習慣の力
著:チャールズ・デュヒッグ
訳:渡会 圭子
ハヤカワ文庫 NF542
良書 本書は、「習慣」とは何かを解説した書です
習慣は、【きっかけ】⇒【ルーチン】⇒【報酬】のループからなる。これが本書のメッセージである。
気になったのは、以下です。
■習慣を変えるためには
・習慣とは、大脳基底核に保存された、一連の行動のパッケージ(手順リスト、定跡集)である
だから、習慣のきっかけが発動すれば、その行動のパッケージを考えることなく実行ができる
・脳を損傷した患者は、基底核さえ破壊されていなければ、習慣を獲得、行動できるが、それがなぜなのかはわからない。
・習慣とは、考えなくても自動的にできてしまう一連の行動である
・習慣は、恵みでもあり、同時に、禍いでもある
・習慣は思っている以上に、私たちの生活に影響を与えている。その力があまりにも強いため、脳は常識よりも何よりも、習慣に頼っている
・悪い習慣をなくすことはできないが、変えることはできる
・たとえどんな執拗なものであっても、習慣は変えることができる
・切羽詰まった状況になると、習慣は以前のものにもどってしまう
・習慣を変えるためには、変わることができると信じることである
・きっかけと報酬が何かわかれば、ルーチンを変えることができる
■組織的習慣
・一番重要な習慣とは、それを変えれば、他のパターンを取り除いたり、つくり替えたりできる習慣のことだからだ。
・軍隊で学んだもっとも重要なことは、習慣を理解したことだ。
・小さな勝利:小さな強みを着実に積み重ねていくものだ
・継続的な改良:幅広く社内で批判し合う、という習慣から生まれた
・教育の中心にあるのは、きわめて重要な習慣を重視していることだ。それが、意思の力、である。
意志力こそが、個人の成功に求められる
・なぜ腕のいい外科医がありえないようなミスをするのか?
仕事のあと走るなど、意志力が必要なことをするなら、昼間は意志力の筋肉を温存しておかなければなりません。
・意思の力は、鍛えることができる
・スターバックスが出した答えは、自制心を組織の習慣にしてしまうことだ
私たちのビジネスモデルの基本は、最上の顧客サービスです。それがなければ、始まりません。
・仕事がうまくいかなくなるのは、転換点にぶつかった時だとわかった。
彼らに必要なのは、転換点にぶつかったとき、自制心を容易に働かせるように制度化された習慣だったのだ
・スターバックスは、社員が難しい状況に直面したときに使える。社員教育のための新しいマニュアルを作成した
・LATTEメソッド
Listen お客様の声に耳を傾ける
Acknowledge 彼らの不満を認める
Take action 問題解決のために行動する
Thank お客様に感謝する
Explain なぜその問題が起こったのかを説明する
・途中でやめてはいけないよ
・消費者の習慣を分析して、ターゲットを探す
妊娠している女性は小売店にとって、有望な顧客である
・人がなじみのあるものを好む
・音楽や言語を処理する部位は、パターンをさがし、なじみのあるものを求めるよう、つくられている
■社会の習慣
・社会習慣に影響があるのは次の3つ
1 友人とのあいだの社会習慣、そして親しい知り合いとの強い結びつきから運動が始まる
2 その運動がコミュニティの習慣となり、隣人や仲間たちをまとめる「弱い結びつき」の力によって拡大していく
3 リーダーが参加者に対し、新たなアイデンディや当時意識を感じられるような、新しい習慣を与える
この3つの段階が実行されたとき、運動はひとりでに進むようになり、臨界状態に達する
・友人が不当に扱われれば、ともに戦おうとする感情が本能的に湧いて来る
・「弱いつながり」としても知られる力である。その力が働くと参加することが容易になる。
・参加しなければ、つまはじきにされる、というコミュニティの圧力によって人々は団結したのだ
・多くの人々を解放する力を持つ伝道者とは、ごくふつうの社会生活を送りながらでも、キリストの従者になれると説けるものだけだ
・人々の恐怖心をあおって、キリスト教の教えを守らせようとしても、長くは続かない
信者に自分で精神的成熟に責任を持たせる方法はただ1つ。信仰という習慣を教えることだ
・ある運動を、コミュニティを超えて成長させるためには、運動自体が自力で進まなければならない
そして、それを実現する確実な方法は、運動の主体となる人々に自らどこへ行くべきかを見つけ出す、新しい習慣を与えることだ
・新しい行動を教えることで、参加者を追随者ではなく、自発的に動く、リーダに変えるということだ
・ギャンブルとは、貪欲の子供であり、不正の兄弟であり、害悪の父である
■まとめ
・わたしたちの生活はすべて、習慣の集まりにすぎない
・つまり、習慣とは、自分で選んだものであると、気づくことだ。
選択した結果が、やがて、反射的に起こる習慣となると、それが現実になるだけでなく、必然と思えるようになる。
・変化のフレームワーク
①ルーチンを特定する
②報酬を変えてみる
③きっかけを見つける
④計画を立てる
・(解説より)
習慣とは、努力の無意識化ということです
大きな改革の事実を生むには、小さくてもいい確実なひとつの事実というのは、経験からもそうです。
この小さな事実を成就させる一連の流れを具体的に進めることで4割と言わず人生のすべてがより良いものに変わっていくと私は思います。
目次
プロローグ
第1部 個人の習慣
第1章 「習慣」のメカニズム
第2章 習慣を生み出す「力」
第3章 習慣を変えるための鉄則
第2部 成功する企業の習慣
第4章 アルコアの奇跡
第5章 スタバと「成功の習慣」
第6章 危機こそ好機
第7章 買わせる技術
第3部 社会の習慣
第8章 公民権運動の真相
第9章 習慣の功罪
付録-アイデアを実行に移すためのガイド
ペーパーバック版あとがき
解説 「生活習慣 それがすべてです」陰山 英男
ISBN:9784150505424
出版社:早川書房
判型:文庫
ページ数:432ページ
定価:1020円(本体)
2019年07月15日発行
2021年09月25日3刷