あらすじ
おおむね楽しい、ちょっぴりさみしい。カラダ半分、ずれている――。
カワカミ・ワールドが詰まった、日記シリーズ最新作。2008~2010年までの3年分を収録。「WEB平凡」の人気連載を単行本化。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
さらさらと読めて読後の清涼感がクセになる。
10年ほど前の文章なのに、2023年の今のエッセイと言われても全く違和感がない。10年も経つと文化や環境、価値観そのものなんかも変わってしまうのに、今の人の心にもするりと入り込む魅力がある。
柔和な文体で淡々とした筆致は、1冊の本丸々の詩でも読んでいるかのような感覚になれる。
各月の始まりに題される章題が文体のどこに散りばめられているのか忘れないように読み進めるのに、読むとすぐに(あれ?章題なんだったかな…)となってしまい、自分の記憶力に落ち込むが、それも少し楽しい。
Posted by ブクログ
1.2と続いてて安定の面白さ。
日常の少しへんてこなことを淡々と描いていて安らぐ。
それと武蔵野市民の足であるムーバスが出てきたところはかなりの親近感。わたしもムーバスにはしょっちゅうお世話になります。キャンディードライバーの運転する車乗りたいなー。
あと、生物的にあり得ないと、少しずつ成長している川上さんに子どもさんの先生が言い放ったのも笑えたし、おばさんパンツとエッチなパンツとの統計も。面白かった
Posted by ブクログ
相当に、おもしろい。
寝る前の布団の中で一気読み。
笑える笑える。
文章が、とても、良いっっ。
「喫茶 阿闍梨」
「きっさ あじゃり」「あじゃりスペシャル」
Posted by ブクログ
これ、笑ってしまった。大のお気に入りです。「大発見をする。ごきぶりは、モーツァルトをかけると、出てくる。マーヴィン・ゲイをかけると、ひっこむ。」こんなこと書ける作家、そんじょそこらにいないと断言します。 『とひょう。』はとってもあぶない感じがする。夏目漱石の『夢十夜』とは まったく趣を異にしています。でも、怖いのです。
Posted by ブクログ
2011.03.21. 川上さんのエッセイに、まちがいはないです。カエル蒸しの日。もぐらじめりの日。言葉のセンスが絶妙。こんな風に生きたい。51歳!とは!!
Posted by ブクログ
『少しだけぜんそくになる。一昨年、生まれて初めてぜんそくになったときにはびっくりしたけれど、それがぜんそくという名のものだとわかってからは、だいじょうぶだ。』
ひらがなの川上弘美を読む。自分の思う川上弘美にはひらがなの川上弘美とカタカナの川上弘美が二人いて、例えば「蛇を踏む」はカタカナ。というか、川上弘美といえばカタカナの川上弘美が主で、むしろひらがなの川上弘美は少ない。例えば俳句を詠む川上弘美はひらがな。あとは「椰子・椰子」はひらがなかな。
エッセイならひらがなになってもよさそうなものだけれど、それが意外とカタカナ。日経に連載した日記のようなものも実にカタカナ。これは日本経済新聞というメディアのせい? 本人もどこかで言っていたけど、川上弘美は媒体によって書くものが結構変化するし。
艶っぽい話を書いていても(例えば「溺レる」)、淡い恋心のお話を書いていても(例えばクウネルの連載)、カタカナがひらがなになるってわけではなくて、やっぱりカタカナの川上弘美がそこにはいる。
多分その印象を決定づけたのは、なまえ、なんだと思う。川上弘美の小説にはカタカナの名前の登場人物が多い。そこにはフィクションというやっぱりカタカナの名詞がぴたりとする雰囲気があって、中性的というか湿度の低さというか、SF者である川上弘美がどこかにいる。溺レる、の一文字をカタカナにしたりすることをの意味を、本人は感覚的なことだと言っているけれど、糸井重里が言葉の距離を遠ざけて世界を増やす働きがあると言っている意味は、解るような気がする。
