あらすじ
文芸編集者・夏美は、年下の郵便局員・成生と恋に落ちた。同業者の夫・一浩は恋人の存在を打ち明ける。恋と結婚、仕事への情熱。あるべき男女関係をぶち壊しているように思われるかもしれないが、今の私たちには、これが形――。AからZまでの二十六文字にこめられた、大人の恋のすべて。読売文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
数年前に『僕は勉強ができない』を読んで以来の山田詠美の小説
いくつになっても恋は素晴らしい
何十年と生きていると色んな制約がついて回り、自由に恋するなど叶わないが大人らしく自分の行動に責任が取れるならいいのではないか
物語の恋心は家庭を壊したり、一方的に誰かを傷つけるものではない
誰もが相手を想う気持ちに向き合い、愛し愛されている
せっかく生まれて来たのだから今ここを正直に生きていくのがいいわと夏美が教えてくれた
Posted by ブクログ
高校生の時に読んで、なんて大人っぽい本!って思いました。
現実世界では不倫は良くないし、
私自身は不倫されたら、許せないし、。
自分自身も不倫したいとも思わないのですが。
この本の登場人物は、お互いに不倫をしながらも2人の絆は強く、軽やかで、いいなと思いました。
お互いに傷つき、傷つけながらもまた帰ってくる。
特別な関係性がいいです。
そして、自立して男に頼っていない夏美がとてもカッコよくて憧れました。
Posted by ブクログ
あなたは、”W不倫”をしていますか?
(^_^;)\(^。^。) オイオイ..
そんな質問に”はい!”と答える人はいませんよね。一方で、
あなたは、”不倫”をしていますか?
そんな風に質問を変えると、”ドキッ!”とされた方はいるかもしれません。そもそも”不倫”という言葉があるわけですし、世界最古の長編小説とされる「源氏物語」にさえ、そこには”不倫”な物語が普通に描かれています。”不倫は文化”と大胆な発言をされた芸能人の方もいらっしゃいましたし、それ自体は決して珍しいことでもないのだと思います。
しかし、そんな”不倫”をしているあなたは、旦那さんに、奥さんにその現在進行形な現実を隠すはずです。自分にやましいことがあればあるほどに相手のことは見えなくなってもいきます。そう、そこに”W不倫”が進行する可能性が生まれもします。夫婦となる二人が、お互いに他人と恋に落ちていく現実。自らに起こる出来事と考えるとそれは悍ましい現実ですが、それを他人事として聞く分には、一つの娯楽としてのドラマが生まれます。
さて、ここに、
『夫の一浩が、その女との関係を、ついに白状した時、私は、呆気に取られた』。
という先に展開していく物語が描かれた作品があります。その一方で『妻だって恋に落ちることもある。夫にもそういうことがあるように』という先に十歳年下の郵便局員と付き合う一人の女性が主人公を務めるこの作品。『a』から『z』で始まる英単語がそんな女性の物語を彩ってもいくこの作品。そしてそれは、そんな主人公と夫が”W不倫”な日常を送るその先に、大人な恋をあなたが目にする物語です。
『ね、母国語って英語で、マザー・タンって言うって、ほんと?』と『ベッドの中の成生(なるお)』に訊かれて『そうだよ、でも、どうして?』と返すのは主人公の夏美。『おれの知らないこと、いっぱい知ってる』と言う成生に、『それは…』と言いかけたものの、『十年余分に生きてるから、などというのは、ただの事実で理由にならない』と思い黙った夏美は、『夕方から打ち合わせ』があると言うと成生の部屋を後にしました。『会社の向い側にある小さな郵便局で出会った』成生のことを思う夏美は、『窓口』で働く彼に『切手やら葉書やらを買いに行きさえすれば会える』日常を『素晴らしい』と思う中に生きています。『出版社勤務。