【感想・ネタバレ】砂に埋もれる犬のレビュー

あらすじ

小学校に通わせてもらえず、食事もままならない生活を送る優真。母親の亜紀は子供を放置し、同棲相手の男に媚びてばかりだ。最悪な環境のなか、優真への虐待を疑い、手を差し伸べるコンビニ店主が現れる。社会の分断を体現する少年の魂はどこに向かうのか。《解説・杉山春》

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Posted by ブクログ

ゴヤの「黒い絵」のタイトルを思わせる小説。
こういうことって現実に起こっているのだろうけれど、こうやって小説になると、より一層現実感が強くなる。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

序盤から重苦しく嫌な予感しかしないのに、結局一気に読んでしまった。『つみびと』の子どもたちはお母さんを好きなまま飢えて死んでしまったけれど、本作の子どもたちとどちらが幸せだったのだろう。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

虐待と貧困の連鎖から逃れた少年ー
私たちはまだ、彼の苦しみを何も知らない(帯より)


*:.。o○o。.:*。o○o。.:*。o○o。.:*


過去「OUT」「柔らかな頬」「グロテスク」etc…とにかく読み漁った桐野作品。
この作品のあらすじを読み、無性に読みたくなり、久しぶりに手に取りました。

生活する中で身近に感じることはできない、虐待・ネグレクト・貧困テーマという作品ながらも、本当にそのいち家庭の様子を覗いているかのような感覚に陥る桐野さんの圧倒的な筆力✨

果たしてエンディングはどちらに転ぶのか⁈
…そんな思いを抱えながら読み進めた作品。

描かれていないこのストーリーの続き。
読後誰かと語りたくなる…そんなエンディングの余白もサスガの桐野作品。

オススメしたい作品です!!

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2025年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラスト1ページ、唐突な終わり方。
涙が止まらなかった。
養母洋子のすべてを受け止める覚悟と真っ直ぐな包容力。
優真の初めて見せる涙と「どうしたら良いのか分からない」という言葉。
健全な親子関係を知らない彼が、初めて親に甘えることが出来た瞬間。
それに応える、養父目加田の「ごめん、お父さんも分からないよ。」という言葉。
ようやくここで心を通わせる会話が出来た2人に、一筋の光をみた。
流石、桐野夏生。

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2025年04月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

心優しいコンビニ店員の日加田、実の母とその交際相手から虐待を受ける優真、優真の実の母亜紀、優真が心を寄せる同級生花梨の視点を行き来しながら物語が進んでいく。
紆余曲折あり日加田と彼の妻洋子は里親として優真を迎え入れることになる。優真は中学生になるが、なかなかクラスに馴染めず、問題行動を起こして孤立していく。
でもこれ読者からすると優真くん自身は全然悪くないように思う。彼の行いには問題があるけれど、それはきっと全て彼の成育環境に起因するものだからである。
普通の、一般的な環境で育った人たちは無意識に世渡りの術、社会で生きていく上でのマナーのようなものを習得する。しかし本当の意味で社会というものに触れた期間が足りなかったのだろう、優真にはこれが致命的に欠如している。
また先述したようなものはコミュニケーションを成立させるための最低限の価値観の共有とも同義だ。不適切な距離感や女性に対する歪んだ理想像など、彼の価値観は一般的には受け入れられないものがあった。優真は花梨らクラスメイトと距離を縮めようとするが、どうしようもない。
そう、読者側的には優真くんは頑張っている。えらい。しかし花梨たちにとってはそうはいかない。彼女らも彼のバックグラウンドの一部を知っており、配慮する必要性があることは認識しながらも率直に優真を気味悪がっている。現実に彼のような人がいたら私自身も、おそらくほぼ全員が距離を置こうとするだろう。でもどうしろと? 彼に、彼らに何をすれば、どんな態度を取れば良かったのか? 読み終わってからしばらくするけど全く答えが出せそうにない…。
これが貧すれば鈍する、てことなのかな。でもそれって酷くない? なんかその時々の求められたファッション? 精神性? に適合できないからって集団から弾かれて置いていかれちゃう。それが絶対的なものでもないのに。すごい嫌だ。「普通って何だよ」優真くんの声が痛切すぎる。
わ、もうタイトル回収が秀逸。この言い表せないどうしようもなさを持つ社会からみた優真くんの姿の比喩かな? 私はそう解釈しました。
でもああやって涙を流せるきみはきっともう大丈夫です。他の方の感想を読んでいると救いのないバッドエンドに感じた人が多かったみたいだけど、私はふわっとこれからの優真くんの可能性を暗示してくれる優しさがその涙にちょっとだけ含まれているほんのりと明るいラストに感じました。
文章は読みやすく、人物の心情を丁寧に伝えてくれて感情移入しやすい。それなりの分厚さだったけどすらすら読めた(内容的にすらすら読めるかはともかく)。
本当に考えさせられる一冊でした。読んで良かった。

