検索結果

  • 彼女が愛した男
    5.0
    平凡な毎日を送っていた美穂は、社長令嬢の令子に誘われて軽井沢の山荘へと遊びに出かけた。同日、二人の青年が、その山荘近くの別荘に泥棒に入る。留守宅を狙ったはずが運悪く人が残っていたため、彼らは殺人を犯して山荘へ逃げ込んでくる。人質となった美穂と令子、管理人の老夫婦は、恐怖におののいたまま、夜を明かす。突然の異常事態の中で、六人が迎えた思いがけない結末は……!? 息をもつかせぬ迫真のタッチで男女の愛憎を描いた、傑作サスペンス長編!!
  • 神様 2011
    4.1
    1巻1,045円 (税込)
    くまにさそわれて散歩に出る。「あのこと」以来、初めて――。 1993年に書かれたデビュー作「神様」が、2011年の福島原発事故を受け、新たに生まれ変わった――。「群像」発表時より注目を集める話題の書! 2011年。わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。――<「あとがき」より>
  • 神よ憐れみたまえ(新潮文庫)
    3.3
    昭和38年11月、三井三池炭鉱爆発と国鉄の多重衝突という、戦後事件史に残る大事故が同日に発生。「魔の土曜日」と言われたその日の夜、12歳の百々子の両親は何者かに惨殺された。裕福な家庭に生まれ育ち輝かしい未来が約束されていた少女を襲った悲劇。事件は拭えぬ悪夢として胸のうちに巣食い、彼女の運命をも揺るがしていく――。一人の女性の数奇な生涯を描破した著者畢生の大河小説。(解説・佐久間文子)
  • 仮面のマドンナ
    3.0
    爆発事故に巻き込まれた寿々子は、ある悪戯が原因で、玲奈という他人と間違えられてしまう。後遺症で意思疎通ができない寿々子、“玲奈”の義母とその息子――陰気な豪邸で、奇妙な共同生活が始まった。
  • 唐沢家の四本の百合
    3.5
    唐沢慎介の三人の息子たちの嫁と、慎介の後妻の車椅子の美しい連れ子。四人の女性は雪に閉ざされた慎介の別荘で彼の到着を待っていた。そこに不吉な速達が届く。これまで他人同士だが仲良く幸せに暮らしていた彼女たちが、突然、恐怖のどん底に突き落とされる。美しい文章と卓越した心理描写で綴る極上の長篇心理サスペンス!
  • かわいそうだね?
    4.1
    「許せないなら別れる」――彼氏が元彼女を居候させると言い出した。愛してるのは君だけ、と彼は言うけど……。週刊誌連載中から痛快なラストが話題を呼んだ表題作。そして、併録の「亜美ちゃんは美人」は、美人の親友が隣にいるせいでいつも“二番”に甘んじるしかない女子の複雑感情に「あるある!」と思わず頷いてしまう傑作。綿矢流の黒いユーモアと観察眼が光る恋愛小説。第6回(2012年)大江健三郎賞受賞作。
  • 川上弘美書評集 大好きな本
    3.8
    いい本があるよ、みんなもよかったら読んでね! 純文学からマンガ、へんなエッセイまで、川上弘美が「ほんとうにいい」と思った144冊。あなたを心よろしき読書へ誘うガイドブック
  • 感傷的な午後の珈琲
    4.5
    恋のときめき、愛しい人たちとの別れ、書くことの神秘――。喜びと哀しみに身をゆだね、生きていく。生と死とエロスの世界を瑞々しい筆致で描き、読者を魅了し続ける著者の芳醇なエッセイ。
  • キアラ 1巻
    5.0
    1~6巻550円 (税込)
    雪降るパリの街角…新進デザイナー、カインとアーベルの目の前に突如現れた謎の美少女・キアラ。彼女は持ち前の美貌と圧倒的な存在感で、瞬く間にモデルとしての頂点を極めていく。だがキアラの正体はスキャンダラスで多くの謎に満ちていた。キアラの目的――それはファッション界の大物、ラリックに連れ去られた元恋人、ニーノを探し出すこと…。森園みるくと桐野夏生の極上タッグが生み出した、人気超然のトップモデル・ストーリー!
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』
    4.3
    「これは『ナウシカ』の世界を旅する中で、すでに体験したことだ」 コロナウイルス、ウクライナ侵攻、AI問題、気候変動……混迷する現代社会を私たちはどう生きるのか。 朝日新聞デジタルにて、2021年3月に第1シーズン、5月に第2シーズンを配信し、読者から大きな反響を呼んだ「コロナ下で読み解く風の谷のナウシカ」。 2022年12月に掲載された最新の第3シーズンを加え、すべてのインタビューをまとめて刊行! コロナウイルスをはじめ、ロシアのウクライナ侵攻、AI問題、ますます激化する気候変動など、混迷化が加速する現代社会を 「人類が方向を転換せず、破滅を経験してしまった」 仮想の未来を舞台にした宮﨑駿監督の長編漫画『風の谷のナウシカ』を通して連関的に考える。 【収録著者】民俗学者・赤坂憲雄/俳優・杏/社会哲学者・稲葉振一郎/現代史家・大木毅/社会学者・大澤真幸/漫画家・大童澄瞳/映像研究家・叶精二/作家・川上弘美/軍事アナリスト・小泉悠/英文学者・河野真太郎/ロシア文学者・佐藤雄亮/漫画研究者・杉本バウエンス・ジェシカ/文筆家・鈴木涼美/スタジオジブリプロデューサー・鈴木敏夫/漫画家・竹宮惠子/生物学者・長沼毅/生物学者・福岡伸一/評論家・宮崎哲弥(五十音順、敬称略)
  • 危険な食卓
    3.6
    健康至上主義の妻と美食家の夫の晩餐は、殺意が隠し味の特別料理。(『危険な食卓』) がさつな嫁に耐える姑の、穏やかな顔の下にある、もうひとつの顔。(『天使の棲む家』) 21年ぶりに電話をかけてきた同級生の魂胆。(「同窓の女」) 妻と夫、姑と嫁など、普通の人々のありふれた日常に芽生える小さな悪意、殺意の兆し。人間の心理を、恐怖というスパイスをきかせて鮮やかに料理した極上のメニュー8編。
  • 機嫌のいい犬
    4.0
    「はつきりしない人ね茄子投げるわよ」「はるうれひ乳房はすこしお湯に浮く」「徹頭徹尾機嫌のいい犬さくらさう」――作家であり、俳人でもある著者の初句集。日常、旅、食卓、恋・・・・・・さまざまな光景が自由奔放に描き出される220句を、1994年から2009年まで年代順に収録。巻末には、俳句仲間の作家・長嶋 有さんと俳句の魅力を語り尽くす対談を追加。あらたな川上ワールドの魅力に浸れる1冊。「この句集を読んで、少しでも『俳句、つくってみようかな』とお思いになった方がいらしたら、それはこの句集にとって、何よりの褒美となることでしょう」(著者より)
  • Kiss
    3.8
