィリア、アマロフィリア、ネクロフィリアと聞き慣れないアブノーマルな性癖が並ぶ。
    官能小説ではあるけれど、身体障害者の生きる矜持みたいな、重いテーマでもある気がする。
    登場人物の誰一人として本名がわからずじまいというのも斬新な手法だった。
    そして最後の最後まで「貴女」の気持ちが理解できず、主人公の「僕」と同じ苦悩を味わうことになる。

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  • 働くおっぱい

    AVも立派な職業だね

    アイドル歌手なみの可愛らしい容姿にもかかわらず、びっくりするぐらいのハードなプレイを披露してくれるAV女優紗倉まなさんのエッセイ。
    木更津高専在学中にAVデビューというちょっと変わった経歴の持ち主。
    木更津高専ってけっこう頭いいし。
    私も昔受けたけど見事に落ちたよ。
    自称エロ屋の彼女は文才もあるし(たとえが実に上手)、日常のあれこれをとても深く考えていて、もはや哲学の領域。
    多少のエロネタを交えつつ、女性の生き方や仕事についての思いが真面目に語られている。
    AV女優も立派な職業として胸を張れるようになって欲しい。

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  • ディズニー・シネストーリー ムーラン

    劇場公開してほしい!

    本来は5/22に公開予定だったはずの実写版映画のノベライズ版。
    最初からストーリーがわかりきっているのに、それでも面白い。
    男装した少女ムーランが戦争で活躍して出世していくというストーリーそのもののエンターテイメント性も魅力だし、ジェンダーの固定観念を覆していく爽快感は現代の社会問題とも相通ずるものがあり、昔話とは思えない実に先見性のある物語でもある。
    魔女とかが出てきてしまうのは、いかにもディズニーって感じだけど、それを差し引いても面白いことこの上ない。
    ムーラン関係、しばらくハマりそうです。
    映画は、コロナ禍と女優さんの香港デモに対する中国政府擁護発言、テロップの新疆ウイグル自治...続きを読む

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  • ハッチとマーロウ

    二人の純真な会話に心が洗われる

    2018年慶応普通部、日大豊山女子などで出題。
    突然、ママに一切の家事を託された双子の姉妹。
    と言っても決して重たい話ではなく。
    小6なのに前向きで健気で心優しい仲良しの二人。
    ハッチという愛称はみなしごハッチ、スタスキー&ハッチ(どっちも昔観てた!)が語源と聞いただけで親しみが湧く。
    ついでに本名は嫁と同じ!
    東京から転校してきたエリーは町屋から来た!(俺の勤務先!)
    「母なる大地を、あー!」っていう歌詞も懐かしい!(中学生の時歌った!)
    なんか共通点が多い。
    二人の純真な心と会話が素敵。
    中学生なった二人も見てみたい。

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  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

    新たな視点に気づかされます

    2020年中学入試では栄光学園、中大附、東京都市大附で出題、高校入試では東京学大附で出題された。
    先日、目の見えない人に道を聞かれて、説明にとても苦慮したことがあって読んでみた。
    実は足の裏から多くの情報を得ているとか、美術館で絵画鑑賞するとか、驚きの世界であった。
    大切なのは、見えている人が強い、見えない人は弱いという無意識の上下関係を作らないこと。
    「見えないことが障害ではなく、見えないことで何かができなくなる、そのことが障害である」という言葉が胸に突き刺さる。
    障害者が引け目を感じない世の中であってほしい。

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  • 小説 チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話

    ドラマのような実話。福井が熱い

    2017年3月、映画公開1週間前に前人未到の全米選手権5連覇を達成したばかりの福井商業高校の実話。ストーリーはほとんど『青空エール』のチアダンス版。まるでフィクションのような都合のいい展開だけど、実話がベースになっている以上、突っ込みようがない。生徒の前では鬼のような厳しい先生を演じて、裏で隠れて泣いている愛情あふれる顧問の先生が素敵。そして誰もが無理と思うことをあきらめずに頑張った生徒たちも凄い。『ちはやふる』で聞きなれた福井弁がこの作品でもガンガン炸裂する。今、福井が熱い!

