【感想・ネタバレ】神様のレビュー

あらすじ

くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである――四季おりおりに現れる、不思議な〈生き物〉たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥ マゴ文学賞、紫式部文学賞受賞短篇集。

〈目次〉
神様
夏休み
花野
河童玉
クリスマス
星の光は昔の光
春立つ
離さない
草上の昼食
あとがき

4.2
Rated 4.2 stars out of 5
Rated 5 stars out of 5
Rated 4 stars out of 5
Rated 3 stars out of 5
Rated 2 stars out of 5
Rated 1 stars out of 5
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Posted by ブクログ

すごく好きだった。
ファンタジーというのか?ちょっと不思議な短編集。設定の非現実さが気にならないくらい自然ですんなり入り込める。温かかったり切なかったり明るくなれたりちょっと泣けたり、短編ごとに読後感は違うけど、どれも読んで良かった〜!と思うお話ばかり。
特に『クリスマス』ってお話が好きだった。3人の酒盛りが楽しそうで切なくてなんか泣けた。コスミスミコもウテナさんもわたしもめっちゃいい。
川上弘美さん初めて読んだのですが、文章がやわらかくてやさしくてとても好きです。

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2025年02月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今月15日に閉店してしまったSPBS虎ノ門で購入。不思議な短編がいくつも入っている。何が面白いかって、不思議な現象があまりにも当然のように入っているから文を読んでいるのに絵本を読んでいるような気分になるところだ。マジックリアリズムというやつなのだろうか。用語には詳しくないので間違っていたら申し訳ないけど。どの話も心にあったかいものが宿ったけれど、どれか一つ挙げるなら「春立つ」がよかった。切なくて、希望が持てる恋の話。

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2025年01月21日

Posted by ブクログ

一番好きな作家である。でも、ん〜この話には寄り添えなかったな。となる時もある。
「神様」はいくつかの短編からなり、ふわふわと読んでいたら、「離さない」でゾクリとして「草上の昼食」で泣けてしまった。一見関係のない自分ごとがオーバーラップする不思議。
また、ぐっと寄り添ってしまった。やられた。

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2025年01月06日

Posted by ブクログ

川上弘美さんのデビュー作「神様」ほか、川上さんの魅力が詰まった短編集になっています。
どこか現実離れした世界で生きている人たちが
どこか現実を取り戻そうとする様が作品に現れています。
河童、人魚、人語を話すクマなど、不思議な世界観が楽しめます。

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

本を読んでいてこんなにほかほかな気持ちになったのは久しぶり。人間ではない存在を当たり前に受け入れている世界、一緒にごはんを食べたり、その存在について他者と話したりする。いいな、羨ましいな、そんな世界

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2024年12月20日

Posted by ブクログ

久しぶりに本棚から引っ張り出して読んだ。初めて読んだ時、一発で川上さんのことを好きになった本。
創作だから書ける不思議なことってあるけど、川上さんのお話って全部川上さん自身の体験なんじゃないか??と思うくらい妙に生々しいというか。
わたしが生活してる中では到底思い付かないような非日常的な穏やかな日常。大好きな一冊。

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2024年11月17日

Posted by ブクログ

ちょっと休憩。
表題作と、草上の昼食がとにかく、すき。
くまとの交流が美しくてあたたかくて、切ない。
距離感もいい。

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2024年09月21日

Posted by ブクログ

あなたは、『人魚』を見たことがあるでしょうか?

 (*˙ᵕ˙*)え?

“世界三大がっかり名所”と言われる場所があります。ベルギーの”小便小僧”、シンガポールの”マーライオン像”、そしてデンマークはコペンハーゲンにある”人魚姫の像”です。世界的に有名にもかかわらず、わざわざ訪れてがっかりという感情が先行してしまうというのもなんだか残念な話です。しかし、そんなにがっかりするものなのか?と逆にがっかりを体験するために訪れる、そんな考え方もあるようです。

“人魚姫の像”はアンデルセンが1837年に作り出したおとぎ話が起点となっています。美しい人間の王子を見て恋心を抱いた一人の『人魚』は、やがて美しい声と引き換えに尻尾を人間の足に変える薬を魔女からもらいます。そして展開する悲劇の物語…いかにもおとぎ話な世界がそこにあります。そうです。『人魚』というのはおとぎ話の中の存在であって、全くの架空の存在でしかないのです。それを身近な場所で目にするということなど荒唐無稽です。では、まさか、まさかであなたが『浴槽』にこんな光景を目にしたらどうするでしょうか?

