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北海道での介護職を辞し憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳・独身女性のリキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニックの日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられる。バレエ界の「サラブレッド」としてキャリアを積み、自らの遺伝子を受け継ぐ子の誕生を熱望する43歳男性・基。その妻で、不育症と卵子の老化により妊娠を諦めざるを得ず、「代理母出産」という選択をやむなく受け入れる44歳女性・悠子。それぞれのままならぬ現実と欲望が錯綜する、ノンストップ・ディストピア小説!
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Posted by ブクログ
少しずつ読書ができる余白が、生活の中にできてきた。
久々に読もうとなって手にしたのがこの作品。
さすが桐野さんだ、重たい…!笑
子どもを産む予定のないわたしの子宮は、定期検査が必要な状態だし、生理も酷い。
この歳になって初めてピルを飲んで、多少改善した毎月の憂鬱に、「薬ってすげー」
と思う一方で、副作用のあるピルに対して「まあ、自然にくるものを止めようなんてことが無理な話か」と、わかったようなふりをして、副作用と戦う。
子どもは要らない。それなのにわたしの子宮はずっと子どもを産む準備を繰り返し、さらにそれによって苦しい思いを散々してきて、今がそれなりに快適、と言える状態になってきた。
わたしにとっては、ただ痛みをもたらすだけの存在に、価値があったんだろうか。今となってはそう思う。癌になりやすく、摘出して苦しい思いをしたり、亡くなったりする人がいることも、出産に対して悩みを抱えている人がいることも、わかってる。それでもわたしには、どうしても苦しい存在なのだ。
でも、もう少しわたしが若くて健康で、彼女のように今の生活にも困っている状況で、「妊娠中は生理が止まるよ」「無事子どもが産まれたらお金ももらえるよ」と、例えばそんな風に言われたとして。
きっとわたしは悩むだろう。目の前にぶら下げられた報酬に目が眩んで、代理母出産に興味を持つだろう。
貧困というのは、そういうことだ。急激に、状況がよくなることなんてない。ある程度先を見通して、毎日を「まあこんなもんだよな」くらいで、65%から75%くらいで生きていくのが、日々を生きるってことなんだと思う。だけど、貧困は、そうやって先を見通す力を奪う。今のこのしんどさを、今すぐに、どうにかしてほしいと思う。そして、そう願う、主に女性たちが、今たくさん搾取されている。
女性は子どもを産むことにしか意味を持たない、みたいな価値観の人は、実は多いのだろうな。それを表に出さないだけで。
この物語、たくさんもやもやした。
代理母が苦しんでいる中「乾杯しよう」とお酒が飲めるのか。そりゃそうか、自分の身体はアルコールに浸っても問題ないもんな。
わたしはお酒が好きだから、妊娠中にお酒が飲めないなんて信じられないと思っていたけれど、きっと妊娠したら、なんだかんだと胎児のことを考えて行動するんだと思う。考えすぎて苦しくなるほどに。
望まない妊娠というのは、あんまりよくない言い方だなと思うけれど、実際にそういうことはあって、出産前後の彼女の心の動きは妙にリアルだなと思った。
子どもを可愛いと思えない親って、いると思うんだ。でも、それを出してはいけないっていう空気があるから、本音を抑圧して、生きてる人がいる。でも、そう思う親が、ずっと可愛いと思ってないかと言われると、きっとそうではなくて、妊娠中、子どもが動いた時、出産した時、その瞬間、愛しい気持ちが芽生えたかもしれない。芽生えたその気持ちは、もしかしたら、これからもずっと続くかもしれないし、続かないかもしれない。彼女も、それはわからなかった。わからないまま、どんどんお腹は大きくなっていく。日々、いろんな気持ちが芽生えて、初めての感情にも包まれたりする。予期せぬことがたくさんある。
それでも、子どもは生まれてくる。
作中にも出てくるのだけれど、産まれてきた子どもは、誰のものなんだろう、という問い。
もちろんそれは子ども自身のものなのだけれど、産まれてきた子どもは、親のケアなしに生きられない。だとしたら、子どもの人生は子ども自身のもの、とは、子どもの人生のどのタイミングから言えることなんだろう。
こういう、「出産とは」「子どもとは」「女性が生きていくとは」みたいなことが、この463ページの中にぎゅっと濃縮されているものだから、多少疲れはするのだけれど、ラストスパートはもう息ができないくらいの早さで進んでいく。ラストシーンは、作中のもやもやとか、ぐるぐるした思考を、すっきりさせてくれる終わり方で、救いがあった。
もうね、作中では何度も草桶夫妻には振り回され、もやもやイライラ!笑
リキもちょっとだけ変わってるし、りりこは完全に変人だし、でも、この作品におけるりりこの存在は大きい。りりこが、読者のもやもやの大きなクッション中なってくれている感じがする。この作品で、わたしが一番好きになったキャラクターだった。
また少しずつ、本が読めそうな気がする。
Posted by ブクログ
NHKドラマ
2024.4~7
全10回
最近のドラマで1番ハマった。
気になっていた「桐野夏生」原作だったので読んでみたけど、先が気になって、ドラマを追い越さないように読むのが大変だった。
代理出産って、まあ、10か月くらい耐えればいいか~って思ったけど、つわりとか、苦しかったの思い出した。
おまけに、産後の体型も変わっちゃうし。
下手すりゃ命の危険さえある。
引き受ける?