既婚』の三十五歳という今を生きる夏美。場面は変わり、『夫の一浩が、その女との関係を、ついに白状した時、私は、呆気に取られた』という夏美は、『目の前で交通事故 accident を目撃してしまったような驚き』を感じます。『いつからなの?』、『一年ぐらい前から』、『名前は?』、『知ってどうするのか解らないけど、本宮冬子さん』と冷静に語り合う二人。そんな中、『コンビニ』で出会ったこと、『女子大』に通う学生であることを説明され『かがみ込んだ』夏美に『大丈夫か』と声をかける一浩に『夫に女作られたら普通泣くよ』と返す夏美。しかし、一浩はそんな夏美に『やっぱり、おれ、ナツのこと好きだよ』と話しますが、『冬は?』と訊かれ『冬ちゃんも好きだよ』とも言います。思わず『側に積んであった本を投げつけた』夏美は、それを素早く避けた一浩の姿を見て『彼の敏捷な身のこなし方が、たまらなく好きだ』と思った過去を思い出します。『恋人同士だったのは二年間程』、『別々の出版社に勤め、たまに同じ作家を担当することもある』という夏美と一浩は、『子供のいない私たちは、いつもやんちゃな仲間同士である』と二人の関係を考えてきました。『いつから気付いてた?』と訊く一浩に『しばらく前からだよ…いつもと違ってたもの』、『魂抜かれてた』と返す夏美。『ナツ、今、恋人は?』と訊く一浩に『いない。私は、カズに会ってから恋人なんて作ったこと、ない』と返す夏美。そして、一浩は、『おれ、ナツとは別れたくない。でも、彼女とも別れられない』と言います。『遅かれ早かれ、こういう事態は、二人の間で起きたのかもしれない』と思う夏美。そんな夏美と一浩が”W不倫”の危うい日常を生きていく物語が描かれていきます。
“文芸編集者・夏美は、年下の郵便局員・成生と恋に落ちた。同業者の夫・一浩は恋人の存在を打ち明ける。恋と結婚、仕事への情熱…AからZまでの二十六文字にこめられた、大人の恋のすべて”と内容紹介にうたわれるこの作品。まさかのW不倫が描かれていく物語は、内容紹介に触れられている通り、『a』から『z』の26文字に分けられた26章から構成されています。読み終えて、これは上手い!と山田詠美さんの構成の見事さに、読売文学賞を受賞されたというその受賞歴含めなるほどと納得しました。
では、そんな作品を三つの側面から順に見ていきたいと思います。まずは、『a』から『z』のアルファベット26文字が章題になる26章の構成についてです。この作品は主人公の夏美視点で最初から最後まで展開する物語ではありますが、そんな物語は細かく26の章に分かれています。そして、その章題に『a』から『z』のアルファベット小文字がまず記されています。これだけでは意味不明です。私もちんぷんかんぷんな思いの中に読み始めましたが、そこに唐突に登場したのがアルファベットで記された一つの英単語でした。『夫の一浩が、その女との関係を、ついに白状した…』と修羅場を予想させる場面が描写される冒頭の『a』の章。そんな時の夏美の内面をこんな一文が表します。
『テレビ番組の衝撃映像特集を見たような気分というのか。と、いうより、むしろ、目の前で交通事故 accident を目撃してしまったような驚きに近かったかもしれない』。
そうです。『目の前で交通事故を目撃してしまったような驚き』とするのではなく、そこに『accident』という英単語が挿入されているのに気づきます。
『事故』=『accident』
特にひねりがあるわけでもなくそのまんまの英訳とも言えるこの表現。それは、『b』以降の章でも同様です。少しだけ見てみましょう。
・〈d〉 → 『ここが目的地 destination だったのだ』
・〈m〉 → 『近頃の私、まるで、彼のあやつり人形 marionette みたい』
・〈s〉 → 『あなたが来ると、私が孤独 solitude の楽しみを失ってしまうというのに』
