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Posted by ブクログ
言葉は少ないのに、自然と情景が流れていくような、ずっと読んでいたくなる文章。フラットで等身大で、まるで友人の日記を読ませてもらっているかのような感覚になる。(こんな文章の上手な友人はそうそういないだろうけど。)
本の一節にこんなシーンがある。部屋の鴨居にTシャツをかけたハンガーを3つ吊るし、その下を通る。何気ない誰もが見たことのあるなんの変哲もない日常を、著者の目には、『3人が揺れて笑っている』ように見えている。誰もが見ている世界を、ほんの少しの語句と感性の差で薄くきらきらしたフィルターがかかったような世界に変えてしまう、そんな魅力がここには詰まっている。
Posted by ブクログ
今月東京日記の新刊が出るとのことで、川上さんの本はだいたい読んでいるけどエッセイは手にとっていなかったことに気づき早速まとめて読み始めました。
今よりずっと若かった頃に川上弘美さんにはまりましたが、今の方がより川上さんの言葉が身に沁みる、というかすとんと落ちて、くすりくすりと笑える。言葉選びの、一文字の、ひらがな遣いの深みによりはまってます。
椰子椰子とは違い本物の日記。
どの話もくすっと笑えるエピソードだらけで大好きだけど、よそゆきのブラジャーはなお好きだった。病院に行くからよそゆきのブラジャーをするって、可愛いしわかる。川上さんって可愛いおとなだなぁ。
もっと好きになってく。
Posted by ブクログ
装丁だけでなく本文にも祖父江さんの楽しい仕掛けが込められている川上さんの東京日記シリーズ。
帯に「けっこうホントの日記です。」と書かれてあるように、5分の4はホントのカワカミさんの日記のような短編の卵たち?少しの脚色がどこなのか…なんてどうでもよく、粛々と内に外に伸び縮みする川上さんの毎日から生まれる言葉が愛らしい。
ある春の日に、花茣蓙を手に入れたという友達に誘われて公園に花見へと出掛け、桜と柳の美しい公園でお弁当やお酒を開ける長閑な一日。沢山の花びらが舞い散る中、交代で花茣蓙を担ぎ合いながら駅まで歩く帰り道。もう過ぎゆこうとしている春の幸福な後ろ姿を見送るようで心が静かに和らいだ。
もうひとつのお気に入りは、作家になった川上さんに届いた同級生からの手紙。作文は自分のほうが上手かったから本当に川上さんの本が売っていると思わなかったという友人。でもある日ふと本屋さんで川上さんの本に出会いびっくりして購入したことが書かれてあり、レジ横にあった「おさいふに入れておくとお金がたまる」という飴色の小さな「銭亀」が同封されていた。
早速おさいふに入れてみると銭亀と一円や五円が当たる音がして、同級生の顔を浮かべながらしばらく揺らしていたという。とても優しい音が聞こえてきそうで、読んでいるこちらの頬も緩んでくる。同級生や子供の頃の友だち、幼馴染はいつまでたっても心の特別な場所に住んでいて、思い出すたびに明るい気持ちをくれる。
みんな元気で幸せだといいなと願いながら、私の脳内でも沢山の人が銭亀とぶつかっては弾けるように笑った。ささやかで、とても大事で、嬉しいこと。私も卵一個分の小さなお祝いを大切にしていこう。
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小説・文芸
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