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霧たちこめる釧路で生まれ、貧しく苛烈な少年時代を経て、男は、自らの過剰な指を切り落として、夜の支配者へとのし上がる──。
男の名は、影山博人。
最初の物語は、没落した社長夫人が、かつて焦がれた6本指の少年の訃報を新聞に見つけるところから始まる。
同衾した女をみな翻弄し、不意に姿を消してしまう正体不明の男であり、故郷に戻った後、暴力で容赦なく人を支配する黒い権力者。
不思議な魅力あふれる影山の、15歳、19歳、27歳、32歳、そして、40手前から52歳までの8つの時期を、時々に出会った女による語りで構成。
――はたして、影山博人は、外道を生きる孤独な男なのか? それとも、女たちの「夢」の男なのか?
影山と関係するそれぞれの女たちは皆何かしら困窮している。死別で、離婚で、借金で……誰かや何かにすり減らされてひりひりと痛むような乾いた心を持っている。(中略)そこにある程度の「まっとう」を手に入れ、今もなお貪欲に模索している影山が現れる。ひかれない訳がない。(中略)もしかすると、影山の指が六本なのは、より多くの困窮にあえぐ者にチャンスを与えるために余分に備わったのではないかとすら思う。
(壇蜜・解説より)
デビュー10周年の著者による、新境地にして、釧路ノワールの傑作!
「謎」の男をめぐる、八人の女たちの物語。
──俺には、白と黒しか要らないんだ
Posted by ブクログ 2023年10月23日
人にはそれぞれ身体的特徴があります。背が高い人、目がパッチリした人、耳が大きい人…。人が生物である限り、全く同じ身体を持つはずはなく、それぞれ生まれ持った身体とともに一生を生きていくことになります。それは、個性でもあり、そのパーツ、パーツの集合体がその人を特定するものとなり、他人にその人を紹介する時...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年01月29日
生と性への執着と欲望が濃縮されている。
北海道の釧路の下町で、地を這うような暮らしをしていた、影山博人。
6本指、美しい風貌、それを活かし男娼をして生き抜くしかなかった青年期。
彼を巡る女性たちから見た8話の連作短篇集。終始、博人の目線で語られることはないのに、彼の人生を知ることとなる。
暗く...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年01月28日
いつもの桜木紫乃とはちょっと違う。
桜木紫乃が描く塗れ場は 全く色がなく ラブシーンを書かせたら こんな下手な作家はいないといつも思っていた。だけど ブルースは どの話も色がある。
桜木紫乃が描く話には 男女問わず 好感を持てる人が登場しない。好きになれないから 感情移入できない。それでも読ませるの...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年07月10日
『ラブレス』(新潮文庫、2013)が面白かったので立て続けに同じ著者の小説を読んだ。こちらもなかなか。
影山博人という両手両足の指が6本ある男の人生が、人生のそこここでかかわりのあった数人の女たちの視点を当てながら描かれる。顔がよくてセックスもうまかったみたいだけど、悲しい生い立ちを背負ってダークな...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年05月20日
私の期待してた終わり方ではなかったけど、1人の男が年齢を重ねて色んな女性と関わっていくという書き方は好きだった。影山博人さんという1人の人生を見ているのに、視線がその時々の女性たちなのが面白い。ちょっと影がある人がモテるってほんとだよなーと思った。笑
私の中で影山博人という人物像が出来上がりすぎてい...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年11月29日
1人の男性を女性からみた視点で次々と繋がっていくストーリー。
北海道での話し。
たばこ、酒、欲望、女、男、雪、夜
桜木さんの本を読むといつもこんなキーワードが出てくる。
頭の中に私の知らない夜の街が次々と浮かんできて読み進めていくのが楽しい。
最後は身体の関係ではなく、心で繋がっていたような関係だっ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年07月06日
「男の美しさ」をすべて持っている男。本作のあらすじを簡単に言い表すならば、そんな男の少年時代から命を落とすまでの連作短編集。
彼には生まれつき6本の指があり、愛想はなく、色気がある。その時々に彼にハマった女たちの目線で描かれます。
表紙から想像する雰囲気も、話中で流れる音楽も、何かにつけて昭和の...続きを読む
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