このような感じで、『a』から『z』までさまざまな英単語が登場していきます。正直なところ、字句そのまま訳の英単語が26個登場しても、だから何?という感じもします。しかし、この繰り返しは不思議と読書を進める中で一つのリズム感を生み、また、次はどんな単語が登場するんだろう?『q』は?、『x』は?、そして『z』は?と候補が浮かべづらい文字から始まる英単語を思い浮かべながら読み進める読書はなかなかに楽しい時間を与えてくれるのに気づきます。上記の通り26分の4をお伝えしましたが、これから読まれる方には上記も参考に、他のアルファベットにどんな英単語が登場するのか、是非楽しみにしていただければと思います。
次に二つ目は、この作品の主人公・夏美、そして夫である一浩の職業が出版社に勤める編集者だということです。小説を書かれる作家さんにとって一番身近にいる存在、それが『編集者』です。そんな作家と『編集者』の関係性は額賀澪さん「拝啓 本が売れません。」に詳述がなされてもいますし、大崎梢さん「プリティが多すぎる」には、編集者が主人公となって雑誌が出来上がるまでの舞台裏を鮮やかに描かれてもいきます。一方で、この山田さんの作品に描かれるのは、主人公でもある夏美と夫の一浩が『別々の出版社に勤め、たまに同じ作家を担当することもある』という絶妙な設定の上に編集者の仕事が生々しく描かれていきます。
『仕事中、外で偶然出会う時、こいつには負けたくないな、と思ったりする。彼も同じように感じているのが解る』。
そんな二人がそれぞれの出版社に働く時、彼らは間違いなくライバルとなります。そんな関係性を描くワンシーンを見てみましょう。
『あいつ、今度の城山千賀夫先生の書き下しやるそうじゃない』、と同期の山内に言われた夏美は『そんな筈はない。城山千賀夫の書き下しは、私が担当することになっている』と思い、『ここ数日、顔を合わせていない』一浩に電話します。
夏美: 『城山さんの書き下しのことだけど』
一浩: 『あ、もう耳に入った? うちでいただくことになったから。悪いな』
夏美: 『どういうことよ』
一浩: 『うちみたいな新しくてパワーある出版社から本出してみたいってことだろ。ナツんとこは老舗だけど売れねえからな』
夏美: 『許さない。あんたって、ほんと、こそこそするのが得意なようね』
一浩: 『勘違いするな。最終的に決断するのは作家だからな。でも、決断させたのはぼくだけどね…甘いなあ、澤野くん』
ライバル社の編集者同士の会話とすればありうることだと思いますが、この二人が夫婦であるというところが強烈です。私などが言うまでもなく、この世は同業他社をいかに出し抜き、仕事をとってくるか、どんな業界でもそれは同じことだと思います。そんな関係性にあるライバル同士が夫婦であるということ自体、悲劇とも喜劇とも言えなくもありません。この本が刊行されたのは2000年1月のこと。そんな四半世紀前の時代感も漂わせながら編集者の”お仕事小説”の側面も見せるこの作品。”大人の極上の恋愛小説”という宣伝文句からは決して見えないこの作品のもう一つの魅力を是非お伝えしておきたいと思いました。
そして、最後に三つ目として取り上げたいのが、”恋愛小説”としての側面、まさかの”W不倫”を描く物語です。”W不倫”と聞いて目をぱっちり開かれた方もいらっしゃるかもしれませんが(笑)、この方面の需要はそれなりにあるようで私が読んできた作品にも複数思い浮かぶものがあります。一見修羅場が展開すると見えた”W不倫”のその先をコミカルに描く井上荒野さん「それを愛とまちがえるから」、二組の夫婦が相手のパートナーと”官能世界”に溺れていく村山由佳さん「花酔ひ」などが思い浮かびます。そして、この作品「A2Z」で山田さんが描くのはあくまでそんな”W不倫”をする夫婦の妻側、夏美視点の物語です。『知り合って十年近く、その内、恋人同士だったのは二年間程』という中に結婚した相手、一浩とは『いつもやんちゃな仲間同士であるのを自分たちに許』す中に夫婦として生活を続けてきました。そんな中にコンビニで出会ったという女子大生と深い関係にあることを夏美に告げた一浩。そんな一浩に『夫に女作られたら普通泣くよ』とかがみ込み、労われる夏美。しかし、そんな夏美も作品冒頭に描かれるように『会社の向い側にある小さな郵便局で出会った』十歳年下の成生と深い関係にありました。