一方、ひらがなの川上弘美はお猪口をにぎって、くぅーっ、と言っている絵が浮かぶような雰囲気のする文章の中にいて、本気とも冗談ともつかないようなことをどしどし言う。ガリガリ君を食べて舌を染めたり、赤いパンツを穿いて仕事をしたりする(そういえば「其処彼処」の中にもパンツを穿かずに学校に行った話があった。パンツ率は今になって上がったわけではない、と思う)。硬く言えばそんな諧謔趣味が心地よくてひらがなの川上弘美の本はとても楽しい。
最近お目にかからなくなってしまって残念だけれど書評の川上弘美も結構ひらがな。「ビシュヌの死」の書評「度数の高いお酒のよう」とか、「くるーりくるくる」の書評「あふれるナマケモノの魅力と哀しさ」とか。そうしてみると、ひらがな的な要素は、素に近い川上弘美的なものが表に出てくるかどうかということと関係があるんだろうか。
今回収録されている日記の本当のこと率が随分と上がったと本人は言うけれど、これは嘘を書こうとして本当のことを書いてしまう率ってことなんだろうなと、一応冷静に解釈。誰かが書いていたことだけれど(あるいは二人の対談だったかも)、岸本佐知子は本当のことを書こうとして嘘になる率の高い日記を書いている(例えば今ならモンキービジネス連載の「あかずの日記」)。本当のこと率は全く違うのだけれど、過程を切り離してしまうと文章から感じる印象が驚くほど似通っている、ってこれは余談。
海外にいる内にいつのまにか東京人の連載が終わってしまっているのを知ったのはちょっとしんみり。でも最近はWebの連載をチェックしているので以前よりもきちんとフォローしている。最新の回は、第118回「すべて空白。」。ひらがらなの川上弘美炸裂中です。
Posted by ブクログ
やっぱり好きなんです。ふんふん鼻歌交じりで読みました。わたしは川上さんの脳内きめつけがとても好きです。ああでもないこうでもないというもやもや鬱々ではなく、存分に世界を楽しむことが出来るわくわく回路を持っているからだと思います。わくわく出来るように導き、納得して驚く。そういうのってひとり遊びの延長みたいで楽しくなってくるんです。そしてそれを川上さんは伝染させます。わくわく回路の伝染。こんなにも幸運な読書はなかなか無いのが実情です。
Posted by ブクログ
2011年発刊の10年前の本。10年前から脱力系をやっているのだ。
『インフルエンザの注射に行く。この医院には中村先生の日と原田先生の日があるのだけれど、そしてぜんそくの薬をもらうために毎月一回、三年以上は通っているのだけれど、いまだに中村先生と原田先生のちがいが判らない。
もしかしたら、同一人物がその日の気分によって名前を変えているのだけかもしれないと疑う。』
『大発見をする。ごきぶりは、モーツァルトをかけると、出てくる。マーヴィン・ゲイをかけると、ひっこむ。』
『歯医者さんから帰ってきたこどもが、
「今日ね、先生に『うちの母は、まだ少しずつ成長してるんです』って教えたんだ。」と報告する。
「ふうん、と答えると、こどもは笑いながら、
「そしたらさ、『それは生物としてありえない』って、先生、断言してたよ」
と続けた。
生物じゃなかったんだ!
内心で叫び、あおざめる。』
あとがきに『この日記に書いてあることのウチ、以前は五分の四くらいがほんとうのことだったのですが、ほんとうのこと率は年々上がっているようで、この巻では十分の九くらいに上昇しました。』
とある。この記載が残りの十分の一のような気がする。
Posted by ブクログ
カワカミさんに会いたくて
ちょっと中毒症状?
楽しくて、おかしくて、ニヤニヤしちゃう
単行本、あと1冊
そして、今も続いている
うれしい
Posted by ブクログ
面白い、この本も声を出して笑ってしまう箇所が多く、読む場所を選ばないと周囲から怪訝な視線を浴びる。心に残った日々の出来事と心象が短文で表現され、書かれている内容と、文章の間が笑いを誘う。
Posted by ブクログ
本当率95%って本当?