 『人魚がいた。浴槽の三分の一くらいの高さに張られた水の中を、人魚が泳いでいた』。

さてここに、まさかの『人魚』を含め”「不思議な生物」たち”が登場する作品があります。9つの短編それぞれにまさかの存在が登場するこの作品。そんな存在が言葉を発するのを見るこの作品。そしてそれは、あなたの目の前に不思議世界が当たり前に展開する川上弘美さんのデビュー作です。

『くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである』と語るのは主人公の『わたし』。『三つ隣の305号室に、つい最近越してきた』という『雄の成熟したくま』は、『ちかごろの引っ越しには珍しく、引っ越し蕎麦を同じ階の住人にふるまい、葉書を十枚ずつ渡してまわってい』ます。『ずいぶんな気の遣いようだと思』うも、『くまであるから、やはりいろいろとまわりに対する配慮が必要なのだろう』と思う『わたし』。そんな『わたし』は、『蕎麦を受け取ったときの会話で』、『満更赤の他人というわけでもないこと』を知ります。『表札を見たくま』に『もしや某町のご出身では』と訊かれ、『確かに、と答えると、以前くまがたいへん世話になった某君の叔父という人が町の役場助役であった』ことが分かります。そして、『どうやら助役はわたしの父のまたいとこに当たる』ことがわかると、『くまはたいそう感慨深げに「縁(えにし)」というような種類の言葉を駆使していろいろと述べ』ます。『引越しの挨拶の仕方といい、この喋り方といい、昔気質のくまらしい』と思う『わたし』。そんな『わたし』は、『そのくまと、散歩のようなハイキングのようなことをしてい』ます。『ツキノワグマなのか、ヒグマなのか、はたまたマレーグマなのかは、わから』ず、くまの名前がわからない『わたし』は、『なんと呼びかければいいのかと質問してみ』ますが、『今のところ名はありませんし、僕しかくまがいないのなら今後も名をなのる必要がないわけですね』と答える『くま』。『まあ、どうぞご自由に何とでもお呼びください』と言う『くま』と川原へと散歩する『わたし』。やがて『川原に到着』して、『荷物を下ろし、タオルで汗をぬぐっ』ていると、『男性二人子供一人の三人連れが、そばに寄ってき』ました。『お父さん、くまだよ』、『そうだ、よくわかったな』という会話に続き、『子供はくまの毛を引っ張ったり、蹴りつけたりし』た後、『最後に「パーンチ」と叫んでくまの腹のあたりにこぶしをぶつけてから、走って行ってしま』いました。『いやはや』、『小さい人は邪気がないですなあ』、『そりゃいろいろな人間がいますから。でも、子供さんはみんな無邪気ですよ』と言うと『くま』は、『急いで川のふちへ歩いていってしま』います。そんな中、『突然水しぶきがあがり、くまが水の中にざぶざぶ入ってい』き、『川の中ほどで立ち止まると右掌をさっと水にくぐらせ、魚を掴み上げ』ます。『驚いたでしょう』、『おことわりしてから行けばよかったのですが、つい足が先に出てしまいまして。大きいでしょう』と、『くまは、魚をわたしの目の前にかざし』、『さしあげましょう。今日の記念に』と言うと、『担いできた袋の口を開け』『小さなナイフとまな板』を取り出した『くま』。そして、『器用にナイフを使って魚を開くと、これもかねて用意してあったらしい粗塩をぱっぱと振りかけ、広げた葉の上に魚を置』きました。『何回か引っくり返せば、帰る頃にはちょうどいい干物になっています』という説明に『何から何まで行き届いたくまである』と思う『わたし』。そんな『わたし』は、『くま』と『草の上に座って川を見ながら弁当を食べます。まさかの『くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである』と語る『わたし』と『くま』のそれからが描かれていきます。

“くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである ー 四季おりおりに現れる、不思議な〈生き物〉たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語”と内容紹介にうたわれるこの作品。〈あとがき〉で、”表題作『神様』は、生まれて初めて活字になった小説である”と作者の川上弘美さんが語られる通り、この作品は川上さんのデビュー作を含んだ短編集となっています。”あのとき『神様』を書かなければ、今ごろは違う場所で違う生活をしていたかもしれない。不思議なことである”と振り返られる川上さん。読んでビックリ!この作品には、この先に芥川賞受賞へと繋がる川上さんの原点がここにある、そんな物語が展開していきます。

