【感想・ネタバレ】目の見えない人は世界をどう見ているのかのレビュー

あらすじ

私たちは日々、五感――視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚――からたくさんの情報を得て生きている。中でも視覚は特権的な位置を占め、人間が外界から得る情報の8~9割は視覚に由来すると言われている。では、私たちが最も頼っている視覚という感覚を取り除いてみると、身体は、そして世界の捉え方はどうなるのか――? 視覚障害者との対話から、〈見る〉ことそのものを問い直す、新しい身体論。生物学者・福岡伸一氏推薦。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ずっと気になっていた本。
障害があることはイコールマイナスではない。それは健常者の発想というところに、まずハッとした。障害者と聞くと、うっかり不自由な人、できない人というイメージを抱きがちで、だからこそ周囲がサポートしなければいけないものと思ってしまう。
でも彼らには彼らにとっての世界があり、身体があり、見え方がある。
五感についての記述がとても良かった。普段の自分の感覚の使い方、体の使い方を見直すと、気が付かなかったことにたくさん気がつけた気がする。

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2025年10月27日

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点字識字率が一割程度しかないこと
触るということのセンシティブさ
足の感覚の重要性
回転寿司やレトルトパック、自動販売機は何かよくわからないから運試しのような感じ
見るということは取捨選択がある、例えば裏側が見えなかったりする
見えないことによって全体をよりリアルな形で理解することもある

思ってたのと違うっていうのがたくさん

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2025年07月16日

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筆者の伊藤さんの考え方がとても柔らかく、語り口も優しく、今までいかに凝り固まっていたかと刺激になった。
見えない人にしか見えていない世界、見えていない世界をどう見ることができるのか、とても気になった。

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2025年07月05日

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ネタバレ

正にタイトルの問いの答えが知りたくて読んだ。
視覚障害者ならではの大岡「山」駅の捉え方など、そうやって捉えるのかのいう発見がいくつもあり、新たな視野が開けた気がする。
「見える人が目で見て済ませていることの多くを、見えない人は記憶で補っている。」というフレーズがとても印象的だった。

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2025年03月20日

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ネタバレ

# 不可逆な視界——「見える世界」に縛られている私たち

## 面白かったところ

* 目の見えないヒトを何人もヒアリング・同行している生の体験が文章経由でリアルに感じ取れること。
* 「道から自由」という言葉が含蓄あるなあと感慨深かった。

## 微妙だったところ

特になし

## 感想

きっかけはWebアクセシビリティ対応の仕事に取り組み始めたことにある。
Mac OS準拠のVoiceOverを使って雰囲気でテストしていたが、このしごとは本当に届くべきヒトに届いているのかわからなかった。
自分は目の見えないヒトの友人がいないから、まず文章にあたろうと思ってこの本を取った。

本書の中では様々な視点から目が見えるヒトの風刺があって、たいへん刺激に満ち溢れている。特に「目の見えないヒトは道から自由」という言葉と「目が見えているヒトも盲目」という表現がぶっ刺さった。

「道から自由」という言葉は、進撃の巨人のラストの解釈と似ていてハッとさせられた。縛られるのが嫌で自由になろうと藻掻き苦しんでいたエレンは、実は自由に縛られたという残酷な真実。「目が見えているヒトも盲目」という言葉日も通ずるが、道が見えている時点で、道を知らなかった世界線にはもう戻れない。不可逆。その点、目が見える我々は道から不自由である。だからどうということはないが、このレベルの視座の考え方を得られたのは大変面白かった。

生まれたばかりの子どもは目が見えているが、母親という存在以外はよくわからない。赤ん坊と母親の境界が曖昧で、母親のことを自分の体の延長とさえ解釈している。だからこそ、世界を目で見て「自分」と「自分以外」の境界を作っていく作業が大切。改めて言語化されるととても面白かった。

一つ上の視座を得られる一冊。

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2025年02月16日

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目の見えない人の話であるが、国や性別年代の違いについての見方にも素敵なヒントをたくさんもらえた。著者の伊藤先生は生物学から美学に転向されたそうだが、そこが繋がっていくのがとても新鮮で、でも納得がいって面白かった。先生の考えがあたたかで明確だからなのだと思う。
情報と意味の違い、障害が痛快になることなど、あらゆる差異を大切に面白がる視点を、同世代のお母さんでもある先生から投げかけてもらえたのは、難しい世の中を生きていく上でとても元気の出る体験だった。他の著作も是非読んでみたいと思う。

