福岡伸一の作品一覧
「福岡伸一」の「生物と無生物のあいだ」「プリオン説はほんとうか? タンパク質病原体説をめぐるミステリー」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
著者の福岡伸一は、分子生物学を専門とする生物学者。この作品では「生命とは何か」というきわめて困難な問いについて、著者自身の研究における失敗の経験などをもとに、その回答を導き出そうとするプロセスがつぶさに描かれている。◆まず、素晴らしいのは、文章そのものだ。海外での研究時代のエピソードなどを交えて描かれたこの作品に、科学者の書いた本にありがちな息苦しさはない。本格的な分子生物学に関する話もあるので、完全に理解することは難しいだろうが、生命の持つ仕組みの驚異を知ることはできるように書かれており、次にどのような新しいことを教えてくれるのかとワクワクしながら読み進むことができる。また、偉大なる科学の発見の陰にいた「アンサング・ヒーロー(縁の下の力持ち)」に光を当てているのも、非常に興味深い。◆実のところ、前述の問いに対して、筆者は明確な回答を示しているわけではない。それでも、「生命とは動的平衡にある流れである」という著者なりの答えを導き出している。この言葉がどのような意味を持つのか、またどのように結論付けているか、については、この本を読んで確かめてみてほしいと思うが、個人的には、科学者としての誠実さが表れた結論だと思っている。なぜなら、著者は、分からないことを分からないとはっきりと言う勇気を持っているからだ。様々な視点から、深遠な問いに対する自分の考えを描いている「科学者による随筆」とでもいうべきこの本は、きっと貴重な読書体験となるはずだ。〈T〉
紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2015年7月号掲載