一部繋がりのある短編があるとは言え、9つの短編は基本的には異なる舞台、異なる物語を描いていきますが、その雰囲気感は見事に一つの世界感に統一されています。それこそが、単行本の帯に大きく記された次の言葉に導かれるものです。

 “四季おりおりに現れる不思議な「生き物」たちとのうららでせつない9の物語”

そうです。9つの作品には”不思議な「生き物」たち”が当たり前のように登場するのです。では、そんな”「生き物」たち”を見てみましょう。

 『伸びすぎた枯れ蓮の茎がざわざわと揺れたかと思うと、池の水が盛り上がった』
   → 『二人で水面を見つめていると、水の中からまみどりの河童が一匹、あらわれた』

『これはどうも、いやどうも』と『言いながら、河童は水を滴らせて』現れます。4篇目〈河童玉〉に登場するタイトルそのまんまの『河童』の登場です。『絵で見た通りに、頭に皿を載せている』と描かれていく『河童』。850冊以上の小説ばかり読んできた私ですが、『河童』が登場する作品はもちろん初めてです。凄いです、これ。次は『日曜の青空市で買った』という『壷』をもらったという『わたし』の物語〈クリスマス〉です。

 『いやにつやつや真珠色をしている』のが気になり、手に取り『曇っている部分』を『布巾でごしごしこすった』
  → 『「ご主人さまあ」という声があがり、それと共に煙が立』ち、『煙の中から若い小柄な女があらわれ出で…』

おおっ!これも凄いです。『壷』から現れると聞くと「千夜一夜物語」もしくは、「ハクション大魔王(知る人ぞ知る1969年に放送されたTVアニメ)」を思い出しますが、その後の展開以前にこの登場場面だけで気持ちがハイ!になってしまいます。なんなんだこの作品!もう一つは、『旅先で妙なものを手に入れた』と言う『画家兼高校教師』に呼ばれた『わたし』が、彼女の家を訪れるという〈離さない〉です。

 『浴室の扉を開け、わたしを招き入れた』というエノモト
  → 『人魚がいた。浴槽の三分の一くらいの高さに張られた水の中を、人魚が泳いでいた』。

これまたビックリの世界です。『人魚』が登場する作品も私は読んだ記憶がありません。しかも日常生活の中の当たり前の場所である『浴槽』に泳ぐ『人魚』というありえない光景が当たり前に語られていきます。”不思議な「生き物」たち”というと川上さんには一見『人』のようで、『人』ではない存在が登場する「龍宮」でも興味深い世界を描かれていました。”不思議な「生き物」たち”という言葉に興味津々なあなた、そうそんなあなたにとても親和性が高いのがこの一冊なのです。

では、そんな9つの短編から上記で取り上げた三つの短編の冒頭をもう少し詳しく見てみましょう。

 ・〈河童玉〉: 『ウテナさんと精進料理を食べにいった』というのは主人公の『わたし』。『料理につられて昼からビールなんかを数本飲んでしまったので眠気がさし、本堂の横にある広い縁側で二人して柱に寄りかかっているうちに、うとうとしてきた』という中、『ずいぶんと寝入ったころに』、『おたずね申し上げます』、『ウテナ様とウテナ様ご親友様でいらっしゃいますね』と『声の主』が問いかけます。『相談に乗っていただきたく存じまして』と続ける中に『池の水が盛り上が』ります。『眠かった目がすっかりさめて、二人で水面を見つめていると、水の中からまみどりの河童が一匹、あらわれ』ました。『お目にかかれて光栄です』と挨拶する河童はある相談事を語り始めます…。

 ・〈クリスマス〉: 『ちょっとしたもんでしょ』と『日曜の青空市で買った』という『壷』をウテナからもらったのは主人公の『わたし』。『貝の殻らしきものがところどころに貼ってあり、殻の部分は真珠色に光る』という『壷』に『花でも生けてよ』と言うとウテナは出張に出てしまいます。しかし『しばらく仕事が忙しくて、壷のことは忘れていた』という中『ようやく仕事が一段落した』『わたし』は、『夜遅くに茶漬けなんか食べながら見ると、壷がいやにつやつや真珠色をしている』のに気づきます。『思わず手に取』り、『少しばかり曇っている部分』を『布巾でごしごしこすった』という中、『「ご主人さまあ」という声があがり、それと共に煙が立』ち、『煙の中から若い小柄な女があらわれ出で』ました…。