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2025年01月19日

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課題図書だったけど非常に面白かった。
偏見はどこから生まれるか、我々健常者は果たして健全なのか。色々考えさせられた一冊。

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2024年11月24日

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『視覚を使わない体に変身して生きてみる』
まえがきにあったこの目標を、見事に達成して本を閉じる。

見えない人のやり方、頭の中、体の使い方、コミュニケーションの取り方があり、それは少なくとも私の中にはなかったもので、新鮮さを感じるとともに新しい世界の見方を手に入れたような感じる。新しいサーチライトを手に入れたような。
一見視覚を使わない行為であっても、独特のやり方があり、見える人が無自覚に視覚を使って理解していることを逆に知らされた。

身体論についてよく知らない私は、まえがきの解説で一生懸命頭を捻っていたのだけど、そこの理解は置いておいても大丈夫、本編は明快で、納得感を持って読み進められた。

「あなたはそうなのね」「私はこうだよ」
こういうやり取りがもっと気軽に行えるようになればいいなと思う。

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2024年09月22日

購入済み

Want to repeat!

I really loved each stories in this book. I have a father who has been blind for long time and this noted me that how "I" should see his vision and his life as if I was him. I will definitely go back to read again because I did not get many points and would love to read it again to get more understanding! and I am glad that I could read this book on online because since I am not living in Japan right now, I was looking for a digital one for this book, and I eventually find this site!!

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2020年11月06日

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目が見えないと指先の感覚が異常に鋭くて嗅覚で何でもわかっちゃう、みたいな先入観を気持ちよく訂正してくれる。ある、ない、ではなく違う2つのものがありそれをフラットに見て感じることができるのが理想だなと感じた。視覚に頼りすぎている自覚をし、電車で目を閉じて足裏の感覚に集中してみた。わくわくする本だった。

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2025年11月30日

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ネタバレ

これも脳の多様性なんだろうなーと思いながら、

目の見えない人に焦点を当てるすることで、そのおもしろさをあらためて感じました。

本書はとても読みやすく、空間、感覚、運動、言葉、ユーモアの5テーマから、著者が5人の今は目の見えない方々とのやり取りなどを通して気づきを受けた言動などを組み合わせ、見えない人が世界をどのように見ているかを、考えていく作品になっています。

とくに現代社会のさまざまな事柄が、視覚に偏重気味であることにも気づかされ、だからこそ、目が見えない場合を想像したり、目の見えない人の脳や身体のつくりを学ぶことは、普段の当たり前の世界を相対化させるための触媒になるのですね。

言葉のところで、

見えない人の「見える」に関わる慣用表現を吟味すると、視覚だけが「見る」ための必須条件ではないのでは、と考え始める著者。

見る、とは、実物を目で見るだけではなく、頭の中で見る、ということも含んでいる、、とかとか。

一見すると、視点、視野、注目する、

それ以外にももっといろいろありそう、見識、見どころ、予見…

言葉に、視覚への偏重が反映されている、ともいえるのか、どうなんだろう。

目で見る、ということも、しくみとしては目からの情報を頭の中に投影している、のだから、

その頭の中に投影したものについて、見る、と言っているのであれば、それは目からではないことも含んでおり、見る、は想像する、ともいえるのかもしれないですね。

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2025年07月22日

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見るために使われる脳の機能を、他の情報を得るために使われる。「何を使おうができれば良いじゃないか」という筆者の言葉が好き。

筆者自身は視覚障害者ではなく、彼らの堂々とした言動に毎回驚かされるという。

個人的に面白かったのは、電車が急ブレーキしたときに視覚障害者はしっかりと軸がぶれずに立っている話。細かな振動も足の裏や音で敏感に反応しているから、事前にある程度予測ができるそう。

これは動物にも似たところがあるのでは?
よく留守番しているペットが、飼い主が家に近づくだけで(まだドア付近にではないのに)敏感に反応する。これも地面に近いからこそ、さらに「見える」世界があるんだろうなぁ。ロマンだ。