『私たちは結婚しているけれども、結婚生活を送って来ただろうか。結婚生活って何だろう』。
『ひとつの家に帰り、そこで笑い合うことだけがルール。それを守るために、私たちは結婚した筈だ』。
結婚というものをそんな風に冷静に見る夏美。しかし、その一方で、自らの内側にこんな感情が潜んでいることにも気づきます。
『一浩に、私を失わせたくない。そして、私は、成生を失いたくはない』。
“W不倫”と聞くと、そこには修羅場を見る物語が浮かび上がります。この作品では、上記した通り、そこにライバル出版社に務める編集者同士というさらなる対立の軸が描かれてもいきます。しかし、そんな愛憎極まりない舞台設定がなされているにも関わらず、この作品はもう信じられないくらいに清々しい結末を見せてくれます。これには、違う意味で衝撃を受けました。そう、どこまでも山田詠美さんの圧倒的な物語作りの上手さに舌を巻く、そんな鮮やかな”W不倫”の物語がここには描かれていました。
『本来、夫とは愛すべき味方であるべきなのだろう。でも、私には、それだけではつまらない』。
『別々の出版社に勤め、たまに同じ作家を担当することもある』という夏美と一浩が”W不倫”をする中に夫婦という関係性を続けていく様が描かれるこの作品。そこには、夏美視点から見る夫・一浩と、恋人・成生への心の揺らぎが鮮やかに描かれていました。『編集者』の”お仕事小説”の側面も見せるこの作品。『a』から『z』を頭文字に持つ英単語が物語に絶妙なアクセントを与えていくこの作品。
『恋』とは何か、『愛』とは何か、そんな根源的な言葉の意味を読者に問いかけもする、美しい表現の数々に彩られたこの作品。洗練された大人の”恋愛小説”を強く感じさせてもくれる素晴らしい作品だと思いました。
Posted by ブクログ
めちゃめちゃ面白かった、初山田詠美なんだけどなんで今まで知らなかったんだろう
逆に今出会えてよかったのかもしれない、年下が可愛く思えるこの年代、浮気は罪だ、不倫は悪だと大声で言う清廉潔白さが無くなりそしてそんなことを言う必要が無くなったこの価値観の今読めて良かったなー
登場人物の中で一番言葉に関わっていない成生の言葉の端々に瑞々しさがある、それに感心する時間もなくまた楽しい言葉がたくさん走っていて読み終わるのが口惜しかった
本当にとても良かった、最近素敵な本ばかりに出会えて幸せ、大人の恋愛って楽しいね、楽しいと思える人生を歩んだんだね
潔い
世間一般的には、悪とされるドロドロの不倫を描いている作品。ではなく、綺麗で、潔い“不倫”が描かれた作品。不倫を肯定するわけではないが、自分の中でどこか「こういう夫婦の在り方も無しではないな、」と思ってしまった。読了後、今まで自分が知らなかった世界を覗く事ができたという高揚感が心に残った。
Posted by ブクログ
アラサー以上の年代に刺さる言葉が溢れているのではないだろうか。恐らく二十代の頃の私は冬ちゃん側の熱烈なひたむきさをまだ持っていた。
三十代の今、夏美と一浩は理想の夫婦だ。すれたな自分と感じるが、余裕ができたな、とも感じる。
実際問題こういう夫婦は意外といるんじゃないかと思ったりもする。ただ周りが必要以上に騒ぎ立てるので口には決して出さないが。
