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Posted by ブクログ
表紙や最初の数ページから爽やかな話かな?と思い読み始めたら、かなり想定と違う話に転換したので驚きました。
重いテーマではありましたが、主人公の菫が持つ根の明るさと強さで読者も暗い淀みから引きずり出される感覚がありました。
決して暗がりには閉じこもらず前に向かう菫と、育った家庭環境もあり自らの歪み・他責思考から抜け出せない足元が淀みにハマったままの光晴。
2人の対比が後半になるにつれてグロテスクな程に顕著に現れていてその描き方が秀逸だなと思いました。
あとは、初夏の空気感や緑の比喩表現が美しくてとっても好きでした!!言葉が美しくて、それだけでも読む価値があると思います。
Posted by ブクログ
自分が選んだにも関わらず、期待感が薄かったり、序盤の展開に物足りなさを感じるが、中盤から徐々に「やっぱ選んで間違いなかったな」と思わせられる作品ほど心震わされる。
に加え、内容的にもおそらくほとんどの皆スルーする大衆向きでない作品。それこそが我が至高といえる。基本的に明るいのは描かないよな柚木麻子。そこが好き。(個人的には必ずしもハッピーエンドで終わんなくたっていいんじゃないかともちょっと思う、個人的に。)
作品の内容は暗い。ただし、主人公家族の一風変わった吹き回しが救い。真に風通しが良いとはこういった会社、ではなく家庭だろう。また、加害側のもう一人の主人公光晴の名前に「光」の字が入っている当てつけ感。「名は体を表す」とはいうけれど、名前負けしている陰キャといえるというか狙ってるなこれは。
柚木麻子の作品においてカサブタは非常に特別な装置なんだと改めて思う。今まで読んだ作品においても、できたカサブタを無視できずに剥がそうとしてしまう堪え症の無さが人物の人となりを表す描写として意図的に差し込まれている、と思う。これは自分自身もやっちゃいけないこととわかっていてもやめられない癖として、意識的に意識してしまう。
Posted by ブクログ
前情報なして読み始めて「お散歩ほのぼの恋愛小説かな?」と思ったのも束の間、柚月麻子先生がそのような作品を書くわけもなく…(好き)
過去の恋人に撮られた裸の写真の流出と、周りの協力を得ながらそこから這い上がる主人公菫。リベンジポルノというかなり重い題材ではあるが、登場人物が少しずつ自分や自分の周りの人と重なるのがさすが柚月先生だなと思った。
「今回は写真の流出という形で表に出ただけで、根っこにあるのは「女をモノ扱いする男」という問題です」というのがいろんな人の視点を通じて描かれていて、そうなんだよな〜と。それを小学生の祐の台詞として表面化させたりするのが良かった。
光晴がコテンパンに罰を受けるシンプルな勧善懲悪ではないところが物足りないみたいな感想もあったけど、そもそも社会の問題や、家庭の問題や、いろいろな原因があっての結果なので勧善懲悪しちゃったら途端に薄っぺらくなるからこれでいいと思う。
菫が「自分の中にもともと強い部分があったんだ」っていう結論に辿り着けるのすごくかっこよくて好きだった。百合との信頼関係も、元々あるのにさらに深まっていくのが良かった。
Posted by ブクログ
「話のテーマが重すぎて、ちょっと読むのがツラいんだよーーーーッ!!!!」と途中で読むのをやめていたけれどなんとか全部読み終わった。しんど!!!!!!!!!!!!
東京の地理に詳しかったらもっと楽しめたのかしら、と思った。
等々力渓谷は知ってる。10年以上前、友だちと東京観光で行った。なんでわざわざ等々力渓谷に行ったかというと、好きなバンドマンが行っていたからだった。あそこは本当に森で、東京じゃないみたいだった。
私の母と祖母は東京出身である。
でも私は関西に住んでいる。母が関西を選んだからだ。東京の方が水が合うらしいが、母はもうこっちに住んでからの人生の方が長い。
二十歳そこそこの頃はしょっちゅう、それこそ毎週ペースで東京に行っていた時期があり、祖母が喜ぶと思って「今回は等々力渓谷に行ったよ」「今回は荻窪に行った」「三鷹に行ったんだけどね」「下北沢に行ったよ」と逐一教えていたら「田舎ばっかり」と肩を落とされた思い出がある。「田舎!?有名なとこばっかだよね!?」と私が母に問うと、「おばあちゃんの時代の話だから」「23区じゃないとこもあるし」みたいな反応だった。今の時代はどうなのだろう。私はすっかり東京への用事がなくなってしまった。東京でやりたかったことは若いときに全て済ませた、ようにも思う。それともまた行きたくなるときが来るのだろうか。
写真の件に関してはもう本当に。怖かった。流出するなんて思わないものね。分からないものね。隠し撮りされてる可能性もあるし。付き合ってる人と裸で向き合っているとき、「へんなの」「滑稽だ」と思ってつい笑ってしまったことがある。アジカンの「架空生物のブルース」が頭に流れることもあった。
あれは二人だけの空間のはずだったのに、そんなのが世界にばらまかれたら、怖いだろうな。嫌だった。怖かった。気分が悪かった。でも最後まで読んでよかった。
Posted by ブクログ
菫と光晴の出会いは唐突だった。東京は暗渠が多いのはブラタモリを見て知っていたけどその理由が東京オリンピック前に街の景観を整える為にたくさんの川を暗渠にしたと言う事だ。目から鱗だった。
この足の下には隠れた水の流れがある。18歳の春人生で最初にそれを菫に教えたのは光晴だった。しかし22歳のあの夏一緒にいてもこんなに惨めで菫が菫である事を忘れさせ、いたたまれない気持ちにさせる男とはもう会うべきではないと決死の覚悟で断ち切った。凄い決断だと思った。次の日からの生活を想像するだけで自分には絶対できない。
暗渠の下を流れる淀んだ汚い川でも心がけ次第で時間は掛かるが自然の持つ力がいつか浄化してくれたのではないだろうか?次々と湧き上がる力に押されて『さらさらながれて』いってしまうのだから...
菫の圧倒的な強さに傷つけられ、おののき憎みながらもどうしても目を逸らすことができなかった。菫は他のどんな人間とも違っていたがその本質には少しも気付いていなかったのだ。
菫にも暗部はあるはずだ。菫は自分の奥底でわだかまった淀みから目を逸らす事をしなかっただけなんだね。光晴はなんて馬鹿なんだろうか。酔って記憶が無くなるのって最低。でもリベンジポルノで無かったことが救いかなぁ〜光晴に叩き落とされた谷底から自力で這い上がって辿り着いた場所はそのまま世界に繋がっている広大な場所だ。たぶん光晴には一度も経験した事が無い、選び取る事が絶対出来ない場所だと思う。
菫が駄目だった事は、本当は嫌なのに好かれたくて自分を殺して光晴に写真を撮る事を許した事なんだ
失敗しても転んでも一歩ずつ前進する事が大切なんだね。
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