    全身が唇からとろけていきそうなくちづけ。待ち望んで待ち望んで、気が狂ってしまうのではないかと思うほど待っていたくちづけ。恋人を作り家を出て行った母が、父の亡骸と交わす最後のくちづけ。舌をからませることのない、淡い別れのくちづけ。人生でもっとも嬉しく、もっとも幸福だったくちづけ……。様々なくちづけが織りなす、男女の恋と愛、そして人生を描く、九つの恋愛小説。
  • 生のみ生のままで 上
    3.8
    1~2巻572円 (税込)
    「私たちは、友達じゃない」25歳、夏。恋人と出かけたリゾートで、逢衣は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏に出逢う。芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかりだったが、四人で行動するうちに打ち解けてゆく。東京へ帰った後、逢衣は彩夏と急速に親しくなった。やがて恋人との間に結婚の話が出始めるが、ある日とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。彼女の肌が、吐息が、唇が、舌が、強烈な引力をもって私を誘う――。綿矢りさ堂々の新境地! 第26回島清恋愛文学賞を受賞した鮮烈なる愛の物語。
  • 狂王の庭
    3.4
    「この庭をあなたに捧げる――。」昭和27年、東京都下国分寺。広大な敷地に、全財産を投じてルートヴィヒ二世さながら華麗でシュールな西洋庭園を造った異端児・青爾。妹の婚約者である彼に引きつけられる美しい人妻・杳子。没落する華族社会を背景に、虚無と孤独と耽美の極地で、激しく求め合う男と女を描ききった、世紀の恋愛巨編。
  • 恐怖配達人
    3.2
    やっと自分にもツキがまわってきた――社長令嬢との結婚を目前にし、幸福の絶頂にあった男。だが独身最後の遊びとして女を誘ったことから歯車が少しずつ狂い始めた〈梁のある部屋〉。他5編収録。

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  • 虚無のオペラ
    3.9
    セックスを抜きにしては考えられない恋だった。あなたはずっと、私の身体でピアノを弾いてた。私には淫蕩の血が流れているのか……。舞台は冬の京都。高名な日本画家の裸婦モデルをつとめる結子は、8歳年下のピアニスト島津正臣との恋を断ち切るため、ふたりきりで、雪に閉ざされた小さな宿に籠もる。この後は二度と会うことはない。別れのためだけにある4日間の逢瀬に、女と男の恋情と性愛の極みを艶やかに奏であげる、かくも美しき恋愛小説!
  • 玉蘭
    3.8
    女の中で何が壊れ、何が生まれたのか 東京の生活に疲れ、仕事も恋人も捨てて上海留学した有子。ある日、大伯父の幽霊が突然現れ…。過去と現在が交錯する異色の恋愛小説。 解説・篠田節子 ※この電子書籍は2005年6月に文藝春秋より刊行された文庫本の新装版を底本としています。
  • けむたい後輩
    3.8
    ただ、認めてほしいだけ。 14歳で作家デビューした過去があり、今もなお文学少女気取りの栞子は、世間知らずな真実子の憧れの先輩。二人の関係にやたらイラついてしまう美人で頑張り屋の美里は、栞子の恋人である大学教授に一目惚れされてしまう――。名門女子大を舞台に、プライドを持て余した女性たちの嫉妬心と優越感が行き着く先を描いた、胸に突き刺さる成長小説。
  • 懐かしい家 小池真理子怪奇幻想傑作選1
    3.8
    夫との別居を機に、幼いころから慣れ親しんだ実家へひとり移り住んだわたし。すでに他界している両親や猫との思い出を慈いつくしみながら暮らしていたある日の夜、やわらかな温もりの気配を感じる。そしてわたしの前に現れたのは…(「懐かしい家」より)。生者と死者、現実と幻想の間で繰り広げられる世界を描く7つの短編に、表題の新作短編を加えた全8編を収録。妖しくも切なく美しい、珠玉の作品集・第1弾。
  • ふしぎな話 小池真理子怪奇譚傑作選
    3.7
    日常の中にふと忍び込む死の影、狂おしいほどの恋に潜む崩壊の予感、暗闇に浮かび上がる真っ白な肌……。著者が紡ぐ美しくも恐ろしい世界を、エッセイから小説まで見渡して厳選した、これまでにない傑作選。
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ
    3.8
    1巻1,771円 (税込)
    あ、また時間に捕まえられる、と思った。 捕まえられるままに、しておいた。 小説家のわたし、離婚と手術を経たアン、そして作詞家のカズ。 カリフォルニアのアパートメンツで子ども時代を過ごした友人たちは、 半世紀ほどの後、東京で再会した。 積み重なった時間、経験、恋の思い出。 それぞれの人生が、あらたに交わり、移ろっていく。 じわり、たゆたうように心に届く大人の愛の物語。
  • 恋人と逢わない夜に
    5.0
    男友達には言えても、恋人には絶対に言えないことばがある。逆に恋人の前ではかまわなくても、男友達に対しては許されないふるまいがある。女と男はフクザツ怪奇、愛の表現も百人百様、ショート・コントを通して、女には女の魅力を、男には男の美学を教える“知的悪女”のソフト・エッセイ。単行本未収録のオリジナル版。
  • 光源
    3.7
    こんな奴ら見たことない! 監督、カメラマン、プロデューサー、俳優が各々の思惑と事情を抱えてぶつけ合う光の乱反射。 誰よりも強く光りたい。 元アイドルの佐和が自分を主張し始めた途端、撮影現場は大混乱。 苦り切る人気俳優、怒る監督、傷付く女性プロデューサー、佐和に惹かれるカメラマン。 金、名声、意地、義理、そして裏切り。 我執を競い合って破綻へ向かう、世にも身勝手な奴らの逆プロジェクトX物語。 解説・佐々木敦 ※この電子書籍は2000年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 此処 彼処
    4.0
    本書のテーマは自分の場所である。それは、浅草、鶴巻温泉、銀座、琵琶湖といった地理上の場所であったり、近所のマーケット、好きな居酒屋、好きな旅館、好きな抜け道、好きなお花見の場所、思い出の大学寮、電話ボックスといった著者が「属している(いた)」と思われる場所であったり、新婚旅行で訪れた地や思わぬ拾いモノ(誰かの臼歯、骨董のメガネフレームなど)をした場所であったり。
  • これでよろしくて?