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2025年06月24日

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タイトルの通り、「見えない」人が世界をどう「見て」いるのか、空間・芸術・スポーツ・ユーモアなどの観点から書いている本
前書きにあったとおり福祉の本ではなかった

障害はアンタッチャブルなものではないのでは、距離を置いて大事に大事に接するのではなくもっと近所の人と話すみたいに接したらいいのでは、という筆者の考えが伝わってきた

引っ越した先がたまたまよく白杖を持った人を見かける土地で、でも白杖がなかったら気づかないくらい待ち合わせしたり集団で笑いながら歩いてるから、どんな風に世界を見ているのかなと思って読んだ本

普段から地形を立体的に捉えてるから富士山のイメージも3次元の円錐形、対して見える人は絵のイメージが強くて平面の三角形
っていう違いが面白いなと思った

正直どう接していいかわからなくて距離を置きがちだったけど、本を読んでちょっとだけ気楽に接することができそう

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2025年06月01日

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空間認知と器官観の話が面白かった。普段いかに脳内想像を怠り視覚に頼っていることを実感した。
特別視せず面白がることで対等に接する、という考え方にも共感。「障がい者」表記問題についても、同感。個人モデルではなく社会モデルの方が私は馴染みが良い。

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2025年05月06日

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ネタバレ

「見える人」が見えるゆえに空間を平面的に認識し、見えない人が立体的に認識しているというのがおもしろかった。

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2025年04月18日

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新しい発見の宝庫だった。
目の見えない人の世界の見方、所謂、環世界を味わうことができたと同時に、障害者との繋がりの選択肢が開けた気がする。

どうしても健常者は障害者のことを「自分とは違う存在」として福祉的に接したり、距離を取ってしまったりすることがある。
その凝り固まった先入観や距離感を、視覚障害のリアル知り、理解することでほぐすことに本書は成功している。

視覚障害者の身体の使い方や世界を「見る」方法、健常者と共に「作り直す」新しい美術鑑賞など、知らなかった事をたくさん知ることができた。
当たり前が覆される、それとして認識していたものに新しい見方が生まれてハッとさせられる。そんな感覚を覚えることができる本。

違いや差異を楽しむような感覚に達することができた時、「特別視」や「対等平等な関係」を超越できる。
そして、「共生社会」というお堅い言葉よりもさらに柔らかくハッピーな、「互いに揺さぶられる関係」、著者の言う「揺れ動く関係」と呼ばれるようなつながりを築くことができるのだろう。

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2025年03月17日

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ネタバレ

薦められて読んだ本。
いちばん影響を受けた本であり、価値観をひっくり返してくれた本、と聞いて読んでみようと。

自分の考えがいかに浅かったか。そりゃそうだよね、と驚きの連続。想像力の欠如に情けなくもなったけど、それよりすごい!おもしろい!の方が強くてポジティブに読ませてもらった。

障害は欠損ではない、というようなニュアンスの言葉はよく聞くけど、その意味を本当には理解してなかったように思う。そう思うべき、そうであるべき、というか教科書的なというか。
4本足の椅子から1本抜いたら倒れるけど、もとから3本足で作られた椅子はバランスの取り方が違うので倒れない、という話がわかりやすかった。

見える人と見えない人の空間の把握について。
少し前にある映画を見て、生まれた時から目の見えない人の感覚世界について想像したとき、思慮が足りず自分の脳内には真っ暗闇が浮かんでいた。でももちろんそんなことはなく、何ていうか目から鱗ってこの感じかと。
脳の視覚を司る部分が変化していく話も興味深かった。

環世界とチョウの話も。
個人的な解釈だけど、結局どの生き物も自分の見方をしているのであって、自分と隣の人が同じように世界が見えてるかどうかなんて誰もわからない。つい「正解」の見え方があると思っちゃうけど、結局は対象をどう知覚するか。人間は視覚に頼りがちな生き物だけど、それが「正解」って訳ではない。
今の社会は見える人向けにカスタムされてるから、目が見えない人達にとっては不便を感じることも多いかもしれない。ただ、必要なサポート方法はきっと一律ではなく、その人に聞いてみないとわからない。善意を断るのは心苦しいかもしれないから、押し付けるのはやめようと思った。