 ・〈離さない〉: 『旅先で妙なものを手に入れた』とエノモトに言われたのは主人公の『わたし』。『わたしの部屋の真上の部屋に住んでいる』という『画家兼高校教師のエノモト』から『よかったら相談に乗ってもらえないか』と声をかけられます。『二ヵ月前、南方に旅をした』と話し出したエノモトは、寝つけず『真夜中起き出して、海岸を歩い』ていると『波打ち際に漁の網が投げ出してあ』り、『網の中に何かがいるのに気がついた』という先に『生きている。それは人魚であるらしかった。人間の大人の三分の一ほどの大きさの、それは人魚なのだった』と気づいたと言います。そして、『手に入れた』と語るエノモトは『浴室の扉を開け、わたしを招き入れ』ます。そこには、『人魚』の姿がありました…。

三つの短編をご紹介しました。他の短編はこの三つの短編の世界観に魅かれてこれからこの作品を手に取る方のために一切触れないこととしたいと思いますが、冒頭にご紹介した『くま』、『河童』、『壷』の中から現れた女、そして『人魚』ともうこれだけでも興味津々の世界が広がっているのが分かります。兎にも角にも不思議な世界の物語ですが、大きなポイントはこの”「不思議な生物」たち”が言葉を発するなど、私たち『人』と同じような姿を見せていくところだと思います。『人』のようでいて、『人』ではないという不思議世界を見せていく各短編の生物たち。そして、そんな彼らに最初は違和感を感じながらもやがて、『人』に対峙するのと同じように接していく主人公たちの姿が描かれていくのも興味をそそります。中には『愛恋の病の相談に乗っていただきたく』と切り出す存在もいるなど、私たちにとって異物であるにもかかわらず、どこか『人』以上に『人』らしい姿を見せてもいく生物たち。そんな生物たちを絶妙に描くこの作品。読後、彼らが目の前に現れたら私はどう接していくだろう…そんなことにも耽りながら不思議世界とお別れし、現実世界に戻って本を置きました。

 『熊の神様って、どんな神様なの』

『神々しいような様子で、獣の声をあげつづけ』る『くま』に、そんなことを訊く主人公の『わたし』。9つの短編から構成されたこの作品には、それぞれに読者を魅了してやまない”不思議な「生き物」たち”が闊歩する物語が描かれていました。『人』のようでいて、『人』ではない”不思議な「生き物」たち”がとにかく気になるこの作品。そんな存在の描写に川上さんの原点を見るこの作品。

川上さんはデビュー作から川上さんだった、不思議世界のイリュージョンにただただ魅せられた素晴らしい作品でした。

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2024年08月03日

Posted by ブクログ

読んで間違いなかった。
『ぼくの死体をよろしくたのむ』で川上弘美の世界に惹き込まれ、この作品で読むのが3冊目ですが、読んで良かったと心から思います。

フシギと現実の間をふよふよと浮いて、うまいこと行ったり来たりしている川上弘美の文章は、読みやすくて心にすっと馴染む。川上弘美のフシギには、違和感がなくて、疑問も持つことなく、まるで自分もその世界にいるみたいに読めてしまうから好き。

どのお話も好きだけど、くまのお話、梨の話、おばあちゃんの営むバーのお話が好きでした。くまに関しては、もうくまに恋してしまいそうだった。梨の話は、なんとなく主人公の感覚に共感できるところがあって、「ズレ」という表現になるほどなあと思った。おばあちゃんのお話は、彼女の言葉や、いくつになっても人を慕い続けることの素敵さに溢れていて心に沁みた。

なんとなく、全体的に「別れ」のあるお話が多かった。
川上弘美の作品は、何も意味なんて無くて、意味を求めることもきっと違っている。ただふわふわ、ゆらゆらとしているから私にとって心地よい。登場人物がどこか淡々としてるところとか、特に好き。まだあと2冊、川上弘美の積読があるのでとても楽しみです。

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2024年01月16日

Posted by ブクログ

隣に住む律儀なクマとピクニックに行く。恋愛に悩む河童に招待される。きれいな壺の中からかわいらしい女性が出てくる。梨畑で不思議な白い毛の生き物に出会う。
「私」が関わるのはフツーの人間ではないけど、人間のように一生懸命考えたり悩んだりしている。ふわふわしてて、ちょっと泣ける話が9編入った短編集。
これは買って、一生そばに置いておきたい本だなぁ。この本の雰囲気が好き。佐野洋子さんの解説もおもしろい。
私は特に「神様」「夏休み」「花野」がお気に入り。