    3.8
    些細なことでもよくってよ。日々の「?」をまな板に載せ老若女女が語らえば――女たちの不思議な集まりに参加することになった主婦菜月は、奇天烈な会合に面くらう一方、日常をゆさぶる出来事に次々見舞われて……。幾多の難儀を乗り越えて、菜月は平穏を取り戻せるのか!?夫婦、嫁姑、親子、同僚。人とのかかわりに、ふと戸惑いを覚えてしまう貴女に好適。コミカルなのに奥深い、川上弘美的ガールズトーク小説。
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線
    3.4
    日本の未来はどうなるか――? 養老孟司 ユヴァル・ノア・ハラリ ジャレド・ダイアモンド 福岡伸一 ブレイディみかこ 角幡唯介 東畑開人etc. 22人の論客が示すアフターコロナの針路!朝日新聞大反響連載を書籍化新型コロナウイルスは瞬く間に地球上に広まり多くの命と日常を奪った。すべての人に平等に降りかかるこの感染症によって、社会は様変わりしてしまった。第2波の懸念も高まり、感染への恐怖が消えない中、私たちは大きく変容する世界をどう捉え、どのように考えればよいのか。現代の知性たちのパースペクティブを通し「コロナ後」を思考する糧を届ける。
  • 午後の音楽
    3.8
    父や母、妹との距離感がつかめなかった少女時代。夫に別の女性がいたとわかったときの喪失感や娘に与えてしまった心の傷。胸の中にそっととどめておいた様々なことを、いつのまにか打ち明けてしまっていた。音楽をふたりで奏でるように、メールで言葉を紡ぎ合う。こんなにも共鳴し合える人に出会ったことの驚きと喜び。それなのに相手は義弟、妹の夫……。メールで綴られる新たな大人の恋愛長編。
  • 午後のロマネスク
    3.0
    Romanesque…小池真理子の不思議な愛の物語。夜になると来訪する死んだ友。母の密やかな不倫の光景。闇に監禁される声の美しい女――懐かしさや切なさ、失われたものへの哀しみ、激しい恋が淡い色彩とともに甦ってくる、幻想とファンタジーに満ちた17篇の掌篇小説集。

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  • 蠍のいる森
    4.2
    美千代は人間嫌いの図書館司書。英国人の夫と離婚して帰国した女流翻訳家、真樹子と知り合って初めて心の交流を持った。二人が共有する静かな日常に、ある日、奔放な人生をおくる修平が入り込んできた。三者三様に大都会で生きる男女のそれぞれの愛が進行するが、修平が資産家の老未亡人の財産を狙ったことから急展開し、恐怖の結末を迎える。ラブ・サスペンス。
  • 殺意の爪
    3.7
    怒鳴り合う声、立ち去る男、長く続く女の悲鳴。――同じマンションで愛人を待つ木部比呂子はそのとき不審な思いにかられた。翌日、その部屋から布施夏美の死体が発見され、夏美の恋人が逮捕された。「彼はシロだ」真実を知る比呂子はしかし、不倫の恋の発覚を恐れて口を噤んだ。秘密に怯える彼女の前にあらわれた男は!? 赤いマニキュアの謎。日常の中にある恐怖。
  • 錆びる心
    3.6
    「家出するなら夫の誕生日にしようと心にきめていた……」 人間のダークサイドを炙り出した作品集。 十年間堪え忍んだ夫との生活を捨てて家政婦となった主婦。囚われた思いから抜け出して初めて見えた風景とは。(錆びる心) 劇作家にファンレターを送り続ける生物学教師の“恋”を描いく。(虫卵の配列) 荒廃した庭に以上に魅かれる男の内面に秘められたもの。(月下の楽園) 魂の渇きと孤独を鋭く抉り出した六つの物語。 解説・中条省平 ※この電子書籍は1997年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • さらさら流る
    3.8
    28歳の井出菫は、かつての恋人に撮られた自分のヌード写真をネットで偶然発見する。親友の百合や家族、弁護士の助けもあり、写真を消去するために動きながら、菫は元恋人・光晴との日々や彼自身を思い起こす。彼と一緒にいたとき、私が私でなくなるような感覚にいつも陥っていた……。ひとりの女性の懊悩と不安をすくいとりながら、一歩ずつ自分の身体を取り戻す姿を描いた会心作。
  • 三度目の恋
    4.1
    結婚したのは、唯一無二のはずだったひと。高丘さんに教えてもらった「魔法」で、むかしむかしの世に旅に出るようになるまでは。あるときは江戸吉原の遊女、さらには平安の世の女房として、梨子はさまざまな愛を知り……。『伊勢物語』をモチーフに、夢とうつつ、むかしと今のあわいをたゆたい、恋愛の深淵をのぞく傑作長編。〈解説〉千早 茜
  • ざらざら(新潮文庫)
    4.0
    風の吹くまま和史に連れられ、なぜか奈良で鹿にえさをやっているあたし(「ラジオの夏」)。こたつを囲みおだをあげ、お正月が終わってからお正月ごっこをしているヒマな秋菜と恒美とバンちゃん(「ざらざら」)。恋はそんな場所にもお構いなしに現れて、それぞれに軽く無茶をさせたりして、やがて消えていく。おかしくも愛おしい恋する時間の豊かさを、柔らかに綴る23の物語のきらめき。
  • ザーサイの思い出/Friends
    5.0
    父親が愛人と再婚し、私に腹違いの妹ができた。彼女は不良高校生で、軽薄な女子大生の私を値踏みするような目で見る。とても仲良くなれないと思っていたが…。卒業旅行で不思議なことが!? 大ヒットの恋愛アンソロジー『Friends』収録の珠玉短編、江國香織が奏でる家族の愛の物語。

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  • 死者はまどろむ
    4.5
    美しい自然に囲まれ、信仰心の厚い村人が住む夢見村に魅せられひと夏を過ごすことになった間宮亜希子の一家。小説家の夫はスランプを脱し、義母も優しくなった。幸福をもたらす魔法の土地だと思った。しかし異様な葬式の列と共同墓地を見たことから、彼らの周囲で何かが狂い始める。ざわめく木立の隙間に、きらめく光の中に使者の影が忍び寄る。幸福に浸っていた家族を恐怖のどん底に突き落とす怪奇の連続とは。長編ホラー小説。
  • 死に向かうアダージョ 新装版
    3.0
    死に魅入られた二人の男女は、甘美な充足感の中で終焉を迎えるはずだった。アルビノーニの荘厳な旋律に浸りながら……。しかし雪に閉ざされた山小屋で、愛と孤独、そしてほんの少しの偶然が、事態を予期せぬ方向へと導いていく。傑作心理サスペンス!
