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気象庁の長年の悲願だったレーダーにようやく大蔵省の予算がついた。これが実現すれば、正確なデータが迅速に入手でき、より正確な気象予報ができる。しかし、激しい乱気流が渦巻き、天候の変わりやすい富士山の頂にどうやって重い資材を運び、レーダーを建設し、東京の気象庁まで無事にデータを送り届けるのか。2年間でレーダーを完成させなければならない。気象庁とメーカーの戦いはこれからだ。現場の担当者・技術者たちの苦闘を描き出す、異色の山岳小説。
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Posted by ブクログ
読み応えたっぷり楽しめた。 三部からなる。 富士山への気象観測レーダー建設着信前の気象庁での話、建設途中での出来事、完成後の諸問題などとわかれる。 現場は山岳だが、内容は国家予算による一大プロジェクトを成し遂げた省庁でのお仕事ドラマだろうか。 仕事を受けたくでドロドロした対立関係になる会社は分割...続きを読む発注なのかシングルなのかで建設期間も限られた中での指示系統をも鑑みた、統括のとても難しい中での人間ドラマ。 現場監督のことば、建設に関わった者の名をプレートで残すことで、この仕事の真意は人の数、技術、金、ではなく人の気持ちだ、という最後は人、その人を奮い立たす誠意と覚悟。 完成を祝う乾杯の席でも葛木に本心を語る所員の言葉を過酷さをわかるが故に静かに聞き入る。 喜怒哀楽、人の想いがびしびし伝わってくる小説であった。自身の体験を俯瞰して書かれていて素晴らしい。改めて知ることばかりですごい経歴の作者だ!
感動の野武士伝説 富士山頂への気象レーダー建設物語。 作家でもある気象庁課長が通信メーカーと一緒に一大事業を成し遂げる。名誉のため採算度外視で受注活動を繰り広げるメーカー各社。 事業は一社でやるべきと主張する気象庁課長の主人公。ドラマがそこに生まれる。 主人公の政治的圧力をも跳ね返す...続きを読む意志力。圧力でどうしてもメーカーに分割発注しないといけなくなったときの心、さらに逆転でそれを跳ね返して一社で工事をやり遂げた達成感。 建設会社の現場監督の言葉もいい。 工事の完成は人の数でも技術でも金の力でもなく、人の気持ちだ 完成後のパーティーで、機械予算は取ってそこで働くことになる人のための予算が少ないことを所員から責められるのだが、黙ってそれを聞く主人公の心の動きも鮮やかに書かれている。 富士山頂レーダー建設を背景にした主人公の心の物語であるとともに、新田次郎その人の私小説のような気がして、この作品は私にとって新田次郎作品ベスト3に入るものとなっている。
富士山レーダー建設を通しての人間ドラマ。気象庁に勤めていた頃の作者の体験を元に書かれた小説。 NHK「プロジェクトX」の第1回目が富士山レーダーの話で、ラストに作者も紹介されてました。 新田次郎は、文体や作品の目線や作者近影が見るからに優しそうなのに、満州からシベリアへ抑留された過酷な経験をしてい...続きを読むたり、奥様の藤原ていによると結構子供っぽかったり怒りっぽかったりしたらしく(要するに邪気がないのかな?)、藤原さんの満州引き上げ体験記やエッセイなども興味深いです。
調達、入札、納入に関わる企業小説としても、生まれた以上、一生を賭けて後に残る仕事をしたいと思わせる教養小説としても、とても面白い。
富士山頂に気象レーダーを建てる計画を軸に展開する人間模様。自身の経験を織り込みながらのエピソードは説得力がある。
富士山にレーダーを設置するというロマンとそれに対する役所内部のドロドロしたものや施工業者との軋轢がとても興味深く楽しめた。 半世紀ほど前のお話なのだが新田氏のリアルな経験が切々と語られている感じ。 それにしてもお役所という所は何十年経っても変わらないシステムなのだなぁと感心したり呆れてみたり。
新田先生の作品の中では、今の所一番好きです。 自分が読めてる中では、って事だけども。 映画も、こちらの方が好きだなあ。 まあ、これは自分ですよね〜、って感が、 一番描かれてる作品ではあるし、 主人公、祐次郎だよ〜、って思いはありますが、 自分はこの作品面白かった。 DVD出たら買うのになあ。 「映画...続きを読むは映画館で観るものです」とか言った、 祐次郎さんの言いつけで、出てないのが残念だ。
時として、頭の中で「地上の星」が大音響で自動スイッチ入るような…(笑) もはやプロジェクトX症候群。 それにしても、著者自身がモデルだとしたら、カッコよすぎます、葛木課長!
大げさな語り口ではなく淡々と語られているせいか、登場人物たちと同じ気持ちで富士山レーダー完成に向けて邁進でき、案外サラリと読めてしまった。 著者が実際に携わっていただけに、様々な側面から絡む人間模様は実録のようで興味深い。
▼読むきっかけ NYマラソンツアー中に読書。 ▼読んだ感想 第1回プロジェクトX「巨大台風から日本を守れ」には 描かれていない悩ましい苦しい場面も熱くなれる。 来年も富士山に行こう。
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