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

面白いと表現してはいけないシビアな内容でしたが、次々と気になって読み進めました。
こんな子供がいなくなる日が来ればいいのに。

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

重くて救いようのない話…
でも読む手が止まらず一気読みしてしまった。
読みやすい。

帯にも書いてあるように、バイアスによる違いがネックになってると思った。私たちはそれぞれ異なる環境で育ってるから、相手がどんな普通を持ってるかもわからないし、相手も同じ。その普通に苦しめられる話だなと思う。荒んだ環境で育ってきた優真は尚更。

これはあくまで物語だが、これと似たようなことが起こっているのだと思うと、非常に心が重くなる。

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2025年03月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

怖くて、かわいそうで、腹が立って、ハラハラして、文字通り一気読み。ページをめくる手が止まらなかった。
一言で言うと、児童虐待・ネグレクトの物語。

主人公の優真は、母親の亜紀から完全に育児放棄されている。小さい弟と一緒に放置され、学校にも行かせてもらえず、母親はおにぎりとカップラーメンを置いて、男とゲームセンターで遊び、数日は帰ってこないことが当たり前。飢えて、小さい弟は暴れ、隣の男からうるさいと怒鳴られ、おびえながら暮らす日々。母と男が帰ってくると、家が汚いなどと言って殴られる。暴力も日常茶飯事。
母親の亜紀は、優真の父親のことは本名も知らず、弟の父親のことは好きだったということもあり、どちらかというと弟の方をかわいがり、優真をじゃまにする。とはいえ、弟の篤人も4歳で制御がきかなくなってきたので、もう「うざい、面倒くさい」としか思っていない。

優真は生きるため、近くのコンビニに行き、廃棄するお弁当を下さいとねだる。
この小説では、優真を中心に、そのコンビニの店主、優真の母親の亜紀の目線で描かれている。
桐野夏生さんは小説で様々な社会問題を描いているが、本作では虐待やネグレクトと問題だけでなく、コンビニのフランチャイズ経営の大変さも描かれていると思う。経営者の目加田の生活は、本当に休みもなく大変そうだ。妻は、長年脳性麻痺で寝たきりの娘を介護してきた。
その娘が急死し、コンビニに現れる明らかに虐待されていると分かる少年の里親になりたいと名乗り出る。
少年が母親を見限り、弟も振り切って児相に保護されるまでの物語も相当ドキドキハラハラするが、その後もかなり恐ろしい。
よく、不遇な環境で育った人が、無差別殺人などの犯罪に至ったとき、「社会性が育っていなかった」とか「心の闇」とか報じられるけど、本作でも、優真の心がどんなに大変なことになっているか、児相に保護されようが、運良く里親が見つかろうが、親から愛されることなく虐待されて育った子どもの心がどんなに難しいものかが赤裸々に描かれている。
最初に入った「一時保護所」は規則が厳しい。これは現実だ。本当は、やっと保護され、「安心していいんだよ」と守られ、わがままだって許されて良いはずなのに、様々な事情を抱えた子どもが集団で保護されている施設内で、わがままを言うことはできない。保護された子どもはそこで、更に大人への不信感を募らせる。
優真の場合は、もともと住んでいた地域に戻ることができ、里親に引き取られたのだから、相当にラッキーな例なのに、それで一安心というわけにはいかない。様々な困難が、これでもかというくらい降りかかる。

桐野夏生さんの描き方がすごいと思うのは、優真がわかりやすくいじめに遭ったとか、里親からも冷たくされるとか、学校の勉強に全くついて行けないとか、そういう困難にぶつかったわけではないのに、ただただ、自分の心の中の葛藤が現実と折り合わず、食べるものもなく着替えもなかった頃と比べて、格段に生活は良くなって、新しい「お母さん」にも優しくしてもらっていて、勉強だってなんとか同級生に追いつきかけているにもかかわらず、それでも「心」がどうにもならないのだ、ということを生々しく描いているところだ。
こういう子どもが将来、事件を起こしたとき、「里親に世話をしてもらって、充分に安心して暮らせてきたのだから、事件を起こしたのは本人の問題だ」と断じられるのではないだろうか。
優真は、同級生の家に忍び込んだり、ホームセンターでナイフを買ったりして、どんどん危ない方向に向かっていく。読んでいて、残りページが少ないのに、優真はどうなってしまうのか、お願いだから、ハッピーエンドにしてくれ!と願っていた。
里親になった目加田の苦悩もまた、生々しい。普通に育ったって思春期の男の子は難しいのに、虐待を受けてきた少年の里親として、どうすれば良いのだろうか。

