あらすじ
「四月某日 六年ぶりくらいに、お医者さんに行く。はりきって、よそゆきのブラジャーをしていく。」……
不思議におかしく、あわあわとした、カワカミ・ワールドの日常生活記。
感情タグBEST3
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心が縒れてしまったときに読む。
傷ついたという程でもなく、疲れたということばでは追いつかないとき。
慰めもせず、笑い飛ばしもせず、滔々と流れる日々に、寄り添われもせず、元気付けられもせず、ただ読む。
それが、とても気持ちいいので、ときどきわざと心を縒れさせることも、ある。
(このシリーズ、出ると小躍りします。)
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言葉は少ないのに、自然と情景が流れていくような、ずっと読んでいたくなる文章。フラットで等身大で、まるで友人の日記を読ませてもらっているかのような感覚になる。(こんな文章の上手な友人はそうそういないだろうけど。)
本の一節にこんなシーンがある。部屋の鴨居にTシャツをかけたハンガーを3つ吊るし、その下を通る。何気ない誰もが見たことのあるなんの変哲もない日常を、著者の目には、『3人が揺れて笑っている』ように見えている。誰もが見ている世界を、ほんの少しの語句と感性の差で薄くきらきらしたフィルターがかかったような世界に変えてしまう、そんな魅力がここには詰まっている。
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いや面白い感性だなー。 ”作家の人”と単純に括ってはいけないんだろうなあ、とは思いつつも、何とも感情の向き方と行動と、その表現が面白い。
勿論、作家さんでプロの文章なのだから、それだけの実力と経験に基づいた計算があるのだろうけど、面白い。
この方が母親なのだなあと思うと、子供である人はどんな感じで親を見て、どんなふうに育つのだろう? ...などと勝手に想像してしまう(悪い意味ではないです)。
作者の小説、別の作品を読んでみたくなりました。
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川上弘美のエッセイは夢と現を行ったり来たりして、たゆたうような空気感が面白かったりします。この作品でも「五分の四くらいは、ほんとうです」とあるように日常を描きつつ、なんとなくどことなく違った空気が流れます。
引っ越し先の家が決まってお祝いに、納豆に生卵を一個割入れてみたり。打ち合わせに行けば、待ち合わせの店が見付からなかったり。突然「あら、よくってよ」という言葉を使ってみたくなったり。サイン会の礼儀について考えてみたり。猿について友達から注意を受けたり。川上さんの日常はたのしいです。
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東京での日々3年間。
P134まりちゃんがすごくいい、
十一月某日 雨
猿が来そうな気がして、怖い。
いちにち怖くて、家から出られなかった。
ぐずぐずしちゃう時とか、淡白な時とか、すごく女子でよかった。
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今月東京日記の新刊が出るとのことで、川上さんの本はだいたい読んでいるけどエッセイは手にとっていなかったことに気づき早速まとめて読み始めました。
今よりずっと若かった頃に川上弘美さんにはまりましたが、今の方がより川上さんの言葉が身に沁みる、というかすとんと落ちて、くすりくすりと笑える。言葉選びの、一文字の、ひらがな遣いの深みによりはまってます。
椰子椰子とは違い本物の日記。
どの話もくすっと笑えるエピソードだらけで大好きだけど、よそゆきのブラジャーはなお好きだった。病院に行くからよそゆきのブラジャーをするって、可愛いしわかる。川上さんって可愛いおとなだなぁ。
もっと好きになってく。
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このシリーズはみんな好きです。
マンガみたいに、
なんにも考えずにぱらぱら読めて、
大事にちょっとずつ読みたいのに、
ついついイッキ読みしてしまう。
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ちょうど10年前の日記。
以前読んだのは、5年前。
心当たりのある場所や人が登場するのだけれど、今回あらためて知った場所や人があって、自分の状況の変化を感じた。
ほんとかなぁと思いつつ、川上さんのまわりでは起こっていそうと思いつつ。ついくすりと笑ってしまう、すてきな日々だわ。
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なんとも、独特のゆる~い雰囲気の文章。面白い物の見方をしていて、この人は日常をこんな風に切り取って感じられるんだ、と感じた。
シリーズになってるみたいなので、ほかも読みたい。
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タイトルが、いい。
「卵一個ぶんのお祝い」タイトル通りのほわほわした内容。
現実なのか妄想なのか夢なのか。日常の中の非日常がやわらかく染みてくる一冊。
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『東京人』に掲載されていた日記? エッセイ? 2001.5-2004.4。
4/5は本当のことだとか。
短い一言でも残しておいて、後から読み返すのは面白いものだな。
卵一個ぶんという贅沢も日常的で好き。
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ゆるキャラみたいな作品でした!
書いてあることの4/5は本当のことですとあとがきにありますが、川上さんの日記です!
日常の些細なことを文章にしてあるのですが、ほんわかしていて、こんな感じ好きです!
