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文芸編集者・夏美は、年下の郵便局員・成生と恋に落ちた。同業者の夫・一浩は恋人の存在を打ち明ける。恋と結婚、仕事への情熱。あるべき男女関係をぶち壊しているように思われるかもしれないが、今の私たちには、これが形――。AからZまでの二十六文字にこめられた、大人の恋のすべて。読売文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
アラサー以上の年代に刺さる言葉が溢れているのではないだろうか。恐らく二十代の頃の私は冬ちゃん側の熱烈なひたむきさをまだ持っていた。
三十代の今、夏美と一浩は理想の夫婦だ。すれたな自分と感じるが、余裕ができたな、とも感じる。
実際問題こういう夫婦は意外といるんじゃないかと思ったりもする。ただ周りが必要以上に騒ぎ立てるので口には決して出さないが。
外で恋をしたから慰謝料とってさよなら、じゃなくてお互い傷つきながらもそれがスパイスとなり、気づきがあり、帰る場所になっている。そんな強固な関係ってめちゃくちゃ大人だなぁ。子どもがいない夫婦だから『お互い』が成立し、かっこよく描けたのだろうけれど。
「『不倫って言葉使わないでくれる?おれ、大嫌い。その言葉』私だって、実は嫌いだ。でも便宜上、使う。誰だって、もう、この言葉に深い意味を与えていない。『倫理にあらずって誰が決めるんだよ馬鹿馬鹿しい。』他人の生活に審判を下すのは、私たちの趣味じゃない。出来るのは、感じたことを話すだけ。」
「特別な機会は、何度も重ねられて行くと特別ではなくなる。この年齢になるとそれが解る。私は、怖がっている。永遠に続くものなどないと知っているから。」
「何年も続く夫婦生活の中で、必ず訪れる出来事。それを隠し通して何もなかったような振りを続ける夫婦もいるだろう。でも私たちは、露呈させることを選んだ。そのことによって、私が一浩を解放したように、私も彼に解放されたのだ。」
「演技する必要のない密室の中で、大人たちは、いつだって子どもに戻る。問題は、その密室を用意してくれる人間が側にいるかどうかだ。一浩は、もう私にそれを与えてくれない。そして、私も彼に与えてあげることが出来ない。その方法が解らない。何故なら、お互いのみっともなさを、私たちは、もう、いとおしがれないからだ。その姿に出会うのが、特別な機会でなくなった時、私たちは、共有していた密室を失ったのだ。」
「はたから見たら、夫婦で恋人作ってよろしくやっちゃって、なんて思うかもしれないけど、人が恋するのは仕様がないじゃない。でも、恋って、やがて消えるよ。問題は、恋心の到達できない領域にお互い踏み込めるかどうかってことじゃない?二人の間にはその領域があって、そこのスペアキーをどこかに預けているような気がするの」
「恋愛がいかに身勝手な自分を正当化しながら進行するのものかを知らないようだったから。相手を想うふりをして、皆、自分の都合で動いている。本当に相手の都合を第一に考えられるようになった時、その恋は、いつのまにか形を変えていたりする。退化する。あるいは、進化する。」
パートナー以外の人に恋することはある。
結婚していてもそういうことは現実としてあると思う。
相手を大切に思う気持ち、自分を大事にする気持ちを考えさせられた。
不倫のお話だが素敵な小説だった。
出てくる人たちの素の心が上手く書かれていて好きな本でした。
Posted by ブクログ
出版社で働く35歳の森下夏美。ある時同業者の夫から浮気を告白されてしまう。そんな夫に対し嫌悪感を抱く夏美だが、自分自身も10も年下の男と浮気をしてしまい...
ただ単に「不倫」をテーマにしたものではなく、根本的にはもちろんあるのだが、同業者の夫婦であるためお互いをさらにライバル視したり、不倫はしたが結局一番失いたくないのは結構相手など新たに気付くこともある。一夫多妻制やその逆もまたしかり、最近よく聞くがこういう夫婦もあるんだなと多少一夫多妻などに理解ができた。個人的には「不倫」に対し、不倫字体が悪いのではなく、これだけでなくパートナーにこそこそ隠しながらするのがすごくダサくて嫌悪感がある。「不倫」に対し斬新な設定で面白かった。もちろん自分自身はしたくないのだが。
タイトル通りAからZの26個の小タイトルで構成されている。しかし、それぞれのタイトルの頭文字を取る形ではなく小タイトルはそのまま「a」や「c」など。文中に「encounter」や「うuntitled」など特徴のある単語を太字で記載している。今まで体験したことのないアプローチ方法で面白かった。
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小説・文芸
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