最後は全然ハッピーエンドじゃなくて、そんな終わり方ー!!!と思ったし、何にも解決していないけど、まぁ、私の許せる範囲でした(笑)。
*ナイフを振りかざした優真を、目加田と妻はしっかりと抱きしめる。血が流れてるけど。希望があるのは、それまでうつろな目で、ほとんど里親に心を開かなかった優真が、「どうしたらいいかわからない」と言って泣くところだ。そして、目加田も「おれだってわからない」と認めながら、彼を抱きしめるところだ。
学校のことや、亜紀の母親のことや、他にも書きたいことがいっぱいあるけど、長くなったのでこの辺で。
それにしても、タイトルが暗いよな。

追記:何人かの目線で描かれているけど、小さい弟はまだ自意識が育っておらず、優真や母親の亜紀から見た姿しか描かれていない。弟は母からも兄からも捨てられ、隣の怪しい男に連れ去られる。男は「保護した」と言っているけど、おそらく幼児性愛者だ。優真がなんとかもがいて生きている姿が詳しく描かれる一方、優真と離れてしまってからの弟の姿はほとんど描かれず、ほんの少し、スズキと暮らしている?とにおわせるところがまた、恐ろしすぎる!!!!

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

私はこの小説を読み、“こんな現実が本当に起こり得るのか”と衝撃を受けた。

亜紀のように母親としての役割を放棄し、息子より同棲相手に媚びる生き方は、あまりにも残酷だ。優真が店長に引き取られたことは、不幸中の幸いであり、唯一の救いであったように思う。

一方で、洋子の温かさは純粋で、読む側にも深く沁みた。しかし、彼女の花梨に対する執着は危うさをはらんでいた。優真の覗き見や窃盗のような行動は、虐待や愛着形成の欠如によって生まれる“心の穴”が原因であり、社会不適応や危険な衝動として表れる。その姿は哀れでもあり、恐ろしくもあった。

ただ私は、もしこの話が現実であれば、優真はもう少し里親に心を開く余地があったのではないかとも感じた。思春期の子どもは確かに衝動的だが、同時に“変われる最後の大きなチャンス”でもある。ここで身についた自己防衛の癖や思考は、大人になっても簡単には変わらない。

だからこそ、優真にとって最も必要なのは早い自立だと私は考えた。学校というコミュニティは狭く、息苦しい。異性への執着も強まりやすいし、周囲の視線が世界のすべてに見えてしまう。しかし、社会に出れば、人は皆それぞれの生活に必死で、他人の背景に深く踏み込む余裕などない。どれだけ容姿端麗だったり経済的に裕福であっても、街に紛れれば、過去の事情など誰も気にしない。むしろ、それが救いにもなり得る。

ただ一つ、気になった点がある。
それは、あきとの存在だ。
彼はペドフィリアの鈴木に一年間育てられた。作中に詳細は描かれないが、性的関心を向けられていた可能性は高く、その経験は成長とともに深い傷となるはずだ。人間の欲望は恐ろしい。加害者の満足と引き換えに、被害者の心には憎しみと歪みが積み重なる。そしてその負の連鎖は、世代を超えて形を変え、何度でも繰り返される。

この作品は、家庭環境が人生をいかに左右するかを痛烈に描いていると同時に、
救いとは“誰に育てられたか”より、“どの環境に移れるか”で決まる
という現実を突きつけてくる。

私はこの小説を通して、
人を変えるのは“愛情”だけでなく、“環境そのもの”なのだと強く感じた。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

「正しさを教えることは正義に思えるが、相手の背景を知らない正義は暴力になる」と語る解説者の言葉に納得。家庭の温もりや、そもそも生活することがどういうことなのかも分からずに育った主人公にとって、社会のルールなど言って聞かせても、分からないし、まるで自分が悪いのかと責められているような気持ちになるのだろう。常識的な正論は、時には非情な責め苦になる。口は慎まなければならない時がある。深い小説でした。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

