「何もかもが面倒くさかった。生きていること自体が面倒くさかったが、自分で死ぬのも面倒くさかった。だったら、もう病院なんか行かずに、がん再発で死ねばいいんじゃないかなとも思うが、正直言ってそれが一番恐かった。矛盾している。私は矛盾している自分に疲れ果てた。」(本文より)乳ガンの手術以来、25歳の春香は、周囲に気遣われても、ひたすらかったるい自分を持て余し……〈働かないこと〉をめぐる珠玉の5短篇。絶大な支持を得る山本文緒の、直木賞受賞作!
Posted by ブクログ 2022年11月20日
相手を思っているつもりでも、相手には別の感情がある。表情や態度、行動、そして何よりも言葉から、相手の感情を考える。でもそれは、自分の想像の範囲での相手の感情でしかない。分かり合えない中で、出口を探して歩き回る、そんな息苦しさを感じた。切っても切っても再生する「プラナリア」は、そんな息苦しさを、やす...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月18日
直木賞受賞作という評価を信じて購入。登場人物たちの心情が丁寧に、あざやかな筆致でえがかれていてよかったおもう。本作はめちゃくちゃ感動する!みたいな作品ではなく、疲れきった主人公たちに自分をかさね応援したくなる、そんな作品だとおもう。
中でもよかったのが『どこかではないここ』という作品。
まずタイト...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月03日
「自転しながら公転する」で初めて山本文緒さんの作品を読み、とても好みだったのでもう一冊と思い、こちらが直木賞受賞作とのことで読んでみた。
結果、やはり私の好みに合っていた。
20年以上も前の本なので時代を感じる部分はあったし、出てくる登場人物達の置かれた環境と私とはあまり共通点もないはずなのに、な...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年01月25日
【プラナリア】
実はつい最近まで山本文緒さんを知りませんでした。とある方から推薦されて読んでみました。
『プラナリア』以下、5つの短編集です。
どの作品も、生きるうえで不器用な人が次々と出てきます。
それぞれの主人公の考えに「イライラ」だったり、「何でそう考えるねん」、また、「おー、よく言った、え...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月24日
目標を持って、一生懸命働いて、誠実に真っ当に生きるというのが美徳とされている世の中。そんな生き方から少し外れた女性たちが主人公の短編集。
感情移入する場面も多かったし、それぞれの理想とそれに相反する感情がリアルでひねくれていてよかった。
少しの言葉で傷ついて傷つけられて色々なことが思い通りにいかな...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年01月10日
自転しながら公転するが好きで、次に手に取ったのがこの作品でした。
それぞれの話の主人公の、人生のたった一部を切り取って見せられただけ、と言うような小説でした。
何だろう、この、ブツっと切って終わる感覚。
え?これでおしまい?と思う気持ちと、登場人物について色々考えることができる余白があって嬉しい...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年01月05日
どうして私はこんなにひねくれているんだろう──。あらすじの最初の文にドキッとして(ギクッとして)購入。「無職」をめぐる心模様を描いたとのこと。私事だけど自分も現在休職中なのでかなり興味津々で。
全てのお話がどこか疲れているような諦めているようなそんな人を中心にされているようで、特にオチというオチ...続きを読む