  • 死の島
    3.0
    大手出版社を定年退職後、カルチャースクールで小説講座を持つ澤登志夫、69歳。 女性問題で妻子と別れて後も、仕事に私生活に精力的に生きてきた。 しかし、がんに侵されて余命いくばくもないことを知るとスクールを辞め、人生の終幕について準備を始める。 講座の教え子・26歳の宮島樹里は、自分の昏い記憶を認めてくれた澤を崇拝し、 傍にいることを望むが、澤はひとり冬の信州へ向かった。 澤は、最後まで自分らしく生きることができるのか。「ある方法」を決行することは可能なのか…。 プライド高く情熱的に生きてきた一人の男が、衝撃的な尊厳死を選び取るまでの内面が描きつくされ、 深い問いかけを読者に与える傑作長編。 解説・白石一文 ※この電子書籍は2018年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 終点のあの子
    4.0
    オール讀物新人賞を受賞し、繊細な描写が各紙誌で絶賛された、注目の著者のデビュー作。「揺れ動く思春期の心理を見事に描いた秀作、というより力作だ」(篠田節子選考委員)と賞された受賞作「フォーゲットミー、ノットブルー」は、中高一貫女子校を舞台にした青春小説。級友に対する憧憬がいつしか憎しみに変わる様子を、柔らかく繊細な文章で描く。ほか、連作3篇を含む全4篇を収録。
  • 掌篇歳時記 秋冬
    3.6
    綿柎開(わたのはなしべひらく)、水始涸(みずはじめてかるる)、朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)――。季節を表す言葉を鍵に、物語は膨らんでゆく。十二人の作家の想像力で、旧暦「二十四節気七十二候」が現代の物語に生まれ変わった。六世紀ごろに大陸から伝わり、改暦を重ねながら明治の初めまで用いられてきた旧暦。そこには春夏秋冬の四季に留まらない、さらにこまやかな季節が織り込まれている。大暑や立秋、大寒といった季節の節目を表す二十四節気と、「地始凍」「熊蟄穴」など、動植物や空模様がそのまま季節の呼び名に採り入れられている七十二候。古来伝わる“季節の名前”が現代の作家たちを刺激し、味わい豊かな掌篇に結晶した。<旧暦の魅力を知る解説つき>」*電子版には筒井康隆「蒙霧升降」は収録されていません。西村賢太「乃東枯」重松清「鷹乃学習」町田康「大雨時行」長野まゆみ「綿柎開」柴崎友香「玄鳥去」山下澄人「水始涸」川上弘美「蟋蟀在戸」藤野千夜「霎時施」松浦寿輝「地始凍」柳 美里「朔風払葉」堀江敏幸「熊蟄穴」白井明大「輪のようにめぐる季節のさなかで 二十四節気七十二候について」
  • 真珠とダイヤモンド 上
    4.1
    1~2巻1,650~1,760円 (税込)
    桐野夏生が描く「バブル」 実体なき熱狂の裏側をえぐる傑作長編! 1986年春。二人の女が福岡の証券会社で出会った。一人は短大卒の小島佳那(かな)、もう一人は高卒の伊東水矢子(みやこ)。貧しい家庭に生まれ育った二人は、それぞれ2年後に東京に出ていく夢を温めていた。野心を隠さず、なりふり構わずふるまう同期、望月昭平に見込まれた佳那は、ある出来事を契機に彼と結託し、マネーゲームの渦に身を投じていく。
  • 新装版 あなたに捧げる犯罪
    4.7
    1巻561円 (税込)
    突然現れた妻の旧友は、厚顔で鼻持ちならない女だった。従順な妻を家政婦のように扱い、平穏だった家庭生活を掻き乱していく。そんな彼女に夫は不快感を募らせていくのだが……(日本推理作家協会賞受賞作「妻の女友達」)、ありふれた日常に潜む心の闇と、音もなく忍び寄る恐怖を描いた傑作サスペンス集。
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体
    3.8
    あいちトリエンナーレ2019、日本学術会議 会員任命拒否、検察官定年延長、加計学園問題……今、起きている出来事の本質を見抜くための論考集。 「百人組手で知性を鍛え、不当性に抗う訓練になる一冊」――荻上チキ(評論家) あらゆる「自由」が失われつつある中で、研究者・作家・芸術家・記者などが理不尽な権力の介入に対して異議申し立てを行う。少しでも声を上げやすい世の中になるようにと願って26名の論者が集い、「自由」について根源的に掘り下げる。 批判的思考を養うための書! 【本文より】 表現の範囲がどんどん狭まっている――ヤマザキマリ 批判精神に欠けた学者に囲まれた政府は、端的にいって災厄――藤原辰史 アーティストやタレントが政治的な発言をするたびに、猛バッシングを受けますが、彼らも市民の一人です。政治的発言をしてはならない理由がわかりません――上野千鶴子 私たち日本人は「自由は取扱いの難しいものだ」という実感に乏しいように思われる――内田樹
  • 女神記
    3.7
    遙か南の島、代々続く巫女の家に生まれた姉妹。大巫女となり、跡継ぎの娘を産む使命の姉、陰を背負う宿命の妹。禁忌を破り恋に落ちた妹は、男と二人、けして入ってはならない北の聖地に足を踏み入れた。
  • 女性作家が選ぶ太宰治
    3.6
    「ほとんど奇跡のような成り立ち方をしている」(川上未映子選「古典風」)、「彼自身が、ひとつの作品」(桐野夏生選「思い出」)、「この甘やかさに浸らずにいられない」(松浦理英子選「秋風記」)――七人の女性作家がそれぞれの感性で選ぶ、未だかつてない太宰短篇選集。
  • 水声
    4.0
    ママ、ママはどうしてパパと暮らしていたの? 夢に亡くなったママが現れたのは、都が陵と暮らしはじめてからだった。きょうだいが辿りついた愛のかたちとは。読売文学賞受賞作。
  • ストロベリー・フィールズ
    3.4
    「僕が今、女を感じてるのは、夏子先生だけです」  出版社社長・月川の後妻となった夏子は、夫の連れ子・りえの継母として、そして自らもクリニックを開業する女医として、七年余りの月日を平穏に過ごしてきた。しかし、りえの友人でロック・バーでバイトをする青年・旬と出会い、その危険なまでの若さに触れた夏子は、目を背けてきた己の渇きに気づかされてゆく……。  ひとりの女性の陶酔と孤独を描く傑作長篇。  〈解説〉稲葉真弓 〔著者のことば〕  誰もが、あからさまに「家族」の大切さを叫ぶ時代になって久しい。「家族」は人間にとって、最小単位の砦であり、「家族愛」ほど、愛の深さにおいて意味のある、健全で価値の高いものはないと見なされている。  とてつもなく嬉しいことが起こる。真っ先に誰に知らせたいですか、と聞かれる。誰もが「両親」「夫」もしくは「妻」「子供」と答える。  その健全さは微笑ましく、未来永劫、消えることはないかのように思われて、しかし、同時に、その健全な場所でこそ、人は苛立ったり、憎んだり、絶望したり、孤独の淵をさまよったりするのである。そこに「家族」がはらむ「魔」の部分がある。  (読売新聞2009年1月13日付、連載完結インタビューより抜粋)
  • 砂に埋もれる犬
    4.2
    1巻1,200円 (税込)
    小学校に通わせてもらえず、食事もままならない生活を送る優真。母親の亜紀は子供を放置し、同棲相手の男に媚びてばかりだ。最悪な環境のなか、優真への虐待を疑い、手を差し伸べるコンビニ店主が現れる。社会の分断を体現する少年の魂はどこに向かうのか。《解説・杉山春》
  • スレーブ・トゥ・ラブ <愛の奴隷>
    -
    1巻550円 (税込)
