あらすじ
科学・技術に立脚した文明社会を生きる私たちは、日頃から科学的な見方・考え方を鍛えておくことが大切です。情報を鵜呑みにせず、個人の感情や経験を交えずに、様々な側面から物事を見る、科学的な考え方を身につけよう。
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文系人間にも必要な科学的視点
2021年中学・高校入試での頻出本。私たちの生活は多くの科学技術に囲まれながらも、科学に対してあまりにも無頓着であることに気付かされる。筆者は「お任せ民主主義」と呼び警鐘を鳴らす。難しいことは専門家に任せ、素直に従っていれば間違いないだろうと、自分で考えることをしなくなっている。一人一人が見識や判断力を養い、私情を挟まず議論や分析を行うことこそ、科学的であるという。原子炉やGPS、インターネット、ドローンなど科学技術の多くが軍事兵器開発からの転用というのは残念だが、どう使うかは我々人間にかかっているのだ。
Posted by ブクログ
「科学する」とは
①仮説を提案する
②実験・観察を行って仮説を検証する
③過不足なく検証できれば法則として採用する
上記の過程をいう。
この過程を色々な物事に当てはめて、科学的に考えるとはどういう事かというのを具体的に示している。
また、最終章では今科学を学んでいる若者へ向けてのメッセージとなっているが、
その全てが今のコロナ禍で自分が、そして世の中の科学者が科学的思考に基づいて色々な判断をしているかどうか自省する内容となっている。
本書を読むと世の中で批判されている某専門家が科学的にはとても真っ当だということがわかる。
Posted by ブクログ
筆者は、科学に依拠する部分が多い時代だからこそ、科学がからむ問題に対して適切な決断ができるよう、科学(的な考え方や手法)の特性ゆえの限界や負の側面を知ることが大切とし、本書でそれらについて説明しています。
・科学では、現象のうち、調べたい事柄だけにしぼって問題を単純化した上で法則を導き出す方法(要素還元主義)をとってきた
・もちろんそれで解明が進んだ部分も多いが、それだけに、現実には、科学だけでは解けない問題もあり、それをトランスサイエンス問題と呼ぶ
・特に個人の特性に関わるようなことについては、科学では統計をとって確率としてしか結論をだせないことがある
・しかし現実には選択が必要なことも多いため、リスクの評価(許容可能なリスクの範囲を便宜的に決める)などの対応が必要。
研究データの保存公開の重要性にもふれられていました。
Posted by ブクログ
若い人達への科学啓蒙書。現在の文明社会を生きるには、科学的な見方・考え方を日頃から鍛える必要がある。様々な事象に対し科学的な考え方があれば、より良く生きることができるはずと言う。
自分が若い頃は、好き嫌いは別として科学的な考え方を持つこと、勉強することは当然の事と思っていたが、こういう本が若い人向けに刊行されるということは、科学嫌いの子供達が増えているのかもしれない。様々な情報が氾濫して、メディアで流される情報が必ずしも正しいとは限らない。情報を鵜呑みにして失敗する人も多い。だからこそ科学的な見方を鍛える必要があるのだろう。でもそういう観点で読むと、著者がこの本に書いたことも多少見方が分かれるかもしれない。