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』という本も気になっていて、アートなんてそもそも解釈がそれぞれなのにどうやって伝えるんだろう?と心に残っていた。
これを読んで、そもそも自分の理解が間違っていたことがよくわかったし、この取り組みはすごくおもしろいと感じた。機会があったら参加させてもらいたいくらい。

ソーシャルビューについて。自分の漠然とした思い、というより感じたレベルのものを言葉にすること。他人の目で見ること。
自分も、あそびの多いアート展なら何度か行ったことある。でも芸術ってよくわからないしハードル高いなと敬遠してたけど、こういう受け取り方ならやってみたい、おもしろそうと思えた。

絵について。見える人、しかもプロである学芸員さんでさえ、必ずしも全部を理解できているわけではない。だから自分たち見えない人が引け目を感じることはない、という言葉は真理だと思った。

視覚障害のある方のユーモアについても同感。R-1にも出てた濱田祐太郎さん、ほんとおもしろいもんなー。

本筋からはズレるけど、個人的にはここも興味深かった。

「生物は、たとえば歩くために使っていた前脚を飛ぶために使えるように作り替えました。同じように、事故や病気で特定の器官を失った人は、残された器官をそれぞれの仕方で作り替えて新たな体で生きる方法を見つけます。前者は何千万年、何億年、後者は数ヶ月や数年とかかる時間はだいぶ違いますが、どちらも同じ、器官から予想もしなかったような能力を取り出しているのです。」

生き物の生存戦略の話が好きで、どうして?と聞きたくなるような進化を経て脈々と生き抜いてきた種に感動することも多い。もしかしてそのきっかけってこういうところから始まったのかも、と想像して興奮した。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

伊藤亜沙さん著「目の見えない人は世界をどう見ているのか」
久し振りに実用書的な本に手を出した。
なおすさんのレビューを観て自分も読んでみる事に。かなり評価が高い本なので年末に購入し内容に期待していた。

自分の経営する居酒屋に今は亡くなってしまったが先天的に全盲の方が頻繁にいらしていた。その方はただ目が不自由というだけで普通に飲食していたし、ベロベロに酔っぱらって帰る事も多かった。
「右から皮、ネギマ、つくねですよ」とか言ってあげれば手探りで串を触りながら焼鳥を楽しみ、毎日替わる「本日のおすすめ品」や「本日の日替わりメニュー」等の黒板等に書き込んでいるメニューも口頭でお勧めすれば他の健常者の方々よりも楽しんで飲食している様に感じていた。
お会計もお札に印字されている点字を触りながらお札の種類を間違える事などなかった。

その方とよくいろんな話をしたのだが凄く記憶にあるのがその方のお母さんの教育方針。
子供が全盲として生まれ、視力抜きで一人前の大人にするために考えて全寮制の盲学校に幼い時から入寮させたという。親として過保護にしてしまいがちだがあえて子供の未来の為にそうしたというのだ。
そのため彼の一般教養は素晴らしく高く、普通の人が視覚から得る情報はすべて聞いたり触ったりして知識として記憶していると言っていた。
その彼の人生は母親の素晴らしい決断があったからであるだろうし、その決断がなければ彼はもっと不自由した人生だっただろうなと思ったのを思い出す。

そしてその彼は盲目のギターリストで1000曲以上の曲を記憶していると言っていた。楽譜を読む事は当然しないので曲を聞いて記憶してしまうらしい。この本にもあったが視覚を使わない分、確かに脳の他の部分が研ぎ澄まされているのだと思う。自分もギターをかじったが曲のコードなんてコード譜が無ければせいぜい10曲覚えているかどうか…
その100倍以上を記憶している彼の脳の力に驚いたものだ。

今もパラリンピック競技のゴールボールの強化選手がよくきてくれている。彼らもまた視覚に障害を持つ方々である。
しかも彼らは前回のパリオリンピックの金メダルを持参してくれて、金メダルを惜しげもなく触らしてくれたりオリンピックのエピソード等々、他のお客さんも交えて凄く楽しい貴重な交流をしてくれる。
彼らだからでしかできない事を目の当たりにして、自分はいつも尊敬と感心と敬意を抱かされる。共通してなによりメンタルと気持ちが本当に素晴らしい。