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  • 悲将ロンメル(電子復刻版)

    ナチスの人格者

    ナチス・ドイツの元帥らしからぬ紳士的な人格者。ドイツの将軍だったのが残念なぐらいだ。前半の北アフリカ戦線を舞台とした機甲師団の戦車バトルは見もの。迫力のある戦闘シーンで映像が目に浮かぶようだ。後半はトムクルーズ主演の映画『ワルキューレ』で描かれたシュタウフェンベルク大佐によるヒトラー暗殺未遂事件も挿入され、サスペンスタッチの緊迫感がロンメル将軍だけを描く単調さを防ぎ、作品の中に絶妙な変調を施している。とりわけラストのロンメル元帥はかっこいい。

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  • 天才数学者はこう解いた、こう生きた 方程式四千年の歴史

    文系にはちょっと難しいけど…

    この歳になってようやく数学が面白いと感じられるようになった。ド文系の私にはほとんど理解できない内容だったけど、天才数学者たちの苦労や波瀾の人生が垣間見れて、面白く読めた。昔の人って頭良かったんだなぁとつくづく思う。それにしても、天才数学者の書いた論文を二度も紛失してしまうパリ・アカデミーってどんだけ杜撰な組織なんだ?

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  • 水を抱く

    官能小説か、純愛小説か?

    こんな壊れた女性は実際いないよなぁと思いつつ、いたらいたで主人公のようにはまっていきそうな気もする。確かに刺激の少ない日常の繰り返しの中で、ナギのような女性が突如現れたら理性も羞恥心も捨てて男も壊れてしまうかもしれない。こういうぶっ飛んだ女性も個人的に嫌いではない。中盤からはストーカーの正体やナギの秘密、主人公の仕事の成否など気になって気になって読むスピードが加速する。

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  • ハンティング 下

    女性は強し!

    女性検死官サラと特別捜査官ウィルはそれぞれシリーズ化されているらしく、今回は初クロスオーバー作品だとか。とにかく女性の強さ、逞しさを見せつけられる作品だった。出てくる男はヘッポコだらけ。逆に女性たちはみな何らかのハンデやトラブルを抱えながら懸命に生きている。そういった女性ならではの悩みや問題を丁寧に描くことで、鈍感な男どもへの作者の警告とも受け取れる。派手などんでん返しがあるわけではないけれど、最後までハラハラさせるスリリングな展開にページを捲る手が止まらなかった。

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  • ハンティング 上

    残虐性がとまらない

    女性の誘拐、拉致監禁、拷問、レイプ。死体解剖とともにおぞましい拷問の方法が明らかになってくる。被害者があまりにも可哀想すぎる。今回は奇跡的に生存者がいるにもかかわらず、捜査は難航。上巻が終わっても容疑者すら浮かび上がってこない。そんな難事件に挑むのは、プライベートでいくつか問題を抱える捜査官コンビ。お互いをナイスフォローしながら難事件に挑む姿が素敵。果たして犯人にたどり着けるか? 下巻へ。

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  • 時宗 全4冊合本版

    日本を守ったのは20代の若者だ

    【巻の壱】まだ時宗は最後の最後で産まれたばかりの第一巻。主に北条時頼が5代執権に就任した前後の権力闘争を描く。やたらと兄弟や親戚が多いから、誰と誰が味方で敵なのか把握が実に難しい。北条家内部でのお家騒動に始まり、将軍家との対立や最大豪族三浦氏との対立、源氏の復権を狙う足利氏との対立など、様々な思惑が絡み合う中で、冷静に対処していく時頼が頼もしい。また、『徒然草』の中で障子の張り替えの話に登場する時頼の母松下禅尼の賢母ぶりが、ここでもいかんなく発揮されていて、兼好法師が称賛する理由も頷ける。

    【巻の弐】北条時頼の生き様が格好いい。北条家得宗としての帝王学、私利私欲のない奉仕精神、日本国の行...続きを読む

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  • 新☆再生縁-明王朝宮廷物語- 10

    大きく政局が動く!

