小説 - 文春文庫作品一覧

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  • 憑流(hyoryu)
    3.5
    名家・朝比奈家が迎えた長男の嫁・苑香(そのか)。結婚後、長男は輝くようなオーラが強まりツキと運に恵まれる一方で、苑香にとって邪魔な者が、なぜか次々と姿を消していく。結婚を懸念していた祖母が急逝、母は特定できない疾病に罹り、家族同然の使用人も突然去った。一家に起こる悲劇の連鎖。妹の真希だけがいいしれぬ違和感を覚え、じっとり絡みつく恐怖に怯える。体に金色の帯模様をもつあの女は、一体何者なのか? 誰が味方かわからない、傑作心理ホラー長篇!
  • 漂流裁判
    -
    1巻468円 (税込)
    「強姦致傷および強姦罪──被告人を懲役三年六月に処する。」喫茶店ウェイトレスの知子からレイプで訴えられ、一審で有罪判決をうけた紺野喜一。真っ向から対立する二人の主張を、紺野の担当弁護士・深水耕介が丹念に確かめていくと、知子には他に男が、紺野には婦女暴行の前科が。転々とくつがえる知子の証言、事件の背後にチラつく喫茶店のマスター、店の常連客、厳格な知子の母親……男女の密室の“真実”に迫りきれるか!? 手に汗にぎる傑作法廷小説!
  • 漂泊者のアリア
    3.0
    1巻480円 (税込)
    “歌に生き恋に生き”た世界的に名を馳せたオペラ歌手藤原義江。英国人の貿易商を父に、下関の琵琶芸者を母に持った義江の波瀾の人生を描いた直木賞受賞作。(田辺聖子)
  • ひるの幻 よるの夢
    4.3
    孤高の老作家への作家秘書の秘めた想い……表題作、若い男より老人の持つ乾いた匂いに惹かれる愛人……「静かな妾宅」、義理の息子への激しい肉欲……「秋桜の家」、あらゆる美に執着する醜い男……「彼なりの美学」、年下の青年の力強い手の感触に惹かれてゆく中年女性……「シャンプーボーイ」。単純な性愛だけではない、男女のひそやかで強烈なエロティシズムの世界を描いた6篇を収める。きめ細かに官能の世界を描き続けてきた著者ならではの短篇集。
  • ヒート アイランド
    3.8
    1~4巻649~743円 (税込)
    渋谷で会員制ファイトパーティーを開き、トップにのし上がったストリートギャング雅(みやび)。頭(ヘッド)のアキとカオルは、仲間が持ち帰った大金を見て驚愕する。それはヤクザが経営する非合法カジノから、裏金強奪のプロフェッショナルの男たちが強奪したばかりの金だった。大金をめぐって、少年たちを追う強奪犯、強奪犯を追うヤクザ、そのヤクザを追う別の組……息詰まる攻防を描いた傑作長篇ミステリー。アキを主人公とするシリーズ第一作。
  • 美食倶楽部
    -
    モデルクラブの女社長・祥子の人生最大の楽しみは食べること。齢下の恋人はいるものの、膨大な金と時間を食べ歩きに費やしている。ある日、中年の建築家・丸岡と知り合い、食べ物に無頓着な丸岡の態度に心魅かれるのだが──食の華やぎを随所にちりばめた表題作。地方出身であることにコンプレックスを覚える女性が、結婚を機に都会の象徴としてあこがれた町に引っ越すことになる。そこは一軒家で、地元意識の強い老齢の女性と同居するのが条件だった──傑作中篇「東京の女性」。
  • 天才たちの値段 美術探偵・神永美有
    3.4
    「その絵がもし贋物なら、見た瞬間、苦みを感じ、本物なら甘みを覚えます」。美術品の真贋をその舌に感じる味覚で見抜く美術コンサルタント・神永美有。 短大の美術講師・佐々木昭友にもたらされた、「ボッティチェッリの『秋』が発見された」との情報、半信半疑で出かけた佐々木だが、同席した神永は絵を見た瞬間、強烈な甘みを感じたという。「秋」はイタリア・ルネッサンス期の巨匠の真筆なのか、それとも手の込んだ贋作なのか?  ボッティチェッリ、フェルメールから正倉院御物、江戸時代の涅槃図まで、美術にまつわる謎を解く5篇。 解説・大津波悦子
  • 注文の多い美術館 美術探偵・神永美有
    3.2
    人気の美術ミステリー、シリーズ第3弾! 舌に感じる味覚で美術品の真贋を見分ける美術コンサルタントの神永美有と美大の准教授・佐々木昭友、佐々木の元教え子で芸術家の卵・イヴォンヌのトリオが大活躍。 函館戦争で戦死した先祖を悼んで榎本武揚から贈られた、隕石を鍛えなおして作られたというサーベル。刀身の成分を調べてみると、隕石に含まれていたはずのニッケルが検出されず、偽の流星刀と断定された。だが、サーベルを前にした神永の舌はこの刀の意外な部分に甘みを感知していた(「流星刀、五稜郭にあり」)。 佐々木が密かに思いを寄せていた教え子・琴乃が結婚。いやいやながら結婚式に出席した佐々木の前で、琴乃は嫁ぎ先の家宝、支倉常長が持ち帰ったというローマ法王の肖像画を偽物と断じた。真贋の判定を託された佐々木は?(「B級偉人」)。 そのほか、志賀島の金印と同時代の「銀印」が京都から出土した。果たして本物か?(「銀印も出土した」)。北海道の農家から見つかったモザイク画は、本当にカエサルの時代のものなのか?(「モザイクで、やーらしい」)。ペリーが日本に持ち込み、将軍に披露したという蒸気機関車の模型は本物か。鍵を握るのはスケッチブックに残された「sen.T」の署名(「汽車とアスパラガス」)。神永が味覚で美術本の真贋を見極めるきっかけが明かされる青春記(「春のもみじ秋のさくら」)。
  • ビッグデータ・コネクト
    4.1
    いま、そこにある個人情報の危機を描く警察小説 公立図書館の私企業との提携を進めるエンジニアが誘拐された。サイバー犯罪捜査官とはぐれ者ハッカーのコンビが個人情報の闇に挑む。
  • ビッグ・ドライバー
    3.9
    息つくひま一瞬もなし! 巨匠の最新作品集 突然の凶行に襲われた女性作家の凄絶な復讐――表題作と、長年連れ添った夫が殺人鬼だと知った女性の恐怖を描く中編を収録。
  • ビッグ・ノーウェア(上)
    4.0
    1950年、正月――共産主義の脅威に怯えるLA。異常殺人を追う若き保安官アップショー。アカ狩りで名声を狙う警部補コンシディーン、暗黒街の始末屋ミークス。策謀と欲望の迷宮で翻弄される三人の男たちは、暗い道の果てに何を見るのか? 傑作「LAコンフィデンシャル」前夜を描く<暗黒のLA四部作>第2作。
  • 美味礼讃
    4.3
    彼以前は西洋料理だった。彼がほんもののフランス料理をもたらした。 昭和35年、辻調理師学校の若き副校長・辻静雄はフランス料理の事典『ラルース・ガストロノミック』に出会い、フランス料理に魅了され、それがどういうものなのかどうしても実際に知りたいと熱望するようになった。 当時日本では材料や技術の問題から本格的なフランス料理を出す店はなく、ついに辻静雄は9週間のフランス旅行に出る。実に100軒のレストランに足を運び、その舌にほんもののフランス料理の味を記憶させ、帰国後はその味、その技術を辻調理師学校の教員、生徒たちに情熱をもって教えてゆく。 その料理への飽くなき探究心と情熱は、日本人のみならず、ミシュランの星をもつ名店の主人やシェフたちをも動かし、日本のフランス料理を格段に飛躍させた。 ポール・ボキューズをもって「シズオはフランス人よりフランス料理のことをよく知っている」と言わしめた、辻調理師専門学校の経営者、世界的な料理研究家であった辻静雄の伝記小説。
  • ビーンボール スポーツ代理人・善場圭一の事件簿
    3.2
    今シーズンオフのFAの目玉となったプロ野球投手・結城憲吾の代理人としてマスコミをにぎわす男、善場圭一。「選手の評価は年俸で決まる」と言い切るその姿勢は球界関係者から嫌われているが、悪役に徹して盾となることで、選手からは絶大の信頼を寄せられている。結城のFA交渉が大詰めを迎えたとき、善場はスポーツマネジメントの大手、グリーンパークのやり手女社長に呼び出され、ある依頼を受ける。それは、東都ジェッツの元4番打者、瀬司の行方を探してほしいというものだった――。『ノーバディノウズ』『球界消滅』で話題となった本城雅人が、ストーブリーグにおける陰の主役の知られざる実態をあぶりだしつつ、その裏に描かれる駆け引きを、プロ野球選手たちの身に降りかかった事件を通して描くスポーツミステリー! 【本書は、2011年に文藝春秋より刊行された『オールマイティ』を改題したものです。】