    危険な恋ほど、美しく輝いて見えるもの。そして輝きの分だけ、深く溺れてしまうもの…。待子はふらりと立ち寄った画廊で、SM写真家の町田からモデルの依頼を受ける。戸惑う待子だが、次第に町田の目に心を動かされて…。表題作「スレーブ・トゥ・ラブ」ほか、4編収録! 森園みるくが仕掛ける“5つの甘い罠”から、もう逃げられない…。
  • スワン・レイク
    -
    久しぶりに叔母を訪ねたサツキ。信州の小さな町でバーを営む叔母は、何でも話せる唯一の存在。でもこの厳寒期に突然きた理由は話していない。きっかけは、一本の古いビデオテープだった…。3年前交通事故で夫を亡くしたサツキが、人生を新たにやり直そうと20年勤めた会社を辞める際、引き出しの奥で見つけたビデオ。そこに映っていたのは…。今、小雪が舞う中その場所へ。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から
    3.7
    豪華寝台列車「ななつ星」をめぐる7つのストーリー 豪華寝台列車「ななつ星」での旅を舞台に、7人の人気作家が紡ぐ極上の小説と随想。あなたなら、この旅に誰と一緒にでかけますか? ※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • センセイの鞄 1巻
    完結
    4.4
    日本文学界の至宝・川上弘美と日本漫画界の巨匠・谷口ジローのかつてない幸福な出会い!谷崎潤一郎賞受賞の名作を完全漫画化。「遠いようなできごとだ。センセイと過ごした日々は、あわあわと、そして色濃く、流れた。」(原文より)
  • センセイの鞄(谷口ジローコレクション) : 1
    4.0
    世界的に高い評価を受けるマンガアーチスト谷口ジロー。好評シリーズ「谷口ジローコレクション」第二期は集英社・扶桑社との共同出版。B5判の特製本。5月より毎月刊行。集英社は「神々の山嶺」全5巻と「晴れゆく空」を刊行。扶桑社は「孤独のグルメ」全2巻。双葉社は「センセイの鞄」全2巻。他に「ふらり。」も刊行予定です。
  • 千日のマリア
    3.7
    義母の葬式で男は思い出す。22年前に、義母の起こした事故のこと。義母を責めた自分のこと。そして--(「千日のマリア」)。会社に長文の手紙を送りつけてくる女。意を決して女の家を訪ねた男が見たものは(「修羅のあとさき」)。森に囲まれた土地で暮らして20年。引っ越しを間近に控えたその日、はじめて庭に現れた美しい琥珀色の生き物がいた(「テンと月」)。ほか、生と死、愛と性、男と女を見つめた珠玉の8篇。
  • 贅肉 新装版
    3.6
    才色兼備の姉と正反対の妹。しかし姉は、母の死、恋人との別離から過食に走り、見るも無惨な姿に変貌していく。そんな姉の世話をする妹は──(「贅肉」)。平凡な人間の、ほんの少しの心の揺らぎが、事件の加害者になったり被害者になったりする。そんな日常に潜む恐怖を描く傑作サスペンス集!
  • 双面の天使
    4.0
    絵のように美しい兄妹、潤と茜。幼い二人に芽生えた“新しいママ”への小さな嫌悪がやがて恐ろしい惨劇を招いてしまう…、表題作「双面の天使」他、牝猫と暮らす独身中年の身近で起きる謎の完全殺人を描く「共犯関係」。都市に住む人々の孤独と狂気が思いがけない殺意を呼び起こす…サイコスリラー4編を収録。
  • 存在の美しい哀しみ
    3.8
    死の床に臥した母から異父兄の存在を知らされた榛名(はるな)は、母が亡くなったのを機に、兄の住むプラハに向かった。妹であることを隠し、ガイドとして兄を雇って、初めての対面を果たす。そこで初めて知ったのは、両親の過去であり家族の真の姿だった──。榛名、母、異父兄といくつも視点を変えながら、家族の歴史と真の姿を万華鏡のように美しく描き出す、感動の長編。
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記
    4.0
    絢爛豪華に花開いた平安王朝の珠玉の名作を、人気作家による新訳・全訳で収録。最古の物語「竹取物語」から、一人の女性の成長日記「更級日記」まで。千年の時をへて蘇る、恋と冒険と人生。 竹取の翁が竹の中から見つけた“かぐや姫”をめぐって貴公子五人と帝が求婚する、仮名による日本最古の物語、「竹取物語」。在原業平と思われる男を主人公に、恋と友情、別離、人生が和歌を中心に描かれる「伊勢物語」。「虫めづる姫君」などユーモアと機知に富む十篇と一つの断章から成る最古の短篇小説集「堤中納言物語」。「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとしてするなり」、土佐国司の任を終えて京に戻るまでを描く日記体の紀行文、紀貫之「土左日記」。十三歳から四十余年に及ぶ半生を綴った菅原孝標女「更級日記」。燦然と輝く王朝文学の傑作を、新訳・全訳で収録。 解題=島内景二 解説=池澤夏樹 月報=小川洋子・津島佑子
  • 玉虫と十一の掌篇小説
    3.9
    男はもうここに戻ってくることはないだろうと女は思った――。三年間、食事をともにした男との永遠の別離を描く「食卓」他、恋によって炙り出される男と女の孤独が、かなしさとせつなさを孕んでゆらめく十一篇。短篇よりも短い「掌篇小説」には、小さく切り取られているがゆえの微妙な宇宙が息づき、無限の時間へと読む者を誘う。長篇よりもいっそう濃密な闇と静謐な光を湛えた作品集。
  • 短篇セレクション 幻想篇 命日
    4.0
    仙台の家に引っ越してから、姉の繊細な神経はますますその度合いを増していくようだった。見えないものを見、聞こえない音を聞く。それは死者の気配。(表題作「命日」より)生きているものたちの後ろにひっそりとある異界のものたちの存在。かれらは何を伝えようとしているのか。恐怖より哀しみ、不思議より美、幻想に満ちたあやしの交流を、流麗な筆致で描く恐怖短篇集。
  • 短篇セレクション サイコ・サスペンス篇1 会いたかった人
    3.8
    25年ぶりの親友との再会。TV出演した小夜子を見て連絡をとってきた女は、まるで別人のように変貌していた。うずまく疑念、そして……。表題作「会いたかった人」。他に男と女の妖しく美しい愛の行き着く果てを描く「倒錯の庭」、犬を飼い始めてからはじまる不運にみずからとりつかれていく男の物語「災厄の犬」を収録。静かな狂気を描くサイコ・サスペンス短編集。
  • 短篇セレクション ノスタルジー篇 夢のかたみ
    5.0
    一枚のモノクローム写真に秘められた懐かしくいとおしい日々の記憶。人生の晩年を迎えようとしている女性随筆家は、愛した男への思いを胸に生きてきた。だが、小さな出来事が平穏な生活にさざ波をたてる……。表題作「夢のかたみ」ほか、再会の一夜のドラマを綴る「チルチルの丘」など、遠い日のエロスを溢れるノスタルジーで描く。失われた時間への哀惜と感傷に満ちた5編。
  • 第三水曜日の情事
    4.0
    ジャネットは広告代理店に勤めるOL。女友達の何気ない言葉から、社長殺害の完全犯罪を思いつく。「第三水曜日」なら成功間違いなし。これで恋も仕事も思いのまま、と思いきや、完璧だったはずのアリバイが……。大都会を舞台に、摩天楼の迷路をさまよう男と女が抱く、恋、嫉妬、復讐心、そしてきらめく殺意! ありきたりな毎日に飽き飽きしたあなたに贈る、とびきり小粋でスパイスの効いた、ショート・ミステリー20編!!