でも金は欲しい…
頼む方の責任もだいじ。
いろんな「男」と「女」がいて、考えさせられた。
「桐野夏生」いいね。
あとがき書いてる、もとAV女優の「鈴木涼美」も気になった。
Posted by ブクログ
全員の言い分がわかる気がするからこそ、代理母がうまくいくかは運や縁になる気がした一冊。本書では、産まれてからうまく噛み合わなかったので、ああいうラストになってしまった。言い方は悪いですが、全員初めてだったのでどういう気持ちになるかまったくわからなかったのではないでしょうか。しいて言うならその気持ちの動きをフォローできなかったコーディネーターのミスなのかもと思いました。
わたしが日頃思っていることがあります。子供を産み育てるときに責任が伴うのは当たり前。でも、その責任が重くなりすぎると誰も持ちたくなくなる。何でも個人の責任、親の責任と言いたくなってしまうような世の中の流れの中で子を持つことはとても難しいものだと思いました。
産めない女性とは?子を持つとは?代理母とは?男性とは?取引とは?なんてことをずっと考えさせられる本です。
■本書全体に大きくのしかかる貧困
「全部貧困のせいだ」って言いたくなるほど、すべての根源となっているように思いました。どの場面でも、その行動をするのは「お金」だよね?と思わされました。一生懸命でも適当でもずっと同じ賃金。かといって、会社も派遣さんを正社員登用するほどのお金はない。人材不足と言われつつ派遣制度は減らない。田舎に戻ったら仕事は限られる。でも、働かないと生活できない。その一方で・・と考え始めるときりがなく、重かったです。
■りりこの潔さ
本書のなかの清涼感あふれる人物りりこ。意見がはっきりしていて清々しい印象を持ちました。意外な過去が出てくるかと思いきや、出てこなかったところが、より清々しさを引き立てました。彼女の仕事の描写は、はじめはドキッとすると思いますが、「快楽のみであえてその先の苦しみは書いてない」など話の中でいいアクセントとなっていました。
■リキのこの先・・
心配しかありませんでした。解説では「清々しさ」という表現でラストシーンを表現されていましたが。確かにわたしも一瞬その感覚を覚えました。赤ちゃんって不思議と「かわいい。守りたい」と思わせてしまうんです。それが赤ちゃんの生存戦略とも言われています。しかし、子供を育てる親として心配してしまうのです。ひとりで初めて子育てをする困難さを。「かわいい。守りたい」と感じなくなった先のことを。特にリキは今までの行動からして危なっかしいところがあったのもそう思わされます。元手があるとはいえ、リキにはラストシーンの時点で収入の手立てがありません。住むところも。体調も万全でない。親も手伝えない。資格もなくて子持ち。繰り返されるってこういうことなのではと思ってしまいます。
Posted by ブクログ
この本では代理母出産の問題が描かれている。
もともとNHKドラマでやっていたけど、その時は特に惹かれなくて見ていなかったけど、出産についての本が読みたくなって気になって読んでみた。
物語は北海道から東京に出てきたリキという女性を中心に進む。リキは貧困から抜け出せずに悩む中で、エッグドナーの話を聞き、代理母出産の存在を知りる。子どもが欲しいけれどできない夫婦のために、自分の体と引き換えに資金を得る代理母出産。しかし、日本では法律が整備されていないため、社会的にも個人的にも葛藤が多い状況…。
登場人物の間には、春顔を描く画家や、自分の遺伝子を残したいと考える男性なども出てきてカオスな状況に。代理母になることを決意したリキも、途中で揺れ動きながら物語は進む。
命とは何か、命を育む女性とは何か、そして男性とは何か。代理母出産をめぐる倫理の問題はとても複雑で、簡単に答えを出せるものではないなあ。
あとがきにあった。代理母出産についての意見がまとまるより早く、代理母を介さない出産の方法が開発されるんじゃないかという予測も無視できないなと思った。
途中読みながらモヤモヤもあったけど、最後はちょっとスッキリした。
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小説・文芸
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