  • PINK
    3.3
    『そろそろ時間切れです。心の準備をして下さい』。メイに奇妙なメールが届いてから、夫がまるで別人のように変わってしまった。しかも夫はその後、殺人容疑で逮捕。芦屋マダムで新興宗教の教祖・奈津実の占いには「ピンクのものに気をつけて」と出た。そんな最中、アイドルの“PINK”が歌うヒット曲を作ったのが義妹の婚約者と判り…。次々と現れては解けていく“ピンク”の謎。浮かび上がった驚愕の真実とは! 震災後の神戸を舞台に喪失と再生を描く、極上ミステリ。
  • ファイアボール・ブルース
    3.4
    1~2巻490~520円 (税込)
    女にも荒ぶる魂がある、闘いたい本能がある! 女子プロレス界に渦巻く陰謀を描く傑作長篇ミステリー。 「ファイアボール」と呼ばれる女子プロレス界きっての強者・火渡抄子、といまだに一勝もできない付き人の近田は、外国人選手の失踪事件に巻き込まれる。 新人のリンチ事件、事務所の独立問題……トラブル続出の中、後楽園ホールの試合が近づいてくる。 女子プロレス界に渦巻く陰謀と、女の荒ぶる魂を描く長篇ミステリー。 解説・鷺沢萌
  • ファインダーズ・キーパーズ 上
    3.8
    『IT』『シャイニング』で知られるモダン・ホラーの巨匠キングが、小説への愛をこめた渾身のミステリー! キング初のミステリー『ミスター・メルセデス』の続編登場。 少年ピートが川岸で掘り出したのは札束と大量のノートの入ったトランクだった。父が暴走車によって障害を負ったピートの家では、毎晩のように両親がお金をめぐって喧嘩をしていた。このお金があれば家族は幸せになれるに違いない……。 だが、その金は冷酷な犯罪者モリスが、隠遁の大作家ロススティーンの家を襲って奪ったものだった。モリスはロススティーンの小説に執着を抱いていた。だから大事なのはノートの方――そこには巨匠の未発表の文章が大量に記されていたのだ。しかし別件で逮捕されたモリスは獄中に。ついに出所したモリスは、隠しておいた「宝」を取り戻しに川へ向かったが……。 少年に迫る犯罪者の魔手。そこに助けの手をのばしたのは、探偵事務所をたちあげた退職刑事ホッジズと仲間たちだった。 ※この電子書籍は2017年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ファザーファッカー
    4.2
    私は、よく娼婦の顔をしていると言われる。 今までに、ホステスを含めた何種類かの職業を経験したという話をすると、「もしかしてあれも?」と売春をほのめかした聞き方をよくされるのだ。十六歳で家出して、野宿から始めた生活ではあったが、ぜったいに売春だけはしなかったのに。 ところが、私は思い出した。十五歳のとき、私は娼婦だったのだ。売春宿のおかみは私の実母で、ただ一人の客は私の育ての父だった……。 養父との関係に苦しむ多感で早熟な少女の怒りと哀しみと性を淡々と綴り、読む者の心を揺さぶった自伝的小説。 衝撃の出版から25年、著者が凄絶な過去を公表し、生身をさらして生きることで、性的虐待の後遺症に苦しむ女性たちに「me,too」と精神科医を受診する勇気を与えたという。 解説は、当時「被害当事者側から書かれた貴重な作品」と評価した精神科医の斎藤学氏。 25年後のあとがきがついた、完全版で登場!
  • ファースト クラッシュ
    3.7
    初恋、それは身も心も砕くもの 父が引き取った少年が、高見澤家に波紋を呼ぶ。三姉妹も母も心をかき乱されて――。現代最高の女性作家が贈る芳醇な恋愛小説。 ※この電子書籍は2019年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ファーストラヴ
    3.9
    夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか? 臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。 第159回直木賞受賞作。 ※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 不安な演奏
    3.3
    ラブホテルで盗聴したテープを心ときめかせて聞いた雑誌編集者の宮脇平助は、それが死の演奏への序曲だと知った。そして映画監督の久間隆一郎とともに、事件を追及しはじめる。柏崎、甲府、東海道、尾鷲、九州……謎解きの旅から、次第に選挙違反の黒いネットワークと殺人事件との結びつきが浮かび上がる傑作推理長篇。巻末に、独自の視点で清張作品を読み解いた、みうらじゅん氏による「解説 清張地獄」を収録。
  • フィニッシュ・ゲートから
    -
    「ランナーとは走る者を言う。現世の何を背負おうとも、ただ純粋に真っ直ぐ走り続けられる者だけをランナーと呼ぶのだ」。東京マラソンを舞台に、友情と、遠い日の恋心を優しく紡いだ中編。文春文庫『シティ・マラソンズ』収録。
  • 風葬
    3.8
    釧路で書道教室を開く夏紀は、認知症の母が呟いた、耳慣れない地名を新聞の短歌の中に見つける。 父親を知らぬ自分の出生と関わりがあるのではと、短歌を投稿した元教師の徳一に会いに根室へ。 歌に引き寄せられた二人の出会いが、オホーツクで封印された過去を蘇らせる……。 密漁、マフィア、拿捕……桜木ノワールの原点というべき作品、待望の文庫化!
  • 風味さんのカメラ日和
    3.4
    あなたのワケあり写真は、心のワケを写している── 天然なイケメン講師がカメラと迷える心を指南します! 書き下ろしカメラ女子小説 東京で働いていたが、最近地元にもどった風味(ふうみ)は、幼馴染の頼みで、初心者のためのデジカメ教室に通うことに。 いつもボケた写真を撮ってしまう老人、寂しくない写真を撮りたい中年女性、楽しそうに見えない記念写真に悩む喫茶店経営者などが集まった教室で、講師は、カメラマンとして挫折した、天然なイケメンの知念大輔。 それぞれの生徒たちが写真に対して抱えている問題は、実は心が大きく反映したものだった。 大輔は、技術的なアドバイスをしながら、図らずも生徒たちの心の迷いにも踏み込んでいく。 ちょっと役立つ、風味の「カメラ撮影用語解説」も収録。 イラスト・高橋由季
  • 風味絶佳
    3.8
    作家生活20周年におくる、恋愛小説の最高傑作 「甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから」。恋の妙味を描く珠玉の6篇。20年目のマイルストーン的作品集。谷崎賞受賞作 70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランマは、ガスステイションで働く孫の志郎の、ままならない恋の行方を静かに見つめる。 ときに甘く、ときにほろ苦い、恋と人生の妙味が詰まった小説6粒。
  • 不運な女神
    3.5
    1巻559円 (税込)
    「いいことの数は決まっていて、誰かが余計に手にすれば、誰かがあぶれる」。駆落ち相手に逃げられたり、死んだ夫の連れ子と姑に手を焼いたり、20歳も年上の妻から奪った男をふたたび若い女に奪われたり、幸せな結婚を望んだのに一家三代でシングルマザーになってしまったり、元夫が新しい家族と隣のマンションに越してくることになったり……。男運に恵まれない8人のヒロインたちが、恋に翻弄されつつも、健気に何かを掴み取る姿を描いた連作短篇集。
  • FOXY
    3.8
    モデル志望で上京したものの、金を騙し取られ、無一文になった千華・19歳。銀座の高級クラブ「セビリア」の社長に拾われた千華は、店のナンバーワンホステスの繭子から「体を売らずに男から金を引き出す」様々なテクニックを教わり、次第に売れっ子へとのし上がっていくが…。色気と狡知の限りを尽くして身一つで戦い、男たちに貢がせる銀座の女たちの気迫と虚実。著者の人気ホステス体験を生かし“座るだけで10万円”の世界がじっくり体験できる、迫真の小説!
