辻

649円 (税込)

3pt

4.1

父と子。男と女。人は日々の営みのなかで、あるとき辻に差しかかる。静かに狂っていく父親の背を見て。諍いの仲裁に入って死した夫が。やがて産まれてくる子も、また――。日常に漂う性と業の果て、破綻へと至る際で、小説は神話を変奏する。生と死、自我と時空、あらゆる境を飛び越えて、古井文学がたどり着いた、ひとつの極点。濃密にして甘美な十二の連作短篇。 ※当電子版では対談「詩を読む、時を眺める」は収録していません。

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    【読もうと思った理由】
    直前の「文学の淵を渡る」でも書いたが、伊坂幸太郎氏と平野啓一郎氏の現役人気作家の両名が、古井氏のことを絶賛している。平野氏は「小説家が尊敬する小説家」といい、伊坂氏は「完璧な小説は?」と問われれば「先導獣の話」と答えるかもしれないと、それぞれが、最大級の賛辞を送っている。また

    0
    2023年08月15日

    Posted by ブクログ

    辻、という言葉をキーにして彩られた、魔と聖と人の交わる物語たち。まさに辻交うように逢魔や、また光の雑る、そんな成り行きをカットアップしているのですが、勿論、古井由吉文体の美学により、いともカオティックな読書体験に導かれますね。とにかく読んだことのない質感、読んだことのない物語、読んだことのない構成、

    0
    2023年04月30日

    Posted by ブクログ


    古井文学の到達点と感じた。
    内省に内省を重ねてきた後期の作品群から飛躍し、大江や中上文学の様な神話的物語に転換している。近年無かった『槿』の様な濃厚なエロスも彷彿とさせ、作者のパワーがギュッと結晶した作品になってると思う。

    0
    2022年12月13日

    Posted by ブクログ

    行きつ戻りつ。何度も、何度も繰り返し読み続けた。わからない、というわけでもなくて、その都度発見がある、というか。それに気づいて読み続けていたのだと思う。きっと僕は、この物語の文章そのものに魅了されていたのだ。不意に立ち上がってくる情景。すると一気に物語のディテールが際立つ。没入するという感じではなく

    0
    2024年09月22日

    Posted by ブクログ

    輪郭がぼんやりとしていて、何がなんだか分からないと思っていたら、ふとこれは老境の物語ではないかと気付いた。それも、ふと途中で、古井と大江の巻末の対談を読んだからだ。この対談は、訳詩と創作の破滅的な関係を語っていて、すこぶる面白い。

    分かったのは、暖かい髭、だけだった。

    0
    2018年07月04日

    Posted by ブクログ

    いつかいつかと思いながら、やっと古井由吉を読むことが出来ました。
    古井は昭和12年東京生まれで、「杳子」で芥川賞を受賞。
    その他、谷崎賞、川端賞、読売文学賞、毎日芸術賞も受賞し、今や純文学界の重鎮と言えましょう。
    最近では、又吉直樹が「憧れの作家」だと公言しています。
    ただ、作風は素人にはちょっと難

    0
    2017年07月11日

    Posted by ブクログ

    視点の切り替えが分かりにくいのと、短編なのに長編と錯覚してしまうくらい内容の密度が濃い。
    まだ読むには知識量が足りないなぁと感じた。そのうちまた再読チャレンジしたい。

    0
    2021年09月19日

    Posted by ブクログ

    巻末に収められた大江健三郎との対談では、「私の作品は全然難しいことないのに」と笑いながら語っているが、やっぱり難しい。
    氏の作品は用いられている言葉自体はどれも一般的なものばかりであるにも関わらず、文章になった瞬間に、1つ1つの文章が重層的になり、単一的な読み方を許さない解釈の幅がある、そんな点にあ

    0
    2014年07月10日

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