外で恋をしたから慰謝料とってさよなら、じゃなくてお互い傷つきながらもそれがスパイスとなり、気づきがあり、帰る場所になっている。そんな強固な関係ってめちゃくちゃ大人だなぁ。子どもがいない夫婦だから『お互い』が成立し、かっこよく描けたのだろうけれど。
「『不倫って言葉使わないでくれる?おれ、大嫌い。その言葉』私だって、実は嫌いだ。でも便宜上、使う。誰だって、もう、この言葉に深い意味を与えていない。『倫理にあらずって誰が決めるんだよ馬鹿馬鹿しい。』他人の生活に審判を下すのは、私たちの趣味じゃない。出来るのは、感じたことを話すだけ。」
「特別な機会は、何度も重ねられて行くと特別ではなくなる。この年齢になるとそれが解る。私は、怖がっている。永遠に続くものなどないと知っているから。」
「何年も続く夫婦生活の中で、必ず訪れる出来事。それを隠し通して何もなかったような振りを続ける夫婦もいるだろう。でも私たちは、露呈させることを選んだ。そのことによって、私が一浩を解放したように、私も彼に解放されたのだ。」
「演技する必要のない密室の中で、大人たちは、いつだって子どもに戻る。問題は、その密室を用意してくれる人間が側にいるかどうかだ。一浩は、もう私にそれを与えてくれない。そして、私も彼に与えてあげることが出来ない。その方法が解らない。何故なら、お互いのみっともなさを、私たちは、もう、いとおしがれないからだ。その姿に出会うのが、特別な機会でなくなった時、私たちは、共有していた密室を失ったのだ。」
「はたから見たら、夫婦で恋人作ってよろしくやっちゃって、なんて思うかもしれないけど、人が恋するのは仕様がないじゃない。でも、恋って、やがて消えるよ。問題は、恋心の到達できない領域にお互い踏み込めるかどうかってことじゃない?二人の間にはその領域があって、そこのスペアキーをどこかに預けているような気がするの」
「恋愛がいかに身勝手な自分を正当化しながら進行するのものかを知らないようだったから。相手を想うふりをして、皆、自分の都合で動いている。本当に相手の都合を第一に考えられるようになった時、その恋は、いつのまにか形を変えていたりする。退化する。あるいは、進化する。」
Posted by ブクログ
物事をどんどんシンプルにしてゆくことは、賢くて、潔くて、寂しいけれど、やっぱりセクシーだと何度でも思い直せる
いろんな境界、終わり、自分のいる場所、自分の定義、あなたの定義、それらがくっきり分かってしまう、否応がなく進んでしまうからこそ、言葉を、頭を、身体をフル稼働するのは恐ろしい。
だから素敵な人はバランスを取る。言葉を、人間らしさを脱いでゆく。シンプルさというのは「私」にとってのシンプルさであることをちゃんと覚えていて、絶え間ないぶつかり合いにしなやかに身をこなす。かっこよすぎてもう。。
Posted by ブクログ
恋の賞味期限.既婚者の恋。
なんか【既婚者】【夫婦】【不倫】に対しての今までの自分の固定観念がペシャンコになった(笑)こんな夫婦…とゆうか男女関係いいな(^_-)
「あの子はひと晩だけでは味わい尽くせない」
「二人でいる時にどうして二人だけのことを楽しめないの?」
「もしもここが訪れるのではなく、帰るための部屋になったとしたら?」
「会いたい優先順位は彼女が一番だったけど、失いたくない優先順位は、いつもナツだった」
パートナー以外の人に恋することはある。
結婚していてもそういうことは現実としてあると思う。
相手を大切に思う気持ち、自分を大事にする気持ちを考えさせられた。
不倫のお話だが素敵な小説だった。
出てくる人たちの素の心が上手く書かれていて好きな本でした。
Posted by ブクログ
出版社で働く35歳の森下夏美。ある時同業者の夫から浮気を告白されてしまう。そんな夫に対し嫌悪感を抱く夏美だが、自分自身も10も年下の男と浮気をしてしまい...