  • 不機嫌な果実
    3.6
    「……クローゼットの中から極上の下着を選び出した時から、麻也子の不倫は始まっているのである。レースや絹に触れながら、麻也子は超能力者のように、今夜ベッドの中で行なわれるだろうことを予想する」。結婚6年目、夫の拒絶にささやかな復讐心をおぼえたヒロインは慎重な冒険──昔の男と逢う──に踏みだす。男女の虚実を醒めた視線で描き、反響を呼んだ話題作。石田ゆり子(TVドラマ)、南果歩(映画)主演の映像化も大ヒットした恋愛譚の新機軸。
  • ふしぎの国の犯罪者たち
    4.0
    「犯罪というゲームにそなわっているスリル、ゾクゾクとするような快感に、ぼくたちはすっかり魅せられてしまったのだ」──職業や本名も明かすことを禁じられている奇妙なバーの客たちのあいだで、ある相談がまとまった。襲撃不能・絶対安全の現金輸送装甲車を作り上げたと喧伝する警備保障会社にひと泡ふかせてやろうと、現金輸送車襲撃を計画したのだ。人生最大のゲーム“犯罪”に足をふみいれてしまった大人たちの“犯罪遊戯”を描く連作長篇。
  • 不思議の国の野球 チェンジアップを16球
    -
    GYマークのついた帽子をかぶった白兎に誘われて「不思議の国(ジャイアント・ランド)」に迷い込んだ“マスミ”の姿をブラックな笑いで描く「不思議の国のマスミ」、すべての野球選手に段位を与えようとした計画の意外な結末を描く「幻の『四番サード長嶋八段』」他、「マスコミ江川裁判」「風雲児落合博満武勇伝」などSF、時代小説、純文学等さまざまな手法を駆使する風刺と諧謔とユーモアに満ち満ちた奇想天外プロ野球パロディ集。東京ドームに行くより楽しめます。
  • 富士山頂
    4.1
    気象庁の長年の悲願だったレーダーにようやく大蔵省の予算がついた。これが実現すれば、正確なデータが迅速に入手でき、より正確な気象予報ができる。しかし、激しい乱気流が渦巻き、天候の変わりやすい富士山の頂にどうやって重い資材を運び、レーダーを建設し、東京の気象庁まで無事にデータを送り届けるのか。2年間でレーダーを完成させなければならない。気象庁とメーカーの戦いはこれからだ。現場の担当者・技術者たちの苦闘を描き出す、異色の山岳小説。
  • 二つの山河
    3.6
    【第111回直木賞受賞作】 かれらも祖国のために戦ったのだから――。 大正初め、徳島のドイツ人俘虜収容所で例のない寛容な処遇がなされ、日本人市民と俘虜との交歓が実現した。真のサムライと讃えられた所長・松江豊寿の生涯を通して、国境を越える友愛を描いた「二つの山河」ほか、二篇収録。
  • 浮遊霊ブラジル
    4.0
    「死にたい。死んでるけど」 ユーモラスで優しい世界にたゆたう人々。 ・給水塔と亀/定年退職し帰郷した男の静謐な日々を描く川端康成文学賞受賞作。 ・地獄/「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待ち受ける試練。 ・浮遊霊ブラジル/初の海外旅行を前に急逝した私は幽霊となり旅人たちに憑いて念願の地を目指す。 (上記ほか4篇収録) 本書で第27回紫式部文学賞を受賞。 自由で豊かな小説世界を堪能できる珠玉の短篇集。 解説・戌井昭人
  • 冬の光
    3.5
    四国遍路の帰路、冬の海に消えた父。 家族、男女関係の先に横たわる人間存在の危うさを炙り出した傑作長編。 企業戦士だけれど、子煩悩だった父。だが父は、二十年間ひとりの女性を愛し続けていた。 一度は夫の裏切りを許し、専業主婦として家庭を支えて生きてきた母は、父の退職後に発覚した事実に打ちのめされる。 それなりに安定した幸せな家庭を作ってくれた父が、四国の遍路を終えた時、冬の海に飛び込んだのは何故なのか。 家庭の外にもう一つの世界を持っていたその心中とは? 次女の碧は職場に休暇願いを出し、父の最後の旅を辿ろうと決めた。 日本の標準的で幸せな一人の企業戦士の、切なく普遍的な人間心理。 四国遍路のリアルな光景を辿るうち、読者も自身の人生、男と女の根源的関係に思いを馳せることになるに違いない。 変容し続ける作家・篠田節子の到達点。 解説・八重樫克彦
  • 冬山の掟
    3.6
    遭難をめぐり、人間の本質を深くえぐった、新田作品の初期短編集! 冬山では午後になって新しい行動を起こすな―― 山で発熱した者のためにこのルールに背いて、吹雪の中をさまよう一行と、 その身を案じる家族の懊悩を描く表題作のほか、 「地獄への滑降」「遭難者」「遺書」「霧迷い」など、遭難を材にとった迫力溢れる山岳小説全十編。 解説・角幡唯介 ※この電子書籍は1978年7月に文春文庫より刊行された文庫の新装版を底本としています。
  • 芙蓉の人
    4.2
    日々の暮らしに欠かせない天気予報。明治期に、この予測をより正確なものにするべく命を懸けた夫妻がいた。野中到(いたる)・千代子夫妻――到は私財を投じて富士山頂に気象観測所をたて、前人未到の冬期観測を実施。「一人であれば、夫は必ず死ぬであろう」と考えた千代子は、夫を支えるため後を追って山頂に登るが……。世界遺産に登録された霊峰・富士山を舞台に、日本の未来のために初めて富士登山に挑んだ、実在の夫婦の感動物語! 2014年7月26日からNHK総合で連続ドラマ化(全6回)。
  • フライ・トラップ JWAT・小松原雪野巡査部長の捜査日記
    3.0
    O県警生活安全部「JWAT(ジェイワット)」は女性と子供の安全を守る特別チーム。一員である巡査部長・小松原雪野は、夜の公園で保護した高校生・隼人の証言に不信感を抱く。見知らぬ男たちに襲われたという彼は、なにかを隠しているようなのだ。路上強盗事件や、脱法ハーブとそれを入り口とした麻薬禍を追ううち、彼女は少年たちの中に潜んだ闇の存在に気がつく。だが、それは悪夢のはじまりにすぎなかった──。高嶋哲夫がスリリングに描く、書き下ろし新感覚警察小説!
  • フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち
    4.0
    株式市場で、巨大な詐欺が行われていた!? 何故か株を買おうとすると値段が逃げ水のようにあがってしまう。その陰には巨大詐欺と投資家を出し抜く超高速取引業者の姿があった。 ※この電子書籍は2014年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • フラミンゴの家
    3.9
    町の下半身と揶揄される「さかえ通り商店街」で実家のスナックを手伝うバツイチ男・正人。元妻が入院したため、幼い頃に別れた反抗期の娘と暮らすことになり、同棲中の恋人も追い出したのだが、簡単に親子の距離は縮まらない――。家族の再生に悪戦苦闘するヘタレ男が涙と笑いを誘う、芥川賞作家の傑作長篇。
  • 振られた刑事
    3.0
    惚れていたバーのホステスが殺された。生前、急に冷淡なそぶりにかわった彼女に、なにが起こっていたのか? 捜査陣からはずされた刑事が、ひとり真実を追う表題作のほか、不倫と殺人容疑の狭間でアリバイ工作を画策する家庭の皮肉な幕引きを描いた「喪服の仲」、清楚な女子大生の自殺をテーマに、日常に見え隠れする人間の闇をしずかに解き明かす「悪魔の明日」など、全九篇を収録。人間ドラマの悲喜劇にやさしい視線を注いだ、推理ミステリーの名手による魅惑の短編集。
  • フランダースの帽子
    3.6
    あのころ知りあいのだれもがなにかしらのウソをついて暮らしていた―― 長く潜伏したあとでひょっこり姿をあらわした、良く似た姉妹による巧妙なウソ。 郵便受けに届いた1枚の葉書が呼び起こした、弟との30年前の秘密。 「語りとは騙りのことである」とうそぶく読書会の主宰者。 賢治の童話やフランドル派の絵画に秘められた寓意。 そして、記憶を失った青年たちと、自らの物語に生きる老婦人たち――。 消えゆく記憶の彼方、不在の人物の輪郭から、おぼろげに浮かび上がる6つの物語。 解説・東直子
  • フルハウス
    3.6
    1巻427円 (税込)
    “家を建てる”が口癖だった父は、理想の家族を夢みて、払える金もないのに、いきなり立派な家を建てた。しかし成人した娘たちも、16年前に家を出た妻も、その家に寄りつかない。そこで父はホームレス一家を家に招き、ニセモノ家族と一緒に暮らし始めるのだが……不気味な味わいの表題作は、泉鏡花文学賞を受賞。ほかに、不倫する女が体験する、不倫相手の妻の奇矯なふるまいを通して、家族の不在をコミカルにえがく「もやし」を収録。才気あふれる2短篇。
  • フルーツパーラーにはない果物
    3.9
    かわいい形をしていて誰にでも好かれるけれど、すぐに飽きられるイチゴのような女の子。でも、こんな自分になりたかったわけじゃないのに――。今の自分がどこか好きになれない、メーカー勤務の四人の女性たち。二十代後半の彼女たちが出会った、人生を変えるかもしれない恋愛と友情を描く連作短篇集。 解説・倉本さおり
  • 武士道エイティーン
    4.2
    宮本武蔵を心の師と仰ぐ香織と、お気楽に剣道をはじめた早苗。早苗が福岡に転校した後も良きライバルであり続ける2人も高校3年生、進路に悩む時期だ。そんななか、早苗が部活中に負傷。最後のインターハイで、決勝での対戦を目指す2人は…さて、どうなる? 早苗の姉でモデルの緑子、剣道の師匠たち、後輩の美緒…個性豊かな脇役たちのスピンアウトストーリーを挟んで綴られる青春エンターテインメント。映画化もされた、武士道シリーズ第三弾!
