工場日記

工場日記

1,155円 (税込)

5pt

4.0

新進のうら若き女性哲学教師が教職をなげうち、未熟練の女工として工場に飛び込んだのは、市井の人びとの疎外状況を身をもって知るため、というだけではなかった。「人間のありのままの姿を知り、ありのままを愛し、そのなかで生きたい」という純粋かつ本質的な欲求による、やむにやまれぬ選択であった。だが、現実には激しい労働と限りない疲労に苛まれ、心身は限界に達する。過酷な日々を克明に綴った日記は問いかける、人間性を壊敗させる必然性の機構のなかで、はたして人間本来の生は可能なのか――。これは極限の状況下でひとりの哲学者が自己犠牲と献身について考え抜いた、魂の記録である。

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工場日記 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2021年11月10日

    とてつもない本だった。シモーヌ・ヴェイユという人物はとても偉大な女性だ。
    この本の最初200数ページほどは、素朴な日記、あるいは日誌のような形式で書かれている。淡々と書かれた中に、職場の人間関係や、思ったことが散りばめられている。そして、最後の数十ページは、彼女が宛てた手紙が載せられている。わたしは...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年03月18日

    労働環境の劣悪さ。隷属状態。当時の工場労働者の悲哀がリアルに伝わってくる。苛烈な抑圧による思考停止。そこれは現代社会にも置き換えられるものだ。

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    Posted by ブクログ 2022年10月10日

    ヴェイユが過酷な工場労働をし、最終的には1日当たりのネジの数ばかり記録している痛ましい記録。最後の方の手紙でぎりぎり体裁を保っている感じだ。

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    Posted by ブクログ 2022年01月02日

    考えることが削られていく感覚の描写が、読んでいて辛い。
    こういう生々しい労働の現実を知らずに、あれこれ哲学したり、倫理的に考えたりすることは、虚しいことなのではないかと思う。

    医師や看護師が働く現代の病院にも当てはまるよね?と思った。

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    Posted by ブクログ 2023年04月17日

    同じ頭痛持ちとして、頻出する頭痛の訴えがとにかく胸に迫り、痛ましかった。私には無理だ…。
    他者という人間を人間扱いする、こんなシンプルなことが実は非常に難しく、私たちは誰一人としてできていないことを日々痛感している。せいぜい、半径1mの手が届く人間のことしか本当に「人間」としては考えられない。コミュ...続きを読む

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