私もこんな生活してみたい。楽しそう。目の付け所がとてもいい。
可愛いおばちゃんて感じで、すごい好きです。
== 内容紹介 ==
東京日記第3弾。おおむね楽しい、ちょっぴりさみしい。カラダ半分、ずれている――。カワカミ・ワールドが詰まった、日記シリーズ最新作。2008~2010年までの3年分を収録。「WEB平凡」の人気連載を単行本化。
Posted by ブクログ
大好き。このひとの言い回しと思考の行き着く先。
へんな会話、妙にいとおしいもの、ふとした幸運や不幸。
日常に潜むちょっとおかしい、見過ごせないものたち。
Posted by ブクログ
人の家で読み始めて、これを読み終わらなければ帰れないと思わせる圧倒的おもしろさ(というか、くだらなさとゆるさ)。
三浦しをんのエッセイはハイテンション抱腹絶倒型だけど、このひとのはローテンションくすくす型だな…。ぜひ他のも読もう。
Posted by ブクログ
どこがどう、と説明は出来ないのだけど
川上さんの文章が好き。
朝日新聞の連載小説はときどき読み忘れてしまうが。
かんぴょう巻きのくだりで、吹き出してしまった。
川上さんがもう51歳にならはったってことに一番驚く。
著者近影で見る彼女は麻生久美子さんみたいなふわふわと透明感のある女性なのだけど。
Posted by ブクログ
どこまでがほんとうでどこからが嘘、というか作り話なのかな、とニヤッとしながら読むのが愉しい。たまにあざといなーと思うけれど、それもまた川上節の旨味って事で。
Posted by ブクログ
このままかわらずゆるゆる続いているので嬉しい限り。
東京日記シリーズを読んでいると、
だんだん「川上さんって妖怪のようだな」という気持ちになってくる。
あずきあらいとかそういうナチュラル系の。
Posted by ブクログ
「ほんとうのこと率」が十分の九に上昇したらしいけど。
ほんとうかしら。いつものようにしあわせな気分に浸れる。
読んでいる間中ずっとにやにやしてしまいます。
ごみ持ち帰り令が発令されたり「とひょう」でぬめっとしてみたり。にやにや。
Posted by ブクログ
おおむね楽しい、ちょっぴりさみしい。カラダ半分、ずれている――。カワカミ・ワールドが詰まった、日記シリーズ最新作。2008~2010年までの3年分を収録。
読みやすいから、次々読んでしまう日記シリーズ。
日常から言葉に対するアンテナが敏感なところが作家さんたるところ。
「おじゃま虫」「うる覚え」「矢沢永吉さん命」
何でもない一言を、ずっと覚えていて、咀嚼して楽しんでいる気がする。
Posted by ブクログ
たんたんと、時に熱く、時に不穏に、日々は続いています…。カワカミさんの、5分の4から微妙に上昇して10分の9はホントの、日々のアレコレ。『東京人』『WEB平凡』連載を単行本化。
Posted by ブクログ
“六月某日 曇
携帯電話が鳴る。
いさんで通話ボタンを押し、「もしもし」と、自負に満ちた気持ちで言う。
「あの、今国分寺の踏切を渡ったところなんですけど、法事、大丈夫ですか」相手が言う。
国分寺。踏切。法事。まったく覚えのないことばかりで、驚愕する。
「あの、どちらにおかけですか」
「は?カワダさんですよ?」
もしかするとわたしは本当はカワダという名字で、今日は法事の日で、今すぐ国分寺の踏切まで行かなければならないのではないかと、恐れおののく。
居ながらにして。
携帯電話を握りしめながら、つぶやく。やはり携帯電話は、怖いものなのだった。”[P.20_居ながらにして。]
3巻目。
日記と称しつつ語り口が小説ぽいからふわふわする。
“九月某日 晴
洗濯を干しているおばさんとみえたものは、実は大きなひまわりだった。
ひまわりが干そうとしているのは、小さなひらひらしたパンツと、紺色のダッフルコートである。
ひまわりなので、当然顔にはびっしり種がつまっている。
話しかけたが、むろん無視された。”[P.127_とひょう。]
Posted by ブクログ
東京日記三作目。今までほどぐっと来たのはなかったけれど、P138阿闍梨スペシャルのかんぴょう巻きを部屋の四方に一個ずつ投げつけたってのがよかった。
Posted by ブクログ
なぜに中年女性作家の書く「パンツ率研究」などを熱心に読まなければならないのかと思いながらも、ページを繰るスピードが落ちないのは、嘘っ八百の川上ワールドに惹かれているからに違いない。2008年夏まで雑誌「東京人」に連載され、その後「Web平凡」に引き継がれてきた「東京日記」の第三集。 相変わらずのマイペースぶりと、ほんわかしたムードはこの著者ならではのもの。「ほんとうのこと率」アップと言いながらも、ついつい眉に唾をつけたくなる話のオンパレードだ。むずかしい本の合間の息抜きにぴったり。各月毎にまとめられた日記は、それぞれ個性的なタイトルをつけられ36編にも達する。つまり3年間36ヵ月分というわけ。