  • 武士道ジェネレーション
    4.4
    エッ、結婚? エエッ、道場閉鎖!?  あれから六年、大学を卒業した早苗は結婚。就職が決まらぬ香織は、道場での指導の日々を送っていたが、玄明先生が倒れ、道場に後継者問題が……。香織と早苗それぞれの方法で道場を守ろうと奮闘する姿を描く「武士道」サーガ第四弾。はたして、この勝負、如何に――。 番外編の「美酒道コンペティション」と書店員座談会も特別収録。
  • 武士道セブンティーン
    4.4
    「強さは力」の香織と「お気楽不動心」の早苗。対照的な剣道をする相手から多くを吸収したふたりだったが、早苗は、家庭の事情で福岡の剣道強豪校に転入。そこでの指導方法は、いままで学んだ剣道とはまったく違う、スポーツを極める剣道だった。一方香織は、母校の女子剣道部で後輩の育成に精を出し、狭かった自分の世界をひろげてゆく。互いを思いつつも、すれ違う17歳。ふたりは、目指す剣道に辿り着けるか──思わず剣道が好きになってしまう青春小説、第2弾!
  • ブス愚痴録
    3.6
    長身、ハンサムでスポーツマンの赤木は、社内きってのプレイボーイとして有名だったが、このたび結婚。披露宴に招かれた赤木の上司・吉見は、花嫁の顔をみて絶句してしまう。花嫁はなんと、大女のデブで激ブス!(……こんなハズはない)驚きのあまり披露宴会場は静まりかえった──(「ブス愚痴録」)。小心控えめだった妻が勤めはじめるや、みるみる積極的になり、とまどう夫。丁寧すぎる人妻事務員にしびれる新入社員。男女の仲の不思議さを描く傑作短篇集。
  • ブック・ジャングル
    3.3
    逃げろ!! 凶暴ヘリから。獰猛な殺意から。閉鎖された市立図書館が戦場と化した――。 沖野国明は昆虫学のフィールドワークからの帰国後、思い出の場所、市立図書館が閉鎖されたことを知る。見納めのため友人と深夜の図書館に忍び込み、高校を卒業したての女子三人組に出会う。そして彼ら不法侵入者達にとって予期せぬ苛酷な一夜が幕を開けた――。姿を見せぬ襲撃者の目的は何なのか? 閉鎖状況に追い込まれた人間達の心理を描いて秀逸な書き手が、“真夜中の図書館”という閉鎖空間に挑戦。恐怖と緊迫感が炸裂する強力長編!
  • 武道館
    3.9
    【正しい選択】なんて、この世にない。 「武道館ライブ」という合言葉のもとに活動する少女たちが、最終的に“自分の頭で”選んだ道とは――。 様々な題材を通して現代を描き続けてきた著者が今回選んだのは「アイドル」。 視聴者のあいだで物議を醸したドラマ化を経て、待望の文庫化。 解説には、音楽家として多くのアイドルをプロデュースしてきたつんく♂を迎える。 結成当時から、「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。 独自のスタイルで行う握手会や、売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付など、 さまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。 しかし、注目が集まるにしたがって、様々な種類の視線が彼女たちに向けられるようになる。 そして、ある出来事がグループの存続さえも危うくしてしまい……。 「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」 「アイドルを応援してくれてる人って、多分、どっちもあるんだろうね」 恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、スルースキル、無料文化、卒業…… この数年であっという間に市民権を得た言葉たちの中には、 アイドルという存在から発生したものも多い。 新しい言葉が生まれた場所から見えてくるのは、今を生きる人々の様々な一面。 現代社会での生き方を模索するすべての人へ送る、真摯な物語。
  • 葡萄と郷愁
    3.6
    1巻481円 (税込)
    1985年10月17日、同じ日の同じ時刻の東京とブダペスト。見えない絆で結ばれた二人の大学生、沢木純子とホルヴァート・アーギ。人生の岐路に立つ二人は、せまりくる決断の時に、どのような選択をするのだろう……。愛とは? 本当のしあわせとは? 幸福への願いに揺れる、若い女性の“生と性”をあたたかく見つめる名篇。
  • ブラック・ダリア
    4.1
    1947年1月15日、ロス市内の空地で若い女性の惨殺死体が発見された。スターの座に憧れて都会に引き寄せられた女性を待つ、ひとつの回答だった。漆黒の髪にいつも黒ずくめのドレス、だれもが知っていて、だれも知らない女。いつしか事件は<ブラック・ダリア>事件と呼ばれるようになった――<暗黒のLA4部作>の第1作。
  • ブルース
    3.8
    霧たちこめる釧路で生まれ、貧しく苛烈な少年時代を経て、男は、自らの過剰な指を切り落として、夜の支配者へとのし上がる──。 男の名は、影山博人。 最初の物語は、没落した社長夫人が、かつて焦がれた6本指の少年の訃報を新聞に見つけるところから始まる。 同衾した女をみな翻弄し、不意に姿を消してしまう正体不明の男であり、故郷に戻った後、暴力で容赦なく人を支配する黒い権力者。 不思議な魅力あふれる影山の、15歳、19歳、27歳、32歳、そして、40手前から52歳までの8つの時期を、時々に出会った女による語りで構成。 ――はたして、影山博人は、外道を生きる孤独な男なのか? それとも、女たちの「夢」の男なのか? 影山と関係するそれぞれの女たちは皆何かしら困窮している。死別で、離婚で、借金で……誰かや何かにすり減らされてひりひりと痛むような乾いた心を持っている。(中略)そこにある程度の「まっとう」を手に入れ、今もなお貪欲に模索している影山が現れる。ひかれない訳がない。(中略)もしかすると、影山の指が六本なのは、より多くの困窮にあえぐ者にチャンスを与えるために余分に備わったのではないかとすら思う。 (壇蜜・解説より) デビュー10周年の著者による、新境地にして、釧路ノワールの傑作! 「謎」の男をめぐる、八人の女たちの物語。 ──俺には、白と黒しか要らないんだ
  • ブルータワー
    3.7
    死を宣告された男に残されたのは、夢見る力 悪性の脳腫瘍で死を宣告された男の意識が、 突然200年後にタイムスリップする。 そこは黄魔という死亡率87%のウイルスが猛威を振るう、 外に出ることは死を意味する世界。 人類は「塔」の中で完全な階級社会を形成して暮らしていた。 その絶望的な世界に希望を見出すため、男は闘いを決意する! 長編SFファンタジー。 解説・香山二三郎
  • ブルーネス
    4.0
    1巻1,001円 (税込)
    〈津波監視システム〉は実現できるのか? はぐれ研究者たちの情熱溢れる理系エンタメ! 「津波監視システムの実現に手を貸して欲しい」。 東日本大震災後、地震研究所を辞めた準平は、学会で異端視されている武智に誘われる。 海洋工学や観測機器などのエキスパートだが個性が強すぎて組織に馴染めない“はみ出し者”たちと、準平は前人未到のプロジェクトに挑むか……。 研究者の情熱ほとばしる科学エンタメ! 解説・巽好幸(神戸大学海洋底探査センター教授・センター長) ※この電子書籍は2016年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています
  • 文福茶釜
    3.5
    古美術でひと儲けをたくらむ男たちの騙しあいに容赦はない。入札目録の図版のさしかえ、水墨画を薄く剥いで二枚にする相剥本、ブロンズ彫像の分割線のチェック――。はたして「茶釜」に狸の足は生えるのか? あらゆる手段を用いて贋作づくりに励む男たちをリアルに描いた連作集にして、古美術ミステリーの傑作選!
