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Posted by ブクログ
雪の研究に生涯をささげ、世界で初めて人工雪の生成に成功した中谷宇吉郎の随筆を、生物学者・福岡伸一がセレクトしたもの。編者の言葉として、「精密な知性とみずみずしい感性が織りなす珠玉のエッセイ」という表現があるが、まさにその通りだと思う。特に個人的に心を揺さぶられるのが、子供の頃のエピソードを綴った数々。なぜかキラキラと輝くようなまぶしさというか、ジンワリ湧き出るようななつかしさというか、不思議な温かさを感じるのは、やはり筆者の人間性のなせる技なのだろうか。時代の細やかな描写もさることながら、科学、気象、文化、コンピュータ、原子力に至るまで幅広いテーマが収められており、中でも原子の力が原爆という形で実用化されたことの意味を重くとらえた宇吉郎が、「原子力の開放が、人類の文化の滅亡をきたすか、地上に天国を築くか、(中略)それを決定するものは科学ではなく人間性である。」(昭和25年1月「未来の足音」より)と言っているのは、時代を考えると心に響く。しかも、この問題について、人類の半数を占め、子供を味方に持つ女性たちの任務は重いとさえ言っている。
人間だけにとって都合の良い便利さを求めてきた時代の曲がり角に立つ今、本来あるべき方向に向かって舵を切るには何が必要かを見つけるヒントを数多く与えてくれる随筆集といえる。
Posted by ブクログ
雪の研究者である中谷宇吉郎氏の科学にまつわるエッセイ。雪今昔物語の雪の結晶を天皇に見せる話。雪の結晶をスタッフと徹夜で準備して、身体の不調もなんとかやりきる。終わって、伊東に養生しにいく。ちょうど大雪予報の東京から、出張で伊東へ。こんな偶然あるだろうか。
昔ながらの生活、伝統は計算して、あるロジックで導き出される科学的な解釈ではない。筆者は、それを科学以前として、撲滅するのではなく、優しい眼差しでもって整理しておく。つまりは、すぐ否定せずとも淘汰されていくと考えている。すごいのは、これが昭和16年に書かれたものであることだ。科学を盲信し、戦争、テロ、無差別殺人、環境汚染、原子力。こうした負の部分をある種、導き出した科学、そして科学で説明不能な理論を予言しているかのようだ。AIが台頭し、いまは、きっと科学の次に来るものを探しているのだから。
本統の科学とは、不思議を解決するだけでなく、平凡な世界の中に不思議を感ずることも重要な要素。河童を知らない子供は可哀想だ。科学者として、この言葉は本当に素晴らしい。北海道の自然の中にあって、お寺回りやスキーなど、科学的でない活動にその魅力を感じ、視野だけでなく、行動の幅広さをもっともっと求めて行かなくてはと思わされる。
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