  • 大地のゲーム
    3.3
    二十一世紀終盤。かの震災の影響で原発が廃止され、ネオン煌めく明るい夜を知らないこの国を、新たな巨大地震が襲う。第二の地震が来るという政府の警告に抗い、大学の校舎で寝泊まりを続ける学生たちは、カリスマ的〈リーダー〉に希望を求めるが……極限状態において我々は何を信じ、何を生きるよすがとするのか。大震災と学生運動をモチーフに人間の絆を描いた、異色の青春小説。
  • だから荒野
    3.9
    “家族”という荒野を生きる――。そこにある、孤独と希望。 新聞連載時、大反響を呼んだ話題作。 こんなにいとも簡単に夫と息子を捨てられるとは。 会社員の夫と、大学生と高校生の息子たちとともに東京の郊外で暮らす主婦・朋美。 日々家庭を支えてきた苦労を理解しようともせず、夫はその場しのぎの言葉ばかり、息子たちは「キモいおばさん」扱い。 46歳の誕生日、朋美はついに反乱をおこす。自分を軽んじる、身勝手でわがままな家族たちとの決別。レストランの席を立って、夫の愛車で高速道路をひた走る――。家出した妻より、車とゴルフバックが気になる夫をよそに、朋美はかつてない解放感を味わうが……。 解説・速水健朗 ※この電子書籍は2013年10月に毎日新聞社より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ダークネス
    3.9
    1巻2,750円 (税込)
    私の愛した男たちは皆行ってしまった。私の魂を受け止めてくれる相手はもうどこにもいない――衝撃作『ダーク』から20年、村野ミロは生きていた。そして息子のハルオは「悪」を知る旅に出るが……。息子を守るため、凍る火の玉、ミロの最後の闘いが始まる。圧倒的迫力で描く、著者渾身のエンタテインメントの結末は。
  • 注文の多い料理小説集
    3.8
    小説の名手たちが「料理」をテーマに紡いだ とびきり美味しいアンソロジー。 うまいものは、本気で作ってあるものだよ―― 最高級の鮨&ワイン、鮪の山かけと蕗の薹の味噌汁、カリッカリに焼いたベーコンにロシア風ピクルス…… おやつに金平糖はいかがですか? 物語の扉をそっと開ければ、今まで味わった事のない世界が広がります。 「エルゴと不倫鮨」柚木麻子 「夏も近づく」伊吹有喜 「好好軒の犬」井上荒野 「色にいでにけり」坂井希久子 「味のわからない男」中村航 「福神漬」深緑野分 「どっしりふわふわ」柴田よしき 【本書登場の逸品たち】 塩むすびと冷たい緑茶 ハルピンのイチゴ水 全粒粉のカンパーニュに具を挟んだサンドイッチ きときとの富山の海の幸・ゲンゲ汁 生クリームと栗の甘煮のパンとアイスコーヒー 食堂のカレーライスと福神漬 星屑のような白い金平糖
  • 沈黙のひと
    4.0
    吉川英治文学賞受賞、小池文学の最高峰! 亡き父が遺した日記には娘への愛、家族との不仲、そして恋人との心の交流が記されていた。生と死、家族を問い直す魂を揺さぶる傑作!
  • ついでにジェントルメン
    3.7
    なぜ、私たちは社会と噛み合わないの? 分かるし、刺さるし、救われる――自由になれる7つの物語。 編集者にダメ出しをされ続ける新人作家、女性専用車両に乗り込んでしまったびっくりするほど老けた四十五歳男性、男たちの意地悪にさらされないために美容整形をしようとする十九歳女性……などなど、なぜか微妙に社会と歯車の噛み合わない人々のもどかしさを、しなやかな筆致とユーモアで軽やかに飛び越えていく短編集。 目次 Come Come Kan!! 渚ホテルで会いましょう 勇者タケルと魔法の国のプリンセス エルゴと不倫鮨 立っている者は舅でも使え あしみじおじさん アパート一階はカフェー 単行本 2022年4月 文藝春秋刊 文庫版 2025年1月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
  • 燕は戻ってこない
    4.0
    北海道での介護職を辞し憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳・独身女性のリキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニックの日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられる。バレエ界の「サラブレッド」としてキャリアを積み、自らの遺伝子を受け継ぐ子の誕生を熱望する43歳男性・基。その妻で、不育症と卵子の老化により妊娠を諦めざるを得ず、「代理母出産」という選択をやむなく受け入れる44歳女性・悠子。それぞれのままならぬ現実と欲望が錯綜する、ノンストップ・ディストピア小説!