目の付け所が自分似ている気がしました(笑)
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かわいいタイトルと絵に惹かれ読み始めたのですが、ゆるすぎる空気が最高でした。
なにも考えずぼーっと読め、くすっと笑える。そんな素敵な日記でした。
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初・川上弘美でした。この東京日記は月刊「東京人」に掲載していたものをまとめたそう。 いや〜何がどうってことのない日記なんだけど、いや〜良い。言葉の使い方がシンプルでうまい。洗練されている。短歌などに通ずる言葉遣いな気がするの。 この方の小説もこんな感じなのでしょうか?読んでみようか・・・。
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暑いを集めて、発電などに利用できないかという話が面白かった。少し前に、子供が騒音を集めてエネルギーに変えられないかという話をしていたので。
それから、子供がオクラごっこをしようと言ってきた話も面白かった。
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これくらいなら自分でも書けそう、と思ってしまうが、実際のところ書けやしないだろってすぐ思い返す。でも、こんな感じの日記なら書いてみたいかな、とも思う11月。新しい年はもうすぐ。
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「本書は、本当日記です。少なくとも、五分の四くらいは、ほんとうです。ふつうに生活していても、けっこう妙なことが起こるものだなあと、読み返しながら、なつかしく思い出しました。」(あとがきより)
本書は、川上弘美さんが、雑誌『東京人』にて連載中の『東京日記』の単行本化です(2001年6月号~2004年5月号分を収録。 )
著者ならではの、エッセイとも小説ともつかない、おかしみとシュールさの入り混じった世界が広がる本書は、川上的世界のエッセンスがたっぷりつまった、ファンの期待にこたえる一冊です。
まるで創作のような、不思議さがぼんやり霞がかっているような出来事が書いてあるが、あとがきにもあるように、5分の4くらいは事実らしい。
ふわふわと柔らかくて、どこか寂しさも漂う日常。おとぎ話の中にいるみたいで、少し癒やされる。
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ふわふわした文体なのに、時々ドキリとするようなことが書いてあって驚きます。でも、全体的には夢を見ているような気分で読みました。
こういう世界観、嫌いではないけれど・・・それでも、シリーズの続きは読まなくてもいいかなぁ、と思ったりして。私はそんなにハマらなかったみたい。
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ふつうに生活していても、けっこう妙なことが起こるもの…。おおむね楽しい、ちょっぴりさみしい。からだ半分、ずれている。カワカミさんの、5分の4はホントの、日々のアレコレ。『東京人』連載を単行本化。
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川上弘美さんのエッセイ「東京日記3」を読んだので、「東京日記1 卵一個ぶんのお祝い。」(2005.9)も読みました。風邪をひいたので、6年ぶりに病院へ。張り切ってよそゆきのブラジャーをしていく。迷ったすえ、パンツもよそゆきのにする。先生が聴診器を持ったので、上着とTシャツをまとめてめくりおなかを出す。看護婦が静かにTシャツを下げ、先生はその上から~。釈然としないまま帰る。薬がなくなったので、今度はふだんのブラジャーのまま行った。Tシャツのままでいたら、めくられ肌に聴診器を~。釈然としないまま帰った。
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5分の4ぐらいは本当のことと書いているが、果たして5分の4も本当なのか?と思ってしまう。
でも、あるあるこういう感覚と思わせられるのも不思議だなぁと感じてしまう。
日記を自分で書く時、こんなに不可思議なことだらけになるかなと笑ってしまった。
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“五月某日 曇
吉祥寺の絵本屋さんに行く。
数冊買ってから外に出ると、そろそろ夕方になろうとしていた。
荷台に大きな籐のかごをくくりつけた自転車を引いて、おねえさんが歩いてくる。店のすぐ前でおねえさんは止まった。自転車のスタンドを、ゆっくりと立てる。
おねえさんは、籐のかごを開けて、たたずんだ。しばらくすると並びの店から店員さんたちが出てきて、籐のかごの中にあるクッキーやケーキやキッシュを買っていった。
おねえさんは、移動ケーキ屋さんなのであった。
「いつもこの時間にくるんですか」と聞くと、おねえさんは「うーん、気が向くとね」と答えてにこにこした。商売ではなく、趣味の移動ケーキ屋さんなのであるらしい。
かぶのキッシュを二個買う。”[P.16_銀座のてんぷら。]
五分の四本当日記。
どうやら1冊目だったみたい。
ゆるりゆるりと。
“六月某日 雨
人にたくさん会った月だったので、誰にも会わない三日間を設定する。今日はその最後の日である。
誰にも会わないと決めたので、子供が学校から帰ってきたときも、ずっと横を向いたままでいる。子供も理由を承知して、横向きに異議をとなえたりしないのが、助かる。
みそ汁をよそう時に、横向きを忘れて子供と向き合ったら、「おかあさんっ」と注意される。あわてて横になおった拍子に腕に熱い汁をこぼしてしまったが、じっと我慢する。”[P.117_いつも着ている。]
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『ゆっくりさよならをとなえる』とほぼ同時期に書かれたエッセイ。
掲載誌が違うと、文体も異なる。
力の抜けたかんじ。
掲載誌の『東京人』の購読者層が若い、ということなのだろうか。
それともこういうのが都会的なのか?
私はもうちょっとだけ不器用で硬派っぽいエッセイが好きだ。
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できることなら、川上弘美女史とおこぜの薄造りで日本酒の温燗をちびりちびり飲りたいですねぇ。そして、女史に「今夕、某井氏とハチ公前で待ち合せてから、行きつけの小料理屋で大酒を飲む。満足」って東京日記4に掲載してもらえないかなぁ。無理だろうなぁ。だって一面識も無いもの。
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この方のおはなしは
不思議と現実がいい具合に混じっていて好き。
でもこれは五分の四ほどは本当日記。
大福おじさんはきっと五分の一の住人だと思うのだが。
都のたつみにはわたしもくらくら。笑