ネグレクトと虐待で里親に預けられる少年、その母親、後に里親になるコンビニ経営者、3人の視点で物語が進む。
一つ一つの出来事は決して過剰なものでなく、リアル、とにかくリアル。きっと筆者は詳細な取材を重ねているのだろう。緻密な人物描写、誰もが多面性を持ち、その心情が痛いほど伝わる。物語に引き込まれる。そして誰もが単純には幸せにはならない。虐待、貧困の真実はそうである。でも微かな希望は感じさせる。さすが桐野さん、本領発揮。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

こういうネグレクトは実際に存在するんだらうな。自分の周りでは全く見られないのでどうしてもフィクション感があるけど。もうホントに負の連鎖。少しでも良くなるかな、と思っても、闇は深い… どうしたらいいのかわからない!本人も、里親の二人も。現実はやはりどうしようもないのか…

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2025年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

優真の境遇に同情し、味方でいたいと思って読んでいたのだけど、彼の行動がどんどん危うくなっていく描写は、リアルすぎて共感もできず、もう優真が分からなくなっていた。
でも最後、洋子に泣きながら抱きしめられた時、優真も自然と涙が出て、やはりずっと親に抱きしめて欲しかったのではと思った。

ここから目加田夫婦と一緒に不器用でも生きていく道を見つけられたら。

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2025年07月17日

Posted by ブクログ

登場人物の心理や行動の描写がリアルで、かつ児童虐待・ネグレストという社会問題がテーマになっているので物語に引き込まれた。
特に思春期の男子の心理描写はとてもリアルに感じられ、後半の優真がどんどん危うくなっていく展開にハラハラさせられた。
救いのあるラストを望みながら読み進めたが、わずかな光が見えた程度で唐突に終わってしまった感じだった。やはりフィクションといえど安易にハッピーエンドにできないくらい虐待を受けて育った子どもの傷は深く、この社会問題が重いテーマなのだろう。

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2025年06月04日

Posted by ブクログ

202503/めちゃめちゃヘヴィだった。こうして優真の心境や描写を読んでいても、里親にこんなに良くしてもらってるのに何故?!と言いたくなってしまうけど、理解できないというのは自分が幸せだからなんだろうな。弟の篤人のその後もつらい。でもこれはフィクションだけど、むしろ現実のほうが救いがなかったりもする…。里親のような直接的なことはできなくても、自己責任・自業自得・自分とは違う世界の人達のこと、と切り捨てるのではなく、社会を変えていくにはどうすればよいのだろうか、自分には何ができるのだろうか…。

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2025年05月15日

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父親は出て行き
母親には放置され
優真の心は誰にもわからない
まだまだ柔やわな子供時代に
暴力で形を造られてしまった彼は
自分でも自分がわからない
認識する方法が手段がわからない
彼もまた暴力で進むのかこの世界を

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

とても重たい。虐待の連鎖や、被虐児の加害性について、こんなにも内面を丁寧に描いた小説はあまりないように思う。
加害行為が、追い詰められた弱者の最後の抵抗であるとあるという見方が、これまで自分の中になかったことに愕然としている。

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2025年04月06日

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幼少期の体験や育ちが与える、その後人生や
性のゆがみをよくよくお調べになられてこの作品を書かれたんだなと、桐野さんの本気を感じました。
さらにその細やかな機微の言語化能力の素晴らしさ。私も凶悪犯罪や少年犯罪について背景を調べたりなどしてなぜこのような事が起きたのかを1人検証していたりするのですが、幸せに愛情いっぱいに育った人は皆無です。どうかこの本は幸せに生きて、
いつも何か犯罪が起きるたび、物騒ねーくらいにしか思わない人にこそ読んでいただきたいし、
お子様がいらっしゃる方にも目を通してほしいと思います。
そして、私も子供がいないので里子を考えたこともありますが、預かったその日から沢山愛情を与えればいいというものでもないというのを、わかってはいたけど痛感いたしました。

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2025年04月05日

Posted by ブクログ

・優真と目加田夫妻が家族になっていく姿を想像し、明るい未来を期待しています。
・誰のせいかを辿っていくと親であり、その反面誰のせいでもないのがつらい。心健やかに育ってくれたら…と息子の寝顔を見て思う夜。

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2025年04月07日

Posted by ブクログ

読んだその日は自分が虐待される夢を見たほどに心抉られた。
おそらく精神疾患のあるであろう母親のだらしなさに教養のなさ、男に頼って自分だけ楽に生きていければいい、流され生きてきた様子が本当にリアルな描写で何か自分にも通ずる部分もあると思うと満足に子育てなんてできやしない。
なんでこういう家庭って福祉に頼らないんだろうとふんわり頭の片隅で思っていたことが解説に書かれていて、なるほどなと。そんな親や子供達が埋もれてしまう前に、手を差し伸べれる人間でありたいと感じました。でも里親なんてなれるわけでもない難しい問題のまま結局他人事になるんだろうか。
篤人と鈴木のその後の様子がわからないのがホラー。もうちょっと大きくなって分かった時、どうなるんだろう。想像しただけで頭痛がする。