この本がもっと世に溢れ、「障害」に対しての固定観念と先入観による偏見が良い意味でもっとフランクになればと思う。
ある意味で彼らにしかできない事に触れ、見えるという自分の愚かさを知る事もしばしば。
できるだけ多くの人に感じて貰いたい。

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

語り口が穏やかで敬意に溢れておりそれでいて簡潔。良い著者だった。助けてあげる、に穏やかにユーモアを交えて違う視点を提示する。かくありたいものです。

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2025年01月03日

Posted by ブクログ

タイトル通り、見えない人の世界について触れられる本。
見えない人には、表と裏、外と内、のようなある種の評価みたいなものが存在しないという話があり、言われてみればそりゃそうだとなるけど、こんな基礎的な語彙の違いにも自分では気付けないのが、嫌ですね。
見えない人って世界がどう見えてるんだろう??という興味本位で読むのにとてもおすすめの本です。
さらっと読めます。

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2024年12月21日

Posted by ブクログ

目が見えないことが当たり前の日常ではどのように物事を捉えているのか、目の見えない人に対して目が見えている人が(無意識のうちに)陥りやすい誤解などにはどういったことがあるのかが知りたくて読みました。少し物足りなさを感じましたが、触れずに楽しむ美術鑑賞(本書では「ソーシャル・ビュー」と呼んでいる)については知らなかったので、知ることができて良かったです。「見えないことと目をつぶること」の違いについては、三脚と四脚の椅子が例に挙げられて上手く説明されており、なるほどと腑に落ちました。目が見えないこととは関係ありませんが、著者の専門である「美学」というのも初めて知りました。

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2024年11月24日

Posted by ブクログ

数年前にNHKスペシャルか何かで生命をテーマにした番組に出ていた著者がずっと気になっていて、何か一冊読んでみたいなと思って読んだ本です。
期待を裏切らず、面白く興味深く読みました。
著者は「視覚障害者」と言わず「見えない人」と言っている意味が、とても分かりやすく述べられています。
見えないことが全て悪いことではない、捉え方が違うだけで、むしろ晴眼者(見える人)よりも多角的に事物をとらえ理解していることは尊敬に値すると思います。
見える人向けに作られた社会なので不便なことがあるだけで、見える人より劣っているわけではない。私たちは見えているけれど、それは一部分でしかないということを感じ、世界が少し拡がりました。未知ではありますが。
本に出てきた、ダイアログ・インザダークという体験施設に行って未知の世界を体験してみたいと思いました。

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2024年10月15日

Posted by ブクログ

自分が気付かぬうちに持っていた目の見えない人に対する偏見に気づかせてくれた。
目の見えない人には目の見えない人の感じ方や世界があって、晴眼者が一方的にサポートしなければと思い込むのは傲慢なのかも。
見えないからこそ、聴覚や触覚から様々なことを鋭く感じ取る。
見える人が視覚情報に依存し、知らぬ間に固定化して捉えていることを柔軟に分析している。
弱視や途中失明など、色んな種類があって色んな人がいるからこそ一概には言えないが、こういう人生を歩んでる人もいるのかと新鮮な視点を与えてくれた一冊。

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2024年10月13日

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障害者と聞くと重く感じてしまいがちだが、本書は視覚障害を1つの特性、生き方として軽やかな語り口で綴っている。
著者の見える人と見えない人の違いを面白がる、見えない人を特別視するのではなく、ご近所さんのように捉えるという視点がとても良かった。
見えない人がハンデを負っているのは事実だが、彼らは彼らの生きる術を持っている。制限がある分、主観を交えずに客観的に物事を捉えると同時に、柔軟に対応してある。
「自立とは依存先が多いこと」という文章にハッとさせられた。これは健常者も同じである。人は1人では生きて行けず、社会は支え合いによって成り立っている。
本書を通して、今まで知らなかった生き方、世界の捉え方を知ることができた。好奇心とユーモアは、健常者であっても、障害者であっても生きることを少し楽にしてくれる。