  • 妻の女友達
    3.8
    市役所の戸籍係をしている夫と美人ではないが清楚で控えめな妻。平和で波風の立たない人生をこよなく愛する夫婦の前に、突然現れた妻の学生時代の女友達。女流評論家として活躍するスキャンダラスな女の登場が平穏な家庭をいつのまにか破滅的状況に追い込んでいく…。推理作家協会賞受賞の表題作。ありふれた日常に潜む愛憎が殺意を纏ってあなたの背後に忍び寄る恐怖の瞬間。傑作サスペンス6編。
  • 掌の読書会 柚木麻子と読む 林芙美子
    4.5
    私はこの「ふてぶてしさ」に何度も元気づけられてきた――筋金入りの「おフミさん」ファンを自認する作家・柚木麻子が、数多く残された短編から12編をセレクト。フレッシュなガイドともに、林芙美子が描く女たちの魅力を紹介する。〈解説〉今川英子
  • 天の刻(とき)
    4.3
    自殺はしないが、いつ死んだってかまわない──。世間に背を向けるわけでなく、かといってヴィヴィッドな後半生を望むわけでもない。みずからの積極性を放棄した、しかし魅力的な女たち。40代も終わりにさしかかろうとする女性が、思いがけず、恋愛の極みへと誘われていく。古い日本家屋やたるんだ初老男の肉体、果汁したたる枇杷の爛熟した匂いに導かれた官能の一瞬に、彼女たちは何を見ているのか。エロスとタナトスが、絶妙の筆致で融合された極上の恋愛作品集。
  • デンジャラス
    4.1
    美しい妻は絶対的な存在。楚々とした義妹は代表作の原点。そして義息の若い嫁は、新たな刺激を与えてくれる……。大作家をとりまく魅惑的な三人の女たち。嫉妬と葛藤が渦巻くなか、翻弄される男の目に映っているものは――。文豪「谷崎潤一郎」を題材に、桐野夏生が織りなす物語世界から炙り出される人間たちの「業」と「欲」。<解説>千葉俊二
  • 東京アクアリウム
    3.7
    夜景が美しいカフェで親友が語る不思議な再会に震撼する表題作、施設に入居する母が実家で過ごす最後の温かい夜を描く「猫別れ」など8篇。人の出会いと別れ、そして交錯する思いを描く、珠玉の短編集。
  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。
    3.9
    1~7巻913~1,782円 (税込)
    「四月某日 六年ぶりくらいに、お医者さんに行く。はりきって、よそゆきのブラジャーをしていく。」……  不思議におかしく、あわあわとした、カワカミ・ワールドの日常生活記。
  • 倒錯の庭
    3.3
    電灯を消した仄暗い部屋の中で、私は今、竹彦と一緒にキノコを食べている。ヌメリイグチという名の、黄色い湿ったキノコだ。(「倒錯の庭」) 恋という病に憑かれた男と、溺れゆく女の、頽廃と官能に満ちた恐怖世界を描く表題作の他、人の心に巣くう危うく妖しい欲望に取材した3つの中編を収録。精密な筆致で描きだす人間心理の襞。サイコ・サスペンス集。
  • TOP SECRET-トップシークレット-
    完結
    3.0
    全1巻220円 (税込)
    “MILKとは何者か?”森園みるくの本当の姿を綴った話題作「トップシークレット」でMILKの幻想画廊として掲載された短編作品が電子書籍として復活!!ミステリアスなみるくワールドをご堪能あれ。
  • とりあえずお湯わかせ
    3.6
    このエッセイもまた、公開の日記帳だ。前向きで後ろ向きで、頑張り屋で怠け者で、かしこく浅はか、独特な人物の日々の記録だ(前書きより)――はじめての育児に奮闘し、新しい食べ物に出会い、友人を招いたり、出かけたり――。そんな日々はコロナによって一転、自粛生活に。閉じこもる中で徐々に気が付く、世の中の理不尽や分断。それぞれの立場でNOを言っていくことの大切さ、声を上げることで確実に変わっていく、世の中の空気。食と料理を通して、2018年から2022年の4年間を記録した、人気作家・柚木麻子のエッセイ集。各章終わりには書下ろしエッセイも収載。 1.うちにおいでよ 2018年1月~12月 2.うちの味、外の味 2019年1月~12月 3.そしてコロナがやってきた 2020年1月~12月 4.もう、黙らない 2021年4月~2022年3月
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)
    3.8
    捨てたものではなかったです、あたしの人生――。男二人が奇妙な仲のよさで同居する魚屋の話、真夜中に差し向かいで紅茶をのむ主婦と姑、両親の不仲をみつめる小学生、そして裸足で男のもとへ駆けていった女……。それぞれの人生はゆるくつながり、わずかにかたちをかえながら、ふたたび続いていく。東京の小さな町を舞台に、平凡な日々の豊かさとあやうさを映し出す連作短篇小説。
  • 奴隷小説
    3.5
    どこにも、逃げられないよ──。 長老との結婚を拒絶する女は舌を抜かれてしまう、という掟のある村で、ある少女が結婚相手として選ばれる「雀」。 ある日突然、武装集団によって、泥に囲まれた島に拉致された女子高生たちを描いた「泥」。 アイドルを目指す「夢の奴隷」である少女。彼女の「神様」の意外な姿とは?(「神様男」)。 管理所に収容された人々は「山羊の群れ」と呼ばれ、理不尽で過酷な労働に従事し、時に動物より躊躇なく殺される。死と紙一重の鐘突き番にさせられた少年の運命は?(「山羊の目は空を青く映すか」)……など。 時代や場所にかかわらず、人間社会に現れる、さまざまな抑圧と奴隷状態。 それは「かつて」の「遠い場所」ではなく、「いま」「ここ」で起きている。 あなたもすでに、現代というディストピアの奴隷なのかもしれない――。 様々な囚われの姿を容赦なく描いた七つの物語。 桐野夏生の想像力と感応力が炸裂した異色短編集。 カバーイラストは、かわいさと残酷性を併せ持った作風で物議を醸すLA在住の画家、Luke ChuehのRough Waters。 解説・白井聡 ※この電子書籍は2017年12月刊行の文春文庫を底本としています。
  • 泣かない女 短篇セレクション ミステリー篇
    4.0
    著者の自選短篇セレクションシリーズのミステリー篇。表題作「泣かない女」、推理作家協会賞受賞作「妻の女友達」をはじめ、「悪者は誰?」「鍵老人」の4篇を収録。男の歪んだ欲望と、女の捻れた欲望がぶつかりあう。普通の人々の生活がふとしたことから崩れていき、その隙間に忍び寄る狂気。心の奥底を覗き込むようなミステリーの醍醐味を味わえる傑作の連続。
  • 懐かしい骨
    3.7
    両親が亡くなり、解体した実家の物置の床下から女性の白骨死体が発見された。真吾と妹・早紀子の子供時代は平凡だが幸福だった。だが25年前の記憶を辿るうち、ある犯罪の可能性に思いあたり戦慄を覚える。謎の骨が語りかけるのは恐怖なのか懐古なのか!?繊細なタッチで描く長編サスペンスの傑作!

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  • 懐かしい骨 新装版
    3.7
    両親が亡くなり、解体した実家の物置の床下から白骨死体が発見された。娘である早紀子は、25年前の記憶を辿るうちに、ある事件に思い当たる。この骨は過去の犯罪を告発すべく現われたのか……。繊細なタッチで描く戦慄の長編サスペンス。
  • 夏の吐息
    値引きあり
    3.6
    永遠に待ち続けると思うのです。世界のどこに行っても、地の果てにいても、私はあなたを待っている。――6年前、突如行方が分からなくなった恋人を待つ女性のモノローグからなる表題作他、濃厚な死の影の間近で紡がれる詩情。著者自ら「この六編を超える作品はもう書けないかもしれない」と語る傑作短編集。
  • 七夜物語(上)
    4.1
    小学4年生のさよは、母親と二人暮らし。ある日、図書館で出合った『七夜物語』というふしぎな本にみちびかれ、同級生の仄田くんと夜の世界へ迷いこんでゆく。七つの夜をくぐりぬける二人の冒険の行く先は?
