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Posted by ブクログ
生と性と死をめぐる、命についての神話。
命は水(aqua)の中で生まれ、水の中へ返り、水の中を巡って、再び生まれる。
肉体は土(terra)に埋められ、分解され、心はまだ生者のそばにいるけれど、やがて死を理解して、肉体のある土へ帰って行くだろう。
それなのに、命はまるで空気(aer)から生まれるように、突然体の中へやって来る。その異物感、自己愛。動物としてのニンゲン。
動物であるから、男と女が共にいる。その間には、火(ignis)がある。燃える炎、消えかけたりくすぶったり一息に燃えがったり。同じところを巡り巡る。
そして世界(mundus)が、立ち現れる。何千年も繰り返される、物語。
Posted by ブクログ
女の人生の四季と、その折々の性についての短編集。序盤の3遍はわりと読みやすいけれど、最後の2篇はとっつきにくいかな。段々と神話じみてくるというか、古典文学や遠野物語に近い雰囲気があると思う。私の年齢からして、始めのaquaが少し理解できるかなという程度。人生の夏〜冬にかけてはこんなもんなのかなと想像することしかできないけど、いつか肌感覚としてわかる日が来るのだろうか。
3編目のairを読んで、女の人って子どもを産むと子どもが全てになりがちだなと思う。尊敬できる女性達が、子どものサッカー教室や中学受験についておもむろに話し合い始めると、途端にばかみたいと思ってしまうのはなぜだろう。所帯染みた感じがいやなのか、単なるモテない私のひがみなのか。こちらの小説を読んで、子どもを愛するのは母性愛ではなく、単に愛であると言い切った潔さというか痛快さというか。私は母性なんてクソ食らえと思っているので、自分にも動物になって恋愛し子どもを産み落とす日が来れば最高に面白いのにな〜、と期待しておくことにする。
Posted by ブクログ
なまめかしいタイトルから、想像していたものと少し違った(それはそれでよいが)。重い、この時期重いのは辛く、星三つになった。
生(母性も)と性と死を描いてある。話を追うごとに難解になってゆく。
二つ目の「terra」。また私は川上さんの世界に引きずられてゆく。沢田と対話しているのは、女友達と思っていたら違った。最後に謎が明かされる。死の無念さをこんなにも淡々と語って、いや淡々だから余計にやるせない。
「死んじゃったな、麻美」
「つまらないなあ、死ぬと」
あなたが巻いてくれなくなったので、最後に自分で巻いてみた左手首の紐を確かめようとしたけれど、もう体がないので、できない。
土に還って二酸化炭素や窒素に分解されて記憶もすっかりなくなって、それからまた何かのかたちをとるかもしれない。でもずいぶんと先のことだ。
数日尾を引いた。心で号泣した。著者の好きな短編の中でもかなり上位だ。また川上さんにやられた。
希しくも、これを読んでいたとき、(私の)スマホの通知音が僅かに響いた。好きな俳優さんの訃報を知った。
二つが繋がり離れられないお話となってしまった。
最後の二つはまだまだ私には難解すぎて、何度も読み返すが今一つ付いてゆけなかった、もどかしい。
そう簡単に読み解ける一品じゃないですよね。
いつも思うが、言葉にならない思いが言語化されている。そういうところ、心奪われる。
Posted by ブクログ
川上弘美さんの小説は、2種類に分かれると勝手に思っている。
静かながら美しいストーリー展開がある「センセイの鞄」系と、奇妙でいい意味で気持ち悪い「蛇を踏む」系。
この小説は短編集なのだけど、前半は「センセイの鞄」系で後半になるにつれて「蛇を踏む」系になっていく印象。
一番最後の「mundus」はラテン語で「世界」という意味らしいけど、はっきり言って常人には訳がわからない。ストーリーの説明をしろと言われても難しい。けど、読んでいて奇妙に心地よい。
全体的に、とても哀しい。
そして、そこはかとない色香がある。
なんとも感想が難しい小説だった。
奇妙な世界に引きずり込まれたい人にはおすすめ。
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小説・文芸
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