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Posted by ブクログ
富士山頂で冬を越す。
想像しただけで「そんなことできるの?」と思ってしまう。
明治の時代にそれに挑んだ野中夫妻、特に妻の野中千代子さんについての小説。
現代の女性像とは違い、封建的な時代だった当時、親族や世間の目を省みずに夫を助けるために富士山に登った千代子さんの姿は、とてもかっこよく映った。
結果的に千代子さんがいたことで夫の到さんは大いに助けられ、後年「あれは千代子がいたからできたこと」と言ったそうだ。
前例がなくとも信念を持ってやり通すことの美徳を感じる。
また、新田次郎さんは『剱岳 点の記』以来2冊目だが、本当に自然の過酷さがリアルに描かれていてゾッとする。
こうした山に関する本が好きでよく読むが、決して美しいばかりではなく、簡単に人の命を奪い去る残酷さを持っているのも山の一面だ。
大きな自然の前で吹き飛ばされそうになる小さな人間の戦い。
それが山の小説を読んでいて怖さとワクワクを感じる所以なのかもしれない。
Posted by ブクログ
今のように衛星などなかった明治28年、正確な天気を知るために明治に富士山に気象観測所を設けるという目標を掲げた野中到
最初はたったひとりで挑戦だったが、密かに妻
千代子も夫を助けるのは当然の事という断固した意思を持って、周りも説得し、娘を自身の親に預けて夫がいる観測所に向かう…
最初は難色を占めした到を説き伏せ夫婦ふたりで挑む
どれほど大変で、無謀な挑戦であったのかとひしひしと感じた
観測危機が寒さや風で壊れていき、高山病、低体温症、栄養失調に脚気…
体も壊れていく中、強い意思と決して弱音をはかないその姿勢は感銘を受けた
何事も最初の挑戦は困難を伴う事が多い
たとえ自身が叶わなくてもその意思を継ぐ架け橋になるならばその挑戦に無駄なものは何ひとつはないと感じた
ただ、娘さんが不憫に感じてしまう
たとえ夫を支えるためであったとしてもまだまだ母の恋しい時期に離れ、最期すら看取れない…
妻としては正解かもしれないが、母としてはどうなんだろうかと少しもやもやしてしまった
その後、生還し沢山の子をもうけて尽くしたのは時代もあるが、その罪悪感もあってのことなのかなとも思ってしまった
Posted by ブクログ
「新田次郎」のノンフィクション作品でNHKでドラマ化もされた『芙蓉の人』を読みました。
「新田次郎」作品は、2年前に読んだ『アルプスの谷 アルプスの村』以来ですね。
-----story-------------
時は明治28年である。
正確な天気予報をするためには、どうしても富士山頂に恒久的な気象観測所を設けなければならない。
そのために「野中到」は命を賭けて、冬の富士山に登り、観測小屋に篭った。
一人での観測は無理だという判断と夫への愛情から、妻「千代子」は後を追って富士山頂に登る。
明治女性の感動的な物語がここにある。
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明治25年(1892年)、日本の気象予報を正確に把握するために、富士山の山頂に観測所を設置しようと、「野中到(いたる)」は富士山に登頂し、冬の寒さに耐えながら気象観測に力を尽くす… 「到」と命がけで夫と行を共にした妻「千代子」との夫婦愛と、気象観測に情熱を注いだ人生を描いたノンフィクションです。
日々の暮らしに欠かせない天気予報… この予測をより正確なものにするべく、命を懸けた「野中到・千代子夫妻」、、、
「到」は私財を投じて富士山頂に気象観測所をたて、中央気象台からの「委託」という形で観測機器を借り受けて、前人未到の冬期観測を実施… たった一人、眠る時間も削っての2時間おきの計測を続ける「到」、、、
一人での観測は無理だと考えた妻「千代子」は、夫を支えるため、周囲の反対を押し切り、娘「園子」を実家に預け、夫の後を追って山頂に登る―― 暴風、雪、低温… 想像を超える自然環境下に置かれた観測所では、室内で終日ストーブを燃やし続けても寒さが増し、壁面は凍りその厚みが増してゆく。
さらに高所での生活で高山病を発症… 食欲は失せ、食料あれど食べたいものが底をつき、何より寒さと低気圧によって当時の計測機器がことごとく使いものにならなくなっていく。
献身的な愛情と勇気をもった明治女性の姿を描いたこの傑作でしたね… 夫妻の奮闘、暮らしぶりもさることながら、衰弱し自力で立つことも這うこともできない二人の救出に向かい、凍結した頂上から二人を背負って連れ帰った人たちの心意気にも心を打たれました、、、
狂ったような暴風と、目も凍傷を受けるほどの極寒… 当時の装備で厳冬の富士山に登るなんて、本当に命懸けですもんね。
それにしても、「千代子」の精神的な強さには敬服しました… 見習いたいですね。
Posted by ブクログ
明治の男の気概と意志を感じる。
明治の女性の凛とした強さを感じる。
あの当時の科学技術の水準も低く、材料や機材も素朴な時代の中で、富士山頂に観測小屋を私財を投じて建立し、しかも冬季観察を企てようという誰も考えもしなかったことを祈願し、実行した野中到。
日本どころか世界的にも類例の無い壮挙であり、当時の民衆も熱狂したという。
野中到の物語は何度か小説化されたようだが、野中到の影に隠れていた妻の千代子に光を当てたのが新田次郎のこの名作である。
新田次郎自身がかって気象庁職員であり、富士山測候所に数百日勤務していた経験に裏付けされた冬の富士山の描写は凄みがあり、まるでその場にいるかのような気にさせる。
Posted by ブクログ
ありえない。。明治でしょ、富士山で?山頂で越冬??そんなの絶対無理無理。と思って、そんな非現実的なことなんて全然無理無理と思って読み始めた。
そして二人とも高山病と寒さで11月にはすぐ死んでしまいそうになるのも、そりゃ頷ける。でもでも、あの時代にトライしようとしたのが本当にありえなくてすごすぎる。
また、結末を知らないで読み進んだんだけど、12月の年末に?救助隊が富士山に上がって行って、二人を担ぎおろしてきた?すごいな!本当にびっくり。
年末の富士山なんて、現代で、十分装備を整えて、プロが行ったって危ないのに、明治でしょ、アイゼンとかピッケルとか、ろくに無いんでしょ、それで担ぎおろしたのか!と本当にびっくり。
しかし、昔の人は強かったんだなー。と思います。ただでさえ、ただの主婦の女性が、たったの数週間、実家近くの低山を歩いて足慣らしして、それで富士山に登っていけるなんて、おそらく現代と比べて基礎体力や基礎的な脚力が本当に高かったんだと思う。現代の20代女性が突然3週間丹沢で足慣らしして富士山に登れなんて無理でしょう。。。そもそもトレーニング最初の1週間は筋肉痛でどうにもならないでしょう。
そして、一人で2時間おきの気象観測に突っ込ませた気象庁(昔は気象台?)と、それを一人で引き受けた野中到さん、ありえない。ちゃんと計画考えていない。そこはおかしいと思う。
そりゃ富士山寒いでしょうよーー。マイナス20度で風吹きまくりなんだから、一瞬で死んでしまうよ。。昔から現代への、一歩一歩の進歩っていうのは、こういう無茶や無理にトライして、それを乗り越えられたケースと、それよりももっと多くの乗り越えられなかったケースを踏み踏みしながら、この現代が築き上げられたんだろうなと思うと、ホントーにすごいことです。
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