狩猟採集中心の原始時代は余剰の蓄積という考え方がなく、豊かな自然の恵みがある前提で、今必要な食糧を短時間労働で得て、他の時間は儀式や創作活動などに使っていたらしい。
現代でも狩猟採集型の伝統を守って生活している部族では、力が強いものや狩りのスキルが高い者が権力を持たないように、食糧を分けることを「
...続きを読む恥」と感じるようにする文化があるそうだ。また、自分のモノという所有の概念が我々と異なり、自分が持っていない者を、余剰を持っている者に要求することが当たり前ととらえられている。
気候変動とともに?、農業を行いはじめた人間は未来のための食糧生産や天候不順等に備えて余剰の生産を行う必要がでてきた。また、家畜や奴隷を機械のような生産手段とみなして生産性向上を図るようになった。
収量が上がると比例して人口が増えるため、狩猟採集時代よりもむしろ食糧難が増えたり、貧困が高まった時代も長かったという。皮肉。
近代から現代へ。労働時間が人生の大半を占め時は金なりという、労働価値観が幅広く共有されている。しかしながら、自然環境の持続可能性を考えるとこのままの富の蓄積や経済成長は困難。
現代の価値観を相対化して、どのような働き方や社会の在り方が心地よいものなのか考えさせられた。