ただ単に「不倫」をテーマにしたものではなく、根本的にはもちろんあるのだが、同業者の夫婦であるためお互いをさらにライバル視したり、不倫はしたが結局一番失いたくないのは結構相手など新たに気付くこともある。一夫多妻制やその逆もまたしかり、最近よく聞くがこういう夫婦もあるんだなと多少一夫多妻などに理解ができた。個人的には「不倫」に対し、不倫字体が悪いのではなく、これだけでなくパートナーにこそこそ隠しながらするのがすごくダサくて嫌悪感がある。「不倫」に対し斬新な設定で面白かった。もちろん自分自身はしたくないのだが。
タイトル通りAからZの26個の小タイトルで構成されている。しかし、それぞれのタイトルの頭文字を取る形ではなく小タイトルはそのまま「a」や「c」など。文中に「encounter」や「うuntitled」など特徴のある単語を太字で記載している。今まで体験したことのないアプローチ方法で面白かった。
Posted by ブクログ
最後はどうなるかと思ったがハッピーエンドで良かった!山田詠美の恋愛だけど、胸きゅんだけじゃない、コミカルかつ色気のある文章、オシャレな小説だったなという印象。
Posted by ブクログ
アマプラで深キョンが主演でドラマをやる、という予告を見て気になっていた話。
先にドラマを見て、何とも「小説的だな」と思ったことから、実際に小説を読みたくなり本を手にしてみた。
ドラマを先に見ていたからか、小説の内容がかなりスムーズに入ってくる。
もちろん登場人物は、深キョンはじめ他の俳優たちがドラマのまま頭の中に出てくる。
内容は世間を賑やかす『W不倫』だが、山田詠美の手法もあってか、ドラマを見ていると『小説的』と思ったのに、実際に活字で読むと意外にも『ドラマっぽい』書き方で
かなりサッパリとしたラブストーリーに思えて、面白く読み進めていける。
「こういう恋もあってもいいのかも」
「こういう夫婦関係があってもいいのかも」
そう思えるような。
結末もどんよりしない、読んだ後にさっぱりできた。
A〜Zまでのエピソードがあるため、短編的に読みすめていけるのも魅力的。
本を普段読まず、ドラマが好きな人にはオススメできそうな本。
Posted by ブクログ
登場人物たちの
意外にくだけた言葉遣いが心地よく、
テーマ性のわりにとんとん話が進んでいく感じが
印象的だった。
私には私の恋愛経験があり、
そんなに物語性はないかもしれないけど、
あの頃の心の内を
山田詠美さんに言語化されたら、、、?(๑・̑◡・̑๑)
あとがきの江國香織さんにもぜひ、、(๑・̑◡・̑๑)!
と欲してしまった。
Posted by ブクログ
山田詠美さんの作品は、主要な女性キャラクターがサバサバ自立していて魅力的。
心情や情景描写もとても好き。
夏美に感情移入して読み進めてしまったので、前半は一浩に対して嫌悪感を抱いていたが、後半になるにつれて自分が一浩の立場だったらどうしただろう?と考えさせられた。
テーマがテーマだけに読んでいて気持ちが良い小説という訳ではないが、人間の性がよく描かれていて、納得感のある作品だと感じた。
Posted by ブクログ
アマプラでドラマ化する+山田詠美さんに少し関心があったということもあり、本作を手に取りました。大人の恋をテーマにした本作ではありましたが、やってることの割にはスッキリしてる印象を受けました。しかしあくまで、不倫小説なので、人には勧めにくいといった点で少し評価が低くなったかなと。
本作の1番の魅力は、本作の随所に胸にグサっとくるようなフレーズが散りばめられていることのように感じました。なんというか、共感できることもあるし、胸の中に刺さってたトゲが取れるような感覚もあるみたいな感じですかね。
特に本作で太字で表されてる26種類の英単語はなかなかおしゃれなセレクトで個人的にオススメなポイントです。
Posted by ブクログ
すっきりと完結、読後感がいい。
その立場にならないと分からない心理描写なんだろうなと思う。
以下、気に入ったフレーズ。