  • プラナリア
    3.8
    「何もかもが面倒くさかった。生きていること自体が面倒くさかったが、自分で死ぬのも面倒くさかった。だったら、もう病院なんか行かずに、がん再発で死ねばいいんじゃないかなとも思うが、正直言ってそれが一番恐かった。矛盾している。私は矛盾している自分に疲れ果てた。」(本文より)乳ガンの手術以来、25歳の春香は、周囲に気遣われても、ひたすらかったるい自分を持て余し……〈働かないこと〉をめぐる珠玉の5短篇。絶大な支持を得る山本文緒の、直木賞受賞作!
  • プリンセス刑事
    3.2
    1~3巻719~800円 (税込)
    化学ミステリー「化学探偵 Mr.キュリー」シリーズで人気を博す著者が文春文庫に初登場! 美少女プリンセス×刑事ミステリー! 女王が国を統べる日本というパラレルワールドを舞台に、王位継承権を持つお姫様が刑事となって大活躍! 彼女を支える若手刑事とのバディものとしても楽しめる、とびきりキュートなミステリー。 憧れの刑事になった青年・芦原直人。 同じ課に配属された新人刑事は、なんと王女様!? 美しく気高いプリンセス刑事・白桜院日奈子だった。 直人は、あまりにも立場の違う王女とのコンビに戸惑いながらも、共通の話題を見つけ、また彼女の刑事という職業への真摯な思いに触発され、自らも変わっていく。 ふたりが挑むのは、凶悪な連続殺人犯ヴァンパイア。 ふたりは、さまざまな試練を乗り越え、事件を解決することができるのか――!? ふたりの“バディ”をとりまく、個性豊かな身辺警護役の刑事や、妹思いが過ぎる兄王子、などなど濃いキャラクターにも要注目です!
  • プルミン
    3.5
    公園で、乳酸飲料・プルミンを配っていた正体不明のプルミンレディー。飲んだ子供の一人が自宅で血を吐き、間もなく死亡した。亡くなった雅彦は、小学一年生ながら悪質なイジメで同級生達を支配していたボス。その母親も、実は周囲とトラブルがあり、母子ともに周囲の反感を買っていた。犯人の狙いは雅彦への復讐なのか? 子供たちを狙った無差別殺人? やがて第二・第三の殺人事件が起き…。真相は、見慣れた風景のどこに隠れているのかわからない。傑作ミステリー。
  • プルースト効果の実験と結果
    4.1
    思春期の苦くて甘い心情を、 鮮やかでポップに描き出す佐々木愛のデビュー作! はじめてのことをするたび、彼を思い出す。 痛々しい自意識過剰、空回る都会への憧れ、思い通りにいかない初恋。 プルースト効果という言葉を教えてくれたのは、同じクラスの男子「小川さん」だった。 「はじめてのキスは想像もつかないところでしよう」小川さんはそう言ったはずなのに…… 表題作「プルースト効果の実験と結果」の他、オール讀物新人賞受賞作の「ひどい句点」、 「春は未完」「楽譜が読めない」の四篇を収録。 狂おしく瑞々しい10代の心情を鮮やかに描き出す、珠玉の恋愛小説集! ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ぷろぼの 人材開発課長代理 大岡の憂鬱
    3.8
    1巻850円 (税込)
    変態リストラ部長にこの世の地獄を! 会社を食い物にする極悪人に、ボランティア仕置き人が鉄槌を下す痛快エンターテインメント。 業界大手のパシフィック電器は、人事部労務担当部長の江間を中心に大規模なリストラを進行中。江間の極悪な追い込みに、ついに自殺者が出てしまう。 クビ切りを押しつけられた課長代理の大岡は耐えかねて、三国が代表を務めるNPOで、「プロボノ」として社会貢献活動をすることに救いを求める。 江間の悪辣な行状を知った三国は義憤にかられ、江間を「嵌める」べくハニートラップを仕掛けた。しかしこれは、三国が仕掛けた罠の序章にすぎなかった……。 「ぷろぼの」とは、「公共の利益のために(pro bono publico プロボノ プーブリコ)」という意味のラテン語。 解説・村上貴史 ※この電子書籍は2017年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • プロメテウスの涙
    3.4
    神様、私を助けてください──原因不明の異常なトランス状態に襲われる少女・あや香。精神科医の涼子は、アメリカで医師として活躍する親友・祐美を頼りに、あや香の治療に挑み始める。一方の祐美は、2度にわたり死刑が執行されたが死に切れず、医療刑務所で全身を癌に冒されながら生き続ける不死身の死刑囚と向き合ううち、あや香と死刑囚とを結ぶ驚くべきつながりに辿り着く……。奇妙な患者たちに秘められたものとは? 衝撃のノンストップサスペンスホラー小説登場!
  • 平成くん、さようなら
    3.8
    社会学者・古市憲寿、初小説。 安楽死が合法化された現代日本のパラレルワールドを舞台に、平成という時代と、いまを生きることの意味を問い直す、意欲作! 平成を象徴する人物としてメディアに取り上げられ、現代的な生活を送る「平成くん」は合理的でクール、性的な接触を好まない。だがある日突然、平成の終わりと共に安楽死をしたいと恋人の愛に告げる。 愛はそれを受け入れられないまま、二人は日常の営みを通して、いまの時代に生きていること、死ぬことの意味を問い直していく。 なぜ平成くんは死にたいと思ったのか。そして、時代の終わりと共に、平成くんが出した答えとは――。 『絶望の国の幸福な若者たち』『保育園義務教育化』などで若者の視点から現代日本について考えてきた著者が、軽やかに、鋭く「平成」を抉る! ※この電子書籍は2018年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 平蔵の母
    -
    1巻880円 (税込)
    おれには、はなから母親がいない、そう考えるのだ―― 売り出し中の料理屋<元喜世>に突然現れた「平蔵の母」きえ。その真偽は、平蔵の真意は。 池波正太郎没後なお多くの支持を集める『鬼平犯科帳』。父で挿絵家・中一弥氏が「オール読物」で挿絵を描いていた縁と、長年の愛読者だった著者が、「鬼平」へのオマージュをこめて、切れ味鋭く長谷川平蔵を蘇らせたシリーズ最新の第4作。収録作品は表題作の他、「せせりの辨介」「旧恩」「陰徳」「深川油堀」「かわほりお仙」の全6作。 ※この電子書籍は2020年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 闇の平蔵
    3.8
    1巻790円 (税込)
    悪い奴は誰も、その男の顔を知らない―― 逢坂剛が描く〈火付盗賊改・長谷川平蔵〉シリーズ、第三弾。 不届きにも、「闇の平蔵」と名乗る者が現われた。 闇の平蔵は、「火盗改が、悪党どもを成敗処罰するのと引き換えに、 捕り方の役人を同じように成敗処罰する」と公言し、 火盗改や役人に強い遺恨を抱いている悪党を集めているという。 その噂を聞きつけた長谷川平蔵組の斧八は、「闇の平蔵」の人集めへ潜り込んだ。 「闇の平蔵」は、かつて、遊蕩していた頃の長谷川平蔵に何度も煮え湯を飲まされ、 恨みを抱いているという。そこに来ていた紅一点・可久は「闇の平蔵」に、 その話を信用してほしければ頭巾を脱いで顔を見せろ、 お前は実は長谷川平蔵なのではないか、と迫る。 闇の平蔵は頭巾を脱いだが、 手下の斧八でさえ長谷川平蔵の顔をまともに見たことはなく、 彼が長谷川平蔵なのかそうでないのか判断がつかない。 だが、可久は、「この男は本物の長谷川平蔵だ」と言い、闇の平蔵もそれを認める。 慌てた斧八だったが――(「闇の平蔵」) 表題作ほか、全六篇を収録。 長谷川平蔵に対抗心を抱く火盗改・松平左金吾が登場、 新たな手下・可久も加わり、物語はますます深みを増す。 まさに江戸を舞台にした潜入捜査。 悪党どころか、手下たちも顔を知らない男・長谷川平蔵のハードボイルドな活躍を描く。 ※この電子書籍は2016年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 塀の中の懲りない面々
