【感想・ネタバレ】シシリエンヌのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年09月11日

 ここまで物語の前半と後半で印象の違う小説はそうないと思う。

 今まで自分が読んできた嶽本野ばら作品の中でも、秀でて告白ぐあいがすごい。どうしてこんなに倒錯した美しい世界を書くことが出来るのだろう。自分にはどう足掻いたって届きそうもない恋物語が、この小説にはある。それに恍惚として、ちょっと哀しくな...続きを読むる。この感覚は一生忘れない。自分は嶽本野ばらさんの作品の他に、醜いとみなされているものに具備する美しさを赤裸々に語れる作品を知らない。

 印象に残ったのは「僕」と「館主」のマリアについての会話と、「貴方」がyohji yamamotoを着る理由、そして、「貴方」の「僕」に対する思いだ。

 ブルーフィルムに生きるアングラ世界の住人、「館主」に「僕」は「最低ですね」と言うが、読んでいて自分もそう思った。しかし、「館主」が話を進めていくにつれ、彼の「美学のあるエロス」を聞いていくにつれ、印象がガラリと変わっていく。醜いと思っていたものが、突如、眩しいまでの美しさをまとい始める。

 「貴方」は「僕」を閉じ込める監獄であり続けた。「僕」は「貴方」を憎み、愛し、求めた。が、それゆえに「貴方」はまた、不安になっていったと語る。永遠の幸せを信じることが出来なかった、と。やはり「貴方」に対する自分の印象も、ここでガラリと変わる。そして「貴方」――「永久に枯れない薔薇」は、気高くyohji yamamotoをまとった女性であり続ける。このような嶽本野ばら独特の、「貴女」=yohji yamamoto といったファッションの役割が、ものすごく好きだ。

 今、この本にはたくさんの付箋が貼られている。すべて自分が興味を持った、或いは心を動かされた会話や表現だ。これ以上語ることも難しい。今はとにかく余韻に浸りたいような気がする。そこで、この小説で心に残った文章を引用して、強引であるけれども感想としたい。・・・・・・本当に大好きになった本でした! ありがとうございました!

『背が高い、顔がいい、手先が器用だ。――そのようなことと同一に、ハンディキャップを飽くまでポジティブに捉えようとする者達がいる。館の女優達は皆、そうなのだ。彼女たちは女優として生きることに己の誇りを持っている。彼女達は強い。しかしそれは最初からあったものではないでしょう。誇りと強さを内に秘めるまで、どれだけの煩悶と挫折、葛藤と自己嫌悪を乗り越えてきたことか。彼女達は美しい。何よりも美しい。』(本文より)

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Posted by ブクログ 2021年09月10日

信頼を置いている野ばらちゃん作品。

今回は他の作品に比べてかなりハードな性描写で休憩を挟みながら読んだが、「貴方」の痛いほどの女らしさが眩しくて心を奪われた。
見返すと殆どのページが性描写。(ただし、厭らしさ<耽美)

こんな内容なのに(だからこそ?)愛してると一言も言わなかったのが最初からねじ曲...続きを読むがった愛だなーと思う。
「貴方」は他の人ができないことを簡単にやってのけて、他の人が簡単にできることができないタイプの人間かな。
また、最初にいた主人公の彼女も中々に大人だと思った。
プラトニックラブがあるように、性的な魅力だけを愛する愛を肯定しているあたり。
やっぱり魅力的な女の人は考えすぎて何考えてるかわからない人。

あと、野ばらちゃんお得意のメゾンの名前を並べる表現、私はあれ大好きです。

野ばらちゃんの作品を読んでいると現代でよく言われている「モテる女の子の特徴!」みたいなのがよりいっそう馬鹿馬鹿しく感じてくる。
本当にモテる「女のコ」はそんなんじゃないのにねーって野ばらちゃんと語り合いたいな。

周りの人に勧めることは絶対にしない、わかる人に分かればいい作品。
野ばらちゃん作品を一通り読んだらまた戻ってくると思います。 

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年02月19日

これからもずっと心に残り続けるであろう大切な本。

哀切ながらも甘美なラストが印象的です。

結ばれないからこそ、美しいまま永遠に残る愛。

「もしも誰かが自分の心臓になってしまったら…」私も貴女と同じような決断をするかもしれません。

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Posted by ブクログ 2011年12月27日

ヒロインの女性が素敵過ぎて困った
こういう芯があってでも繊細且つ妖艶で
圧倒的な存在感がある人って素敵だなぁ…

最後は自分の幸せが怖くなったんだろうなぁ
幸せになるとそれと同時に幸せの終わりも出来てしまうから
その幸せのまま、終わらせたかったのかなって思う

いわゆる逃避行ってやつかしら

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Posted by ブクログ 2009年10月19日

メリザンドって女からみてもドキドキするほど魅力的な女性です。
彼女の選択は彼女らしいとしかいいようがない。
最初からぶっ飛びすぎだろうといいたくなるような性描写の嵐。
多分今までにないくらいの、嵐。
生々しいのに、けれどどこか品がいいのは野ばらちゃんの文章が美しいからなのだと思う。