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2025年03月31日

Posted by ブクログ

母親に放置され、食べ物もろくに与えてもらえなかった優真。コンビニ店主の目加田は、里親になり彼をひきとる。しかし、「普通の家庭の普通」を知らない優真は、級友ともうまくいかず、里親からの愛情も素直に受け取れなくなってしまう。
家庭内のことは他者からはわかりづらいが、いかに放置子や虐待されている子をみつけて社会が保護できるかが課題だと思った。また無事保護できても、愛情を知らないため、うまく成長するのも時間がかかるのだな、と感じた。

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2025年03月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どういう気持ちで読んだらいいか分からなかった。途中からそう思っていたら、主人公のラストの言葉と重なって、そうだよな、そうなるよな、と思った。結局対話でしか解決しないことがあるから対話すべきなんだけど、対話の仕方も分からない、そういう状況。本人にとっては、地獄。

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2025年03月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

虐待、ネグレスト、徘徊、貧困、深夜の闇、心の闇沢山の悲しみや寒さを感じる。自分自身の心が固く寒くなる様な感覚。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

桐野夏生『砂に埋もれる犬』朝日文庫。

久し振りの桐野夏生。昨年8月に読んだ『インドラネット』以来であった。

悲惨なまでの虐待と貧困の連鎖と、明確な解の無い結末に読後は陰鬱な気分になった。

明らかに日本は下流社会に成り下がった。非正規労働が当たり前になり、まともな賃金を貰えないままに自らが生きることで精一杯の若者たち。若者たちにとっては、結婚など夢のまた夢。子供を持つなど有り得ないというおかしな社会になってしまった。

9年連続で出生率は低下し、70万人を割るのは時間の問題だ。親の貧困が子供への虐待につながり、さらにはその子供の貧困を生み出すという負の連鎖は続く。

政府が最近打ち出した高校の無償化で何が変わるというのだろう。早急に若い現役世代の所得を増やす、税負担や社会保障費を軽減させないと、貧困の連鎖は止まらないだろう。


小学校に通わせてもらえず、まともな食事も与えられず、母親の亜紀の同棲相手のアパートで幼い弟と過ごす小学6年生の小森優真は空腹に耐え兼ね、近くのコンビニの店主に頼み、廃棄弁当を貰い、何とか生き延びる。

ある日、亜紀の同棲相手が優真に激しい暴力を振るったことから、優真はアパートを飛び出し、亜紀も幼い次男を隣人に預けて失踪する。優真は施設に引き取られるが、優真に廃棄弁当を与えていたコンビニ店主の夫婦が優真を引き取る。

中学生となった優真は中学校でなかなかコミュニケーションが取れず、孤立する。

本体価格1,100円
★★★★

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リーマンショック後の2010年頃、シングルマザーのネグレクトによって子どもが死亡する事件が頻発していた。日本は完全な格差社会になったという認識が一般的になった中、このような事案は今も身の回りで起きているかもしれない。幼少期の経験は人生に大きな影響を与える。この期間で培った価値観は容易には変えられない。最も基礎となる土台の部分が脆いと、その後どう軌道修正しようともいづれ崩壊してしまう。社会の外で生まれ育った人間が、青年期から社会に溶け込むというのはそれほどまでに危うい行為だと理解した。しかし、容易ではないが不可能ではないと信じたい。この書籍の結末では最悪の事態になりかけていたが、それと同時に一筋光が見え、これからの希望の兆しを感じたような気がした。崩壊しても何度でも一緒に積み直してあげる。そんな洋子のような接し方が必要なのかもしれない。

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2025年05月18日

Posted by ブクログ

はじまりが重く、
最後はもしかしたらと思ったが‥

社会構造のあり方を
考えさせられる読後感となった。

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2025年04月24日

Posted by ブクログ

 最後の場面は、ヘレン・ケラーの映画のシーンを思い出した。
「自分の手に流れ落ちてくるその冷たく、心地のよいものこそが“水”なのだということに、ヘレンが気づいたシーン」
 優真は、やっと目が見えて、耳が聞こえたのだ。ここから優真は、多くのものを獲得し、自分の心と言葉をもつことになるのだろう。
「わからない」、わからなくて当たり前だと思う。たった今始まったばかりなのだから。

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2025年02月14日

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