    -
    1~2巻440円 (税込)
    お役所専門に狙う大泥棒、堂々と脱獄した赤軍派兵士、短歌を詠むだけが楽しみの殺人犯、手形、借用証等ヨロズ消化する紙食い男、腕前は日本一を誇るニセ外科医等々、刑務所を出てはまた戻ってくる「懲りない面々」たち。そんな犯罪のプロフェッショナルばかりが集められている府中刑務所を、これまた中学生で安藤組入りしたベテランが案内する。本物の悪党たちを、人間への限りない好奇心と巧みな観察眼で描いた著者のミリオンセラー、ついに電子書籍化。
  • 蛇を踏む
    3.8
    藪の中で踏んでしまった蛇が女になり、わたしの部屋に棲みついた。夜うちに帰ると「あなたのお母さんよ」と料理を作り、ビールを冷やして待っている──「蛇を踏む」。うちの家族はよく消えるが、上の兄が縁組した家族はよく縮む──「消える」。背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった──「惜夜記(あたらよき)」。神話の骨太な想像力とおとぎ話のあどけない官能性を持った川上弘美の魅力を、初期作ならではの濃さで堪能できる、極上の「うそばなし」3篇。
  • ベッドの下のNADA
    3.0
    郊外の古いビルの最上階に住みながら、その地下で喫茶店NADAを営む夫と妻。常連客が集う中、睦まじく振る舞う2人だったが、その裏では、夫の背徳が密やかな嘘を呼んでいた――。夫婦それぞれの心の内を、子供時代の追憶を織り交ぜて描き、不穏な日常を静かに浮び上らせた、こわいまでに美しい物語
  • べらぼうくん
    4.0
    大学入学後の夏休み、海外で身ぐるみ剥がされサバイバル。在学中、書きあげた小説を読んだ友人からは「気持ち悪い」。卒業後、のどかな静岡での工場勤務から一転、作家になるべく上京するが……。自らの言葉を生み出し始めた浪人時代からデビューするまでの、うまくいかない日々を軽妙に綴る、青春&人生エッセイ。解説・浅倉秋成 ※この電子書籍は2019年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ベリィ・タルト
    3.9
    花火大会の夜、元ヤクザで芸能プロ社長の関永が見つけたのは、印象的な瞳をもつ美少女リン。関永の弟分で健康マニアの小松崎や、ヘアメイクの大御所・仁の手によって、リンは洗練されたアイドルに変貌してゆく。しかし人気が急上昇し始めた矢先、大手プロからの横槍で移籍を強要されることに……。個性豊かな登場人物、リアリティあふれる業界描写、圧倒的なビジュアル喚起力とスピード感をもつ痛快青春小説。
  • 伯林蝋人形館
    4.2
    あらゆる文化ジャンルが爛熟を極めたドイツ〈黄金の1920年代〉を背景に、6人の男女の人生模様が交錯する! 第1次世界大戦に敗れたドイツ。極端なインフレと共産主義との闘いで混迷するなか、退廃的な文化は爛熟を深めてゆく。映画界では「カリガリ博士」に続きフリッツ・ラングやフリードリヒ・ヴィルヘルム・ムルナウらの〈光と影の芸術〉が花開き、表現主義建築が人々を驚かせ、演劇界ではブレヒトが独自の理論を引っさげて彗星のごとく登場する。 元プロイセン貴族の士官で戦後はベルリンでジゴロとして無為に生きるアルトゥール――彼を巡って紡がれた、視点の異なる6つの物語の中に、ナチス台頭直前の1920年代のドイツの幻影と現実が描かれる壮大な歴史絵巻。 解説・瀬川裕司
  • ペット・ショップ・ストーリー
    3.3
    東村アキコ氏絶賛「不倫の漫画を描くのに、とても参考になりました」 女が本当に怖くなる11の物語。 理由あって、都会から実家に戻った「私」は、年老いた母とペットのマルチーズと暮らしている。 時どき立ち寄るペットショップの女主人・中山圭子は、犬や猫をあやしながら、さり気なく飼い主から話を聞き出すのが得意。 圭子のもたらす情報が、「私」のどす黒い過去を甦えらせる――。 表題作ほか、婚期をのがした娘の子宮切除手術の前夜、娘の傍らで眠る父の悲哀と甘やかな妄想を描く「初夜」。 バーで独り飲む女にバーテンダーが語った奇妙な体験「眠れる美女」。 可愛かった妹の人生が低迷してゆくのを見守る兄の心理「いもうと」。 初めての不倫にふみだす妻のためらい「春の海へ」。 故郷の町に戻ってきた三人の女たちに渦巻くねたみと憎しみ「帰郷」など、10篇の恋愛官能小説集。 解説・東村アキコ *本書は2005年6月に文藝春秋より刊行された文春文庫『初夜』を改題し、解説を加えた新装版です。収録している短篇は同じです。
  • ペット・セマタリー(上)
    4.2
    2019年、リメイク版映画が公開! 競争社会を逃れてメイン州の田舎に越してきた医師一家を襲う怪異。モダン・ホラーの第一人者が“死者のよみがえり”のテーマに真っ向から挑んだ、恐ろしくも哀切な家族愛の物語。
  • ペルシャの幻術師
    3.4
    十三世紀、モンゴル軍に占領されたペルシャ高原の街メナム。そこにはモンゴル軍の司令官、大鷹汗ボルトルからの求愛に悩む美姫、ナンの姿があった。ある日、ナンは市場で青い衣をまとった不思議な人物、アッサムに出会った。アッサムは幻術によって、ナンにこれまでにない快楽を味あわせ、さらにボルトルをもその術中に陥れていく。初めて司馬遼太郎の筆名で書かれた幻のデビュー作である表題作など初期の作品全八篇を集めた短篇集。
  • 崩壊の森
    3.5
    1巻1,001円 (税込)
    日本人特派員、土井垣が降り立ったソ連は“特ダネ禁止”の地だった。 謎に包まれた帝国で監視の目を潜り、取材を開始する土井垣。しかし、その周囲では次々に不可解な出来事が起こる──。 ソ連崩壊という世界的スクープを報じた斎藤勉をモデルに、魑魅魍魎が蠢くソ連崩壊前夜を圧倒的リアルで描き尽くす。 今、読むべき本物のインテリジェンス小説!  諜報、盗聴、罠、駆け引き、裏切り…… “ソ連崩壊”を世界に先駆けて報じた 日本人記者が見た「真実」とは?   「どうやら、この国のことを少し甘く見ていたらしい──」 吉川英治文学新人賞を受賞した『ミッドナイト・ジャーナル』、直木賞候補となった『傍流の記者』。 気鋭の著者が放つ、極寒の氷をも溶かす熱き闘いの物語! 解説は、保守派に換金されたゴルバチョフの生存情報の第一報を伝えた、当時、在ソ連日本国大使館の三等書記官だった作家の佐藤優さんです。 ※この電子書籍は2019年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 放火魔
    3.5
    同じ車両の乗客が2人とも殺人犯である確率は1億分の1……。新宿発村上行の快速「ムーンライトえちご」で隣合わせた女性客。彼女の紙袋から漂う怪しいにおいの正体とは(「危険な乗客」)。振り込め詐欺、連続放火、交換殺人etc.日常の裂け目に潜む犯罪を描く、人気シリーズ「――者」スピンオフ短篇集。
  • ほかげ橋夕景
    -
    父を想う娘の涙、師弟の絆。とびっきりの人情譚! 祝言が決まった娘は冷たくなった父に戸惑う…。親子の絆、恩人への情、清水の次郎長晩年の逸話など、人情時代小説の粋を集めた八編。 解説・長宗我部 友親 (長宗我部家十七代目当主) ※この電子書籍は2010年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 北緯四十三度の神話
    3.5
    「大事な人の死は、たぶん決して忘れることはできません──」ラジオの深夜番組DJをしている快活な妹・和貴子と、卒業後も大学で生物工学の助手として働く勤勉な姉・菜穂子。姉妹は中学時代に両親を事故で亡くし、祖父母に育てられた。北の街を舞台に、対照的な2人の微妙な距離が丁寧にたどられていく。ふたたび大切な人の死を経験したことをきっかけに、ボタンを掛け違ってしまった、それぞれの想い。その行き着く先は──。清冽な感動を呼ぶラスト。