•大人の女なんかじゃない。一浩が大人の男じゃないように。演技する必要のない密室の中で、大人たちは、いつだって子供に戻る。問題は、その密室を用意してくれる人間が側にいてくれるかどうかだ。一浩は、もう私にそれを与えてくれない。そして、私も彼に与えてあげることが出来ない。その方法が解らない。何故なら、お互いのみっともなさを、私たちは、もう、いとおしがれないからだ。その姿に出会うのが、特別の機会ではなくなった時、私たちは、共有していた密室を失ったのだ。
•会いたい優先順位は彼女が一番だったけど、失いたくない優先順位は、いつもナツだった。
Posted by ブクログ
26文字のアルファベットで表現するというから、細切れなコラム的なものが続くのかと思いきや、きちんと物語。
夫婦としても、同業者としても、夏美と一浩が信頼し合っていることが節々から伝わってくる。
お互い様だから丸く収まったのもあるのでは(^^)
Posted by ブクログ
しゃれた構成で、まさか本当にAからZまでのワードで章を区切るとは思わなかった。しかも一つも思いつかなかったし。
およそ読んでこなかったジャンルの小説なんだろうな。ジャンルじゃなくて作者に馴れていないだけかもしれないけど。こういう作品を読むと、自分が人の感情にいかに鈍感かが思い知らされる。やれやれだ。
Posted by ブクログ
なぜ今更山田詠美?と思ったけれど、好きな芸能人がお勧めしていたので読んでみました。
ダブル不倫のお話なのですが、夫婦が壊れていく様、ではなく、それによって夫婦の絆が浮かび上がってくるという・・・ある意味幸せな恋愛小説でした。
こんなに変わった価値観を共有できる彼らは特異かもしれないけれど、価値観が同じであれば究極にはここまでOKなのね、と面白く読みました。
ただ、30代女性の、「いい女っぷり」が押しつけがましくて、ちょっと辟易しました。
古い本を読んでいるので織り込み済みなのだけど、この時代ってこういう女性がトレンディドラマでも主人公だったな、と苦笑気味に読み終えました。。
Posted by ブクログ
中々感情移入出来なくて
読むのに時間がかかりましたが
読み進めるうちに
こういう夫婦の形もありなのかもと思いはじめて
モトサヤになって
旦那さんが最後
一番喜んでいる感じ
何だか微笑ましい終わり方でした。。
Posted by ブクログ
いろいろなたとえでの恋愛感情の表現。
男女の考え方の差。無責任な言葉。
恋人、夫婦とは。
恋愛で悩んでいるときの友人のアドバイスと態度。
p16-16~p17-1
p20 役に立たない思いやり…
p82何でもない二人のルールはしっかり守られる。
チェスの駒は夏美は白とか、一浩が朝に食べるもの。
成生が思う夏美。
眼鏡。おれ専用。それかけないと見えない。
机を必要としない二人。
一浩と夏美。
夏美が帰ってきても仕事をする一浩、だが、眼鏡をかけない。一緒にこれまでのことをそばで語りたいと思う。恋の死について。
p88-5~8
p108-6~9
p123-9~12
p142-1~6
p147-9~14
p164知り尽くした先のはなし。
p172カジュアルよりも熱中する楽しみ。
p173「楽」という言葉
p174失うかもしれないという予感について
p180孤独について
p200-14~201良心と自分身勝手
p204喜べるのは何度まで?ピクニックだけでは、もういられない。
p214
p220主治医・私について一番詳しい人。それでも、彼は、私のすべてを知ることはできない。
p221置き忘れてきたものについて
p226
p234もう、お互いを無邪気におもしろがれない。そして、本来なら、そこから始めて行くべき関係を醸造するには、共有するものがなさすぎる、という二人の関係性。等々…。
20年以上前の小説。ドラマになったとか。
どんなふうになったかな?
ただ浮気してる、恋愛してる…自分勝手さだけが目につく、ギャーギャー騒いでるだけになってなければいいけどf(^_^;
Posted by ブクログ
ブク友様と、ドラマを見た友人に勧められて読んでみた!
