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Posted by ブクログ
虐待と貧困の連鎖から逃れた少年ー
私たちはまだ、彼の苦しみを何も知らない(帯より)
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過去「OUT」「柔らかな頬」「グロテスク」etc…とにかく読み漁った桐野作品。
この作品のあらすじを読み、無性に読みたくなり、久しぶりに手に取りました。
生活する中で身近に感じることはできない、虐待・ネグレクト・貧困テーマという作品ながらも、本当にそのいち家庭の様子を覗いているかのような感覚に陥る桐野さんの圧倒的な筆力✨
果たしてエンディングはどちらに転ぶのか⁈
…そんな思いを抱えながら読み進めた作品。
描かれていないこのストーリーの続き。
読後誰かと語りたくなる…そんなエンディングの余白もサスガの桐野作品。
オススメしたい作品です!!
Posted by ブクログ
ネグレクトや暴力、貧困の中で育つ子どもたちの現実があまりにも辛く、終始胸がえぐられるようだった。
亜紀の自堕落で他責的な生き方には強い嫌悪感を抱いたが、同時に「なぜこうなったのか」と、明確に救われない点も印象的だった。理解はできても納得はできない、そんな不快感が残されているように感じる。
優真と篤人は、愛情や社会性、いわゆる“普通”を学ぶ機会を奪われたまま成長していく。何が良くて何が悪いのかも分からないまま大人になってしまう怖さ、そして暴力でしか他者と関われなくなるかもしれないという負の連鎖がリアルに描かれていた。
この作品が突きつけてくるのは、「努力ではどうにもならないスタート地点の格差」だと思う。子どもは環境を選べない。その中で生まれる歪みは、個人の問題では片付けられない重さがある。
後味は決して良くないが、現実の一側面として目を背けてはいけないテーマだと感じた。
Posted by ブクログ
私はこの小説を読み、“こんな現実が本当に起こり得るのか”と衝撃を受けた。
亜紀のように母親としての役割を放棄し、息子より同棲相手に媚びる生き方は、あまりにも残酷だ。優真が店長に引き取られたことは、不幸中の幸いであり、唯一の救いであったように思う。
一方で、洋子の温かさは純粋で、読む側にも深く沁みた。しかし、彼女の花梨に対する執着は危うさをはらんでいた。優真の覗き見や窃盗のような行動は、虐待や愛着形成の欠如によって生まれる“心の穴”が原因であり、社会不適応や危険な衝動として表れる。その姿は哀れでもあり、恐ろしくもあった。
ただ私は、もしこの話が現実であれば、優真はもう少し里親に心を開く余地があったのではないかとも感じた。思春期の子どもは確かに衝動的だが、同時に“変われる最後の大きなチャンス”でもある。ここで身についた自己防衛の癖や思考は、大人になっても簡単には変わらない。
だからこそ、優真にとって最も必要なのは早い自立だと私は考えた。学校というコミュニティは狭く、息苦しい。異性への執着も強まりやすいし、周囲の視線が世界のすべてに見えてしまう。しかし、社会に出れば、人は皆それぞれの生活に必死で、他人の背景に深く踏み込む余裕などない。どれだけ容姿端麗だったり経済的に裕福であっても、街に紛れれば、過去の事情など誰も気にしない。むしろ、それが救いにもなり得る。
ただ一つ、気になった点がある。
それは、あきとの存在だ。
彼はペドフィリアの鈴木に一年間育てられた。作中に詳細は描かれないが、性的関心を向けられていた可能性は高く、その経験は成長とともに深い傷となるはずだ。人間の欲望は恐ろしい。加害者の満足と引き換えに、被害者の心には憎しみと歪みが積み重なる。そしてその負の連鎖は、世代を超えて形を変え、何度でも繰り返される。
この作品は、家庭環境が人生をいかに左右するかを痛烈に描いていると同時に、
救いとは“誰に育てられたか”より、“どの環境に移れるか”で決まる
という現実を突きつけてくる。
私はこの小説を通して、
人を変えるのは“愛情”だけでなく、“環境そのもの”なのだと強く感じた。
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