  • 保科正之の生涯 名君の碑
    4.2
    将軍家光の異母弟として悲運の生をうけながら、忠勤と民への慈愛身をつくした、この稀有なる会津藩主の歩んだ清洌な生涯を辿る
  • 星の塔
    4.0
    螺旋(らせん)が屋上まで続き、今度はその道と入れ子のような下りの螺旋に変わる。珍しい造りだが世の中に皆無というものでもない。実際に会津若松の飯盛山にはおなじ構造の『さざえ堂』と呼ばれる塔が現存している。──(本文より) 山奥の村の古い時計塔、そこに住む古風な令嬢に隠された秘密をめぐる表題作ほか、「寝るなの座敷」「花嫁」「子をとろ子とろ」「蛍の女」「猫屋敷」「首継ぎ御寮」と、現代に甦る東北地方の怖くて甘美で不思議な七つの話。
  • 星のように離れて雨のように散った
    3.8
    孤独をおぼえる人に光射す物語 小学生の頃に失踪した父をモデルにした創作小説と宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を修士論文に選んだ大学院生の私。賢治の未完の物語に導かれるように、私は押し込めていた過去の自分と向き合っていく。 そして結婚を前提に同棲を望む恋人の亜紀との関係に息苦しさを覚え始め……。 迷いや痛みを抱えるすべての人に光射す傑作小説。 解説・柴崎友香 ※この電子書籍は2021年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 星々の悲しみ
    3.9
    1巻550円 (税込)
    喫茶店に掛けてあった絵を盗み出す予備校生たち、アルバイトで西瓜を売る高校生、蝶の標本をコレクションする散髪屋──。若さ故の熱気と闇に突き動かされながら、生きることの理由を求め続ける青年たち。永遠に変らぬ青春の美しさ、悲しさ、残酷さを、みごとな物語と透徹したまなざしで描く傑作短篇集。
  • 星々の舟
    4.1
    家族だからさびしい。他人だからせつない──禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄と、いじめの過去から脱却できないその娘。厳格な父は戦争の傷痕を抱いて──平凡な家庭像を保ちながらも、突然訪れる残酷な破綻。性別、世代、価値観のちがう人間同士が、夜空の星々のようにそれぞれ瞬き、輝きながら「家」というひとつの舟に乗り、時の海を渡っていく。愛とは、家族とはなにか。03年直木賞受賞の、心ふるえる感動の物語。
  • ホテル・コンシェルジュ
    3.0
    コンシェルジュは名探偵!? 名コンビ九鬼&麻奈登場 「盗まれた仏像を取り返せ」「アメリカ大使の暗殺計画を阻止せよ」。どんな難問もホテルポラリス京都のコンシェルジュがズバリ解決。
  • 炎の陰画
    4.0
    1巻550円 (税込)
    昭和二十年三月十日、空襲の劫火をくぐりぬけた戦災孤児の健は、いつしかすべてをなめつくす美しい炎の妖しい魅力にとり憑かれていた……。戦争の傷痕を背負った人間の哀しみと異常な心理を描く表題作、夜になると家族が次々に箪笥に上って座りこむ、能登の民話にヒントを得た奇譚「箪笥」ほか、摩訶不思議な世界への扉を開く異色短篇「白鳥の湖」「森の妹」「ちゃあちゃんの木」「逃げる」「散歩道の記憶」を収録。自らの体験を背景に据えて、短篇の名手が紡ぐ妖(あやか)しの世界。
  • ほむら
    4.5
    20代有吉佐和子の天才が輝く傑作短篇、復刊! 女犯の咎で寺を追われた僧侶、王昭君の肖像画を描く画家の懊悩。人間普遍の精神の血しぶきを鮮やかに描く初期傑作短篇集!
  • ホリデー・イン
    3.8
    1巻509円 (税込)
    「初めまして、お父さん」。 元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の登場で一変! 思いもよらず突然現れた息子と暮らすことになった大和は、宅配便会社「ハニー・ビー・エクスプレス」のドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続。 宅配便会社の仲間や、ホストクラブ経営者のおかま・ジャスミン、ナンバーワンホストの雪夜らも巻き込んでの、大騒動を描いた『ワーキング・ホリデー』が刊行されたのは2007年。その後の大和と進の物語を書いた『ウィンター・ホリデー』が2012年、同年には『ワーキング・ホリデー』が映画化され、文庫も含め「ホリデー」は人気シリーズへと成長。 本書には親子の物語ではなく、彼らを取り巻く人々の物語、いわば「ホリデー」シリーズの外伝ともいえる6つの短編が収録。 1 「ジャスミンの部屋」 …… ジャスミンが拾った謎の中年男の正体は? 2 「大東の彼女」 …… お気楽フリーターの大東の家族には実は重い過去があった 3 「雪夜の朝」 …… 完璧すぎるホストの雪夜にだってムカつく相手はいるんだ! 4 「ナナの好きなくちびる」 …… お嬢さまナナがクラブ・ジャスミンにはまった理由 5 「前へ、進」 …… まだ見ぬ父を探し当てた小学生の進の目の前には―― 6 「ジャスミンの残像」 …… ヤンキーだった大和とジャスミンの出逢いの瞬間 ハートウォーミングな6つの物語。 解説・藤田香織
  • ホワイト・ジャズ
    4.7
    世界最高の暗黒小説にして警察小説の極北! <暗黒のLA四部作>最終作 番犬を惨殺した異様な侵入犯=被害者は市警と癒着した麻薬密売人。事件に異常な関心をみせる警察上層部はクライン警部補に徹底捜査を命じた。やがて警部補が探り当てたのは、警察組織内の悪辣な陰謀、市警とFBIの暗闘だった。脈打ち/暴走し/嗚咽する電撃文体がもたらす脳髄の激震! 解説・馳星周
  • ほんとうの花を見せにきた
    4.2
    郷愁を誘う大河的青春吸血鬼小説! 中国の山奥からきた吸血種族バンブーは人間そっくりだが若い姿のまま歳を取らない。 マフィアによる一家皆殺しから命を救われた少年は、バンブーとその相棒の3人で暮らし始めるも、 人間との同居は彼らの掟では大罪だった。 禁断の、だが掛けがえのない日々――。 郷愁を誘う計3篇からなる大河的青春吸血鬼小説。 【目次】 ちいさな焦げた顔 ほんとうの花を見せにきた あなたが未来の国に行く 解説・金原瑞人
  • 奔流の海
    4.4
    人は運命に抗うことができるか? 1968年、後に「千里見の七夕崩れ」とよばれる大型台風による土砂崩れで、町は多数の死者・行方不明者を出した。 20年後、同じ町の旅館の娘・清田千遥は、東京からやってきた大学生・坂井裕二と出会う。裕二はなぜか夜ごと町を徘徊していた―― 激流に飲まれた運命がやがて大きな感動へとたどり着く。 『代償』『悪寒』のベストセラー作家・伊岡瞬史上、 最も残酷で美しい青春ミステリー! Apple Books Store 2022年上半期ベストブック(ミステリー部門) ※この電子書籍は2022年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 望郷と訣別を 中国で成功した男の物語
    3.8
    1巻1,008円 (税込)
    香港の社会に溶け込むことで、中堅企業の海外進出を成功させた経営者石井次郎。さらにいち早く中国進出を果たすと、日本企業の中国進出を支援するテクノセンター(日技城)を設立して、日中の架け橋となるべく活動する。その行動の源は、25歳の時に単身渡った欧州で学んだユダヤ商法と、デンマーク人から教えられた奉仕の精神にあった。閉鎖的体質といわれる日本企業の国際化のあり方と、不況下で停滞する人材の育成方法を、一人の経営者の人生を通して示した必見の作品。
  • 傍聴者
    3.7