    ボスキャラ貴妃様の突然死により、政局が一気に変わる気配。ただ相変わらず皇帝は愚帝ぶり全開だし、貴妃様の取り巻き連中も悪あがきに余念がない。そして三角関係だらけの恋愛話も皇太子の結婚によって更に複雑化しちゃって、一体どうなることやら。

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  • 新☆再生縁-明王朝宮廷物語- 9

    ボスキャラ対決!

    今までの水面下の戦いから、ついにボスキャラ貴妃様との真っ向対決に挑む主人公麗君。鬱々としていたものが一気に噴き出す第九巻。それとともに歴史の流れも大きく動いていく予感。ラストは衝撃的だが、正直スカッとしたわ。

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  • 新☆再生縁-明王朝宮廷物語- 8

    皇太子ピンチ!

    宮廷内の陰謀、暗殺が渦巻く殺伐とした第八巻。またしても皇太子暗殺計画が実行に移される。毎度のことなので、もはや驚くこともなくなってしまったが…。信頼している皇太子の側近が、ますますダークサイドに落ちていく様が恐ろしい。

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  • 新☆再生縁-明王朝宮廷物語- 7

    世界初の地震計!

    日本ではまだ卑弥呼すら登場しない西暦132年の後漢では既に世界初の地震観測装置があったというから驚きだ。候風地動儀と呼ばれるこの地震計は、震源の方向やM1~2の揺れでも観測できる優れもの。そして今回はこの地震が、皇帝陛下の決定に大きな影響を与えることになる。これもちゃんと史実に基づいているとか。天変地異=神の怒り、どこの国でも共通なんだね。

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  • 新☆再生縁-明王朝宮廷物語- 6

    加速する朝廷の腐敗

    皇帝陛下の愚帝ぶりが全開。寵愛する妃の言いなり、媚びへつらう宦官の重用、諫言する忠臣の排除、おバカ皇帝の典型。そんな皇帝と有能な皇太子との対立。中国の歴史上でもよくありがちな権力闘争が激化する第六巻。

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  • 新☆再生縁-明王朝宮廷物語- 5

    ちょっと意外な皇后選び

    外戚による実権掌握を防ぐために、皇后はあえて一般庶民の中から選ぶというのが意外だった。美少女探しに全国各地へ宦官が派遣されるというのだから驚きだ。集められた美少女五千人の候補者の中から選考に選考を重ねて選ばれるのはたった一人。相当な美女で強運の持ち主と言わざるを得ない。第五巻は恋愛話がメインで、三角関係が二重三重に絡まりあって、もはや誰がどうなってしまうのか予測不能な状態に。

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  • 新☆再生縁-明王朝宮廷物語- 4

    ついにバレたか!

    あー、やっぱりバレちゃったかー。ついに男装を隠しきれなくなったヒロイン。そりゃあ、公主様と結婚なんかしちゃったら、さすがに無理だわ。でもそのわりには、なんだかうまいこと話が進んで、むしろバレて良かったのかも。第四巻は少女コミックの本領発揮、ラブロマンス全開の内容。オジさんにはちょっと読むのがツラい。

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  • 新☆再生縁-明王朝宮廷物語- 3

    秘密を守れるか?

    そろそろ周りの者も主人公が女ではないかと疑い始めてきた。あの手この手で真偽を確かめようとするするが、いつも寸でのところで窮地を脱してしまう運の良さ。でも、もうそろそろヤバそう。貴妃一派が繰り出した妙手をどう切り抜けるのか次巻に期待。それにしても、皇帝陛下暗殺未遂とか結構ドロドロした政争に巻き込まれているのに、ヒロインの天然キャラのおかげで笑いながら読めてしまうのがこの作品の不思議なところ。

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  • 新☆再生縁-明王朝宮廷物語- 2

    権力闘争と恋愛との狭間で

    第一巻を読んですっかりこの面白さにハマってしまった。ヒロインは男装しているはずなのに、なぜか皇帝、道士、同僚と色んな男にモテまくる。しかも日本の戦国時代のように男色がわりと普通の時代のため、ガンガン誘惑してくる。また、男装する以前のヒロインに思いを寄せるイケメン皇太子と彼女と幼馴染みのこれまたイケメンの許嫁。恋い焦がれる女性が実は目の前にいるとも気づかず、恋心を抱き続ける。権力闘争だけでなく、恋愛感情にも巻き込まれていくヒロイン。さて、誰と結ばれるのか?

