ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである――四季おりおりに現れる、不思議な〈生き物〉たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥ マゴ文学賞、紫式部文学賞受賞短篇集。 〈目次〉 神様 夏休み 花野 河童玉 クリスマス 星の光は昔の光 春立つ 離さない 草上の昼食 あとがき
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞を受賞した短篇集。デビュー作の「神様」と続篇の「草上の昼食」が特にお気に入りです。多くを語ることで、本書のもつ神々しさが損なわれかねないので、感想は敢えて一言で。現実と夢の境界のような不思議で美しい作品に出会えて幸せな読書体験でした。
デビュー作「神様」と合わせて9つの短編小説。200ページ足らずの薄い本だけど、長いとか短いとか薄いとか厚いとか関係ない世界が広がっています。それが何かは分からないけど何かを言い当ているような、そんな切実さがあるような気がしました。
本作は九つの短編集で構成されており、著者のデビュー作である。『神様』のように実在の動物もいれば、『河童』のように実在しないものをモチーフにしたもの、さらに、『夏休み』に登場する、具体的にどんなものかわからない、読者の想像にまかせるなど、多種多様なファンタジー小説である。
すごく好きだった。 ファンタジーというのか?ちょっと不思議な短編集。設定の非現実さが気にならないくらい自然ですんなり入り込める。温かかったり切なかったり明るくなれたりちょっと泣けたり、短編ごとに読後感は違うけど、どれも読んで良かった〜!と思うお話ばかり。 特に『クリスマス』ってお話が好きだった。3人...続きを読むの酒盛りが楽しそうで切なくてなんか泣けた。コスミスミコもウテナさんもわたしもめっちゃいい。 川上弘美さん初めて読んだのですが、文章がやわらかくてやさしくてとても好きです。
一番好きな作家である。でも、ん〜この話には寄り添えなかったな。となる時もある。 「神様」はいくつかの短編からなり、ふわふわと読んでいたら、「離さない」でゾクリとして「草上の昼食」で泣けてしまった。一見関係のない自分ごとがオーバーラップする不思議。 また、ぐっと寄り添ってしまった。やられた。
川上弘美さんのデビュー作「神様」ほか、川上さんの魅力が詰まった短編集になっています。 どこか現実離れした世界で生きている人たちが どこか現実を取り戻そうとする様が作品に現れています。 河童、人魚、人語を話すクマなど、不思議な世界観が楽しめます。
本を読んでいてこんなにほかほかな気持ちになったのは久しぶり。人間ではない存在を当たり前に受け入れている世界、一緒にごはんを食べたり、その存在について他者と話したりする。いいな、羨ましいな、そんな世界
久しぶりに本棚から引っ張り出して読んだ。初めて読んだ時、一発で川上さんのことを好きになった本。 創作だから書ける不思議なことってあるけど、川上さんのお話って全部川上さん自身の体験なんじゃないか??と思うくらい妙に生々しいというか。 わたしが生活してる中では到底思い付かないような非日常的な穏やかな日常...続きを読む。大好きな一冊。
ちょっと休憩。 表題作と、草上の昼食がとにかく、すき。 くまとの交流が美しくてあたたかくて、切ない。 距離感もいい。
あなたは、『人魚』を見たことがあるでしょうか? (*˙ᵕ˙*)え? “世界三大がっかり名所”と言われる場所があります。ベルギーの”小便小僧”、シンガポールの”マーライオン像”、そしてデンマークはコペンハーゲンにある”人魚姫の像”です。世界的に有名にもかかわらず、わざわざ訪れてがっかりという感情...続きを読むが先行してしまうというのもなんだか残念な話です。しかし、そんなにがっかりするものなのか?と逆にがっかりを体験するために訪れる、そんな考え方もあるようです。 “人魚姫の像”はアンデルセンが1837年に作り出したおとぎ話が起点となっています。