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2023年08月04日

Posted by ブクログ

表題作『神様』を初めて読んだとき、ただ落ち着いたのをよく覚えている。川上弘美さんの小説に出てくる人は無表情でしんとしていて私はすごく落ち着く。『花野』、『春立つ』あたりが好き。

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2023年02月06日

Posted by ブクログ

夏休み 春立つ が好きだった。

どのくらい若いかというと、自分がどんなに若いかも気がつかないくらいの、若さである

「好きっていうのは、好かれたいことよ」

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2022年11月13日

Posted by ブクログ

大好き。何回も読んでいる。川上弘美の、日常からにゅるっといつ不思議な世界に入ったのか分からないけど入っている感じが好き。

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2022年05月15日

Posted by ブクログ

くまと人間の柔らかい関係性が素敵。大好きな一冊。これを読んで川上弘美にハマった。ちょこっと不思議でなぜだか平凡で、奇妙な味わい深さがある。

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2022年02月19日

Posted by ブクログ

川上弘美さんは執筆活動の初期にこんな作品を発表していたんですね。かなり実生活に寄せたファンタジー。ありそうでないテイストです。ファンタジー要素について、主人公や取り巻く人たちがそんなに驚かず受け入れている微妙なバランスで保たれている感じがします。どの作品も話の中に入りたくなるような優しい要素があります。特に「クリスマス」のコスミスミコの壺が欲しくなりました。逆に怖いのは人魚ですね。「花野」は亡くなった人を思い出して切なくなります。
良作短編集と感じました。

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2024年11月17日

Posted by ブクログ

くまと人魚の話が特にいい。
夢のような話だけど、楽しく切ない夢と悪夢と言う両極端な夢だけど、どちらも現実を離れてその世界にとどまっていたくなるほどの魅力で自分をつかまえて離さない話だった。

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2024年10月06日

Posted by ブクログ

川上弘美さんの本はいつも温かい気持ちにさせてくれる。
自然にファンタジーの世界に導いてくれる短編集。
「花野」「星の光は昔の光」「離さない」「春立つ」が特に良かった。

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2024年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

デビュー作を含む短編集。解説にもあったように、まるで夢の話を聞いているかのような不思議な話ばかりでした。(でも解説の文章はなんでか好みじゃなかった)
全部主人公は同じ(=華子)なのかな?
人魚の話はちょっとゾッとして、えび男くんが出てくる話はしんみりして、(離婚するのかな)、カナエさんの「今なら別なやり方ができるような気がした」は、年をとっての変化も悪くないと思えた。
叔父が出てくる空豆の話は、繕ってもだめだな、その時に気づかない幸福がきっとあるんだな、と思った。
くまと生きていくのは難しいし、手紙はきっと出せないままだけど、そこに手紙があることは忘れない、確かなことだろう。

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2022年10月02日

Posted by ブクログ

空想と現実の間で遊ぶ

たとえそうでないとしても、“合わせることなんてないのに。”そう言ってくれる人がいたということが、きっと何かの支えになるんだ

くまに誘われて散歩に出たい。

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2022年08月16日

Posted by ブクログ

日常が、非日常に変わる境目ってどこなんだろう。わたしには、なにもおこらないけど、と思いながら、いや、やっぱりあのときが、と考え直したくなるお話でした。

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2022年05月05日

Posted by ブクログ

川上弘美は「ことば」にこだわりすぎててあまり好きじゃない気がしたけど、これは良かった。日常と、少しのこの世にないものたちとが同居している。梨木さんの家守奇潭を思い出す。題名が「神様」なので、なぜか個人的に「わたし」が神様であるような、そういう素朴で普通の人として生活しているような不思議な感覚になる。
神様(「くまにさそわれて散歩に出る。」)、夏休み(三匹め「まだぼくだめだよ」)、河童玉(「いたしませんか」)の三つ、つまり前半が良かった。

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2022年03月12日

Posted by ブクログ

「神様」の冒頭の、「くまにさそわれて散歩に出る」 を読んで、童謡の「森のくまさん」を思い出したが、何やら感じは、ちょっと違う。ファンタジーまでは行かない不思議な世界観なんだけど、やたら現実感を主張していて、その中に漂うシュールなおかしみや哀愁がたまらない。ああ、そこの僕、腹に「パーンチ」するのは、やめてあげてね。