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  • 新☆再生縁-明王朝宮廷物語- 1

    新たな中国古典が始まる!

    新聞の書評欄で明治大学の中国文化学の教授が絶賛していたので、どんなものかと読んでみた。いやぁ、めっちゃ面白いんですけど。中国の古典小説をベースに、舞台を明朝代に変更、虚実織り混ぜた大胆なアレンジを加えコミック化したもの。会話が今どきのJKのノリで、固い歴史漫画のイメージとは程遠い。捕らわれの身となった父を救うため、ヒロインが男装をして科挙に首席合格し宮廷へ乗り込むという設定からして面白い。ちなみに三回ある科挙ですべて首席になる最大の栄誉を三元という。麻雀の役満の大三元はそこからきているそうだ。

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  • リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ

    中学入試出題率No.1

    今年の中学入試でダントツ一位の出題率だった作品。講談社児童文学新人賞受賞作品。中学入試問題に使うにしては、ちと軽すぎやしないかと思えるぐらい読みやすく、コミカルな文体。ただ、内容とテーマはとてもいい。少女たちが紡ぐ短歌はまるで俵万智さんのような短歌。日常的な何気ない素材とリズミカルな言葉を巧みに用いた秀作ばかりで、読み手の想像力を大いに掻き立てる。その想像力が思わぬ誤解を招いてしまうことになるのだが…。人種や宗教、年齢、職業にとらわれず、自分らしく生きることの大切さを教えてくれる心温まる作品。

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  • ハンニバル戦争

    こんな天才軍略家がかつていた

    世界史を学ばなかった私にとっては名前しか知らない人物。ハンニバル・レクターの方を先に知ったぐらい(笑)。天才的軍略を発揮するカルタゴの将軍ハンニバル。それに対抗するローマの若き司令官スキピオ。相手の虚を突き、裏をかき、布陣を駆使して知略軍略の限りを尽くした戦いはまさに名勝負。終始スキピオ視点で語られるため、ハンニバルの人物像や思考もすべてスキピオの憶測に過ぎず、結局ハンニバルの実像はよく分からないままだが、かえってそれが不気味さと恐怖心を増幅させる絶妙な効果をもたらしている。

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  • 空母いぶき 8

    沈黙の艦隊再び

    海中では魚雷の乱打戦。緊迫した潜水艦バトルが繰り広げられる。『沈黙の艦隊』を彷彿とさせる艦長同士の心理戦。これぞ、かわぐちかいじの真骨頂。

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  • 空母いぶき 7

    マスコミのありかたを問う!

    いよいよ尖閣諸島奪還に向けて作戦開始。知る権利を振りかざし、スクープを狙うマスコミ。昔で言えば『これから真珠湾を攻撃する連合艦隊』っていう見出しでスクープ写真を新聞に載せるみたいな。アホか。

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  • 空母いぶき 12

    11機VS35機の壮絶バトル

    自衛隊11機対中国軍35機のドッグファイト。いくら自衛隊機が強いといっても、この差を覆すのは無理だろー。一方、日本政府も一歩も引かない強気の外交交渉を続ける。アメリカの同盟頼みの自国防衛か、自力での防衛なのか、これは現実においての日本の問題でもある。そろそろ日本も真剣に考えないといけない。

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  • 空母いぶき 11

    手に汗握る頭脳戦

    潜水艦バトル再び。電子制御が当たり前の最新兵器の中で、アナログ戦法が意外に強い。太平洋戦争ではみんなアナログで戦っていたかと思うと、当時の人たちは凄いな。そして潜水艦乗りは理系の人じゃないと無理。文系の私が艦長なら、間違いなく複雑な計算をしている間に撃沈されるわな。

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  • 空母いぶき 10

    ミッドウェイ再び!