愛っ...続きを読むてきっとこういうもっとみっともなくて、汚くてがむしゃらに溺れていくものなんでしょう。
純愛って、こういうことなのでしょう。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

これをエロ小説と呼ぶなんて馬鹿げてる、って断言できる。
こういうのを純愛って言うんじゃないのかな。
グロテスクだけど健気で美しくて、最後の瞬間、ちょっぴり涙が滲む。素敵なお話だと想う。
本当に、メリザンドは、 痛々しいくらいに女。                       強くて弱くて美しい女性と...続きを読む『僕』の物語。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

エロッ!こんなん大好き。笑
最後の展開はやるせなかったなー
ハッピーエンドが好きだから、んん〜!ってなった。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

性描写に抵抗のない方は読んでみると宜しいかと思われます。純愛だが背徳的、そんな言葉が似合う本。ラストの流れには涙しました。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

これ、最初に見たとき吃驚しました。
最後の方は慣れたけど、今思うとすげーエロチシズムな内容でしたね。えぇ。
でも、全体を通して読むと、ても美しくって、切なくて。「あー、これが人を心から愛するってもんなんかなー。」と思いました。
やっぱ、野ばらちゃんの恋愛は本当にすきだ。

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購入済み

予想外の重いテーマです

2020年12月14日

下妻物語の作者が描く官能小説。スコポフィリア、ディスモルフォフィリア、ペドフィリア、アクロトモフィリア、アマロフィリア、ネクロフィリアと聞き慣れないアブノーマルな性癖が並ぶ。
官能小説ではあるけれど、身体障害者の生きる矜持みたいな、重いテーマでもある気がする。
登場人物の誰一人として本名がわから...続きを読むずじまいというのも斬新な手法だった。
そして最後の最後まで「貴女」の気持ちが理解できず、主人公の「僕」と同じ苦悩を味わうことになる。

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Posted by ブクログ 2011年05月02日

もはや官能小説レベルに情事シーンがおおい
メリザンドの美への徹底されたこだわりが魅力的 かっこいい
野ばらちゃんらしからぬ露骨なセックスシーンやったけど終始野ばらちゃんらしくエレガント

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Posted by ブクログ 2009年11月11日

出だしから、ちょっと驚きました(笑)すごい官能的。
だけど、野ばら作品はそれだけではありませんとも。
メリザンドの決断。ペレアスの想い。切なくて苦しくなりました。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

俺は全然乙女じゃないんだけど、
実は乙女かもしれないけど、
この人の書いてきた一連の本に流れる空気、好きだ

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

性描写が細かい。しかし、とても切ないお話です。ペレアスの気持ちも、メリザンドの気持ちもわかりすぎるほど、よくわかる。やるせなくて切ない気持ちに…ただ、最後はちょっと無理やり感を感じました。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

僕は身を滅ぼすでしょう。貴方のことを明かしたら。でも構わない。貴方を失ったいま、僕は魂を抜かれた抜け殻ですから。純愛と官能の極北、衝撃の長篇

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Posted by ブクログ 2009年10月17日

2006.05. 官能小説、と言ってもいいのだろうか。下妻のはっちゃけから、やっと野ばらちゃん(なぜかどうしてもこう呼んでしまう)らしい小説だと思う。性描写が微に入り債にいり…というほど細かいんだけれど、とても哀しい物語だ。ラストは唐突すぎて、無理矢理感が残る。

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Posted by ブクログ 2015年07月13日

詳細に描写される服装の描写といい、てんこもりの性描写といい、こんなにも過剰な文章を読んだというのに、結末にはある静けさを感じる。思い出が美しいまま残るように、「終わる」ことによってもたらされる完成。

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Posted by ブクログ 2013年10月25日

「永遠の幸せではなく永遠の不幸」
本当の純愛とはこういうものなのかもしれない。
「貴方」は最高に残酷だけど、最高に魅力的な女性だと感じた。
ルージュとネイルと下着へのこだわりとか本当に素敵。