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2024年10月10日

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白杖を使ってる人をたまに電車で見かける。なにか目の見える私に手伝えることがあれば、と思うけど逆に突然私が入ると困ることもあるんだろうなぁと思った。
この本とは全く関係ないが、盲目の漫才師の濱田祐太郎さんのネタはまじで面白いから見てほしい。

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2024年10月05日

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目が見えない人の視点で世界をどのように感じているのか知ることができて面白かった。
視覚が使えないからこその感じ方があるのだなと知った。
また、障がいがあるとどうしても助けなきゃという福祉の精神が働いてしまうが、それが対等ではないというのもそうだと思った。

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2024年09月29日

ネタバレ 購入済み

新たな視点に気づかされます

2020年中学入試では栄光学園、中大附、東京都市大附で出題、高校入試では東京学大附で出題された。
先日、目の見えない人に道を聞かれて、説明にとても苦慮したことがあって読んでみた。
実は足の裏から多くの情報を得ているとか、美術館で絵画鑑賞するとか、驚きの世界であった。
大切なのは、見えている人が強い、見えない人は弱いという無意識の上下関係を作らないこと。
「見えないことが障害ではなく、見えないことで何かができなくなる、そのことが障害である」という言葉が胸に突き刺さる。
障害者が引け目を感じない世の中であってほしい。

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2020年12月14日

Posted by ブクログ

ケア文脈で手に取った本。自分自身、片目生活をしていますが、盲目の世界はやはり別世界だと感じた。ただそれを悲観的に論じるのではなく、ポジティブに障害に目を向けられる良書だと思う。また見える人も盲目であるという表現は納得。我々は目に頼って、見えてないことがたくさんあると思う。

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

自分と違う他者、特に目の見えない人の存在や感じ方、世界の見え方を、「実感」として感じたい

この本書の目論見が興味深く感じた。
他書でも同様の視点があるとは思うが、身体性に根差した「実感」したいというところが、ストーリーやエピソード中心で内容が進む本書の特徴に感じて、楽しく読めた。

私はこれまで他書で、人権概念に根差す、社会モデル、インクルーシブといった理想/概念を触れてきたたが、本書でユーモアとして描かれる、健常者向けにデザインされた社会を障害を前提に、面白がるという視点は、所謂の理想とは違うアプローチで「痛快」に感じた。そして、それは「痛」くて「快」いというのは、言いえて妙。

また、いわゆる健常者でも、多かれ少なかれ、社会との軋轢あり、この視点は、あらゆる人の痛快に通じると思った。
例えば、多くの人(多くの健常者)に愛される伊坂幸太郎の小説は、大きな社会の仕組みに翻弄される物語を、時にユーモアを持って描かれるが、社会/世界を自分の視点で取るということと同じことなのかなとおもった。

その意味でも、自分の視野を広げてくれる良書に感じた。

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2025年10月13日

Posted by ブクログ

見えていない方は立体的に捉えたり感覚が重視されたりなど、見えている自分はいかに目からの情報に頼りきっているのだろうか。

何かお手伝いできることはないか?と動くのはある意味見えてる立場の傲慢さかも知れない。

また、障害者雇用を取る会社は多くあるだろうが、自分の知る範囲では視覚障害の方を採用という話は聞かなかったりする。(あるなら、それで問題ないのだが)

この本をきっかけに、視点視座を変えながら、あらたな学びや気付きが得られればと思う。

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2025年05月03日

Posted by ブクログ

目の見えない人、障害者を隣人として捉える。本当の意味で寄り添うとはどういうことなのかを考えさせられる。障害者だからこその自由さ不自由さ、また健常者だからこその自由さ不自由さをユーモアを持って表現されていておもしろい。

障害があるから「できないこと」ではなく、「できること」に注目する。

最近腰痛に悩む日々、そういうのも一つの障害かも。ユーモアをもってそれに向き合っていきたい。

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2024年11月17日

Posted by ブクログ

障害を特別視するというより、健常者と同じく生活できることが、社会の目指す姿であると感じました。
また、視覚障害者はものを見えない分、物事全体を把握してイメージするのに対して、健常者は自分が見える部分だけを信じて、見方の偏りが生じやすいです。この点と言いますと、もはや視覚障害者の方が健全であると思いました。

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2024年10月21日

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