不倫には納得いかないから☆3つだけど、綺麗な小説だった。
A〜Zにいくに連れて結末が気になる1冊!
こんな風な純粋で(?)綺麗な恋愛したかったなあ\(^o^)/笑
サクサク読めて読みやすいです!
こちらの作品に出会わせてくださったブク友様に感謝(*´ω`*)
Posted by ブクログ
2000(平成12)年に単行本として刊行。
山田詠美さんがデビューした頃、高校生だった私は最近の日本文学事情を知ろうと雑誌なども読んでいて、確か山田さんが「文藝」の賞をとってデビューしたのだった。
当時批評家のあいだでは「流行歌のような気安い小説」といった批判があって、私も彼女の作を読んだときはあまり面白くなくも感じた。
今、本作を読んでみると、当時のバブル期のポストモダンが喧伝された時代状況を思い出すようだった。
子供の無い若い夫婦が、それぞれに更に若い相手と不倫するという話なのだが、文体が非常に軽やかで、繊細さも無くも無いけれども、あまり深みを感じさせられない。ここには「苦痛」がないのである。
バブリーなポストモダン期、確かに日本文化の言論界は苦痛に深入りすることなく、あくまでも軽やかさを売りにしようとしていた。山田詠美さんの文章に、そんな時代を感じた。
バブルがはじけ大量の失業者があふれ、貧苦にあえぐ民衆が大量に排出されて、あっけなくバブリーなポストモダンの「軽やかさ」は消えた。そんな苦痛の時代の到来は、たとえば桐野夏生さんの「苦痛の文学」にも顕れていると思う。
しかし今回本作を読んで、山田さんの「軽やかさ」を批判しようとは思わなかった。このような感性もまた、この世にあるべきであって、ラストの方で若い恋人と結局別れてしまうあたりは何となく切なく感じられ、良かった。深刻な苦痛とまではいかないような、皮膚のかすかな痛みのような感じだが、それもまた人生。このように軽やかに生きられたら、きっと人生は楽しいのかもしれない。
悪い作品ではなかった。
Posted by ブクログ
夫婦だけど、お互いに恋人がいる不思議な話
全体的におしゃれな雰囲気で、表現が難しくてわかりづらい。
思ったことは、夫婦2人とも自分勝手だなぁってことくらい。旦那の愛人に1番同情した(笑)。
恋愛って自分勝手なものなのかなぁとか思ったり思わなかったりした。
Posted by ブクログ
胸が苦しい。私がどうしたらいいのかは相変わらず全くわからない。
「会いたい優先順位は彼女が1番だったけど、失いたくない優先順位は、いつもナツだった」
これかな。いちばん近い気持ちは。
Posted by ブクログ
文芸編集社・夏美は年下の郵便局員・成生と恋に落ちた。
同業者の夫・一浩は恋人の存在を打ち明ける。
恋と結婚、仕事への情熱。あるべき男女関係をぶち壊しているように思われるかもしれないが、今の私たちには、これが形ー。AからZまでの26文字にこめられた、大人の恋のすべて。
Posted by ブクログ
なんか不倫小説を読みたいなぁと思って、ネットで評判の良かった本書を手に取る。山田詠美なんて『ベッドタイムアイズ』以来な気がするな。
なかなか良く書けた小説で、大人による大人のための大人の恋愛小説という感じ。でも、妻も夫も爽やかに婚外恋愛を楽しんで末永く幸せにに暮らしましたとかなんとかいう話じゃなくて、もっとドロドロしたのを読みたかったんだったよなぁ。
Posted by ブクログ
小説をそんな風に読むなと言われればその通りかもしれないが、文学を削ぎ落として事実だけを読めばダブル不倫して最後はお互い元に戻りましたというお話。なぜ元に戻るのか、山田詠美が終始具体的に明示せずに男女お互いの中間にある言葉にできないものを探す本。