  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)
    3.5
    少女の想像の中の奇妙なセックス、女の自由をいまも奪う幻の手首の紐、母の乳房から情欲を吸いだす貪欲な嬰児と、はるか千年を越えて女を口説く男たち。やがて洪水は現実から非現実へとあふれだし、「それ」を宿す人々を呑み込んでいく……。水/土/空気/火の四つの元素、そして世界の名をもつ魅惑的な物語がときはなつ生命の迸りと、愛し、産み、老いていく女たちの愛おしい人生。
  • ナルキッソスの鏡
    4.0
    女装倒錯、その美貌とあいまった孤高のナルシズムに生きる作家志望の青年。そして、殺戮をくりかえしてまでも子供たちを守ろうとする過剰な家族愛に生きる異形の大女。高原の避暑地を舞台に、それぞれの人生が交錯するとき悲劇のドラマがはじまる――。愛と憎しみに囚われた人間の2つのストーリーがモザイク模様のように絡み、展開する衝撃のサイコ・サスペンス。
  • なんとなくな日々(新潮文庫)
    3.8
    春の宵には、誰もいない台所で冷蔵庫の小さな鳴き声に耳を澄まし、あたたかな冬の日には、暮れに買い置いた蜜柑の「ゆるみ」に気づく。読書、おしゃべり、たまの遠出。日々流れゆく出来事の断片に、思わぬふくよかさを探りあてるやわらかいことばの連なりに、読む歓びが満ちあふれます。ゆるやかにめぐる四季のなか、じんわりしみるおかしみとゆたかに広がる思いを綴る傑作エッセイ集。
  • 肉体のファンタジア
    4.7
    ふくらみはじめた「乳房」を意識したころ。互いに「目」を見つめあうだけでわかりあえる関係。どこか性的にひかれる「毛」。中年男性の「背中」にただよう倦怠の魅力。受話器のむこうからこぼれる吐息のような「声」。そして女しか持ち得ない「子宮」の秘密とは。肉体のさまざまなパーツに刻まれた官能の風景、記憶が鮮やかに蘇る。五感を刺激するファンタジックなエッセイ集。
  • ニシノユキヒコの恋と冒険
    3.9
    ニシノくん、幸彦、西野君、ユキヒコ……。姿よしセックスよし。女には一も二もなく優しく、懲りることを知らない。だけど最後には必ず去られてしまう。とめどないこの世に真実の愛を探してさまよった、男一匹ニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、交情あった十人の女が思い語る。はてしなくしょうもないニシノの生きようが、切なく胸にせまる、傑作連作集。
  • 二重生活
    3.3
    大学院生の珠は、大学時代のゼミで知ったアーティスト、ソフィ・カルによる「何の目的もない、知らない人の尾行」の実行を思い立ち、近所に暮らす男性、石坂の後をつける。そこで石坂の不倫現場を目撃し、他人の秘密に魅了された珠は、対象者の観察を繰り返す。しかし尾行は徐々に、珠自身の実存と恋人との関係をも脅かしてゆき――。渦巻く男女の感情を、スリリングな展開で濃密に描き出す蠱惑のサスペンス。 解説・野崎歓
  • 猫を抱いて長電話
    4.0
    小池真理子さんは1990年春、長年住み慣れた東京をはなれ、長野県の軽井沢町に引越しました。小池さんは、まずクルマの運転免許を取得しました。もちろん必要に応じてのことでしたが、あちらこちらと高原の町を走り回るうち、新しい視界がひらけて来るようだったと言っています。この本には、小池さんが喧噪の中で書き続けた、恋愛や友情やお酒や猫についてのたくさんのエッセイが収められています。心やさしく生きることの難しさと大切さを、この本は語っているのかもしれません。
  • 猫を拾いに(新潮文庫)
    4.0
    誕生日の夜、プレーリードッグや地球外生物が集い、老婦人は可愛い息子の将来を案じた日々を懐かしむ。年寄りだらけになった日本では誰もが贈り物のアイデアに心悩ませ、愛を語る掌サイズのおじさんの頭上に蝉しぐれが降りそそぐ。不思議な人々と気になる恋。不機嫌上機嫌の風にあおられながら、それでも手に手をとって、つるつるごつごつ恋の悪路に素足でふみこむ女たちを慈しむ21篇。
  • ねじまき片想い
    3.9
    浅草にある老舗おもちゃ会社で働く富田宝子は、楚々として控えめな外見とは裏腹に、好きなものに対するパワーと想像力の豊かさを以て、敏腕プランナーとして活躍している。彼女は取引先のデザイナー西島に恋をしているが、5年も想いを伝えられずにいた。何の因果か次々に災難に見舞われる彼のため、持ち前の機転と自社のおもちゃを駆使しSPのごとくトラブルを解決していく宝子。けれど西島は宝子の奮闘にはまったく気がつかず?! 同僚や同居人も巻き込んで、宝子の恋が向かう先は――。ひとりの女性が大切な気持ちと向き合うまでを描く物語。/解説=松井ゆかり
  • ノスタルジア 〈新装版〉
    4.0
    平野繭子はかつて、親子ほど年の違う妻子ある作家・仙波雅彦と愛し合っていた。彼の突然の死から15年──。彼女の前に雅彦の息子を名乗る人物が現れる。父親と生き写しの彼に衝撃を受けつつも徐々に惹かれていく繭子。そして物語は思いもよらぬ結末に……。甘美で切ない大人の恋愛と、耽美で幻想的な世界を見事に融合させた極上の長編小説。
  • 望みは何と訊かれたら
    3.6
    パリの美術館で、槙村沙織は三十数年ぶりに秋津吾郎に再会する。彼こそは、学生運動の果ての凄絶な粛清リンチから身ひとつで逃走した二十歳の沙織を、半年間匿ってくれた男性だった。運命の再会は二人に何をもたらすのか──。殺意と愛情がせめぎあう極限状況で人生を共有しあった男と女ゆえの、根源的な結びつきと、身体も魂も貫く究極の悦楽を描き尽くした著者最高の恋愛小説。
  • ハイ・ライフ 上巻
    -
    1~2巻550円 (税込)
    冷たいまでに美しく、時に残酷な女子大生、清子。その姉を慕うゲイの弟、由麿。大手商事会社社長を父とする、この美しい姉弟は権力と美貌を武器に、才能に恵まれた男たちを次々手玉に取って楽しんでいる。奔放に生きる美貌の姉弟に翻弄される男たち…! 森園みるくが贈る、とびきりオシャレなハイソサイエティ・ライフ・ストーリー!!
  • ハヅキさんのこと
    3.8
    かりん、という琺瑯の響き。温泉につかったあと、すっぴん風に描く眉。立ち飲みで味わう「今日のサービス珈琲」。 48歳、既婚者で「中途半端」な私が夢中になった深い愛――。さりげない日常、男と女の心のふれあいやすれ違いなど、著者独自の空気が穏やかに立ち上がる。虚と実のあわいを描いた掌篇小説集。

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