ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
2pt
作家生活20周年におくる、恋愛小説の最高傑作 「甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから」。恋の妙味を描く珠玉の6篇。20年目のマイルストーン的作品集。谷崎賞受賞作 70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランマは、ガスステイションで働く孫の志郎の、ままならない恋の行方を静かに見つめる。 ときに甘く、ときにほろ苦い、恋と人生の妙味が詰まった小説6粒。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
いろんな調味料を いっぺんに口の中に入れられて、 それが絶妙なバランスで きちんと調和していることに驚く
キャラメルみたいに甘くて苦い六つの恋愛短編集。 ガソリンスタンドのスタッフやゴミ収集作業員の男たちが、山田詠美に描写されるとたちまち色っぽく美しく魅力的になる。そしてそんな男たちに閉じ込められている女たちのなんと可愛らしいことか。 読んでいるうちに涎が溜まって思わずごくりと飲み込むような、いやらしく...続きを読むて瑞々しい文章。大好き。
悲しくなったりくるしくなったりしたい人なんて誰もいなくて、楽しい嬉しいことだけなぞって生きてたい。 つらいことはしたくないし嫌なことはみたくない。 日々の幸せなところだけを享受していたい。 でも、そんなことは不可能で、いっぱい上手くいかないことがあって、少し上手くいってもまたすぐにだめになっちゃっ...続きを読むて、全然ままならない。 でも、だから愛しい。 明るいばかりじゃない人生が少し愛しくなる6つの短編 (あと、帰り道に、キャラメルを買って帰りたくなる。)
美味いねぇ。 普段この手合いの作品を手にしないけど堪能させていただきました。ガテン系の男の世界を描きつつ、何とも微笑ましい短篇集だ。タイトルとカバーも絶品。
あーえいみさんの小説だ。 一つ読み終えるごとに顔を上げて感傷に浸る。なかなか言葉にできない。作り上げてきた私の薄っぺらい価値観。えぐられてぐちゃぐちゃに掻き回されていく感じ。この複雑な愉悦(光悦、恍惚?)に陥るお決まりパターン。うっとりする。 1番すきなのは「アトリエ」。あーちゃんが私のようで驚...続きを読むいた。私だってつじつまが合わない。納得がいく酷い過去を持ち合わせない。ほんとうはないもないのに、心の中が重くて仕方ない。この世界に生まれた、人間として命をもった。生きているだけなのに。運命を全うしているだけなのに。なぜかいつも辛い。逃げ出したい生まれ変わりたい。そんな毎日。どんくさくて社会不適合者なところもそっくりだ。 しかし1つ違うところがある。あーちゃんはゆんちゃんを愛している。私はもう17年も生きていているのに。誰も愛していない。まずは人を愛せるようになるところから、だなあ。 私も手足が冷たい。季節や時間帯に関係なく。血液が騒ぎ出して皮膚表面まで昇っていく感覚。体がぽかぽかしてる。あの人と生きている実感がほてりを冷まさない。そう感じてしまう人。私を一部分にしてくれる人。掴みたいと思った。 だけど分からない。似ているはずなのに。あーちゃんは何を思っていたのだろう…。あれは自分のでっち上げじゃなかったの。悲劇のヒロインのおとぎ話じゃなかったの?今の私には分からない。いつか自分で考えて分かる日がくるといいな。 1つだけ刺さらなかったのは「海の庭」。思いは同じなのに、2年も何年も関係をはっきりさせない若くない2人。なにちんたらしてんねん!これだけ風味を感じられなかった。いやらしさが分からない!いつかに読み返す頃はこの感想が変わっているのだろうか。 主人公に感情移入してしまった「春眠」。複雑すぎる!章ちゃんは2人を受け入れられる日が来るのだろうか。来るとしたら、章ちゃんは別人だろう。私も痛いところをつかれた。嘘をついてカッコつけてしまうところが章ちゃんと同じ。素直って素敵だよね、カッコつけるの控えよ。妹のキャラクターが好き。あなたの味方だよ。何があっても。それってなんて幸せなんだろう。今の私にはそう心から思える人がいない。 月九ドラマじゃ放送できないような、ねちねちした愛の形がすき。そうキャラメルのよう。本から目をあげると、世界は一層色をもって鮮やかに映る。私の世界の彩度をあげる。えいみさんに出会えてよかった。 「風味絶佳」の"風味"とは食べ物に限定されない。人生とは人それぞれ十人十色の風味がある。その妙味。まさに絶佳。 風味絶佳な人生に仕立てたい。
恋愛小説はちょっと苦手だけど、これは比較的読みやすかった。印象に残ったのは「春眠」。章造の気持ちを考えると…だけど、こんな愛の形があってもいいんじゃないかな。
