【感想・ネタバレ】ごまかさない仏教―仏・法・僧から問い直す―(新潮選書)のレビュー

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Posted by ブクログ

対談本なので話が飛んでごちゃごちゃするかと思いきや、ものすごく構成が明確で、あまり仏教学に縁のなかった身でも良い感じで理解することができた。
特に「法」に関するテーマの対話が圧巻。
仏教が、「私」は仮の存在に過ぎないのにそれを実体を伴う本来的に不変で安定したものである錯覚してしまうことからあらゆる苦が生じることを理解し、全てが流転していく世界の縁起をただしく見ることで苦を回避するための教えであることが良くわかったし、長年の疑問であった、それなのになぜ輪廻や霊魂や他力本願が同じ仏教から出てくるのかという問いに対して、大乗仏教がブッダの説いた初期仏教を反転させてむしろキリスト教に近いほどの超越者であり絶対的な実体である存在(阿弥陀如来)を生み出したものであることが明示されていて、非常に勉強になった。

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2021年12月03日

Posted by ブクログ

碩学佐々木閑と宮崎哲弥両氏の対談本です。
仏教学者の佐々木氏はもちろんですが、宮崎氏の知見も、ものすごいです。
あらゆる文献を縦横無尽に引用しながら、仏教の真実に迫ります。
どのお経が「正典」なのか、「梵天勧請」はなぜ決定的瞬間なのか、釈迦が悟ったのは本当に「十二支縁起」なのか、日本仏教にはなぜ「サンガ」がないのか、などなど。
「最強の仏教入門」とありますが、これは入門書以上のものです。
よりいっそう仏教への理解が深まりました。

これは仏教に限った話ではありませんが、組織はその維持や発展が自己目的と化したとき、思想を変質させ、人を堕落させます。内部に官僚制度ができあがってしまう。カトリックや共産党なんかが典型的ですが、残念ながら仏教も例外ではない。日本の宗門はいうに及ばず、スリランカやミャンマーのテーラワーダ教団ですら、本来のサンガの形態はフラットなネットワーク型の組織だったはずなのに、いつの間にかヒエラルキーができてしまった。 ー 245ページ

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2020年10月21日

Posted by ブクログ

私たち日本人にとって身近にあるはずなのに、日常からは無縁に近い仏教。2人の仏教者による対談を通じて、その基本的な知識を身につけることができます。仏教の創始者はどんな人物だったのか。どんな歴史を辿ったのか。どんな教義なのか。その教えと、その伝承はどのようになされているのか。その疑問に「仏」「法」「僧」の三宝を中心に整理して理解することができます。入門書として非常に分かりやすく、面白く読ませていただきました。仏教の、他の宗教との違いも考えながら読むことができると思います。2人の考え方の違いから、白熱する議論もあり、この宗教の大きさゆえのいろいろな考え方の広がりを感じることもできました。

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2018年04月28日

Posted by ブクログ

宮崎哲弥の仏教本の最高傑作。前半はよく出来た対談本という感じだが、法の意見の相違が出てきたあたりから真剣勝負になり素晴らしく面白い。

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2017年12月18日

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冒頭にハリラの仏教についての記述を紹介しているが、的確な指摘の連続で、イスラエルの歴史学者がここまで仏教を理解していることに宮崎は驚いているが、私もハリラの分析力に感心した.本論に入ると、宮崎と佐々木の討論が始まるが、宮崎が次々と繰り出す論点に佐々木は冷静に対応しているが、読者からすると、宮崎の知識の開陳の連続という感じがした.釈迦が実際に述べたことを忠実に伝えているとされる文書はほぼ確定されたようだが、研究は緒に就いたばかりという感じだ.「仏」、「法」まで読んだが、難しい!日本にはびこっている鎌倉仏教との相違点だけを重点的取り上げて欲しい.日本の仏教と釈迦の原点はかなり異なっている感じがする.

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2019年02月28日

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釈迦の本来の教えである上座部仏教と大乗仏教との違いを三宝(仏・法・僧)の観点で対談形式で説明している。大乗仏教の中でも日本の仏教が特異であることがわかった。

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2018年09月02日

Posted by ブクログ

それなりに面白かったけど、思ってたのとは違った内容だった。
もっと基本をまんべんなく図解まじえつつ解説してくれる入門的な内容の本が読みたかったので。
とはいえ二人の自説が微妙に違って論争みたいになるところとかは面白かったし、自分の信じる宗教を正当なものとして牽強付会する学者の話とかは興味深かった。知らない世界を知れた本ではある。

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2018年08月22日

Posted by ブクログ

いわゆる葬式仏教ではなく、仏教の根本について一から、仏陀の思想から仏教教団の創設期から学ぶ入門書。
評論家宮崎氏と仏教学者佐々木閑先生の対談本であるが、二人の意見は共感し、補完し、時に相違点を見出す。
普段仏壇に手を合わせながらも、仏壇の奥にしっかりとした仏教という教義があることを思い知らせてくれた

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2018年04月19日

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最近は”縁”がとても気になっていて、”縁”といえば仏教でしょってことで本書を手に取りました。僕の知識量では理解できない箇所もありますが、内容はすごく興味深かったです。縁はいいけど、執着はやっぱりダメよね。

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2018年03月01日

Posted by ブクログ

うーん、「最強の仏教入門」を標榜しているけど、これは全くの素人には難しかったです。
さらなる仏教の理解をするための書籍の紹介がたくさんあるので、興味がある人にとっては、良き入門書になる可能性はあると思います。

以下はなんとなく理解できました。
「三宝」=「仏・法・僧」という三つの要素を受け入れよ、というのが仏教。
仏=釈迦のこと
法=釈迦が説いた教えのこと
僧=四人以上のお坊さんが集まってつくる修行の組織のこと

あと「ある意味では、みんな末期がん。なぜなら寿命があるから。」は、一瞬うっとなるけど、実際そうなんですよね。こういう苦しみから救ってくれるのが仏教なんだなと。

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2017年12月02日

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