美しい人間の王子を見て恋心を抱いた一人の『人魚』は、やがて美しい声と引き換えに尻尾を人間の足に変える薬を魔女からもらいます。そして展開する悲劇の物語…いかにもおとぎ話な世界がそこにあります。そうです。『人魚』というのはおとぎ話の中の存在であって、全くの架空の存在でしかないのです。それを身近な場所で目にするということなど荒唐無稽です。では、まさか、まさかであなたが『浴槽』にこんな光景を目にしたらどうするでしょうか? 『人魚がいた。浴槽の三分の一くらいの高さに張られた水の中を、人魚が泳いでいた』。 さてここに、まさかの『人魚』を含め”「不思議な生物」たち”が登場する作品があります。9つの短編それぞれにまさかの存在が登場するこの作品。そんな存在が言葉を発するのを見るこの作品。そしてそれは、あなたの目の前に不思議世界が当たり前に展開する川上弘美さんのデビュー作です。 『くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである』と語るのは主人公の『わたし』。『三つ隣の305号室に、つい最近越してきた』という『雄の成熟したくま』は、『ちかごろの引っ越しには珍しく、引っ越し蕎麦を同じ階の住人にふるまい、葉書を十枚ずつ渡してまわってい』ます。『ずいぶんな気の遣いようだと思』うも、『くまであるから、やはりいろいろとまわりに対する配慮が必要なのだろう』と思う『わたし』。そんな『わたし』は、『蕎麦を受け取ったときの会話で』、『満更赤の他人というわけでもないこと』を知ります。『表札を見たくま』に『もしや某町のご出身では』と訊かれ、『確かに、と答えると、以前くまがたいへん世話になった某君の叔父という人が町の役場助役であった』ことが分かります。そして、『どうやら助役はわたしの父のまたいとこに当たる』ことがわかると、『くまはたいそう感慨深げに「縁(えにし)」というような種類の言葉を駆使していろいろと述べ』ます。『引越しの挨拶の仕方といい、この喋り方といい、昔気質のくまらしい』と思う『わたし』。そんな『わたし』は、『そのくまと、散歩のようなハイキングのようなことをしてい』ます。『ツキノワグマなのか、ヒグマなのか、はたまたマレーグマなのかは、わから』ず、くまの名前がわからない『わたし』は、『なんと呼びかければいいのかと質問してみ』ますが、『今のところ名はありませんし、僕しかくまがいないのなら今後も名をなのる必要がないわけですね』と答える『くま』。『まあ、どうぞご自由に何とでもお呼びください』と言う『くま』と川原へと散歩する『わたし』。やがて『川原に到着』して、『荷物を下ろし、タオルで汗をぬぐっ』ていると、『男性二人子供一人の三人連れが、そばに寄ってき』ました。『お父さん、くまだよ』、『そうだ、よくわかったな』という会話に続き、『子供はくまの毛を引っ張ったり、蹴りつけたりし』た後、『最後に「パーンチ」と叫んでくまの腹のあたりにこぶしをぶつけてから、走って行ってしま』いました。『いやはや』、『小さい人は邪気がないですなあ』、『そりゃいろいろな人間がいますから。でも、子供さんはみんな無邪気ですよ』と言うと『くま』は、『急いで川のふちへ歩いていってしま』います。そんな中、『突然水しぶきがあがり、くまが水の中にざぶざぶ入ってい』き、『川の中ほどで立ち止まると右掌をさっと水にくぐらせ、魚を掴み上げ』ます。『驚いたでしょう』、『おことわりしてから行けばよかったのですが、つい足が先に出てしまいまして。大きいでしょう』と、『くまは、魚をわたしの目の前にかざし』、『さしあげましょう。今日の記念に』と言うと、『担いできた袋の口を開け』『小さなナイフとまな板』を取り出した『くま』。そして、『器用にナイフを使って魚を開くと、これもかねて用意してあったらしい粗塩をぱっぱと振りかけ、広げた葉の上に魚を置』きました。『何回か引っくり返せば、帰る頃にはちょうどいい干物になっています』という説明に『何から何まで行き届いたくまである』と思う『わたし』。そんな『わたし』は、『くま』と『草の上に座って川を見ながら弁当を食べます。まさかの『くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである』と語る『わたし』と『くま』のそれからが描かれていきます。 “くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである ー 四季おりおりに現れる、不思議な〈生き物〉たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語”と内容紹介にうたわれるこの作品。〈あとがき〉で、”表題作『神様』は、生まれて初めて活字になった小説である”と作者の川上弘美さんが語られる通り、この作品は川上さんのデビュー作を含んだ短編集となっています。”あのとき『神様』を書かなければ、今ごろは違う場所で違う生活をしていたかもしれない。不思議なことである”と振り返られる川上さん。読んでビックリ!この作品には、この先に芥川賞受賞へと繋がる川上さんの原点がここにある、そんな物語が展開していきます。 一部繋がりのある短編があるとは言え、9つの短編は基本的には異なる舞台、異なる物語を描いていきますが、その雰囲気感は見事に一つの世界感に統一されています。それこそが、単行本の帯に大きく記された次の言葉に導かれるものです。 “四季おりおりに現れる不思議な「生き物」たちとのうららでせつない9の物語” そうです。9つの作品には”不思議な「生き物」たち”が当たり前のように登場するのです。では、そんな”「生き物」たち”を見てみましょう。 『伸びすぎた枯れ蓮の茎がざわざわと揺れたかと思うと、池の水が盛り上がった』 → 『二人で水面を見つめていると、水の中からまみどりの河童が一匹、あらわれた』 『これはどうも、いやどうも』と『言いながら、河童は水を滴らせて』現れます。4篇目〈河童玉〉に登場するタイトルそのまんまの『河童』の登場です。『絵で見た通りに、頭に皿を載せている』と描かれていく『河童』。850冊以上の小説ばかり読んできた私ですが、『河童』が登場する作品はもちろん初めてです。凄いです、これ。次は『日曜の青空市で買った』という『壷』をもらったという『わたし』の物語〈クリスマス〉です。 『いやにつやつや真珠色をしている』のが気になり、手に取り『曇っている部分』を『布巾でごしごしこすった』 → 『「ご主人さまあ」という声があがり、それと共に煙が立』ち、『煙の中から若い小柄な女があらわれ出で…』 おおっ!これも凄いです。『壷』から現れると聞くと「千夜一夜物語」もしくは、「ハクション大魔王(知る人ぞ知る1969年に放送されたTVアニメ)」を思い出しますが、その後の展開以前にこの登場場面だけで気持ちがハイ!になってしまいます。なんなんだこの作品!もう一つは、『旅先で妙なものを手に入れた』と言う『画家兼高校教師』に呼ばれた『わたし』が、彼女の家を訪れるという〈離さない〉です。 『浴室の扉を開け、わたしを招き入れた』というエノモト → 『人魚がいた。浴槽の三分の一くらいの高さに張られた水の中を、人魚が泳いでいた』。 これまたビックリの世界です。『人魚』が登場する作品も私は読んだ記憶がありません。しかも日常生活の中の当たり前の場所である『浴槽』に泳ぐ『人魚』というありえない光景が当たり前に語られていきます。”不思議な「生き物」たち”というと川上さんには一見『人』のようで、『人』ではない存在が登場する「龍宮」でも興味深い世界を描かれていました。”不思議な「生き物」たち”という言葉に興味津々なあなた、そうそんなあなたにとても親和性が高いのがこの一冊なのです。 では、そんな9つの短編から上記で取り上げた三つの短編の冒頭をもう少し詳しく見てみましょう。 ・〈河童玉〉: 『ウテナさんと精進料理を食べにいった』というのは主人公の『わたし』。『料理につられて昼からビールなんかを数本飲んでしまったので眠気がさし、本堂の横にある広い縁側で二人して柱に寄りかかっているうちに、うとうとしてきた』という中、『ずいぶんと寝入ったころに』、『おたずね申し上げます』、『ウテナ様とウテナ様ご親友様でいらっしゃいますね』と『声の主』が問いかけます。『相談に乗っていただきたく存じまして』と続ける中に『池の水が盛り上が』ります。