鳶見習い、ゴミ収集員、引っ越し作業員など、肉体労働についている男と女の恋愛模様六編。描かれているのは、のっぴきならなくなった恋愛の真っただ中で、揺れ動く感情、のような。『間食』で、十五歳年上の不動産屋勤務の女と暮らす若い鳶見習いは、彼女との出会いを思い出し、考える。「一緒に住もうと言われてその気にな...続きを読むった。大切にしてあげる。そう言われた。嬉しかった。彼女が嬉しがらせたいのは彼女自身だったのだと気づいたのは、ずい分、後のことだ。」彼は同時に大学生の花とも付き合って、いちゃいちゃしている。「悲し涙が嬉し涙に変わるのを見届けるほど、冥利に尽きるものがあるもんか、と彼は、自分のほうこそ泣きたくなる。この手の中のもの、離したくない。」お決まりの妊娠があり、関係は崩れる。全くタイプの違う反応を見せる二人の女の間で惑う彼に、同僚の死が訪れる。 『海の庭』で、離婚した母を持つ中学生は言う。「何か大きなものによって人間関係は動かされている。私たちにはかなわない力強いものに。そう思うと、なぜだか気は楽になる。いろいろなことを諦めるのに成功して、波立つ心は、ようやく鎮まる。」それに対して、母の幼馴染で、三十年振りの再会を果たしたのち、彼氏にはならず、しかししょっちゅう家に遊びに来るという関係を保っている男は言う。「あの時、自分から行動起こさなかったら、今、日向ちゃんともこうしてないよ。 -中略- 人とのつき合いって、全部自分の努力からなんじゃないかなあ」 『春眠』は、大学時代に好きだった女の子が、父と結婚して義母になる話。 「弥生は、章造の大学の時の同級生だった。同じサークルで、他の仲間たちと、愉快な、かつ焦燥感に満ちた時間を共有した。社会人になった今から思うと、日々の雑事や将来の行く末などに一喜一憂したあの頃の自分たちは子供じみていたが、かけがえのない時代ではあった。その一部を彩っていたのが弥生だった。」 山田詠美さんのこういう説明は、簡潔で的確で、でも情感があって、文章的にとても美しくて憧れる。
読後の後味は甘すぎるチョコレートやキャラメルを嚥下した後、喉に絡みついたり、ひりひりする感覚に似ている。 どれだけ甘くて楽しい生活や恋をしていてもどろりとしたそういう感覚にふと陥ることは小説の中だけではなく、現実世界で恋愛に囚われずともあると思った。 肉体労働に日々勤しむ男性に愛されるため、隠しご...続きを読むとをしたり独自の考えを持つ女性たちが強かでありながらも、相手がいなかったら崩れてしまうのではないかと疑う程の脆さも兼ね備えてるように感じた。 一日に一度は寂しいって思うことって人を愛するこつ。 表題にもなってる風味絶佳が一番好き。 グランマ(不二子さん)チャーミングでとっても素敵。
1.著者;小説家で漫画家。高校で文芸部に所属、フランソワーズ・サガン等を愛読。大学の時に、漫画研究会に所属。在学中に漫画家デビュー。「ベッドタイムアイズ」で文芸賞、「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」で直木賞、「風葬の教室」で平林たい子文学賞他、多数受賞。福田和也氏が、山田氏の「4U」「MA...続きを読むGNET」等を短編小説の名手と評価。 2.本書;恋愛小説の名人と言われる、山田氏の短編集(6編)。①間食 ②夕餉【人妻が清掃局職員に惚れて、家出→同棲。男に料理を作り続ける話】③風味絶佳【70歳でも真っ赤なカマロを走らせる祖母を巡る話】➃海の庭【離婚した母親の中学の同級生で、いまだに母を慕う引越し屋の男。その男を慕う娘の話】⑤アトリエ⑥春眠。登場人物は、ビジネスマンではなく、とび職や清掃局員等という人々であり興味津々。谷崎潤一郎賞を受賞。 3.個別感想(印象に残った記述を3点に絞り込み、感想を付記); (1)『第2編 夕餉』より、「どんなに私が丁寧に作ったものでも、口に合ったためしはなかった。もっとも、私も、正確に料理はしたものの、それが彼の血や肉になるなんて考えた事はなかった。・・・味気ない妻。愛してもいないのに結婚するからこういう事になるのだ。条件だけで配偶者を選ぶから、食卓の楽しみを失う破目になったのだ。軽はずみな夫」 ●感想⇒結婚観は十人十色です。某調査によれば、日本の1日当たりの結婚数は1813組→離婚は646組。3組に1組が破綻。結婚は、❝経済的な安定❞の他に、❝家と家という、複雑な人間関係を背負う❞事になります。しかし、離婚原因を見ると、男女共に「性格が合わない」が最多。従って、結婚に際しては、相手の人格を見極めると同時に、完璧な人間はいないと思うので、短所の許容範囲にも柔軟性が必要です。『恋愛→結婚→オシドリ夫婦』という幸せな人達もいるでしょうが、少数派と思います。