    彼女は女神か、悪魔か? 大好評「〇〇者」シリーズ なぜ、こんな女に? 彼女は女神なのか、悪魔なのか――。 結婚が決まっていた親友の死に疑問を抱き、ライターの池尻淳之介は真相を探り始めた。 “婚約者”牧村花音は、複数の交際相手を騙し、練炭自殺に見せかけて殺害したとして、起訴されている。そして迎えた初公判の日、傍聴席で被告を真剣に見つめる四人の女がいた。 平凡な容姿の彼女になぜ男たちは騙されたのか。そして彼女はなぜここまで人々の注目を集めるのか。 事件の全貌が見えた時、いつしか舞台は暗転し――。 実際にあった事件に材をとった、大好評「〇〇者」シリーズ。 折原作品の真骨頂とも言える、鮮やかなトリックが炸裂する! 文庫解説・高橋ユキ ※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 僕が殺した人と僕を殺した人
    4.1
    夏休みが終わる2日前。13歳だったぼくたちの人生は、大きく狂いはじめた。 1984年の台湾と2015年のアメリカを舞台に、数奇な運命に弄ばれた少年たちを描く、青春ミステリーの金字塔! 2015年冬、アメリカを震撼させた連続殺人鬼〈サックマン〉が逮捕された。 彼の弁護を担当することになった国際弁護士の「わたし」は、30年前に台湾で過ごした少年時代を思い出していた。 当時、13歳だった「わたし」は〈サックマン〉のことを確かに知っていたのだ――。 台湾を舞台に贈る青春ミステリの金字塔。 織田作之助賞、渡辺淳一賞、読売文学賞小説賞をトリプル受賞! 解説・小川洋子 ※この電子書籍は2017年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 僕が死んだあの森
    3.9
    『その女アレックス』の鬼才ルメートルが描く、戦慄の犯罪文学 『その女アレックス』で世界中を驚愕させた鬼才ルメートルが放つ、極上の心理サスペンス。  あの日、あの森で少年は死んだ。 ――僕が殺した。  母とともに小さな村に暮らす十二歳の少年アントワーヌは、隣家の六歳の男の子を殺した。森の中にアントワーヌが作ったツリーハウスの下で。殺すつもりなんてなかった。いつも一緒に遊んでいた犬が死んでしまったことと、心の中に積み重なってきた孤独と失望とが、一瞬の激情になっただけだった。でも幼い子供は死んでしまった。  死体を隠して家に戻ったアントワーヌ。だが子供の失踪に村は揺れる。警察もメディアもやってくる。やがてあの森の捜索がはじまるだろう。そしてアントワーヌは気づいた。いつも身につけていた腕時計がなくなっていることに。もしあれが死体とともに見つかってしまったら……。 十二歳の利発な少年による完全犯罪は成るのか? 殺人の朝から、村に嵐がやってくるまでの三日間――その代償がアントワーヌの人生を狂わせる。 『その女アレックス』『監禁面接』などのミステリーで世界的人気を誇り、フランス最大の文学賞ゴンクール賞を受賞した鬼才が、罪と罰と恐怖で一人の少年を追いつめる。先読み不可能、鋭すぎる筆致で描く犯罪文学の傑作。 文庫解説・三橋暁 ※この電子書籍は2021年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ぼくと、ぼくらの夏
    4.0
    高校二年の気だるい夏休み、万年平刑事の親父が言った。「お前の同級生の女の子が死んだぞ」。偶然のことでお通夜へ出かけたが、どうもおかしい。そして数日もしないうちに、また一人。ぼくと親しい娘ではなかったけれど、可愛い子たちがこうも次々と殺されては無関心でいられない。担任の美人教師とやくざの娘で心ひかれる少女と力を合わせて、ぼくは真相を解きあかそうとこころみる。ほんのりと大人びた少年少女が体験する鮮烈な心の揺れを描き、開高健氏に絶賛された都会派青春小説。
  • 僕のなかの壊れていない部分
    4.0
    「どうして自分はあのことを忘れることができないんだろう?」 剥きだしの叫ぶが響く、著者の初期傑作。 美しい恋人・枝里子をサプライズで京都に誘った。 それは、昔の男が住む京都で枝里子の反応を見ようという悪意だった――。 東大卒出版社勤務、驚異的な記憶力を持つ「僕」は、同時に3人の女性と関係を持ちながら、誰とも深いつながりを結ぼうとしない。 その「理屈っぽく嫌味な」言動の奥にあるのは、絶望なのか渇望なのか。 彼の特異な過去を知った枝里子は。 「自分の人生にとって本質的なことからは決して逃れられない」 切実な言葉たちが読む者の胸を貫いてロングセラーとなった傑作が文春文庫に登場。 解説・窪美澄
  • 僕は結婚しない
    3.5
    僕は34歳、独身の建築家。つき合う女はいるし、周囲からのプレッシャーもあるけれど、結婚はしない──。湘南でのヨット事故、売春シンジケイトを巡る事件、スポーツクラブで出会った美しい母子……。元祖・青春小説『太陽の季節』の著者が、息もつかせぬ展開で描く現代の恋と性。性的に放縦でありながら、倫理的とはどういうことか? 「人間がセクスにソフィスティケイションを持ちこんじまったせいで性愛の堕落が始まったんだ」。官能的でゾクリと怖い傑作中篇小説。
  • ぼくは勉強ができない
    4.0
    不朽の青春小説が今再び! 勉強はできないが女にはモテる――高校生・時田秀美に女は皆ときめき、男は皆あこがれた。著者書き下ろしメッセージも収録。
  • ボナペティ! 臆病なシェフと運命のボルシチ
    4.2
    1巻800円 (税込)
    美味しい店がないなら作ればいいじゃない! 絶品料理と美味なる“謎”を召し上がれ。 仕事どん詰まり中の会社員の佳恵(食品会社勤続13年)。自らを元気づけるため、かつて愛したフレンチの名店を訪れるも、その空気が一変していたことから新しいシェフと喧嘩し、出禁になる。仲裁したシェフ見習いの青年・健司はシェフ志望で、その料理の腕は確か。佳恵は彼をスカウトし、念願のビストロを開店するが――。難問つづきの日々を無事乗り越えられるのか?
  • ボナペティ! 秘密の恋とブイヤベース
    3.5
    1巻800円 (税込)
    念願のビストロを開店して早一年。常連客もつき、 経営は順調に見えたが、徐々に客足が鈍り始めた。 新規顧客を開拓すべく立ち上がった佳恵と健司。 しかし、健司は一目惚れした花屋の女性のことで頭がいっぱいで……。 経営不振に陥った店を救う秘策はあるのか? 美味しい料理と切ない恋が心に沁みる、お料理小説シリーズ第二弾。
  • ボラード病
    3.6
    日本中を震撼させた傑作がついに文庫化! B県海塚市は、過去の厄災から蘇りつつある復興の町。 皆が心を一つに強く結び合って「海塚讃歌」を歌い、新鮮な地元の魚や野菜を食べ、 港の清掃活動に励み、同級生が次々と死んでいく――。 集団心理の歪み、蔓延る同調圧力の不穏さを、少女の回想でつづり、 読む者を震撼させたディストピア小説の傑作。 (解説・いとうせいこう) 「誰も触れたがらないきわどいポイントを錐で揉みこむように突いてみせた、とびきりスキャンダラスな作品」(松浦寿輝) 「この作品に描かれた社会が、近未来の日本に現れないことを願っている」(佐藤優) 「世界をありのままに感じることがいかに困難であるかを描きだした魂の小説」(若松英輔)
  • ボーン・コレクター(上)
    3.9
    ケネディ国際空港からタクシーに乗った出張帰りの男女が忽然と消えた。やがて生き埋めにされた男が発見されたが、地面に突き出た薬指の肉はすっかり削ぎ落とされ、女物の指輪が光っていた……女はどこに!? NY市警は、科学捜査専門家リンカーン・ライムに協力を要請する。彼は四肢麻痺でベッドから一歩も動けないのだが……。ハンデをも武器にする、ニューヒーローが大活躍の傑作ジェットコースターミステリ。<リンカーン・ライム>シリーズ第1弾!

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