    対空ミサイルか対艦ミサイルか、どちらを搭載するかによって戦闘機の戦闘能力が大きく変わる上、戦略も変わる微妙な選択。即断即決が迫られる中での中国軍の捨て身の戦法。まるでミッドウェー海戦の再来を思わせるかのような緊迫した航空戦が繰り広げられるシリーズ最高の一冊。

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  • 空母いぶき 9

    空母決戦!

    いよいよ空母決戦。もうほとんど戦争だと思うんですけど・・・真珠湾攻撃がよっぽどトラウマなのか先制攻撃だけは絶対にしないという首相の信念。この期に及んでもまだ自衛戦闘の姿勢を崩さない日本は律儀というか真面目というか・・・下地島空港と宮古空港が空爆され、F35を7機も爆破され、もうそろそろ反撃して良いのでは?

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  • 空母いぶき 6

    日本国民よ、目を覚ませ!

    戦争回避のために外交努力を続ける政府。やっと危機感を持ち始めた国民。あくまでも自衛のための戦闘という立場を守る日本だが、ガンガンに戦死者が出てるし、もはや戦争だと思うんですけど。マスコミもねぇ、真実を追及する気持ちはわかるけど、記者会見で攻撃作戦を洩らすわけないんだから、もうちょっと質問内容を考えようよ。

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  • 空母いぶき 5

    戦闘開始!

    戦闘状態になってもなお、できるだけ敵兵を殺さないよう、兵器だけを破壊するように配慮する日本。なんて律儀なんだ。練度の高さと技術力で中国軍を圧倒する日本ではあるが、ただ敵をやっつければいいというのではなく、求められているミッションは犠牲者を出さずに無力化すること。難易度高すぎ。

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  • 空母いぶき 4

    話し合いか?戦争か?

    平和的解決を模索する政府。しかし中国との外交交渉は決裂。多良間、与那国、尖閣諸島の武力奪還が決まる。賛否分かれる世論。確かに戦争は嫌だけど、一方的に占拠され、島民まで人質にとられたら、実力行使しかないよなぁ。

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  • 空母いぶき 2

    日本に戦う覚悟はあるのか?

    映画では佐藤浩市演じる垂水総理が、迷いに迷った挙げ句にやっと防衛出動を発令したが、原作の総理には全く迷いがない。覚悟がある。果たして今の安倍政権にその覚悟はあるだろうか?

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  • 空母いぶき 1

    自衛隊初の空母出航!

    映画が面白かったので、ついでに原作も読んでみたくなった。原作は映画よりも敵国の動きが過激。でも、これはあながち架空の話とは言い切れない恐ろしさを感る。実際、F-35Bステルス戦闘機を搭載可能とする海上護衛艦「いずも」と「かが」が事実上の空母化となっており、着々と空母保有計画は進行しています。先日来日したトランプ大統領も「かが」に乗艦していましたね。那覇から尖閣諸島までスクランブル発進しても20分かかることを考えると必要に迫られているのかもしれない。

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  • 空母いぶき 3

    ついにドックファイト!

    ついに中国人民軍の戦闘機とドックファイト。自衛隊による初の敵機撃墜。自分の命よりも戦闘機を失うことを心配するパイロットがいかにも日本人っぽい。まあね1機150億円ですから。高いだけあってF35の性能は凄いなぁ。

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  • アウシュヴィッツの図書係

    ある少女の凄絶な人生

    読書すら禁止のアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所。たった8冊の本を命を懸けて守る少女ディタ。絶滅収容所とも呼ばれるその中では、常に死の恐怖と隣り合わせ。1日に何千という命が何の躊躇もなく流れ作業のごとく殺されていく。さらに暴力、飢え、チフス、コレラ、悪臭、シラミ、強制労働。生きていくこと自体が辛い中にあって、人間らしさや希望を保つ原動力となるのは紙の本や教師たちの話す物語、生きた本だ。勉強や本が嫌いという日本の子どもたちにぜひ読んでもらいたい一冊。そして90歳近い現在のディタの生き様にも感服。

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