独特の口調がくせになるんですう、「コスミスミコ」の純粋な一途さや、五年前に死んだ叔父の自分勝手に見えそうで、実は温かみのあるところや、「えび男くん」の素朴な人柄の裏に、両親への思いが見え隠れする切なさ等、いずれも味のある個性の強さ。しかも、えび男くんの場合は詩人でもある。星を見て語ったのが

「昔の光はあったかいけど、今はもうないものの光でしょ。いくら昔の光が届いてもその光は終わった光なんだ。」

深読みしそうだよ、えび男くん。みかんの食べ方が違ったのは、見なかったことにするから。

実は、ここまで書いておいて、いちばん好きなのは、タイプの異なる「離さない」です。「夏休み」もそれに近い感じが少しあったけれど・・二度と戻れないかもしれない危険は、夏休みのような、長期の休みの時に感じる異世界感を思わせられて寒気がしたが、「離さない」はそれ以上の極寒で、「わたし」が「うわあ」と言った同じタイミングで、まさしく私も「うわあ」って言いそうになった。こういうところはストレートなのね。

最後に、作品全体の共通点として、「わたし」の台詞だけ、カギ括弧(「こういうの」)が無いのは、わたしはあくまで傍観者で、主役は他の人たちですよと言っているようにも感じられて、こうした味のある方々を、控え目に持ち上げる奥ゆかしさも好きです。

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2021年09月23日

Posted by ブクログ

短編は一度途切れると次に読み進むのに少し労力がいるタイプだが、これは読みやすい。
時々続編もあったりして、次が気になるせいかも。
非現実的なキャラクター達が人間以上に上品に振る舞うので、そのギャップが奇妙で面白い。

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2024年10月08日

Posted by ブクログ

今までファンタジーは敬遠していたが、読んでみてやはり自分はファンタジーっぽいのは苦手だと感じてしまった。

物語世界自体にはとにかく「不思議」という感覚を強く覚えた。
好きだった話は表題作の「神様」と「夏休み」と「離さない」。特に「離さない」は若干ホラー味もあってゾクっとする感じが気に入った。

とはなんと言っても解説だな。「夢」を読んでいる(あるいは夢を見ている)感覚を自覚すると、確かにファンタジー作品の読み方は変わってくると思った。これを踏まえてまた色々ファンタジーは読みたい。

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2024年06月24日

Posted by ブクログ

デビュー作で表題の神様から始まって、主人公を取り巻く様々な不思議な話の短編集。
そもそも短編が好きかもあると思うけど、どういう話か分かったあたりで終わってしまう話が多かったので、前半は少し単調に感じてしまった。
後半に入っている"春立つ"は凄く好きだった!

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

佐野洋子さんのエッセイ中で紹介されていたので読んでみた。
普通のようで普通じゃなくて、ファンタジーででもそれも現実のようで。
人間のようで、人間ではないようで、神様がいたとするならば、神様らしい神様って何だろうとか。
まさにこれが夢の世界なのかも。

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2023年03月24日

Posted by ブクログ

読むと不思議な感覚になるし、世の中や自分を達観視できて、自分がリセットされる感覚でした。とても良き。薄いし読みやすい。

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2023年01月28日

Posted by ブクログ

印象に残るような残らないようなふあふあした感じになります。結局何が言いたいのか、そこに意味を見いだす必要があるのか。コスミスミコや人魚は何を暗示しているのか?人間心理の何かを刺激しているのだけれど、明確な答えが見えませんでした。ちょっと気になる展開は作者の力だと思います。

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2022年07月28日

Posted by ブクログ

 1999年に紫式部文学賞とドゥマゴ文学賞を受賞した表題作「神様」を含む9編を収録した短編集。
 ファンタジー的要素の強い不思議な生き物たちとの触れ合いを描く、静かな時間が流れるような作品が多い。心が穏やかになるように思われるので、ドタバタする前の朝のちょっとした時間に読みたいと感じる。

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2022年04月15日

Posted by ブクログ

くまがへんに礼儀正しくておかしい。けれど時々「あれ、襲う?」みたいにどきりとさせるところが上手いなあ。淡々、ほのぼのの中に怖さをするりと入れ込むのが。

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2021年08月10日