性描写が長すぎて不快ではないが読むのに疲れた。

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Posted by ブクログ 2013年05月12日

野ばら作品で初の官能小説だそうで、ものすごく期待して読んだ。
でもエロティシズム全開の表現は、粘膜や粘液ばっかり、
ぬるぬる・べとべと感がちょっとイヤ。
松浦理英子『親指P』の「フラワー・ショー」による
パフォーマンスには心踊るけど、
この館に住まうハンディキャップドの女優たちの仕事には萎え...続きを読む萎え。
「エロチカ」と「ポルノ」の違いかなあ。

この人たちの身につけるものへのこだわりは、
いつもながら見習いたいと思う。
Sabbia Rosaのランジェリーは縁がないだろうけど、
Yohji Yamamotoは好きだったな、あの時代に戻りたいな。

結末の圧倒的な不条理さには思わず言葉を失います。
これって愛? 愛の結末なの?
…あたしにはわからないし、わかりたくない。

(2006年12月作成レビュー)

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Posted by ブクログ 2012年07月05日

すっかり忘れていたんだけど、読んでみたら既読だった。
それも、3分の1くらい読むまで気付かずに読んでいた。
しかも、読みながら、「前に読んだことのある本に雰囲気が似てるなぁ。あの本はなんだったっけ・・・?」と思い出そうとしながら読んでいたのに、『あの本』こそがまさにこの本だったことに気付かずに読んで...続きを読むいたという・・・

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Posted by ブクログ 2012年06月25日

これはこれは…。
こっそり部屋で読まなきゃいけない類い…

でも愛なのかも、これはこれで。
主人公「僕」の出身地、愛用香水、現在の職業までも野ばら氏とシンクロさせてあるのはどんな意図故?

お洋服への情熱も相変わらず冷めやらないご様子。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年09月01日

欲情から始まる愛もありなんでしょう。
行為が丁寧にかなりのページを使って書かれているけれど
その詳細よりも結末が気になってしまって

3/5くらい読んだ所で途中で読み飛ばしてしまいました;

内容、結末には興味があったとはいえ
こんな読み飛ばして適当に終わらせたのなんて初かも(笑)

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Posted by ブクログ 2011年11月24日

まさか、まさかの野ばらさんの官能小説。
一度しか読んでいません。
とてもショッキングな内容。

身体障害を持つ少女たちがブルーフィルム(今でいう、AV)に出演するシーンがあるので、かなり好き嫌いに分かれると思います。

最後は切ないけど、野ばらワールド流の純愛なのだろうなあと思いました。

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Posted by ブクログ 2010年10月19日

エロティシズムの中にあるピュアな部分
それはわかる人にしかわからない。

狂ってしまいそうになるほど純情なキモチがここにあります。

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Posted by ブクログ 2010年10月17日

一人の人を思い続けるという形にとことん拘るのだなぁ。
思いを貫く為なら別れも辞さないという強烈な女性の恋愛小説だった。

野ばらさんの小説の中でも登場人物には一際癖があるかも。

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Posted by ブクログ 2010年09月15日

 この人の小説は結構好きなんだけど、これはいただけなかった・・・。
 慎ましさが感じられないです。狙ってそうしたんだと思うけど、エロ描写がもっさりすぎて読むのに疲れます。「ぶっかけ」とか、言葉を選んで欲しいよなあと。金原ひとみの「マンコ」は許せても、この作風の場合だとアンバランス。せっかくルージュと...続きを読むマニキュアのくだりとかは、色っぽいのに。

 内容も近親相姦でドロドロすぎ?比較すると鱗姫の方が好き。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

友達に貸すと「エロい」としか言われなかった本。
持ってる本の中では一番いろんな人に貸してみた本だけど、
その子達の心には「ただのエロ小説」としか映らなかったようだ。

私が感じれるのものはすべて感じ取りました。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

性描写の細かくて多い作品。でもなんとも嶽本野ばららしいと思う。好きな人は好き。嫌いな人は嫌いと分かれそうですね。洋服や音楽や化粧品における彼の嗜好が垣間見れる感じです。私は楽しめました。ただストーリーには無茶がありすぎかな。特にラストの無理やり感が否めない。官能小説。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

野ばらを見直した本。本人的には新境地を目指したんではないでしょうか。賛否両論っぽいですが、私はこの作風嫌いではない。

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Posted by ブクログ 2015年02月09日

ちょっと私には衝撃的すぎた…。
冒頭は読みすすめるのが辛かったです。

めちゃくちゃ官能的なお話。
でも後半からラストにかけてが切なかった。切なすぎた。
ペレアスの切なさも理解できるけど、メリザンドの気持ちがわかりすぎて痛かった。
野ばらさんらしい、やるせなくて切ない本でした。

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Posted by ブクログ 2011年03月05日

余りに悪夢が強固過ぎるのなら、その世界から貴方を解き放つ為、僕は拳銃を撃つしかないのです。
(P.290)

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