『眠かった目がすっかりさめて、二人で水面を見つめていると、水の中からまみどりの河童が一匹、あらわれ』ました。『お目にかかれて光栄です』と挨拶する河童はある相談事を語り始めます…。 ・〈クリスマス〉: 『ちょっとしたもんでしょ』と『日曜の青空市で買った』という『壷』をウテナからもらったのは主人公の『わたし』。『貝の殻らしきものがところどころに貼ってあり、殻の部分は真珠色に光る』という『壷』に『花でも生けてよ』と言うとウテナは出張に出てしまいます。しかし『しばらく仕事が忙しくて、壷のことは忘れていた』という中『ようやく仕事が一段落した』『わたし』は、『夜遅くに茶漬けなんか食べながら見ると、壷がいやにつやつや真珠色をしている』のに気づきます。『思わず手に取』り、『少しばかり曇っている部分』を『布巾でごしごしこすった』という中、『「ご主人さまあ」という声があがり、それと共に煙が立』ち、『煙の中から若い小柄な女があらわれ出で』ました…。 ・〈離さない〉: 『旅先で妙なものを手に入れた』とエノモトに言われたのは主人公の『わたし』。『わたしの部屋の真上の部屋に住んでいる』という『画家兼高校教師のエノモト』から『よかったら相談に乗ってもらえないか』と声をかけられます。『二ヵ月前、南方に旅をした』と話し出したエノモトは、寝つけず『真夜中起き出して、海岸を歩い』ていると『波打ち際に漁の網が投げ出してあ』り、『網の中に何かがいるのに気がついた』という先に『生きている。それは人魚であるらしかった。人間の大人の三分の一ほどの大きさの、それは人魚なのだった』と気づいたと言います。そして、『手に入れた』と語るエノモトは『浴室の扉を開け、わたしを招き入れ』ます。そこには、『人魚』の姿がありました…。 三つの短編をご紹介しました。他の短編はこの三つの短編の世界観に魅かれてこれからこの作品を手に取る方のために一切触れないこととしたいと思いますが、冒頭にご紹介した『くま』、『河童』、『壷』の中から現れた女、そして『人魚』ともうこれだけでも興味津々の世界が広がっているのが分かります。兎にも角にも不思議な世界の物語ですが、大きなポイントはこの”「不思議な生物」たち”が言葉を発するなど、私たち『人』と同じような姿を見せていくところだと思います。『人』のようでいて、『人』ではないという不思議世界を見せていく各短編の生物たち。そして、そんな彼らに最初は違和感を感じながらもやがて、『人』に対峙するのと同じように接していく主人公たちの姿が描かれていくのも興味をそそります。中には『愛恋の病の相談に乗っていただきたく』と切り出す存在もいるなど、私たちにとって異物であるにもかかわらず、どこか『人』以上に『人』らしい姿を見せてもいく生物たち。そんな生物たちを絶妙に描くこの作品。読後、彼らが目の前に現れたら私はどう接していくだろう…そんなことにも耽りながら不思議世界とお別れし、現実世界に戻って本を置きました。 『熊の神様って、どんな神様なの』 『神々しいような様子で、獣の声をあげつづけ』る『くま』に、そんなことを訊く主人公の『わたし』。9つの短編から構成されたこの作品には、それぞれに読者を魅了してやまない”不思議な「生き物」たち”が闊歩する物語が描かれていました。『人』のようでいて、『人』ではない”不思議な「生き物」たち”がとにかく気になるこの作品。そんな存在の描写に川上さんの原点を見るこの作品。 川上さんはデビュー作から川上さんだった、不思議世界のイリュージョンにただただ魅せられた素晴らしい作品でした。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
神様
新刊情報をお知らせします。
川上弘美
フォロー機能について
「中公文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
100万分の1回のねこ
蛇を踏む
明日、晴れますように 続七夜物語
あるようなないような
伊勢物語
いとしい
王将の前で待つてて
大きな鳥にさらわれないよう
「川上弘美」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲神様 ページトップヘ