生涯を共にする伴侶選びは重要です。そうは言うものの、大恋愛の結果、結ばれるというドラマチックな人生にも憧れますよね。読んだ小説の一節です。「仕事と伴侶。その2つだけ好きになれば人生は幸福だ」と。いずれにせよ、人間として尊敬に値するものを一つでも持ちたいものです。 (2)『第3編 風味絶佳』より、「いつだって、どのような時だって、女、優先。祖母は、それを貫いていた。幼い孫に対しても強要した。彼女と一緒の時に、志郎は電車やバスの座席に座った事はなかった。一つ空いていれば彼女に譲る。二つ空いていたら、もう一つを側に立っている別な女に譲る。・・・女がいる限り、男は疲れたままなのだ、と子供心に悟った。・・・仕込まれた事は山程ある。重い荷物を女に持たせてはならないとか、ドアは先に開けて押さえておき女を先に通すとか・・・」 ●感想⇒一昔前までは、男女差別という言葉をよく耳にしました。その頃は、ビジネスの場では、女性幹部は少数でした。男女雇用機会均等法を皮切りに、十分とは言えないまでも、差別は縮小しつつあります。私も幼い頃に、祖母から「生活の各場面で弱い立場の人がいたら気配りしなさい」と口酸っぱく言われました。バスや電車での席譲り・幼子を抱えた母親へのアシスト・困った様子の人等への気遣いは当然だと思います。女性と男性では、役割や体格等が違うので、それなりの配慮が必要。祖母はこうも言いました。「他人様が困っていたら、自分の親等、大切な人と思って、行動しなさい」と。経済的に、裕福とは言えない家庭でしたが、手前味噌ながら、祖母の教えに感謝しています。 (3)『第4編 海の庭』より、「何か大きなものによって人間関係は動かされている。私達にはかなわない力強いものに。そう思うと、何故だか気は楽になる。色々な事を諦めるのに成功して、波立つ心は、ようやく鎮まる。『(作並)そんなことないよ。・・・あの時、自分から行動起こさなかったら、今、日向ちゃんともこうしていないよ。・・・人との付き合いって、全部自分の努力からなんじゃないかなあ』『(日向)努力なんて言葉、大嫌い。報われなかった時に悲しくなっちゃうよ』」 ●感想⇒悩みに関する調査では、人間関係の悩みが最上位だそうです。人間関係には、憎しみ・妬み・・・、と色々あります。人は社会の中では、何らかの集団(家庭・地域・学校・企業等)に属して生きていかなければなりません。従って、人間関係を避けられません。私は、(作並)の言う「人との付き合いって、全部自分の努力から」に賛成です。色々学び、自己を確立するのです。それを武器にして(修正しながら)人に接すれば良いのです。疑心暗鬼に陥らず、へつらう事をせず、堂々と振舞えば良いのです。そう言うと、カッコいいのですが、私も人間関係に苦労しました。それにもめげずにやってこられたのは、良き友人・先輩・書物のお陰です。自分だけでは限界がありますよね。 4.まとめ;恋愛小説をあまり読まない私が、本書を手にしたのは、文章力に優れていると評判の、山田氏の作品という単純な理由です。そして、私とは異なる「肉体の技術を生業とする人々、職人の域に踏み込もうとする人々」の恋愛観を覗いてみたいという、好奇心からです。著者の表現力の巧みさと、六篇それぞれに興味をそそられる話の構成力に感心しました。高橋氏の解説での賛辞です。「現代の言葉のシェフが秘蔵のレシピで作り上げた六篇の小皿料理」と。❝個別感想❞で書いた他にも、『第六篇 春眠』では、父親が息子の片思いの女性と結婚。悶々とする生活を送る男の心情の描き方には、見事のひと言です。この小説は、恋愛がテーマと言いながら、人生の機微を巧妙に綴った作品だと思います。(以上)
全部ちょっと後味が悪くてふわっとした終わり方をしていてて、最初のページに戻って「こういうことだったのかな」ともう一回考えて、料理して何かを作っているときに味を試してる作業に似ている気がした
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
風味絶佳
新刊情報をお知らせします。
山田詠美
フォロー機能について
「文春文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
文藝春秋2026年1月号
試し読み
100万分の1回のねこ
120%COOOL
フリーク・ショウ
愛してるよ、愛してるぜ
明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち
嵐ヶ熱血ポンちゃん!
いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)
「山田詠美」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲風味絶佳 ページトップヘ