碩学佐々木閑と宮崎哲弥両氏の対談本です。
仏教学者の佐々木氏はもちろんですが、宮崎氏の知見も、ものすごいです。
あらゆる文献を縦横無尽に引用しながら、仏教の真実に迫ります。
どのお経が「正典」なのか、「梵天勧請」はなぜ決定的瞬間なのか、釈迦が悟ったのは本当に「十二支縁起」なのか、日本仏教にはなぜ「サ
...続きを読むンガ」がないのか、などなど。
「最強の仏教入門」とありますが、これは入門書以上のものです。
よりいっそう仏教への理解が深まりました。
これは仏教に限った話ではありませんが、組織はその維持や発展が自己目的と化したとき、思想を変質させ、人を堕落させます。内部に官僚制度ができあがってしまう。カトリックや共産党なんかが典型的ですが、残念ながら仏教も例外ではない。日本の宗門はいうに及ばず、スリランカやミャンマーのテーラワーダ教団ですら、本来のサンガの形態はフラットなネットワーク型の組織だったはずなのに、いつの間にかヒエラルキーができてしまった。 ー 245ページ